シベリア航空ツポレフ(TU)154型旅客機黒海に墜落


イスラエルからロシアに向かっていたシベリア航空ツポレフ(TU)154型旅客機(乗客66人、乗員11人)が2001年10月4日、黒海に墜落した。

同機はイスラエルのテルアビブを出発、シベリアのノボシビルスク市に向かっていた。ロシア当局によると、乗客66人のうち51人がイスラエル人、15人がロシア人。乗員11人は全員がロシア人だという。乗員乗客の生存は絶望視されている。 事故の報告を受けたテルアビブのベングリオン国際空港は、直ちに同空港を出発する全便の運行を停止した。イスラエル運輸省は事故原因の追求に全力を尽すとし、テロの可能性も無視することはできないとしたものの、それを証明する証拠は今のところないと話している。

プーチン大統領は、安全保障顧問との緊急協議を召集、調査団とレスキュー隊を事故現場に派遣している。

同行していたロシア海軍司令官の話として「ミサイルはすべて命中したが、2発は水平線の彼方へ消えていった」とある。
これについては幾つかの疑問がある。
・「すべて命中した」なら「2発」はどこかへ行くと言うのは、文法的におかしい。
・対空ミサイルが、高度を持って射撃されたなら、目視での水平線の彼方へ消える事はない。
・「水平線の彼方へ消えていった」のなら、高度1万mを飛行中の機体への命中はありえない。

この事故について、米政府当局者は5日までに、墜落原因について、ウクライナの軍事演習で発射されたSA―5地対空ミサイルが命中したと指摘、「確かな」証拠があることを明らかにした。ウクライナは、過去数年間で最大規模とされる軍事演習を実施していた。
これに対しウクライナ国防当局の報道官は、演習で使われていたミサイルの射程距離は10キロ前後で、墜落機は300キロ以上も離れていたと主張、「ミサイル命中説」を否定した。
プーチン大統領も、ウクライナのミサイルは墜落機に命中するほどの射程距離があったとは思えないと話している。同大統領によると、ロシアはウクライナの演習について承知していたが、参加してはいなかった。

使用したミサイルは、まだ明確にされていないが、
S-200 SA-5 GAMMON は、中高度用対空ミサイルで、射程は60-320kmとされている。

また、ウクライナの対空ミサイルは、目標を外した場合、自爆するとされているが、射撃時に目標を誤認していた場合は、命中に対する否定材料とはならない。

さらに、墜落機が途中ブルガリアに立ち寄ったとの情報も流れていたが、ブルガリア当局はこれを否定した。ロシア運輸省と同国非常事態省当局者は、事故機のそばを飛行していたアルメニアの航空機が、事故機が上空で爆発したことを、ロシア南部の管制塔に報告していることを確認している。
事故機を目撃したパイロットは、「イスラエルの航空機が、黒海の上空、高度約1万1000メートル付近で爆発したのを見た。その後、同機は黒海に急降下して墜落、水中でも爆発した」と話している。



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新規作成日:2001年10月5日/最終更新日:2001年10月5日