GDPと国力

国防予算の比較で、軍事力の大小を比較する場合が多い。
現在、ロシアはアメリカの約1割であるという。
しかし、この算出に、問題はないのだろうか。

現在、グローバルスタンダードのように用いられているのは、ドルである。
従って、各国通貨を、ドルに換算して比較される。
果たしてこのプロセスは正しいのだろうか。

GNP GDP というのは、国力、豊かさを表すという。
しかし、あくまで、対外比較である。
世界の情勢を比較する一つの尺度ではある。
が、国内での生活に関しては、国内の価値が優先する。

ロシアの GDPは、2,410億米ドル(2000)であり、ひとり当たり1,660米ドル(2000)である。
対してアメリカは、GDP10兆,2,081億ドル(2001)、ひとり当たり36200米ドル。
ひとりあたりのGDP比は、ロシアとアメリカで約20倍。
しかし、国内の物価が高いだけではないだろうか。

輸出入の場合、為替レートは大きな問題で、ドル建て換算が物を言う。
しかし、国内生活においては、無関係なのだ。

1992時点で、ロシアでバスに乗るには1ルーブルかかる。日本円に換算すると、\1.5程度であった。アメリカでは1,2ドルであるから、\150前後である。日本でも、都市バスは\200程度だろう。
簡単に分かるように、100倍の差があるのだ。
これは何を意味するのだろうか。

例えば我が国でも、初任給が10000円という時代があった。
約40年くらい前だろうか。
現在、月給10000円など、オハナシにならないのだが、当時は標準値である。
現在の初任給は約200000円程度であるから、20倍の差である。

この差はなんだろうか。
20倍豊かな生活なのだろうか。
当時、20倍の所得があったに相当する豊かさではないだろう。
テレビに色が着いた、ビデオ録画ができる、携帯電話でどこでも話せる。
確かに文明の進化はある。
これをして豊かさと見るかどうかは色々な観点があろう。

本来必要な価値の分と、どうでもよい付加価値の部分が有るのではなかろうか。

1992当時、ロシア人の所得は月約\3000であった。
我が国の約1/100である。
しかし、都市交通、バスの運賃を見れば、大差ない、むしろロシアの方が物価が安いということになるのだ。

アメリカの国防予算は3,930億ドル(2003)、対してロシアは30億ドルという。
しかし、輸入に頼る状況がなければ、単に国家予算の問題だ。

ロシアの国防予算は、GDP比1.25%。アメリカは3.85%。日本は約1%である。
確かに、アメリカに比べれば、小さいが、日本とかわりはないのだ。



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新規作成日:2003年2月22日/最終更新日:2003年2月22日