船舶免許制度の変遷
船舶免許制度の変遷
- 明治4年、(西暦1871年)灯台視察船「テーポール号」において、外国人によって航海および機関に関する教授が始まった。
これが我が国における船舶職員養成のはじまりである。
- 明治8年、政府は三菱会社に助成金を交付し、三菱商船学校(現、東京海洋大学/元.東京商船大学)を設立、日本で最初の本格的船舶職員の養成を開始した。
- 明治9年、「西洋型商船船長運転手及機関手免状規則」が制定され、海技資格制度および海技免状について詳細に規定し、海技従事者国家試験が開始した。
海技免状受有者でなければ船長、運転手または機関手としての職を執ることを禁じた。
海技免状の種類
本免状 船長・一等運転手・二等運転手・一等機関手・二等機関手
仮免状 船長・一等運転手・二等運転手・一等機関手・二等機関手
- 明治14年、「西洋型船船長運転手機関手免状規則」及び「西洋型船船長運転手機関手試験規程」が制定され、海技免状を、甲、乙及び小型船に分け、甲種免状は主として外国航路の船員、乙種免状は内国航路の船員に対して交付された。
海技免状の種類
甲種船長・甲種一等運転手・甲種二等運転手
甲種一等機関手・甲種二等機関手
乙種船長・乙種一等運転手・乙種二等運転手
乙種一等機関手・乙種二等機関手
小型船船長・小型船機関手
- 明治29年4月、船舶職員法が海員懲戒法と共に制定された。
海技免状の種類
【甲板部】
甲種:船長、一等運転士、二等運転士
乙種:船長、一等運転士、二等運転士
丙種:船長、運転士
【機関部】
機関長、一等機関士、二等機関士、三等機関士
- 昭和19年、船舶職員法の改正により船舶通信士を職員として加えるとともに、「運転士」の名称を「航海士」と改め、免状の種類を17種類とした。
海技免状の種類
【甲板部】
甲種:船長、一等航海士、二等航海士
乙種:船長、一等航海士、二等航海士
丙種:航海士
【機関部】
甲種:機関長、一等機関士、二等機関士
乙種:機関長、一等機関士、二等機関士
丙種:機関士
【通信】
甲種船舶通信士・乙種船舶通信士・丙種船舶通信士
- 昭和26年、船舶職員法の改正が全面的に行われた。
1. 海技従事者の免許制度および免許の更新制度を採用し、5年ごとにチェックする事とした
2. 丙種船長及び丙種機関長の資格を設けた。
3. 20トン未満の船舶の資格に小型船舶操縦士の制度を設けた。
海技免状の種類
【甲板部】
甲種:船長、一等航海士、二等航海士
乙種:船長、一等航海士、二等航海士
丙種:船長、航海士
【機関部】
甲種:機関長、一等機関士、二等機関士
乙種:機関長、一等機関士、二等機関士
丙種:機関長、機関士
【通信】
甲種船舶通信士・乙種船舶通信士・丙種船舶通信士
- 昭和32年、船舶職員法の大幅改正が行われた。
1. 免許更新制度を廃止し、終身制とした。
2. 一等船舶通信士の職名を通信長とした。
- 昭和49年、船舶職員法の改正により
1. 大型船と小型船の免許が区分された。
2. 小型船については、5トン未満の船舶にも適用するとともに1〜4級の級別とした。
(注)昭和49年の法改正以前に取得した小型船舶操縦士の免許は、その後10年間で一級小型船舶操縦士の免状と引き換えることとし、引換期間終了後は無効となりました。
【小型船舶操縦者】
・1級小型船舶操縦士
・2級小型船舶操縦士
・3級小型船舶操縦士
・4級小型船舶操縦士
- 昭和58年4月、STCW条約の批准と船員制度の近代化の推進という二つの目的を以て、船員法および船舶職員法が大幅に改正された。
1. 海技資格の名称を級別に変更した。
2. 海技免状の更新制度(5年毎)および近代化船の運航士の制度を導入した。
- 平成4年2月、SOLAS条約の発効(GMDSS)をうけて、船舶安全法および船舶職員法の一部改正が行われ、新たに無線部の海技資格として1〜4級海技士(電子通信)が設けられた。
- 平成11年5月20日、船舶職員法の一部改正により、小型船舶操縦士の資格に5級が追加された。
- 平成15年6月、半世紀余り続いた船舶職員制度を大幅に見直し、小型船舶の船長を「小型船舶操縦者」と位置づけ、「船舶職員」の資格制度から「小型船舶操縦者」を分離し、法律の名称も「船舶職員法」から「船舶職員及び小型船舶操縦者法」となり、小型船舶操縦者が遵守すべき事項の明確化等を内容とする「船舶職員法の一部を改正する法律(平成14年6月公布)」が施行された。
主な改正点
1. 小型船舶操縦者が受けなければならない小型船舶操縦士の免許の資格区分を従来の5級制から、1級、2級及び特殊小型船舶操縦士の3つの区分に再編成。
2. 小型船舶操縦者の遵守事項として、「危険操縦の禁止」、「酒酔い操縦の禁止」、「救命胴衣等の着用義務」等を明確化するとともに、遵守事項の違反者に対する再教育講習の制度を設けた。
3. 旅客船や遊漁船など人の運送をする小型船舶の船長については、通常の試験(小型船舶操縦試験)の合格に加えて、海難発生時における措置や救命設備等に関する「小型旅客安全講習」の受講を要する「特定操縦免許」制度を設けた。
- 平成16年11月1日、省令改正により5トン限定区分が廃止された。
- 現行の船舶免許の種類
【海技士】
・1〜6級海技士(航海)
・1〜6級海技士(機関)
・1〜3級海技士(通信)
・1〜4級海技士(電子通信)
【小型船舶操縦者】
・1級小型船舶操縦士
・2級小型船舶操縦士
・特殊小型船舶操縦士
新規作成日:2005年5月6日/最終更新日:2005年5月6日