Jpn 海上保安庁 5つの使命 MSA



本項は 「海上保安庁パーフェクトガイド」掲載用として整理したものをもとに掲載しており、更新なき場合、2005年3月のデータにもとずいています。
また、掲載出版内容と異なる部分も多々あります。
新規作成日:2005年5月7日以前を最終更新日としているものは、準備資料のまま内容の更新がないことを示しています。


1.治安の維持
海上保安庁は、海上におげる犯罪の予防及ぴ法令の励行を図ることを任務としている。つまり、海上保安庁は海の警察機関でもある。
「海洋法に関ずる国際連合条約」(UN0LOS)に関ずる関係法令が整備され、平成8年(1996)7月同条約は発効した。
これによって領海基線に直線基線が採用され、また、接続水域及ぴ排他的経済水域が設定されて海上保安庁が監視取締りを実施ずる水域が大幅に拡大した。
徹底した監視取締り体制で、海外から押し寄せる事案などに対応している。
国際化・巧妙化の一途をたどる海上犯罪。我が国における平和・秩序・安全を守るためには、海上からの徹底した監視取締りが不可欠です。海上保安庁では、密輸・密航や不法操業などの犯罪を海上で未遂に食い止め、法令の励行を促し、海上における治安の維持に全力を上げている。


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このような情勢下、海上保安庁にとって重要となってくる警備業務には以下のようなものがある。

●国際犯罪への対応
・不正な薬物、銃器等の密輪阻止
・密航者の流入阻止
・外国漁船の不法操業などの防止
・海賊事件の発生防止のために関係国間との協力体制を構築
●領海警備
領海におげる不法行為や入域を行う外国船舶の監視取締
・日本漁船の監視・指導
不審船への監視体制、巡視船艇の能力強化、防衛庁との連携の強化。
●海上における法秩序の維持
・船舶に対する立ち入り検査の実施
・刑法犯、薬物・銃器犯、不法入国事犯、海上環境・海事・漁業関係法令違反の摘発
●海上紛争の警備
・外国艦船の寄港、核物質の海上輸送、原子力発電所の建設等に対する過激な妨害行勤等の警備


2.海上交通の安全確保
日本の周辺海域は世界的にみても船舶交通の輻輳する海域である。
資源や輪出入貨物を運ぷ大型タンカーやコンテナ船、国内物流を支えるカーフェリー・内航貨物船、それに加えて漁船、プレジャーボート等、大小様々な船舶で混雑している。
船舶交通の安全を確保するため、世界共通の基本的な交通ルールである「海上衝突予防法」があり、他にも「海上交通安全法」と「港則法」が定められている。
海上保安庁ではこれらの法的な規制による安全対策を講じるとともに、「海上交通情報機構」を開設し、航行船舶への情報の提供、安全な航行管制を実施している。
また、海難防止指導やマリンレジャー事故防止のための活動にもカを入れている。
海難を未然に防ぎ、海で安全に過ごしていただくための活動を行っている。
東京湾や瀬戸内海など船舶交通がふくそうする海域を数多く有する我が国。船舶が安全に航海するためには、緻密な安全対策、正確な海の情報提供、的確な航路標識の設置が欠かせません。海上保安庁では、各般にわたる安全対策を講じる都ともに、「海上交通情報機構」を開設。また、海で安全に過ごしていただくための海難防止指導やマリンレジャー事故防止のための活動を行っている。


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●安全対策
・輻輳海域における海上交通安全法に基づいた規制、指導の実施
・港則法に基づいた船舶の入出港状況の把握(全国86の特定港)及ぴ危険物荷役の許可等港の交通整理と安全の確保
・海上交通に関する情報提供と航行管制を一元的に行う。
海上交通情報機構の整備(海上交通センター)
・マリンレジャー愛好者への安全思想の普及(海難防止講習会・ボート天国)
●海洋調査と海洋情報の提供
・人工衛星レーザー測距装置などを利用した測地観測、海底の地形・地質・地磁気・重力などの調査を行い管轄海域の確定を実施
・水路測量、海象観測、天体観測などの科学的調査を元に海図・水路誌などの水路図誌を整備
・水路図誌の刊行、航海用電了海図等の刊行による安全確保のための情報提供「水路情報」、「航行警報」の提供日本海洋データセツター(JODC)として、海洋データ・情報の収集・管理
・「海の相談室」を通じて海洋データ・情報の提供
●航行援助システム
各種航路標識機能維持のための定期的な巡回、保守の実施
・自然エネルギー(太陽電池・波力発電など)の航路標識への利用技術関発と実用化
・明治期に建設された歴史的・文化財的灯台の保存


