2003.4.1 北朝鮮のミサイル発射情報の真偽

4/1の北朝鮮のミサイル発射について、当日、海幕長は「確認した」との事であったが、内局は「否定」と言う事である。
防衛庁では
http://www.jda.go.jp/j/news/2003/04/01a.htm
に発表しているが、顛末を詳細に明確にするべきであろう。

今回の件は、直前に、総理らへの報告があったとかないとか言うのが一悶着あって、海幕の記者会見があったようだ。
従って「確認した」と言うのも、「情報の存在を確認した」〜「ミサイルの発射を確認した」まで、実は幅があるようだ。

この件に関する情報収集能力だが、この間打ち上げた偵察衛星で「見た」とか、イージス艦が捕捉したということなら、まっとうな物だが、直接的な情報収集能力は、現時点では「ない」と言う事は、内外の認証事項であろう。
すなわち、米軍等の情報中継に他ならない。
実際、海幕では「信頼できる筋」と言う事で、結局米軍情報に他ならない。
英語の分からない通訳が介在すると、正しい情報も、いい加減な物になってしまう。
米軍は正確な日本語で情報提示してくれるわけではないから、基本的に日本側が正確に解釈しなければならない。
Some kind of missile will be shot. と言うような事を言っていたとすれば、何らかのミサイルが発射されたと訳すのは誤りである。
文法解釈以前に、missile は、ミサイルではなく、弾体の事なのである。
日本では、ミサイルと言えば誘導弾であり、飛ぶだけならロケットと一般に言う。
が、missile とは、鉄砲弾も含む、飛翔体の総称なのである。
誘導弾とは、Guided missile なのである。

当初、日本政府に入った情報では「北朝鮮が1日午前、中国大陸寄りの黄海海上に射程およそ百キロの地対艦ミサイルを発射した」と言うことらしい。
そして、まず、国土交通省が、第一報を流している。
それに対して、海幕が確認情報を流している。
結果的に、海幕が確認できたのは「情報の存在を確認した」に過ぎない可能性が大きい。

韓国国防部の当局者は「アメリカの情報当局とともに調査した結果、ミサイル発射の事実はないと確認された」と、発射情報を否定している。

北朝鮮軍は現在、西部の沿岸部で演習を行っており、危険海面も設定されてはいる。

4/1は、エイプリルフール。
最悪の場合、どこかのジョークが、一人歩きし始め、今更取り消せなくなっているのかもしれない。

しかし北朝鮮も、そんなにボンボン撃っていたら、実戦で使う分、撃ち尽くしてしまうぞ。
そういう意味では、実態を発射せず、「発射情報」を流すのも、実に経済的な新戦術かもしれない。


むしろ、今回のように、部内の不協和音が問題である。
内局は、制服の失墜を快感ととらえているのだ。
内局優位、すなわちシビリアンコントロールと言う曲解である。
新任海幕長の面子を潰すほうが、国の安全に優先する事項なのである。
ま、いずれにせよ、すでに3日目を経過しており、どうしようもない展開である。
たった1発の確認が取れなければ、いざ実戦となって撃ってきたら、防衛出動以前に、職員総動員で、何が起こっているかの確認で手いっぱいになると言う事だ。

少なくとも、それぞれの情報源と確度、発生時刻等を精査すれば、中間報告を含めて、何らかの発表ができるはずで、いまだに「確認中」である事自体が問題である。

たまにはこっちからも「不審船」に乗っていって、現れた兵隊の指揮官に30ドルくらい手渡して、撃ったかどうか聞くのも、立派な情報収集ではなかろうか。
こんな時に役に立たない偵察衛星に、何十億もかけなくても、30ドル(日本円で約4000円)で、情報が手に入るのだ。
何なら、百円ショップでカップ麺を1箱買いたしても、消費税込で1260円の増加に過ぎない。
1万円でお釣がくるから、外交機密費で出してもらってもなんの問題もなかろう。
お釣でいっぱい飲んできても、許してあげよう。
−防衛庁よ、これがシロウトの戯れ言と思う前に、結果を発表してみいや−

あと、立場かわれば、観艦式で毎日ボフォース撃ちまくっている姿や、ミサイル実験で退役艦艇を撃沈している姿の方が、実は物々しいんであるが。


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新規作成日:2003年4月3日/最終更新日:2003年4月3日