ノー・ウォー美術家の集い横浜●緊急アピール 2016年3月29日


違憲の戦争法施行に強く抗議する

戦争する国づくりにすべての美術家は反対の声をあげよう

昨年9月、安倍政権は国民多数の反対を無視し、立憲主義、民主主義を投げ捨てて、強行採決 で成立させた安保関連法(戦争法)案が3月29日施行されました。その目的は、日米同盟に従っ て自衛隊を海外で戦争に参加させることです。憲法九条のもとで戦後70年間、戦争が行われ ず、1人の戦死者も出さず、他国の国民を1人も殺さなかった世界に誇る日本の姿が変えられよ うとしています。
政府は既に自衛隊を南スーダンへ、インフラ整備を任務として派遣していますが、安保法が施工 された3月29日後も直ちに「駆け付け警護」や武器使用を命じないのは、7月の参院選のためで あるとは誰にも分ります。世論調査でも「戦争法」には国民の過半数が反対し、実際に自衛隊員 が一名でも戦死することがあれば、国民の支持は更に失われるでしょう。それを恐れて3ヵ月だ け待て!と。しかし国民の目は政権のゴマカシを許しません。
一昨年の秘密保護法反対、昨年の「戦争法」反対など国民の大運動がつくりあげた、安倍政権 を打ち倒すための選挙での野党共闘のうねりをさらに大きく発展させ、夏の参院選や、可能性が 指摘され始めた衆参同時選挙で、安倍政権とこれに加担する勢力に、国民の厳しい批判を突き つけ戦争法を破棄させ、立憲国家を甦らせましょう。

安倍独裁政権に道を開く「緊急事態条項」を許してはならない

安倍首相は最近まで「現行憲法の範囲内の法案」など、憲法を順守するかのような答弁をしてい ましたが3月2日の衆院予算委員会では、公然と“自分の在任中の9条明文改憲”を口にし、そ の後も繰り返しています。加えて自民党の「憲法草案」98条、99条に規定されている「緊急事態条項」の新設を求める声が与党内で高まっていることも見過ごせません。
「緊急事態条項」は「武力攻撃、内乱など社会秩序の混乱、大規模災害、その他法律で定める緊 急事態に「首相は閣議にかけ緊急事態を宣言できる」(98条)というもので、その内容は「内閣は 効力を持つ政令を制定でき」(99条)、総理大臣に「地方自治体の長に必要な指示をすることが でき」「何人も国、その他公の機関の指示に従わなくてはならない」などとなっており、さらに法律 の4項では「法案が効力を発する期間、衆院は解散できず。両院の議員の任期及びその選挙期 日の特例を設けることができる」とあります。つまり、「緊急事態条項」は,そのもとで首相の権限 を最大化させ、内閣が立法権を奪い取り、国民に服務義務を強制し基本的人権を制限し、一定 期間、もしくは無期限に憲法を停止状態にできる「国家緊急権」を定めるものに外なりません。
ドイツで1933年政権を握ったヒトラーは総選挙の直前にワイマール憲法の「ドイツ民族民衆の 保全のための緊急命令」を発令させ、ナチスに抗議する国民運動を暴動に仕立て上げ、テロと 暴力で弾圧、選挙期間中も警察を使い政府批判を禁じ、投票日の直前に起きた国会放火事件 を共産党の仕業とでっち上げ81あった共産党議席を抹消して、ナチスの「突撃隊」と「親衛隊」が 囲む劇場に国会を移し、ヒトラー独裁に道を空ける「全権委任法」を可決したのです。自民党が 狙う「緊急事態条項」はヒトラーの「全権委任法」に至る道筋をモデルにしていると言えます。
私たちは、いまここで日本に姿を表し始めた安倍ファシズムの姿をしっかりと確認しなくてはなり ません。ナチスドイツのもとであらゆる進歩的な文化、芸術が民族を堕落させる退廃的文化とし て排除され、多くの芸術家が強制収容所に送られ命を絶たれ、亡命を余儀なくされ、600万人も のユダヤ人の命が奪われた過去を忘れるわけにいきません。この日本でもドイツと同じ時期、文 化・芸術は侵略戦争遂行の重要な道具として軍と政府に絡めとられ、アジアの国の人々を侮蔑 し2000万人ともいわれる命を奪い、表現の自由を言葉にさえできなかったことを忘れることはで きません。安倍政権はその過ちを再び繰り返そうと言うのです。
私たち、戦争反対、表現の自由の心でつながる美術家は安倍政権の一連の危険な企てを阻止 するために周りの美術家に呼びかけ力を合わせましょう。まさか、と思っていた間にあの戦争に 泥流に押し流されたドイツと日本の教訓を無駄にしてはならないと、伝えあい、手をつなぎ、安倍 ファシズムの暴走にストップをかけましょう。
そして2016年夏、ノー・ウォー横浜展に心と作品を持ち寄りましょう。