Jpn 海上保安庁 機動救難士 MSA

本項は 「海上保安庁パーフェクトガイド」掲載用として整理したものをもとに掲載しており、更新なき場合、2005年3月のデータにもとずいています。
また、掲載出版内容と異なる部分も多々あります。
新規作成日:2005年5月7日以前を最終更新日としているものは、準備資料のまま内容の更新がないことを示しています。


機動救難士

海上で病人や怪我人、海難事故などが発生した場合、ヘリコプターで迅速にかけつけ、救助活動を行う「空飛ぶ海の救急救助隊」。
陸上では、消防のレスキュー隊が救助し救急隊が手当てし搬送するが、海上保安庁では、機動救難士が一手に担当する。
管区版の「特殊救難隊(特救隊)」とも言える。
航空基地からヘリコプターで現場へ急行、船上に降下し、救助を必要とする人を吊上げ、機内で救命措置を行いながら病院等へ搬送するというのが主な仕事だが、機動救難士は全員潜水能力も有しており(潜水士)、水面下での捜索・救助活動も行うことができる。
配置となる各航空基地には、4名の機動救難士が配置されており、このうち2名は救急救命士の資格も持っている。
2002年10月に配置された福岡航空基地(第七管区)を皮切りに、2004.4.1に北海道の函館航空基地(第一管区)、鳥取県の美保航空基地(第八管区)、鹿児島航空基地(第十管区)におかれ、計4管区に16人の機動救難士が置かれている。
当初、福岡航空基地に配備された後、函館、実保、鹿児島の航空基地には、平成15年4月1日に発足した「救護士」がおかれていたが、海難救助体制の充実・強化及び海難救助技術の向上の一環として、機動救難士に発展されている。
海難救助の際、水面作業に加え潜水作業ができるようになったほか、隊員に救急救命士が加わったことで、医師の指示を受けた医療行ためも可能となっている。


初の人命救助となったのは、2003年1月23日で、午前10時ごろ、筑前大島の西約9キロの玄界灘を福岡から韓国に向け航海中の韓国籍貨物船「ヘーヨン号」から「乗組員1人の左半身が動かない」と、第七管区海上保安本部(北九州)に救助要請が入り、24分後に福岡航空基地から2人の機動救難士がヘリコプターに乗り込み出動。貨物船の上空からロープで降り、患者の乗組員を運び出したのち同基地に戻り、病院に搬送したのは救助要請から約1時間半後で、救助された乗組員は命に別条はなかったという。

美保航空基地での初出動となったのは、機動救難士が配置された平成16年4月1日午後、山口県萩市北方沖の日本海で操業中の沖合い底引網漁船から、「乗組員2名がロープに巻き込まれたらしく負傷した。」との連絡が入った際の出動で、美保航空基地所属ヘリコプターが、この日配属されたばかりの「機動救難士」2名及び医師1名を乗せ、現場へ急行し、漁船の上空に到着したヘリコプターから、機動救難士2名が漁船に降下し、負傷者2名を吊上げ救助したもので、ヘリコプターで島根県の病院へ搬送された負傷者2名の命に別状はなかった。


海難及ぴ海中転落などの人身事故の約90%が、沿岸から20海里(約37Km)以内の海域で発生している。
機動救難士は、ヘリコプターを活用した高度な救助技能と救急救命技能を併せ持つ、言わぱ、海上保安庁の「空飛ぶ海の救急救難隊」として、これらの沿岸海域における海難などの人命救助の現場に、ヘリコプターで駆けつけ、迅速かつ的確に救助・救急活動を行う救急救難の精鋭である。
ヘリコプターで現場に急行した機動救難士は、救助を必要とする人か乗船する船の上などに降下して吊り上げ救助した後、機内で救急救命処置を行いながら病院等へ搬送する。また、機動救難士は自給気潜水(スキューパーダイビング)能カも有しており、水面下における捜索・救助活動にも従事する。
平成14年10月に福岡航空基地(第七管区)に配置されたのを始め、現在までに、北海道の函館航空基地(第一管区)、関西空港海上保安航空基地(第五管区)、鳥取県の美保航空基地(第八管区)、鹿児島航空基地(第十管区)に機動救難土が配置されている。
機動救難士は、全国の救難強化巡視船等に配置されている潜水士等経験者の中から選抜される。

【機動救難士の出動事例】
平成15年10月30日、第七管区海上保安本部(福岡県北九州市)は、山口県萩市大島の磯場に漁船が乗り揚げたとの通報を目撃した船舶から受けた。
福岡航空基地所属のヘリコプターに機動救難士を乗せて出動させたところ、漁船は断崖直下に横倒しとなっており、ヘリコプターが容易に近寄れない状況であった。
このため、機動救難士は、現場から約200m離れた岩場にヘリコプターから降下し、巨大な磯波が押し寄せる中を徒歩で移動、漁船から垂れ下がったロープに必死で掴まって磯波に翻弄されていた船長を背負って磯場を引き返し、へリコプターに吊り上げ救助した。
救助後、最寄りの空港で救急車に引き継ぐまでの間、ヘリコプターの機内において、負傷し低体温状態であった船長に、機動救難士(救急救命士)による応急手当を実施した結果、船長は、一命を取りとめた。




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新規作成日:2005年5月7日/最終更新日:2005年4月12日