海自三佐、ロシア海軍武官への情報漏洩事件

またまた、私にとって、頭の痛い事件が発生しました。

海自三佐の、ロシア駐在武官への、機密漏洩事件です。

このロシア駐在武官、知ってるんですよねー、私。温厚な、叔父様です。
クルスク弔問記帳の時にお会いしたのが最後でした。
遠からず離日と予想はしましたが、私の別件出動日の離日とあって、ちと、お会いできずに終わってしまいました。

駐在武官というのは、元来、現地での軍事情報収集にあたるのが任務だと思いますが、どうなんでしょうか。
この時、諜報活動との区別が、難しいと思います。
例えば、施設無断潜入でもすれば、明らかなスパイ活動でしょうが。
情報入手の依頼とか、許容範囲が、難しい所です。
−この辺り、ご教示頂ければ幸いです−
駐在武官
我々艦船マニアの行動も、時代と地域が違えば、スパイその物です。いや、007顔負けの、情報収集活動と言えるかも知れません。
艦船の写真を写す、艦内を見る撮る、行動予定を追跡する、基地の状況を調べる・・・。
旧海軍時代の日本なら、たちまち憲兵に連行されますし、今でも韓国でこのような行動は危険極まりない物です。
ソ連時代のウラジオストクは、外国人の立ち入り自体、許されていませんでした。

要は、諜報活動は、巷での感覚的印象論を除けば、国の法律、制限によるものと言えます。そういう意味では、日本の場合、諜報活動は、殆ど制限はないと言えます。
今回の場合、「機密情報を要求し、対価を支払った」とされていますが、類似の事は、マスコミでも行われている物ですから、特に、氏その物の犯罪性と言う意味では、実際あまり問えないかと思います。
勿論、情報提供をした三佐の方は、機密漏洩、守秘義務違反を含め、重大な犯罪ではあります。−言わなくても判りそうな物ですが−


「日本人として見れば、機密情報を盗み出した」と言う、悪いイメージもありますが、経緯と内容を詳細に調査しないと、なんとも言えません。

艦船マニアに対しての、ロシア駐在武官 ボガチョンコフ海軍大佐の業績は、
ロシア艦艇の公開に、多々尽力された事です。
大型対潜艦アドミラルヴィノグラドフの時は、日本側にごまかされて、一般公開されませんでしたが、その教訓を踏まえて、大型対潜艦アドミラルパンテレーエフの時は、一般公開してくれました。
また、警備艇ユジノサハリンスクの場合は、日本側により、一般公開はもとより報道取材も制限されていましたが、氏の尽力もあり、艦内の様子を、世界の艦船誌上で紹介する事が出来ました。

私も、ロシア艦艇に付いて、色々知りたいですが、交換に、自衛艦の情報を求められた場合の対応は、慎重にあるべきと思っておりました。
その観点から、防衛庁・海上自衛隊へも照会し、ご意見を頂いてはおりました。
勿論、私程度の情報は、一般にも入手可能な物ですから、特に値打ちがあるとも思っていませんでしたが。
結果的に、内部の者が、ストレートに情報提供していたので、私とは、その様な会話はなく収まっていたわけです。


しかし、情けないですね。
ロシアの戦力をぼろかすに言う国民は、単に外野・無知の範疇でしょうが、
三佐と言えば、もはや初任幹部ではありませんからね。
この程度の見識に基づく戦力が現状なら、日露二度戦わば、勝敗は自ずと分かります。
誠心誠意働く他の自衛官へ、どのように申し開きするんでしょうか。

ロシア艦来日時に、(貧乏な)ロシア人が、帽子やバッチなどを、現金で日本人と交換している姿を見て、見下して居ましたが、今回の事件はどうなのでしょうか。
「金で自国の軍事情報を売る」もののふとして、最も恥ずるべき行為です。旧軍時代なら、銃殺でしょう。
警察官のあまたの犯罪、痴漢や横領など、情けないと思っておりましたが、今回はそれ以上の物があります。溜息以外の何もありません。

軍事情報は、我々マニアも、広く知りたい所ですが。
国民に隠しておいて、他国へ売り飛ばして、どうするんじゃい。

ロシアの戦力低下は、多くの人が当然のように叫ぶ事ですが、アメリカにも拮抗する核戦力を維持し、また、この様に、情報収集に余念のない姿は、まだまだ、十分なトータル的戦力を維持しているという事ではないでしょうか。
「敵を知り己を知らば、百戦危うからず」と言うのは、兵法の第一とされますが、その意味では、ロシアは一線の戦力を維持していると言っても過言ではないと思っています。
例え正面兵力が僅かでも、相手の戦力行動が丸見えでは、勝負になりません。
イージスシステムのデータが漏れていたら、アメリカは怒ると思うんですが。

この事件について、ロシア外務省は当初、「日本国内に日ロ関係の改善に不満な勢力がいる」と強く反発したようだが、「何かを貰ってお礼をする」「知人の不幸にお見舞いをする」と言うのは、至極日本的で、儀礼に基づいているものです。
授受の金額からしても、ロシア側に、悪意が見られるとは考えられず、むしろホイホイ機密情報を持ち出す馬鹿が、個人の責任で、日露関係を悪化させた重大な問題と思っています。
国を守る、それは不断の努力に他なりませんが、戦無くして平和を保つのが最上であるにもかかわらず、国際関係を乱し、国の安全を脅かすのは、国防を担うものとして、反逆者以外の何物でもありません。


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新規作成日:2000年9月10日/最終更新日:2001年1月12日