艦船ウォッチング入門

●艦船の種類にはどんなものがあるのか
まず、艦船と一口に言っても、艦艇、官庁の船舶(海上保安庁、水産庁、気象庁、消防、警察、学校)、帆船、客船、商船(貨物船、タンカー などなど)、漁船、作業船 などさまざまです。
また、日本国内や外国、過去の物、現在有るもの、未来の物 など。
艦艇そのものも、空母、水上艦、潜水艦、両用戦艦艇、などなど。
ここでは、今身近に見る事の出来る艦船を中心にしたいと思います。

●艦船マニアの種類にはどんなタイプの人がいるのか
模型を作る人、写真を写す人、図面を見たり描いたりする人、戦記を読む人、色々コレクションする人、絵を描く人、資料を集める人、乗船見学する人、実際に航海する人、などなど。
また、どれか一つと言う人は少なく、模型を作る為に写真を写し図面や資料を集めたり というような人が多いと思います。
私も模型作りから始まって、図や資料、絵葉書を集め、乗艦見学、観艦式の見学、写真撮影などに広がっています。
・模型を作る
一般にプラモデルを作る事から始まりますが、精密な改造にはまる人、紙で自由に作る人、さまざまです。
・写真を写す☆
機材をそろえて写す人、コンパクトカメラでのスナップなど、さまざまです。
・図面を見たり描いたりする
模型を作る為の人が多いですが、図面を読む事によって、色々な事が判ってきます。
・戦記を読む
最近では、架空戦記がはやっています。
・色々コレクションする
帽子、バッチ、ワッペン、マグカップ、ジッポーライター、などなど。見学の記念に、あるいはコレクションとして、集める人が増えています。
乗員のサインを集めたりする人も見掛けます。
・絵を描く
港でスケッチをしている人も多く見かけるようになりました。
・資料を集める
写真集、解説本、パンフレット、などなど。模型作りの参考に、或いは、知識吸収の為に。
・乗船見学する☆
・実際に航海する☆
ここでは、主として現場で行動する人(☆印)への情報を中心に列挙します。

●艦船を見られるチャンスはどんな時か
・まずは港へ行ってみる
艦艇を見られる場所は、何と行っても軍港。横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊、等の基地になります。
海上保安庁の巡視船艇なら、管区本部のある横浜、神戸などの大きな港をはじめ、全国100を超える港に、基地が有ります。どこに基地が有るのかと言う疑問には、Jwing印のイカロスMook「艦船ガイド」が便利です。
次に、造船所のある港。横浜(IHI)、川崎(ユニバーサル造船)、追浜(住友重機械工業)、神戸(三菱重工、川崎造船)、玉野(三井造船)、下関(三菱重工)、長崎(三菱重工)、佐世保(佐世保重工)、舞鶴(ユニバーサル造船)、など。新しく造ったり、修理改造検査したりする艦船が居ます。それぞれの造船所で得意分野が有り、護衛艦、潜水艦、掃海艇などが集まっています。
臨海公園から、山の上から、港巡りの船から、ウッチングできます。
よほど運が悪くなければ、何かは見られます。

・週末の一般公開を狙う
横須賀や呉、舞鶴などの海上自衛隊の基地では、毎週末一般公開しているので、訪れると、まじかに見られます。また、この時、乗艦見学できる艦艇も有ります。

・海上自衛隊基地のイベントを狙う
横須賀や呉、佐世保、舞鶴、大湊などの海上自衛隊の基地では、毎年夏に、チビッコヤング大会を実施するので、訪れると、色々楽しめます。艦艇の乗艦見学はもとより、各種訓練展示を見られたり、体験航海できる艦艇も有ります。

・米軍基地のイベントを狙う
横須賀や佐世保、などのアメリカ海軍の基地では、毎年フレンドシップデーで基地公開を実施するので、訪れると、色々楽しめます。艦艇の乗艦見学、何といっても航空母艦は横須賀でしか乗艦見学できません。
この時しか手に入らないグッズ(帽子、ワッペン、マグカップ、ジッポー)も多数。
ドルが利用できるので、為替レートの関係で、ドルで買った方が安い場合もある。
また、最近では、毎年のフレンドシップデーの他、航空母艦、揚陸侵攻艦など、珍しい艦艇が寄港すると、特別に艦艇の公開をする事が有ります。
尚、単なる基地の公開(花火や、スポーツ施設)の場合も有るので、注意しよう。
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・米軍艦艇の寄港を狙う
日米地位協定の関係で、米軍艦艇が各地の港へ寄港する機会が増えてきました。
本来は「物資の補給と、乗員の休養が目的」と言う事ですが、市民サービスの旺盛なアメリカ海軍、一般公開もやってくれます。
この時しか手に入らないグッズ(帽子、ワッペン、マグカップ、ジッポー)も多数。
ドルが利用できるので、為替レートの関係で、ドルで買った方が安い場合もある。

