本や雑誌のできるまで

本や雑誌といっても千差万別だ。
単行本、新書、百科事典、写真集、年鑑、雑誌にも、定期誌、日刊、週間、月間、季刊、不定期誌など色々だ。
ここでは、特に限定せず、大まかな流れを解説してみよう。


企画
定期誌の場合は、既に概ねのカテゴリー(航空雑誌、などの)が決まっているが、特集など個別の内容について検討される。
単独誌の場合は、どのようなものを作るかから検討される。
もちろん、素材が既に集まっている場合は、それに沿ったものが提案される。


台割
全体を何ページにするのかが決められ、各ページ毎にどのような割り振りをするのかが決められる。
もちろん、この後、この台割に従って作業が進められるが、しばし変更されることになる。


原稿収集
既に原稿がそろっている場合を除いて、原稿を集めることになる。
文字原稿は、執筆者の方に依頼し、記述していただく。
翻訳の場合は、翻訳者の方に翻訳原稿を作っていただく。
写真原稿は、記事内容に沿ったものをそろえてゆく。
当然、記事執筆者の方が、内容に沿ったものをそろえる場合もあるが、より質の高い写真や、歴史写真など、別途そろえることになる。
編集部に写真のストックがある場合はよいが、そうでなければ探し回ることになる。
CGイラストも、作成していただく。
サザエさんの漫画などで、締切日に原稿を取りに行く姿がしばし見られるが、執筆者も千差万別、期日までに最高品質のものを送ってくれれば言うことはないが、催促しないと書かない人や、いい加減な原稿をへいきで送る人も中にはいる。


取材
テーマに従った最新の情報を集めるために取材活動が行われる。
取材は、特定の出版を対象としてものから、その時点での出版が決まっていなくても将来の資料蓄積として行われる場合もある。
新聞、テレビ報道では、この取材がメインでもある。
取材は、情報収集、写真撮影、質疑応答による情報確認などさまざまであるが、ある程度の専門知識がないと、正しいものにはならない。


編集
集まった原稿にもとづき、各ページ毎に編集してゆく。
文字原稿は、まず文字校正が行われる。
執筆者の記載が、日本語として必ずしも適正でない場合や、誤字脱字、用語統一などの修正が行われる。
また、内容の精査も行われる。
写真原稿も、トリミングや色調調整などが行われる。
これらの準備が整った上で、ページレイアウトが行われる。
「先割り」といって原稿が一部そろわないまま先行してしまうこともある。


ページレイアウト
集まった素材を、ラフレイアウトとともに、編集デザイナーへ送り、レイアウトしてもらう。
編集デザイナーは、レイアウトを視覚的に高度に仕上げるのが仕事で、必ずしも内容を熟知しているわけではないため、ある程度のラフレイアウトにより、意図を十分伝えないと、とんでもないものが出てくる。


初稿
編集デザイナーから、仕上がったものが、印刷所へ送られ、「Aカラー」として戻ってくる。
最近では、デザインシステムが改善され、編集デザイナーサイドでAカラーを戻せるようにもなっている。


校正
あがってきた内容について、校正を行う。
レイアウトそのもののバランス、色使い、文字の大きさなど、視覚的要素や、内容そのものの確認も行われる。
畑違いの出版など、専門知識がなく、校正能力の乏しい編集部の場合、原稿の精度が悪ければ、そのままとなってしまう。
修正箇所は赤字が入れられ、「Aカラー戻し」として、戻される。
この段階で「字詰め」が確定される。


監修、筆者校正
筆者のサイドでも、校正確認が行われる。
原稿の再確認とともに、原稿にふさわしい写真が添えられているか、などが確認される。
また、監修者によって、内容の確認が行われる。
ただ、高名な専門家の名前が加わることにより、ネームバリューをとろうとする、名義貸しのようなものも中にはある。
本来監修は、各執筆者よりも精査能力がなければならない。
官庁軍事関係の場合など、関係部署での確認も行われる。
これを、検閲と見る向きもあるが、実質的な監修機能を果たしてくれる場合も多い。


再校
「Aカラー戻し」に対して、修正されたものが、戻ってくる。
これに対して、最終確認が行われる。
印刷物は、印刷後は修正ができないので、ここでの確認は重要である。
無修正の場合は「校了」、修正確認を印刷所に任せる場合は「責了/責任校了」となる。
尚、この段階での修正が大幅な場合は、「念校」をとって確認する。
定期誌の場合は、発売日が決まっており、印刷流通の都合から、自ずと「校了日」の限界が定まってしまう。
定期誌でなくとも、ぎりぎりの段階での遅れは許されるものではない。
従って、編集部では徹夜も続く。


印刷
印刷所では、製版し、印刷する。
一応、「刷り出し」として、ロール状態のものが編集部に送られる。
万が一、大変な間違いが発見された場合は、修正ということになるのだが、通常は、既に止められない状態である。
たまに、「正誤表」が入っている場合があるが、校了後・印刷作業に入ってから出てきた修正箇所である。


製本
印刷されたものを、裁断し、製本される。


販売
取次ぎ(日販など)を経由して、書店へ送られる。
一部が見本誌などとして編集部に送られる。


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新規作成日:2004年1月9日/最終更新日:2004年1月9日