舶用機関
舶用機関には、大きく主機と補機があります。
主機はメインエンジンで、船舶の航行に使用する機関を指し、補機はこれ以外の機関を指します。
したがって、航行用の予備エンジンは、補機とは言いません。
補機には、発電用のエンジンのほか、クレーンやキャプスタンの動力も含まれます。
- レシプロエンジン
ボイラーで蒸気を作り、それをシリンダに送ってピストンを動かすエンジン。
シリンダが有る事から、ディーゼルエンジンのように見えるが、ボイラーが有るのは、このタイプ。SL(蒸気機関車)も同じ仕組み。
往復動 レシプロケーティング
後期のものでは、その蒸気圧を最大限に利用するため、高圧、中圧、低圧のシリンダを複合して構成されており、「三段膨張」型と呼ばれる。
三段膨張蒸気往復動機関
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三段膨張蒸気往復動機関
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交通艇用蒸気往復機関
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二段膨張蒸気往復機関 模型
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蒸気往復機関 模型
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復水器付蒸気往復動機関
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蒸気船マークトゥエイン号 蒸気機関
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 - 斜盤機関
魚雷などに用いる機関で、ピストンの往復運動を回転運動に変換する機構を、クランクではなく、斜盤を用いるもの。
通常、ピストンからクランクを経て軸に接続されるが、機関全長を短くしたい場合はピストンを星型に並べることがあり、星型エンジンとして航空機では多用されている。
しかし、魚雷のように、直径に制限がある場合、シリンダ長の制約から星型にはできないため、斜盤によって接続する。
91式魚雷
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 - 蒸気タービン
ボイラー(缶)で蒸気を作り、それをタービンに送って軸を動かすエンジン。
大型高速船や、艦艇で多用される。
昨今ではディーゼルとガスタービンに取って代わられているが、LNG船において使用されている。
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DDH141 はるな左舷蒸気タービン
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DDH143 しらね低圧タービン、高圧中圧タービン、減速機
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DDG41 BRISBANE
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テリータービン、シーメンス半径流反動タービン、ユングスロトームタービン
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テリータービン、シーメンス半径流反動タービン
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シーメンス半径流反動タービン
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ユングスロトームタービン
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ブラウンカーチスタービン
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艦本式巡航用蒸気タービン
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蒸気タービン 模型
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蒸気タービン羽根標本 軸流衝動型
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タービンブレード / 三菱ユングストロームタービン
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蒸気タービン羽根標本
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タービンブレード
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艦本型タービンブレード
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ラトータービンブレード
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 - 焼玉機関
簡単な構造らしく、戦時中に多用されている。
ポンポン船の機関。
第五福竜丸 搭載 焼玉機関
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焼玉機関
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 - 内燃機関
経済効率を優先される。これも、ピストンを動かす、レシプロです(航空業界でレシプロと言えばこれを指す)。ディーゼルエンジンやガソリンエンジンがこれだが、船の場合は、ディーゼルも重油で動かす。
ディーゼルは、圧縮した空気に燃料を噴出させて発火燃焼させるが、ガソリンエンジンは、圧縮した混合空気に、外部発火によって、燃焼させる。
ディーゼルエンジン
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ガソリンエンジン
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ズルーザーディーゼル機関 S20
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ディーゼル機関 模型
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三菱UE ディーゼルエンジン 模型
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B&Wディーセール機関模型
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三菱UE C60LAディーゼル
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いすゞ 6BG1 交通艇用機関 カットモデル
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交通艇用機関
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三菱ディーゼル
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三菱ディーゼル
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三菱UE型ディーゼル実験機関
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ディーゼル機関
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ヤンマーディーゼル 3SM