・体験航海に参加する
海上自衛隊では、体験航海を実施しているので、自衛隊地方連絡部などに相談すると、実際に艦艇に乗艦し、1〜2時間の航海を楽しむ事が出来ます。

・シーページェントなどイベントに参加する
3年に一度実施されている海上自衛隊観艦式、夏に各地方隊で行なわれる、海上自衛隊の展示訓練(体験航海)、毎年実施されている海上保安庁観閲式などは、実際に乗艦航海も出来るし、何といっても、他の多くの艦船、航空機を一度に見る事が出来る、艦船マニア必見のイベントです。
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また、この時、当然の事ながら、多くの艦船が一同に集結し、また、同時に続いて入出港するので、撮影ポイントを押さえれば、乗る事が出来なくても、相応の写真を物にする事が出来ます。

・親善訓練、演習など、海外の艦隊が日本に寄港するチャンスを狙う
海軍の任務の一つとして、親善訪問が有ります。我が海上自衛隊も、練習艦隊などが、各国を訪れています。
諸外国(フランス、ドイツ、スウェーデン、韓国 など)の練習艦隊、世界一周訓練途上の艦隊(イギリス など)、協同訓練の前後に寄港する艦艇(ロシア、韓国 など)、など、見逃せません。
東京、横須賀、横浜、大阪、神戸、呉、長崎、佐世保、舞鶴 などの港に、訪れます。
また、友好100周年とか、遭難した船を救助して100周年とか言う事で、地方の港に訪れる事もあります。
最近では、各種グッズを販売する事が多くなりました。
今年は艦艇訪問が殆ど有りませんが、例年4回前後はあります。
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・港祭のイベントを狙う
最近では、港祭を大規模に実施する自治体が増えてきた。海上自衛隊や、海上保安庁とも連携して、艦船の一般公開や、体験航海を実施する事も多くなったのでチェックだ。
下田の黒船祭では、日米艦艇が洋上に停泊したまま一般公開をしてくれる。
また、花火大会に合わせて、夜間電燈艦飾を実施してくれる場合も有るので、幻想的な写真を目指す向きにはお勧めだ。
通常、開港記念日の前後に行われるから、今年のがした場合は、来年忘れないようにしよう。

・進水式を見る
艦船を追っかける時、忘れてならないのが進水式。何といっても、その艦にとって、たった一度しかない物だから見逃せません。
造船所によっては、一般の人も会場(船台の横)に入場でき、巨体が滑り降り海上に浮かぶドラマを目の当たりにする事が出来る。
また、数は限られるが、進水記念絵葉書も、逃しがたい記念品だ。
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護衛艦などの大型艦艇は、横浜(IHI)、追浜(住友重機械工業)、玉野(三井造船)、長崎(三菱重工)、潜水艦は、神戸(三菱重工、川崎造船)、掃海艇は、川崎(ユニバーサル造船)、鶴見(ユニバーサル造船)、など得意分野がある。

・造船所のイベントを狙う
創業100周年とか、創立記念日とか、港祭行事の一環などで、造船所内を見学出来る機会が多くなった。普段見る事の出来ない、船体の下やスクリューなど、見物だ。
尚、撮影に付いては、制限されている場合が有るので、注意して指示に従おう。

