大型タンカーの系譜
タンカーは、戦後まで2万トン前後であったが、順次大型化し、50万トン程度をピークとした。
大型化は、建造技術競争と、省力化(単位重量あたりの要員効率)とあいまって、進行していた。
造船所も設備を拡充し、この先100万トンの建造能力も有していたが、巨大に過ぎると、荷役日数が必要以上に掛るし、航路に制約も多くなる為、現在では25万トン前後が一般的になっている。
IHI横浜、IHI知多、三菱長崎(香焼)、住友重機械横須賀、日立有明、などは大型タンカーを順次建造する為に最適な造船所として整備された。
中央船橋船尾機関室 より、船尾船橋機関室 が新しい
タンカーは速力がそれほど重視されない為もあり、早くから機関を船尾に配置していたが、操船の為、船橋は船体中央に置かれていた。その後タンカーの巨大化が進むが、でかく長い船体だと、船橋が船尾だと見通しが悪いという判断から、しばらくはこの配置はかわらなかったが、やがて、船尾船橋型になっていった。
2分割建造
長大な船体を建造する為、船体の前半分と、後ろ半分を別々に船台で建造、進水し、進水後接合する方法。
長大な船体の進水作業リスクを軽減することが出来るほか、長さが不十分な船台でも建造することが出来た。
大型タンカーの系譜
- 紀洋丸 1909年、9,287総トン、140m、東洋汽船
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- 干珠丸 1922年、8,200重量トン、129m
- 帝洋丸 1931年、13,960重量トン、150m
- 黒潮丸 1938年、14,960重量トン、153m
- 日章丸(二世) 1951(昭和26)就航、18,774重量トン、IHI呉、出光興産
- シンクレア・ペトロ・ロア 1955(昭和30)就航、55,000重量トン、全長230m
- ユニバース・リーダー 1956(昭和31年)、85,500重量トン、全長248m
- ユニバース・アポロ 1958(昭和33年)、103,000重量トン、全長287m、IHI呉
世界初の10万トン級タンカー
- 日章丸(三世) 1962(昭和37)年7月10日進水、13万1,000重量トン、全長291m、佐世保重工、出光興産
幅43m。 深さ22.2m。航海速力16ノット。出力2万8千馬力。
- 東京丸 1966(昭和41)年、15万3,687重量トン、全長306m、IHI横浜、東京タンカー
- 出光丸 1966(昭和41)就航、21万重量トン、全長342m、IHI横浜、出光興産
世界初の20万トン級タンカー
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- ユニバース・アイランド 1968(昭和43)年、32万6000重量トン、全長346m
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- 日石丸 1971(昭和46)年4月進水、37万2,400重量トン、347m、IHI呉、東京タンカー
- グロブティック・トーキョー 1972(昭和47)年、48万3,644重量トン、全長379m、IHI呉
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- 日精丸 1975(昭和50)年、48万4,276重量トン、全長378.35m、IHI呉、東京タンカー
238,517.49G/T、型幅62.00m、型深36.00m
- バティラス 1976年、54万2,400重量トン、275,268総トン、全長414.22m フランス
- ノック・ネヴィス(ヤーレバイキング) 1980年、55万5,819重量トン、260,851総トン、全長458.45m、全幅68.8m ノルウェー(改造)
船舶明細書(2003?)による、日本の大型タンカー 上位15
船名 船社 重量トン(載貨重量)
- 日彦 日正汽船 281705.00
- 高砂丸 日本郵船 281050.00
- 隆邦丸 東京タンカー 281050.00
- 東京丸 東京タンカー 264148.00
- 出光丸 出光タンカー 259995.00
- 沖ノ嶋丸 出光タンカー 259993.00
- 高山 コスモ石油 259991.00
- コスモデルフィナス コスモタンカー 258095.00
- 日石丸 東京タンカー 258094.00
- 弥彦丸 東京タンカー 258091.00
- 高松丸 258083.00
- 松寿丸 出光タンカー 258034.00
- 日章丸 出光タンカー 257865.00
- コスモアストリア コスモタンカー 255396.00
- コスモビーナス コスモタンカー 250267.00
船体の構造
- 紀洋丸 わが国初の大型タンカー。
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- 干珠丸 最初の縦通材方式。
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- 戦後のタンカー
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- シングルハル 単船殻
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- セミダブルハル 二重底
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- ダブルハル 二重船殻
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- ミッドデッキタンカー
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水色:貨物タンク、薄紫:バラストタンク
新規作成日:2003年1月8日/最終更新日:2013年7月20日