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池貝高速ディーゼル機関 MB820形
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世界初 実用ディーゼル機関 複製
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太平洋フェリー ニュー「きそ」主機
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九州急行フェリー「むさし丸」主機
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ディーゼル機関 ピストン
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ディーゼル機関 シリンダヘッド
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ディーゼル機関 クランク軸
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 - 原子力タービン
原子炉の核反応で蒸気を作り、それをタービンに送って軸を動かすエンジン。俗に言う原子力エンジン。
艦艇、特に潜水艦で多用される。
加圧水型原子炉 (PWR: Pressurized Water Reactor)
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原子力機関 模型
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原子力機関 模型
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 - ディーゼル・エレクトリック
ディーゼルで電気を作り、その電力でモーターを回して軸を動かすエンジン。キメの細かい推力調整が利点。
砕氷船、調査船、潜水艦に多用される。
尚、ディーゼル・エレクトリックと言う場合、デーィーゼル・電動機の複合も含み、ディーゼル直結による航行と+電池による電気推進、の方式もある。
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 - 電動機
蓄えた電気でモーターを回して軸を動かすエンジン。
潜航中の潜水艦に多用される。
ディーゼル・エレクトリックとの相違は、畜電器を必須で介していること。
電動機 本来は、電動モーターだが、ここでは機関の種類なので、ディーゼル・エレクトリックと別にしている。
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 - ガスタービン
タービンに直接燃料を送り、燃焼させて軸を回す。
初期のタイプは、蒸気タービンの流れをくむ重量型と呼ばれるタイプだったが、現在では、航空機関転用型のものが主流となっている。
航空機関転用型はジェットエンジンそのもので、最近の艦艇で多用されている。
ジェットエンジンは、排気を推力とするが、こちらは排気により推進タービンのブレードを回し、推力を得るので、航空機のターボープロップに近い。
航空機の場合はケロシン(灯油の上質のもの)を使用するが、船の場合は、軽油で動かす。
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ガスタービン LM2500
C5輸送機などに使用されている、GE社の航空機用エンジン TF34の舶用転換型。
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ガスタービン スペイSM1A
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ガスタービン スペイSM1A
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推進用ガスタービン
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遠心式空気圧縮機および駆動用ガスタービン、空気加熱器用燃焼器
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IM1500型 ガスタービン機関
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ガスタービン WR21
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 - 複合機関
各種機関の利点を有効活用する為に、複数の機関を組み合わせて使用するもの。
艦艇では、巡航時の経済性と、高速発揮を目的としている。
機関ごとで別々の軸を回すものと、一つの軸に複数種類の機関を接続するものと、がある。
・COSAG:Conbined of Steam and Gusturbine、巡航時:蒸気タービン、高速時:蒸気タービン+ガスタービン
・CODOD:Conbined Diesael or Diesael、巡航時:ディーゼル、高速時:高速用ディーゼル
・CODAD:Conbined Diesael and Diesael、巡航時:巡航用ディーゼル、高速時:巡航用ディーゼル+高速用ディーゼル
・CODAG:Conbined of Diesael and Gusturbine、巡航時:ディーゼル、高速時:ディーゼル+ガスタービン
・CODOG:Conbined of Diesael or Gusturbine、巡航時:ディーゼル、高速時:ガスタービン
・COGAG:Conbined of Gusturbine and Gusturbine、巡航時:巡航用ガスタービン、高速時:巡航用+高速用ガスタービン
・COGOG:Conbined of Gusturbine or Gusturbine、巡航時:巡航用ガスタービン、高速時:高速用ガスタービン
・CODAGE:Conbined of Diesael Electric and Gusturbine Electric、巡航時:ディーゼルエレクトリック、高速時:ディーゼルエレクトリック+ガスタービンエレクトリック
・CODLAG:Conbined of Diesael Electric and Gusturbine、巡航時:ディーゼルエレクトリック、高速時:ディーゼルエレクトリック+ガスタービン
・COGLAG:Conbined of Gusturbine Electric and Gusturbine、巡航時:ガスタービンエレクトリック、高速時:ガスタービンエレクトリック+ガスタービン
などがある。
・COGES:Conbined of Gusturbine  Electricand Steam、巡航時:ガスタービンエレクトリック、高速時:ガスタービンエレクトリック+廃棄熱蒸気タービン
・CONAS:Conbined of Nuclear and Steam、巡航時:原子力タービン、高速時:原子力タービン+蒸気タービン
Conbined は、Conbination と言う事もある。
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 - Combined Cycle / COGES
USCC(Ultra Small Combined Cycle)。ガスタービン+蒸気タービン複合機関。ガスタービン廃熱を利用して蒸気タービンを駆動する複合機関で、燃料効率を向上させている。
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 - AIP
air independent propulsion。大気独立機関。一般の熱機関は燃焼に大気(空気)を必要とし、潜水艦など、空気がふんだんに使用できない場合には甚だ不都合である。一つの解決策が原子力であるが、非核機関として考えられたのが、スターリング機関などに代表されるAIP機関である。基本原理は、液体燃料による加熱装置と、効率的動力の組み合わせである。