・満艦飾と電燈艦飾を見る
海上自衛隊の艦艇は、2/11(建国記念日)、5/3(憲法記念日)、11/1(自衛隊記念日)、11/3(文化の日)、12/23(天皇誕生日)、などに、満艦飾を実施します。
また、観艦式期間中や、外国艦艇来航時など、夜間電燈艦飾を実施しています。夜景に艦艇の縁取りをした電燈が映える姿は、とても幻想的です。
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・遠洋航海の見送り、帰国歓迎を見る
海上自衛隊の艦艇は、練習艦隊の遠洋航海や、南極観測で、毎年海外へ向け出港しています。
壮途を祝う見送り、帰国の歓迎式典など、感激のシーンです。
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●どこで見るのか
「●艦船を見られるチャンス」を活用すれば、とにかく艦船を見る事が出来ます。
しかし、艦船の状態として、奥に泊っている場合や、航行中など、色々な条件が有ります。
京浜地区の艦船ウォッチングポイントに付いて簡単に解説しましょう。
見るべき対象、見れる場所 色々有りますので、よく確認して利用してください。
紙面の都合で、京浜地区に絞っていますが、要点を考えれば、身近な港でも、自分専用のポイントが見つかると思います。

(東京)
◎聖路加明石町タワー 展望室 中央区明石町8
\0 8:00-20:30 墨田川〜晴海〜IHI跡が一望
IHIは135mmで全景が収まります。
豊洲にあるIHI石川島播磨重工業・東京工場は、護衛艦の建造や整備を行っていました。
◎IHI石川島播磨重工業・東京工場
艦艇、フェリー、特殊船、等の建造が多く、新造よりも、護衛艦等の艦艇、巡視船等の特定修理が多く行われている。平成14年度末に閉鎖された。
◎晴海埠頭
交通:バス(都03)新宿駅−有楽町−晴海埠頭、バス(都05)東京駅南口−有楽町−晴海埠頭、バス(錦13甲)錦糸町−晴海埠頭。
大型客船や艦艇などが来る。毎年5月下旬に東京湾みなと祭、水の消防ページェント(東京消防庁)が開催される。
・客船ターミナル (晴海埠頭事務所:03-3531-8361)
ターミナルデッキから、入出港の様子が堪能できるが、逆光気味。
展望室もあるがここからは撮影には不向き。
◎竹芝埠頭
ターミナルは海が見えるテラスになっていて、レインボーブリッジをくぐる艦船が良く見える。
交通:浜松町駅から500m。
・竹芝埠頭 サウスタワー展望室 (5404-4082)
\0 9:00-17:00?20:00? 21階南側が展望フロアとして開放されていたが、目下閉鎖中。
◎レインボーブリッジ遊歩道 (03-3456-1156)
\0 4/1-10/31=9:00-21:00 11/1-3/31=10:00-18:00 第三月曜閉館(祝祭日は翌日)
交通:田町から徒歩 20分、バス(虹01)浜松町駅−芝浦埠頭〜徒歩、ゆりかもめ 新橋駅−芝浦埠頭〜徒歩 。
晴海埠頭へ出入りする艦船が、真下をくぐる。
ヘリから撮影したような写真を収める事が出来る。
難点は、橋の上(側)からは、向かって来る船か、去って行く船しか撮影出来ず、展望室からはガラス越しになってしまうし正面は橋脚が邪魔になる。
DSC_1454. DSC_1039. p2356004.
◎13号地埠頭
交通:海上バス、ゆりかもめ 新橋駅−お台場−フジテレビ−潮風公園−船の科学館−有明、バス(虹01)浜松町駅−お台場−フジテレビ−潮風公園−船の科学館−有明、バス(海01)品川駅東口−潮風公園−船の科学館−門前仲町。
・潮風公園
東京港西航路の正面だが、撮影には、大型客船の入港を別として、品川のビル群が気にかかるし、出港は遠方過ぎるし、入港は大井コンテナヤードのクレーンが気にかかる。
交通:海上バス、バス(虹01)潮風公園orフジテレビ、バス(海01)潮風公園 下車。
・船の科学館 (03-3528-1111) 品川区
\500 10:00-17:00。日本船舶振興会の青少年への期待を込めた海事全般にわたる総合的な博物館。船の科学館横のバースには、PL107宗谷☆が展示公開されている。対岸のバースには、青函連絡船 羊諦丸☆も展示公開されている。また、二式大型飛行艇☆が陸上展示されている。毎年春と夏に特別展を開催。図書室は現在一般公開されていないが、お願いすれば閲覧可能。交通:バス(虹01)船の科学館、バス(海01)船の科学館。
◎海上バス(東京都観光汽船:03-3457-7830)
隅田川ライン、葛西臨海公園ライン、江戸川水上バス、船の科学館ライン、晴海ライン、東京港巡り等の運航がある。東京港巡りのコースは、日の出桟橋〜船の科学館〜日の出桟橋、約90分の航海。船長に「晴海埠頭の艦船を写したい」など乗船目的を告げておくと若干の便宜は計ってもらえるようだ。
(横浜)
◎瑞穂埠頭