3.海難の救助
日本の周辺海域で発生する海難に対する救助体制は、海上保安庁が発足してから総合的に機能するようになったが、遭難を知った他の船舶が救助に向かうという古来からある船舶間のGood-Seamanshipと、国・地方自治体の関係機関によりそれそれの所掌事務の範囲で行われていた。
昭和60年(1985)海上における捜索及ぴ救助に関する国際条約(SAR条約)が発効してからは、海上保安庁に連絡調整本部を設置するなど、海上保安庁が中心的役割を果たしていくことがさらに明確になった。
いつ発生するかわからない海難に備えて、海上保安庁では巡視船艇・航空機を24時間体制て配備しており、転覆・火災、船舶内からの人命救助などの特殊海難については、高度な救助技術を有する特殊救難隊が対応している。
そのため、迅速に捜索救助を行うための体制を整えている。
一分一秒を争う海難救助。海上保安庁では、海難などの発生に備え、巡視船艇・航空機を24時間体制で配備している。特に、転覆・火災・沈没船内からの人命救助など特殊海難については、高度な救助技術を有する特殊救難隊が対応する。


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●情報収集
海上保安庁では遭難通信等の海難情報を常時受信する体制をとってきているが、平成11年(1999)から完全実施となった衛星通信技術を利用して海難情報を入手する等のGMDSS(Global Mritime Distress and safety System)の施設を、24時間体制で運用している。
また、平成12年(2000)5月から運用開始された緊急通報電話番号「118番」を初めとする電話による海難情報もかなり多くなっている。
更に、SAR体制の一環である、船位通報制度(JASREP)が運用されており、遠距離海域を航行する任意参加の船舶については、船位情報等をアウトプットすることが出来るとともに、安全情報が伝達出来るようになっている。
●海難即応体制
海上保安部、航空基地、羽田特殊救難基地あるいはその上部機関である本庁、管区本部では、海難難に対して24時間の即応体制をとっている。
海難情報を入手した場合は、情報を分析し救助計画を立て巡視船艇、航空機を急行させる一方、JASREPを活用して付近航行船舶に協カを要請するなど救助の迅速化に努めている。
なお、隣接国とは、SAR条約に基づき責任分担海域が明確になっており、かつ相互に協カし合うことになっている。
●特殊救難体制
危険物積載船の海難救助、転覆・沈没、船内からの人命救助等、特殊な海難救助に対しては特殊救難隊を出動させるほか、1チーム4名の潜水士を配置した潜水指定船叉は設備、乗員の両面から特殊海難に対する救助能力の強化を図った救助能力の強化を図った救難強化巡視船を出動させる場台も多い。
なお、救難強化巡視船は各管区に1隻、計11隻配置されている。
●洋上救急体制
洋上で医師の救急往診が必要な傷病者が発生した場台に備えて(社)日本水難救済会を事業主体とした官民一体の「洋上救急体制」がある。
対象事案が発生した場合は最寄りの洋上救急センター地方支部(全国に10カ所ある)が協力医療機関に医師の派遣を要請するとともに、海上保安庁の巡視船艇、航空機で医師を現場に輪送するシステムになっている。
●沿岸の民間海難救助体制
(社)日本水難救済会は民間のボランティアを募り、全国に救難所及ぴ支所を置き海上保安庁にタイアツプして活動している。
最近海洋レジャーが盛んとなり、それに伴って海難も増加していることから、より即応体制を強化するため救難所の増強をはかっている。