一般の機関のように、フル回転で高出力を得るのではなく、持続的な動力とするもの。
・スターリング機関(AIP)
液体酸素と燃料(ケロシンなど)との燃焼により発熱させ、熱交換器でガスに伝え、このガスの膨張および海水冷却により、ピストンを駆動し、クランクシャフトを介して発電機を回転させる。
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・燃料電池機関(AIP)
液体酸素と水素を化合させ、電力を発生させる機関。
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・CCD Closed Cycle Diesel 機関(AIP)
人工的な空気(酸素とアルゴンなどの混合ガス)により、通常のディーゼル機関を駆動させるもの。
ドイツ、オランダ、ソ連が開発。
・ワルタータービン。
過酸化水素と燃料を燃焼させ、蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動するもの。
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・MESMA Module d'Energia Sous-Marine Autonome(AIP)
液体酸素を気化した酸素とエタノールを燃焼させ、蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動するもの。
フランスが開発。
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 - 超電導電磁推進装置
超電導電磁推進船ヤマト-1搭載推進装置
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超電導機関 模型
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 - 船外機
モーターボート、ゴムボートなどは、船体据え置き型ではなく、船外に装着するタイプであり、これを船外機と言う。
動力は、一般に内燃機関(ディーゼル、ガソリン)で、推進器と一体となっている。
大型のものは固定、ゴムボートなどは着脱式が多いが、固定式といえども、取り外しは容易である。
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燃料供給ユニット
重油は粘性が高いため、加熱して液状度を高める必要がある。
また、スラッジなど不純物を取り除くことにより、エンジンのメンテ性を高める必要もある。
加熱器、ろ過器、ポンプなどを一体化させたものが、燃料供給ユニットである。
Westfalia Separator Mineraloil Systems GmbH Germany / 燃料供給ユニット
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油水分離機
MARINFLOC A.B. Sweden / 油水分離機
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鯨類捕獲調査船(母船) 日新丸
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エンジン始動用コンプレッサー
(株)サクション瓦斯機関製作所 / エンジン始動用コンプレッサー
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コンプレッサー
鯨類捕獲調査船(母船) 日新丸
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過給器
ターボ システムズ ユナイテッド(株) / 過給器
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燃料加熱装置
鯨類捕獲調査船(母船) 日新丸
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冷却器
(株)日阪製作所 / 液冷冷却版
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DONGHWA ENTEC Korea / 液冷冷却版
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鯨類捕獲調査船(母船) 日新丸
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防振材
日本ブルカン(株) / 防振材
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変速器/減速機
一般に、船舶の場合、減速比は一段固定式である。
可変ピッチプロペラ、または、逆転タービンを装備している場合は、前進固定、その他の場合は、前進後進を切り替えられる。
(株)日立ニコトランスミッション / トランスミッション
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ZF Friedrichshafen AG Germany / トランスミッション
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ボイラ
ボイラは、レシプロエンジンや、蒸気タービンの動力源です。
原子力機関の場合は、このボイラが原子炉になります。
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艦本式ロ号罐
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金剛ボイラ
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三菱CE舶用2胴水管型
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第二術科学校 蒸気実習場 ボイラー
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DDH143 しらね
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DDG41 BRISBANE
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ヤロー型水管缶 模型
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スコッチボイラ 模型
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堅管煙管ボイラ 模型
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咸臨丸 ボイラ
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舶用円缶火炉筒 模型
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ボイラーバーナー
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Aalborg Industries A/S Denmark< / ボイラーバーナー
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ボルカノ(株) / ボイラーバーナー
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ボイラー用具
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⇒機関配置
⇒舶用機関(補機)
⇒動力船の歴史
⇒原子力船
⇒蒸気タービン
⇒電気推進
⇒潜水艦
⇒機関制御室
 

新規作成日:2003年6月26日/最終更新日:2025年2月12日