米陸軍の補給ターミナルになっているので、MSC軍事海上輸送隊の各種輸送艦を中心に停泊している。また、海洋監視艦等が補給、休養に来る。海上自衛隊観艦式の時は、参加護衛艦の一部が停泊する。
◎MM21(みなとみらい21)
瑞穂埠頭が正面にある。6/2横浜開港祭の中心会場。交通:桜木町駅より徒歩10分。
・ぷかり桟橋
横浜駅−山下公園行きのシーバス、港内観光船のマリンルージュ、マリンシャトルのターミナル(045-453-7047)がある。
◎新港埠頭
・横浜海上防災基地
海上保安本部桟橋を中心にPLH22やしま、PLH31しきしま、PL31いず、PL128あまぎ、PC16はまなみ、PC77はまづき、PC81はなゆき、PC78いそづき、CL291やまゆり、CL36きりかぜ、CL01いそかぜ、SS17れお、LL11ほくと、FL01ひりゅう、OR01しらさぎ 等がいる。基本的に立ち入り禁止だが、赤煉瓦倉庫周辺は観光コースになっている。
◎大桟橋(大桟橋埠頭事務所:045-211-2301)
目下、工事中で仮設桟橋になっているが、クィーンエリザベスUを始め、大型客船が入港する。
交通:桜木町駅よりバス、関内駅より徒歩12分。
・客船ターミナル 3階展望回廊
\0 9:00-21:00
◎山下公園
横浜駅−MM21行きのシーバス、港内観光船のマリンルージュ、マリンシャトルのターミナル(045-453-7047)がある。これらを活用すると、効率的に港内の艦船撮影が出来る。
◎本牧埠頭
・シンボルタワー (045-623-9600) :本牧埠頭D突堤先端
入場無料。車の場合は、駐車場有料。日中開館。横浜港の東側が見渡せる。客船入出港のポイント。交通:横浜駅、桜木町駅からバス、シンボルタワー行下車すぐ、または、同海釣り公園行で徒歩2q。
◎大黒埠頭
・ベイブリッジ スカイウォーク (045-506-0500)
\600 9:00-21:00 第三月曜休 横浜ベイブリッジの北側に設置された展望室。
交通:バス(109系統)桜木駅〜、(17系統)JR鶴見駅、京急生麦駅〜、等でスカイウォーク行。
(横須賀)
◎貝山緑地
横須賀基地に入港する大型艦船が300mmで狙える。
交通:京浜急行、京急追浜駅からバス。
◎田浦港、長浦港、船越地区
退役支援船、退役艦もいる。
交通:京浜急行、京急田浦駅、JR田浦駅。田浦港・船越地区は京急、長浦港はJRが便利で、両駅の間の連絡は徒歩30分程度。
◎横須賀本港、吉倉地区
交通:京浜急行、逸見駅、汐入駅、横須賀中央駅、JR横須賀駅。
・海上自衛隊基地 (0468-22-3500)
護衛艦がいる。休日は護衛艦の一般公開をしている。毎年夏、チビッコヤングの基地公開がある。
・臨海公園
海上自衛隊、横須賀米軍基地・船渠地区が望める。最近区画整理され、海軍関係の碑は一個所に集められた。
・横須賀米軍基地
毎年、USフレンドシップの基地公開がある。
交通:京浜急行、汐入駅、横須賀中央駅。
◎塚山公園
米軍横須賀基地が見渡せる、個艦の撮影は300〜400oが必要。交通:京浜急行安針塚駅から約1q、途中からの上り坂がきつい!、感覚的に45度である、駅から約20分で塚山公園。京浜急行逸見駅方面へ下りる方もきつい坂で、下りるのに勢いがついてしまう。約25分で臨海公園。車で途中まで登れるが、駐車スペースもないし、すれ違いも困難。
◎三笠☆ (0468-22-5408)
\400 9:00-17:30。言わずと知れた、日露戦争日本海海戦時の連合艦隊旗艦。
交通:京浜急行、横須賀中央駅。
◎軍港めぐり クルーズ
三笠横の桟橋から、トライアングルが運航。季節運行だが、米軍基地も沖から一望、海上自衛隊の潜水艦バースの前で反転、吉倉桟橋前を西へ。横須賀警備隊前、掘割水路を抜けて、長浦港、船越桟橋を一通り見て北上、再び外洋で揺られて、帰港の約1時間の航海。
◎浦賀港
周辺の道路は狭いので、車に注意。
湾奥に住友重機械工業がある。交通:京浜急行、浦賀駅。
・住友重機械工業
艦艇、特殊船の建造、修理が多い。進水式は当日一般に公開される事が多い。
・渡し船
\150 駅から湾口へ約1qのところに運航されている。手を振れば随時運航。使用船は平成10年に代替えされている。
◎観音崎
浦賀水道を行き交う艦船が望める。旧海軍の要塞跡も散在する。交通:京浜急行、浦賀駅からバス。
●どうやって情報を集めるか
情報には、大きく3つあります
・艦船スケジュール
各種行事日程や、実施内容。艦船寄港の情報など。日程を外すとお話になりません。
生きた情報で、新鮮さが求められます。
・港湾情報
港の地形、見学可能な場所の情報。
ただ行って艦船を見るだけではなく、地の利を得ていれば、他の人に1歩勝った何かが有ります。
基本的に地形そのものは滅多に変わりませんが、何年も間が開くと、地域開発などが進み、様子も変わって行きます。
・艦船情報
見るべき艦船の一般情報。
予備知識が有ると、視点も変わります。
大家としてはJane's軍艦年鑑、その他色々なガイドブックが有ります。