4.海上防災・海洋環境保全
災害に迅速に対応し、美しい海洋環境を守るための活動を行っている。
地震や水害などで陸路が寸断された際に欠かせない、海上からの救助・救難活動。海上保安庁では、自然災害の発生にも24時間体制で備えている。また、海洋汚染の監視取締りや海洋環境保全思想の普及を行い、海洋環境の保全に努めている。
「災害」には地震、風水害等の自然災害のほか、大規模火災、大量の油流出事故、放射能漏れ事故も含まれており、その対象は多様である。
船舶が大型化するにつれて大規模な二次災害の発生も予想さ、海上防災は重要な業務になってきている。
また、廃棄物の不法排出や不法投棄等の監視・取締りを行い海洋環境を保全していくことも海上俣安庁の重要な業務である。


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海上防災・海洋環境保全の業務には以下のようなものがある。
●自然災害への対応
・大規模自然災害の発生または発生が予想される際に、関係機関と連絡を密にし、巡視船艇・航空機を出動させ、対応にあたる。
・被害者の救出、人員、救援物資の緊急輸送、被害状況の調査などの災害応急活動を行う。
●大規模油流出事故などへの対応
・油回収装置、オイルフェンスなどの防災資機材の全国配備、出動体制の構築。
・海上災害防止センターなど民間の防災機関の体制強化。
●機動防除隊と横浜機動防除基地の整備
・海上に排出された油、有害液体物質の防除措置や措置に関する指導、助言を案施。
・海上火災に対する消火や延焼の防止措置についての指導を実施。
●海洋環境保全のための監視取締り・指導啓発
輻輳海域やタンカールート海域での航空機や巡視船による油やビルジなどの不法排出の監視、取締り。
・沿岸部での工場排水の不法排出、廃棄物や廃船の不法投棄の監視、取締り。
・「海洋環境保全推進週間」などの際に青少年をはじめ広く一般の人に海洋環境保全思想の普及・啓発を行う。
●沿岸海域環境保全情報の整備
・治岸域情報をデータベース化し、油の拡散・漂流予測結果とともに、電子海図などの地理情報とあわせてモニター上に表示する沿岸域情報管理システムの運用。


5.国内外機関との連携・協力
多様化、国際化する海上保安の動向を踏まえ、幅広い連携・協力関係を構築している。
国際的な海上犯罪や、広大な海域に及ぶ捜索救助活動、地球規模での海洋環境保全など、幅広い分野にわたる海上保安業務を的確に遂行するためには、国内外機関との連携・協力が必須です。海上保安庁では、海外研修員の受入、専門家の派遣や諸外国との積極的な意見交換を行うなど、グローバルな海上保安業務を遂行している。
大型タンカーからの大量流出油事故、地球温暖化など国際的な協力によって対策を推進していかなげれぱならない海に関する問題が数多くある。
海洋国家であり、資源のほとんどを海外に依存する経済大国日本は、国内諸機関との幅広い連携・協力関係を構築する一方、世界各国と積極的協カ体制を築いていく必要がある。

海上保安庁では、関発途上国からの各種の研修員を受げ入れるとともに、要講に応じて各国に専門家を派遣しており、海上保安業務や関発調査事業にも参画している。


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現在、海上保安庁が参加する主な国際機関と、関連して各国と協力して推進している事業には次のようなものがある。

●IMO(国際海事機関)
主として船舶の安全確保、及び海洋環境の保護を目的とする、国連専門機関であり、ロンドンに事務所が置かれている。
●IHO(国際水路機関)
航海の安全のために、各国の水路関係機関の活動の協調を図り、水路図誌の統一、水路技術の向上を目的とする国際機関であり、モナコに事務所が置かれている。
●lALA(国際航路標識協会)
航路標識・交通管理業務の向上、調和により航行安全の確保と迅速な運航の促進を目的とする国際機関であり、パリ郊外に事務局が置かれている。
●ICO(政府間海洋学委員会)
国連教育科学文化機関(UNESOO)の中に設げられ、加盟国の共同活動を通じて海洋の自然現象及ぴ資源に関する知識の増進を図り、国際的な調査、汚染監視、資料交換などの事業を実施している。
●国際緊急援助活動
海上保安庁では「国際緊急援助隊の派遺に関する法律」に基づき、海外で大規摸な災害が発生した場合に、特殊救難隊等の人員の派遺及ぴ資材その他の物資の輸送に迅速に対応できる体制を整えている。




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新規作成日:2005年5月7日/最終更新日:2005年1月18日