謹賀新年 ノー・ウォー美術家の集い横浜 事務局通信/2019年1月1日

世界と日本がかわる時代の幕開けに
「ノー・ウォー横浜展」の成功を

ギリシャ神話の中に苦しい表情で蒼穹(天空)を背負い続ける神アトラスがいる。他の神にその 苦役を代わってもらおうと、様々な策を試みるが苦役を引き受ける神がいまだに出てこない。― この話、トランプ大統領が同盟国に軍事・経済の負担を求めている今のアメリカにどこか似てい ないだろうか。そのアメリカだが、昨年11月の中間選挙では与党の共和党は辛うじて過半数を 確保したが、トランプ大統領が背を向ける医療保険、銃規制、教育の向上、環境保護、女性や 移民・マイノリティの権利向上を掲げる若く新しい波が全米に広がり民主党が下院で42議席増、 8年ぶりに下院で過半数を奪い返した。

このトランプ大統領の「アメリカファースト」に最も忠実なのが、安倍政権でそのための財源づくり 消費税率引き上げが10月から実施されようとしている。何よりも許せないのは「戦争をしない誓 い」=憲法九条=の破壊の野望を捨てていないこと。これ以上憲政を無視し、ひたすら改憲に走 る安倍政権を許しておくわけにいかない。昨年9月の沖縄知事選挙で辺野古基地建設反対を掲 げる玉城デニー氏が圧勝した。このファッショ的な強権政治を押し返す国民の本格的な運動の 始まりともいえる出来事。こうした大きなうねりが美術界に影響しないわけがない。おそらくこの 動きはさらに大きくなるに違いない。この運動と共に歩みたいと思う。

昨年は人気のある「フェルメール展」「ムンク展」と並んで美術のあり様と社会へまなざしを向けた 展覧会がいくつか開催された。暮れ近く開かれた「アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が 変わる1960-1990年代」(東京国立近代美術館)や「ニュー・ウエイブ現代美術の80年代」(国 立国際美術館)などは1960年代以降の美術界を振り返りつつ、新しい時代とどう向き合うかを 探る動きが始まったことを感じさせている。

昨年の第16回ノー・ウォー横浜展は、県民ホールギャラリーを会場にして 8月、出品者は85名、 出品点数は約150点で開催された。初日のセレモニーで、核兵器禁止条約制定に貢献してノー ベル平和賞を受賞した ICAN代表のサーロ節子さんの講演の日本語訳の朗読、会期中を通して 上映された反戦・平和を様々な切り口で強く訴える市民のビデオ作品「ゲルニカアター」が来場 者の大きな感動と共感を呼んだことも付け加えておかなくてはならない。今年は更に出品者、作 品数を増やしたい。世界も日本も変わり始めた。2019年に足を踏み出そう。(ふ)

2019年 ノー・ウォー横浜展 主催:ノー・ウォー美術家の集い横浜 & 美術・九条の会
会期: 8月12日(月・祝)〜18日(日)/9am〜6pm(最終日4pmまで)/ ◯是非ご参加ください。
会場:神奈川県民ホールギャラリー全室 (山下公園前)