・自衛隊のイベントスケジュールをチェックする
防衛庁や自衛隊、基地で作成している、イベントスケジュールをもらうと、予定がわかります。

・雑誌を利用する
Jwings、世界の艦船 などの月刊誌に、イベント情報が掲載されるので、要チェックです。
飛行機関係の雑誌にも、空母を中心とした動きが掲載されているので、これも重要な情報源です。
ただ、雑誌の場合、編集締め切りから店頭に並ぶまでに2週間前後かかりますから、最新の情報をつかみづらい要素も有ります。

・インターネット などを利用する
防衛庁、自衛隊のホームページ、出版社のサイト、には、イベント情報が盛りだくさんです。
艦船マニアのサイトにも、色々な情報が公開されています。
皮肉な事に、反戦団体のサイトも、貴重な情報源になったりします。
また、パソコン通信や、メーリングリストなどでは、こういった情報も飛び交っています。

(防衛省、自衛隊)
海上保安庁 http://www.kaiho.motnet.go.jp/
防衛省 http://www.mod.go.jp/
海上自衛隊 http://www.jda.go.jp/JMSDF
横須賀地方隊 http://www.fsinet.or.jp/~ymsdf/
呉地方隊 http://www.k-rd.gr.jp/
阪神基地隊 http://www2.odn.ne.jp/aae28620/
海上自衛隊 館山 http://www.awa.or.jp/home/jmsdf-ta/

(出版社)
(株)海人社/(株)出版共同社 http://ships-net.co.jp/

・新聞やニュースなどから海外からの艦隊寄港をキャッチする
新聞や、放送などの情報をチェックする。
一般に、入港してはじめて報道される事が多いので(「今日入港し、明日一般公開」等は良いほうで、極端な場合「今日一般公開された」など)、リアクションが取りづらい面が有ります。
海上自衛新聞、海上保安新聞 などには、行事予定が随時記載されています。
地元新聞(神奈川新聞 など)や、反対勢力の機関紙には比較的早く掲載されている事が多いので、もらしがたい情報源です。

・港の予定表
都のお知らせ、晴海埠頭客船等予定表、横浜港客船等予定表、等を集めると、予定が分かります。
一度もらっても安心しない事。諸般の事情で、しばし予定が変わっていたり、新たな情報が付け加わったりしています。

・その他情報誌
釣り関係の情報誌には、立ち入りの可能な場所が書かれています。釣りが出来る所=海に面した所ですから、上手く活用すると、新しい撮影ポイントが見つかるかも知れません。

