アクチウムの海戦



紀元前31年9月2日「アクチウムの海戦」



両軍の兵力

オクタビアヌス艦隊(260隻、実際の指揮はアグリッパ将軍)
アントニウス艦隊(230隻、そのうちエジプト艦は60隻。乗船歩兵2万名、弓兵2千名)



両軍の軍艦の特徴 

アントニウス軍は乗組員が不足していたので、特に大きな船だけを使うことにして、小さな船は敵に捕獲されないよう焼き払いました。一方、オクタビアヌス軍の船は比較的小型ですが、操作が容易でスピードがあり、乗組員も充分でした。



両軍の配置 

オクタビアヌス艦隊は3隊に分かれており、オクタビアヌス自身は右翼を指揮し、左翼はアグリッパ将軍が指揮を取ります。対するアントニウスは艦隊を4隊に分けますが、クレオパトラの艦隊は後方に置かれました。アントニウスは右翼で指揮を取ることにしたので、敵左翼のアグリッパ将軍と向かい会うことになります。



戦闘経過

アントニウスの作戦は右翼隊で敵の左翼を包囲し、これによって右翼隊と中央隊の間が開くとクレオパトラの艦隊がこの間隙を埋めるというものでした。ところが、オクタビアヌス軍もアグリッパ将軍指揮の左翼で敵の右翼を包囲するという作戦を取っていたのでした。
午前中は静かだった海も午後からは風が出始め、アントニウスもアグリッパも敵の外側を迂回しようと懸命になります。これにより、両隊とも中央隊からどんどん離れていき、戦闘は非常な激戦となりました。アントニウス軍の主力兵器は大型の投石機で、命中すれば敵船を沈没させることも可能です。対するアグリッパ軍は火炎投射機で応戦します。これは破裂して燃え上がる弾を打ち込むもので、火炎と有毒ガスが人員の殺傷に効果的でした。船の先端に付いた衝角を使った激突攻撃はあまり行われなかったようです。これはアントニウス軍の船が重いため、衝角の激突に必要なスピードがなかなか出せなかったことと、アグリッパ軍の船がアントニウス軍の船の青銅製の強力な衝角にぶつかる危険を避けるため慎重になり、敵船に接近しようとしなかったためです。
アントニウス隊が離れて激戦を行っている最中に、中央隊と左翼隊が突然反転して港の方に戻ろうとします。どうやらアントニウスの指揮が及ばなくなって士気を喪失したようです。これに気づいたアントニウスはクレオパトラ隊に脱出するよう信号を送ります。そして、クレオパトラの身を案じた彼も約40隻の船と一緒に彼女の後を追って戦場から離れてしまいました。
これによってアントニウス軍は総崩れになりましたが、戦場は大混乱でオクタビアヌスは自軍の勝利になかなか気づきませんでした。


戻る TOPに戻る

新規作成日:2002年2月11日/最終更新日:2002年2月11日