潜水艦救難
潜水艦救難
潜水艦救難は、潜水艦乗員の救出である。
潜水艦の潜航深度が増大するにつれ、潜水艦からの脱出は困難となり、救難体制の確立が求められている。
- 個人脱出方式
ある程度浅い海底の場合、スタンキーフードなどの個人脱出用具を装着し、潜水艦より脱出する。
ドイツなどでは、水深100m程度からの脱出も可能とされている。
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- レスキューチェンバー方式
海中の事故潜水艦の直上海面に位置して、ブイにより洋上で定位し、乗員の救助に当たる。
救助された乗員は、必要に応じて艦内の減圧室で数日間を過ごし、潜水病の防止治療に当たる。
レスキューチェンバーは、釣鐘状の対圧カプセルで、潜水艦の脱出ハッチに接続し、乗員を乗り移らせ、海面上へ引き上げ、救助する。
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レスキューチェンバー
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- DSRV方式
深海救難艇(DSRV)は、対圧カプセルを連結した小型深海潜水艇で、海中を自航し、潜水艦の脱出ハッチに接続し、乗員を乗り移らせ、救助する。
レスキューチェンバーによる救助方法より、効率的かつ、多局面での救難を可能としている。
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DSRV
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- PTC方式
水中エレベーターであるPTC(Personnel Transport Capsule)は、球体のポッドで、通信ケーブルと保温用の温水ホースが救難艦と繋がれている。
ダイバーは深度約500mにも耐えられるヘルメット(バンドマスク)とレギュレータを装備して、PTCに収容されて、現場に派遣される。
ダイバーは、潜水艦の詳細な状態を救難艦に報告する役目を担い、必要に応じて支援作業も行う。
ダイバーは、作業開始前に、事前に酸素とヘリウムを充填した特殊な部屋(DDC:Deck Decompression Chamber:艦上減圧室)にて数時間をかけて長時間の潜水作業が可能な状態に体調調節を行う。
また、作業終了後も同様に、数時間をかけて、通常の大気圧に慣れるための体調調節を行う。
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PTC
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- 次世代潜水艦救難システム
2004年夏に公表されたSubmarine Rescue Diving and Recompression System (SRDRS)。
・海中作業システム Assessment/Underwater Work System (AUWS)
2000フィートに耐える潜水服、ソナー、ROV、関連支援機材から成る。
・潜水再圧システム Submarine Decompression System (SDS)
減圧室と支援機材から成る。
・加圧救難システム Pressurized Rescue Module System (PRMS)
気密救出モジュール(PRM)、命綱巻上機、デッキクレーン、および支援機材から成る。
気密救出モジュール(PRM)は、DSRVに代る本体で、深度2000フィートを想定し、潜水艦の船体の傾斜45度にまで対応する。
・船舶適応性 vessel of opportunity (VoO).
モジュール化された各種機器は、専用の母艦に限定されず、商船への搭載も可能とされる。
潜水艦救難機材は、原則として母艦に搭載されて運用される。
しかし、艦船による移動は、現場海域到着までに時間を要することもあり、米英などでは、機材を空輸し、現場で艦船の支援を受けるなどして活動する方式が取られている。
アメリカ海軍救難艦 Rescue、Salvage Ships ARS50 SAFEGUARD 型
潜水艦救難艦 ASR401 ちはや 型
潜水艦救難艦 ASR402 ふしみ 型
潜水艦救難艦 ASR403 ちはや 型
潜水艦救難艦 ASR403 ちはや 搭載 DSRV
潜水艦救難母艦 AS405 ちよだ 型
潜水艦救難艦 ASR405 ちよだ 搭載 DSRV
新規作成日:2005年8月16日/最終更新日:2006年11月28日