・情報は吟味しよう
日本人には艦船は馴染みが薄い。これは報道関係者にとっても同じ事で、我々素人の方がよっぽど「専門用語」を知っている場合も少なくない。戦艦、駆逐艦、護衛艦の区別が全く付かずに、艦艇の記者会見に参加する記者さんも珍しくない(むしろ知っている人が珍しい)。そういう部分を経由して報道されている事を念頭に情報分析しよう。間違いだらけという事はないのだが、完全な物と考えないほうが良いだろう。
最近は、パソコン・電子メールで処理される事も多く、仮名漢字変換での間違いも潜在している。

・関連する情報に注意しよう
慣れてくると、直接明示されていない情報からでも、艦船の情報を推測する事が出来ます。
「プルトニュウム輸送船がやってくる」とすると、海上保安庁の巡視船が出動するでしょう。
「厚木に艦載機が飛来する」と、空母が横須賀に帰港します。

・仲間を作る
何といっても一番のお勧めです。
一人ですべての情報をキャッチする事は不可能です。港で良く会う人、インターネットや、さまざまな人と、仲良くなって、情報交換をすると、思わぬ情報を頂ける事が有ります。
長続きさせるコツは、お互いに情報提供できる事。もらいっぱなしでは、そのうち何も教えてもらえなくなります。情報を返せない人は、写した写真を送るとか、余分にもらったパンフレットをあげるとか、高額なお土産でなくとも、お互いのやりとりを示す事が秘訣です。
役割分担が出来るようになると、一人は橋の上から、一人は地上から、もう一人は別の場所から など違った写真を写して、交換すると、幅が広がります。

●情報戦に勝ち進む
情報はある意味断片的で、自分の欲しい物、欲しい形に整理されている事は少ない。
これをいかに活用するか、調査を深めて自分の物にするかがポイントだ。

外国艦船など、突然日本近海に湧くわけではなく、何ヶ月か前にすでに準備され本国を出港し、やってくる。国内では、外務省、防衛庁、大使館などの調整の都合とかで、直前(約10日前)にならないと発表にならないが、本国ではとっくに出港しているわけだから、グローバルな情報網を活用できると「早期警戒」も可能だ。

外国艦船(米軍を除く)の親善訪問の場合、入港すれば、音楽隊の歓迎を受け、何日か滞在し、その間一般公開されたり、夜間の電燈艦飾があったり、見送られて出港する。
基本的にパターンは同じなので、あとは自分がどれに参加するかだ。

観艦式や展示訓練など、概ね実施される時期が決まっているので、募集なども、相応した時期に行われる。募集情報を待つのも当然だが、想定された時期にチェックを入れるのも大事な事だ。
体験航海、観艦式、展示訓練などは、実施当日になってからでは、艦船を遠くから見る事は出来ても、乗艦参加する事は出来ない。募集の段階から、作戦は始まっている。

進水式の場合、大安、先勝などの吉日に行われる事が多い。また、建造自体、何年もかかって行われるので、整備計画や予算などの情報から、あらかじめ年月は想定できる。この組み合わせで、進水式の予定日をいくつかに絞る事も可能だ。

要は、情報をいかに整理し、活用するかだ。
予定表などの自分専用のカレンダーを作っておくと便利だ。

●ウオッチングに行くときの準備、ポイント
・時間、場所、撮影条件などの基本的な押さえ方
正確な日時を掌握する事。入出港を撮影したい場合、必須条件です。艦船の場合の入出港の時刻は、概ね岸壁での時刻なので、入港なら30分前には、ほぼ着いています。また、電車のように定刻でビシバシ動く物では有りませんから、1時間前後の余裕で待機する事が必要です。
また、大型船は航路信号に従いますから、航路信号「I」入港、「O」出港、等に注意すると良いでしょう。

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・乗艦する場合のポイント
動きやすい格好で行こう。艦内は狭いので、大きな荷物を抱えていると、動くのが大変だ。
女性のハイヒールや、短いスカートは避けよう。足元が怪しいと思わぬ怪我をする。階段など急なので、動きやすい服装が一番。

・内部が公開される場合のウオッチングポイント
艦内が公開される場合、まずは艦橋だろう。最近のアメリカ海軍ではCIC(戦闘情報処理センター)の見学をさせてくれる事もある。映画でしか見られなかった、機器に囲まれた空間がそこにある。
たまに、その機器を見て「古いから戦力に劣る」と誇らしげに言って分析能力を自慢する人が居るが、艦艇の戦力は、機器だけではなく、操作する乗員の士気練度の相乗効果なので、侮れない。

