PSC 寄港国検査

PSC Port State Control(ポートステートコントロール)
直訳としては、港の(所属する)国(による)の管理である。
国土交通省では、「寄港国検査」と公称する。

寄港国による、外国船舶の監督である。

航行の安全や海洋環境を保全するための国際条約に基づく検査で、近年、基準が厳しくなっている。

本来、船舶は国籍国の監督下にあり、世界的共通の安全性を維持すべきであるが、税制面などの優遇などによる便宜置籍船や、発展途上国などの、管理水準の低い船舶があるのも実状である。
しかしながら、船舶の事故は、該当船乗員乗客の生命を危険に晒すのみならず、海洋汚染など、世界的な問題となりつつある。
その為、国籍国の監督能力のみに依存せず、寄港される国において、船舶を検査し、航行を制限する権限を認めたものである。

従って、麻薬密輸などの取り締まりとは性質が異なる。

我が国では、国土交通省が、万景峰92号が新潟港に来航した2003年8月、10年ぶりに実施した。
この際、国土交通省は、外国船監督官24人で検査にあたり、救命、防火、排水、無線などの設備が十分かどうかなどを調べ、5項目の改善命令を出した。

PSCは平成6年まで、海事局と海上保安庁がともに行う権限を持っていた。
だが平成5年に「アジア・太平洋地域のPSCに関する覚書」が国際的に締結された際、権限のあいまいさをなくすため、現在では海事局に一任となっている。

万景峰92号来航に際して、にわかに脚光を浴びたPSCであるが、「船体安全検査」と訳する報道は、あくまで実態の一面を言う物でしかなく、正式名称ではない。


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新規作成日:2003年9月4日/最終更新日:2003年9月4日