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事務局便り/2004.2.10
普通の人たちの反戦・茅ヶ崎駅前



毎月「9の日」の夕方、茅ヶ崎駅前で「イラク派兵反対、憲法をまもれ」と訴える人たちがいると 聞き、わたしも参加かたがた様子を見に行ってみた。定刻5時になるとお互い顔見知りらしい人 たち約20名が、それぞれの気持ちを表わした幕、プラカード、ゼッケン、サンドイッチマン型、 桃太郎旗などを携えて集まってきた。駅の乗降客が前を通ってゆくのを横から眺める形にずらっ と並び、それぞれの方法で訴えはじめる。

初めて参加したわたしの目に先ず入ってきたのは宇野亜喜良氏作の横断幕、目を見開いた若い女性 が下向きに描かれ、「NO! WAR」とブルーの文字が入った大きなそれだった。羽のような形も見える ので空を飛んでいる天使か…★。そんなことを考えていると、「皆さん、政府はイラクに自衛隊を 派遣しましたが、殺したりころされたりされる前に、憲法に違反することやめさせましょう。黙って いないで、その気持ちを表しましょう」と美しい声が響いている。かと思うと、その隊列から少し 前に出て、「イラク派兵反対の署名をお願いしまーす」と呼びかけている女性あり、「今度の日曜日 はピースウォークありますよー」と言いながらチラシを手渡す人ありの賑やかさ。

この行動形式はパレードやウォークに対して「スタンディング(立つ)」と呼ばれるらしい。ここの 場合「茅ヶ崎“9の日”反戦スタンディング」が正しい。呼びかけ人は、“peaceオジサン”こと岡本 棟守さんで、その動機は、差し迫った自衛隊の重装備イラク派兵に我慢がならず、反対の意志を表明 したくなり、一人でもやるよとEメールを送ったところ、東京からも参加者があったりして、第1回 目が昨年12月29日実現した。
「なぜ9の日?」と尋ねると、「憲法第九条ですよ」ときた。 なるほど、納得。

半世紀むかし、アメリカ空軍による東京大空襲、広島・長崎への原爆投下による大量殺戮、敗戦間際 には日本軍による沖縄での自国民殺害を体験した者として、戦争だけは二度とご免だ。そういう人 たちが労働組合やなになに組織に関係なく、個人で意思表示したことにわたしも嬉しくなり、「イラ ク派兵やめよ。憲法変えるな」の二つ折り布をかぶって一緒に立ちました。日本全国、各地にこうい う意思表示運動が起こるといいなと望みつつ報告します。(ぎ)

絵の意味は池田香代子さんのメールをお読みください、との岡本さんからのメールを紹介します。
『なぜなら、その宇野さんのバナーは、後頭部を吹き飛ばされて眠るように死んでいる少年に翼が生えてきている、つまり少年が天使になっていく絵だったからです。後頭部には、炎上する都市の遠景が重ねられ……ことばでは言い表せません。 アルジャジーラ配信の、一度見たら忘れられない報道写真が下敷きになっています。』


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