・艦艇の外側
艦艇は普通、同型艦が何隻か建造される。同じ型だからと言って、見過ごしていられない。
造船所も違えば、建造した年も何年も開きがある。当然その間に、装備の変更があったり、就役した後でも、改造されたりする。つぶさに見ていると、その違いにも気づいて来る物だ。
マストなどの旗にも注意してみよう。艦首の旗、艦尾の軍艦旗、マストの将官旗、信号旗、など、興味は尽きない。

・準備しておくと便利なもの
観艦式などの長時間になる場合、お弁当や飲み物は必須です。現場で調達できる場合も有りますが、数に限りがあったり、行列になったりします。
航海する場合、海上は少し寒いので、1枚余分に着ていきましょう。
脚立はほとんどの場合、無用の長物です。艦内見学の場合など、邪魔物以外の何物でも有りません。また、甲板上(特に端っこ)で使用すると、倒れて極めて危険な場合もあります。

・外国語も勉強しておこう
学生時代の外国語、挫折した人が多いでしょう。
しかし、多くの外国人は、日本語が分かりません。外国艦艇を見学した際、直にお話できる機会なのですから、まずは英語、出来れば彼の国の言葉で挨拶くらいはしたい物。多少でもやり取りが出来ると、他の見学者+αの特典も有るかも。

・ビデオの活用
最近では私は余り使わなくなったが、ビデオは便利だ。写真では、そうやたらと撮影も出来ないが、ビデオなら、周囲の状況も写しておける。後でのんびり眺めて、再確認をする事も可能だ。
最近では、パソコン処理で、写真のように印刷も出来る時代にもなっている。

・記録を取ろう
一回限りならいざ知らず、今後も続けて行くなら、色々な記録を取るようにしましょう。
港の様子、見かけた艦船、行動の時刻…。記録をする事により、自分の活動がより注意深い真剣な物になって行きます。また、恒例の行事の場合、前回の記録は、自分自身の次回の計画に役立ちます。他の人に説明する場合も、便利です。写真と一緒にあげると、行かなかった人にも臨場感が伝わります。

・写真を撮るには
好みの写真によって色々あるが。
私の使っているレンズは
18-35
28-70
70-210
100-300
135-400
テレコンバーター:×1.5と×2を持っている。港内で長遠距離を撮影する時に使用。
艦内撮影では、ストロボは必需品。
尚、夜間、艦船を写す時に、ストロボでバシバシやっている人が居るが、結果は真っ暗だろう。
艦船は50〜200mもの大きさの代物だ。ストロボはせいぜい20mの範囲を一瞬しか照らせない。
夜間撮影には、ストロボではなく、三脚使用のスローシャッター撮影だ。

写真撮影のポイントは、カメラしっかり持つ事。ぶれないようにする事は当然として、水平線を保つ。目標の艦船の艦首艦尾に注意する。
港で遠距離を撮影する場合、手持ちにこだわらず、近くにある構造物に置くとかして、固定すると、よく撮れる。尚、油まみれにならないように確認しよう。
写真のプリントができあがって、色が汚いと思った事はないだろうか。これは、現像所のデータに、艦船や海上のデータが極めて少ない事にも影響されている。現像所のデータの圧倒的多数は地上、人物写真だからだ。対策としては、よく取れている写真を見本として添えておくと、だいぶ調整してもらえる。

構図は、好みによって千差万別。
正面、斜め前、真横、斜め後方、艦尾。左舷側、右舷側。水平位置から、上から見下ろす位置から。また、単艦なのか、複数なのか。背景は(ビルなどが)うるさくないか、逆に背景を絡めて映える(富士山などの)構図とか。
どういった写真を撮りたいかによって、艦の位置・進路と、自分のポジション、使用するレンズを検討しなければならない。
無計画に欲張ると、レンズ交換だけで、艦の姿すら見れなかったなんて事も。

フィルムは余分に用意しよう。
港や艦艇の上では、おいそれとフィルムを買う事が出来ないし、あっても高い。自分の使い慣れた物を余分に持参して置こう。
最近のカメラは、電池も重要で、スペアを持っていると心強い。
歴戦の強豪は、カメラやレンズのスペアさえも携行する。
予備といっても、何も一眼レフである必要はない。レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)でも、予備としては十分すぎるのだ。
また、現場では、直ちに使えるように準備して置こう。

機材の調整は万全を
観艦式など、最高の時間帯は1時間も無い。限られた時間で一瞬を逃さない為には、機材を完全に使いこなせるように準備しておく事が大切だ。
レンズの汚れ、交換レンズをいつでも使えるようにする、フィルムのスペア…。
出し入れに時間を食っては、せっかくのチャンスをモノに出来ない。

・ウオッチング時のマナー他
(見学場所での注意)
まずは、海に落ちないようにしましょう。
艦船のいる所は、我々の馴染みの薄い場所です。立ち入り禁止の場所は「危ないから入るな」という所がほとんどですから、写真が良く取れそうだからといって潜り込むのは大変危険です。
また、足元には十分注意しましょう。港や艦船には、色々な物が取り付けられています。躓いたりしないようにしましょう。
外国人は、各自の常識で危険な所の判断がつく事から、むやみにロープを張っていない場合も有ります。日本人の常識として「ロープが張っていないから入って良い」と考えるのは危険です。一歩先は海という事も有りますから、十分気配りをしましょう。
艦船の手摺り(鎖)は簡単に外れるようになっているので、もたれかかったりすると、いっしょに海に落ちる事が有ります。
そもそも、港や艦艇は作業場であって、観光地では有りませんから、注意が必要です。
(撮影の注意)
艦内の写真撮影は、乗員の了解を取るようにしましょう。外国の艦船には、カメラの持ち込みを禁止する場合すらあります。誰かが写しているから私も、と言うのはやめましょう。
韓国など臨戦態勢の国はかなり神経質になっています。
造船所などの場合、むやみに撮影しないようにしましょう。進水式の場合は進水する艦船が写して良い物で、それ以外は遠慮しましょう。
悪質な人が増えると、いずれ見せてくれなくなってしまいます。
(その他)
情報収集は節度を持ってしよう。
関係先に問い合わせる場合、我々は趣味遊びだが、関係者には本来の仕事がある。不用意な問い合わせは避け、まずは独力で調べるようにしよう。仲間を作って代表者が確認すると、手間も省ける。
ごみの処理はきちんとしましょう。基地や艦船はごみ捨て場では有りません。
飛行場での喫煙が制限されているのと同様、艦船でも、定められた場所以外での喫煙は慎みましょう。
特に、灰や、吸い殻を海に捨ててはいけません。
自分勝手な行動は慎みましょう。良く「○○マニアはマナーが悪い」等と言われます。まだ数の少ない艦船マニア、シーマンシップに則り、国際人としても恥ずかしくない活動にしましょう。
外国艦船の乗組員の見た日本人は、我々の事なのですから。
みんなで楽しむようにしよう。
写真を撮りたい人、近くで見たい人、触ってみたい人、色々な楽しみ方がある。お互い譲り合って、いっしょに楽しむようにしたい物だ。

●ウオッチングに行った後の整理、ポイント
・整理をしよう
写した写真、集めた情報、資料、みな後で使いやすいように整理する事を心がけよう。
使い捨てならいざ知らず、せっかく集めた物なのだから、長く活用できるように整理して置こう。
私の場合、出かけた時に、行動記録を作っています。
A4サイズで1枚前後。行動の記録、イベントの内容、見かけた艦船、などを整理記入しています。

・パソコンを活用しよう
インターネットやパソコン通信での情報交換に始まり、自分の情報管理、データベースを作成して行くと、色々と活用できる。
手軽にデータ処理も出来る時代になったから、自分専用のCICシステムも作れるぞ。

・仲間との情報交換
ウォッチングの体験談、写した写真 などを整理して、仲間と交換すると、行けなかった人にも楽しさが伝わるし、また、遠方の出来事も教えてもらえます。
また、他の人の行動を見ると、自分の参考になる事も多いでしょう。


本項は、J-wings(イカロス出版) 2000年1月号マニア活動入門シリーズK J-wings(イカロス出版) 2000年2月号マニア活動入門シリーズL 「艦船ウォッチング」入門 に掲載された原稿をベースとしています。
元原稿に対して、造船所の統廃合などの修正を加えています。
写真は、雑誌掲載のものとは異なります。


関連情報
CaptainFleetの艦艇入門講座
Let's ポートウオッチング


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新規作成日:2003年4月21日/最終更新日:2003年4月21日