志摩はパソコンをたちあげMOをいれた。 前に、沢木からもらったものだ。 まもなくして、検索用の文字を訊かれる。 「アップル」「沢木晃」志摩は打った。 いちかばちのかけだけど・・・ しばらくすると銃声のような音がなった。 見ると警察の時計仕掛けのリンゴ事件のことではなく、メール画面であった。 宛先は書いてないがこれで送れるはづだとおもい、文を書いた。 深夜時計の針はもう翌日を指していた。 新宿駅、コインロッカー誰もいないそこに男――沢木があらわれた。 何の警戒もなく24番を開け、中に入っていた物を取り出した。 きれいに包装された箱。 沢木はそれを持って、去っていった。 都内某所。 沢木は箱を開けた中からアップルキャンディーがいくつか箱詰めされていた。箱についていた紙には。<あんたの好きなリンゴよ。> と一行走り書きしてあった。 沢木は苦笑いを浮かべた。 亮子から、 <あんたは私に対してルール違反をおこさないように、私もあんたに対してそんな事はしないと知ってるわよね。渡したい物があるの 夜、新宿駅の24番ロ見て> というメールが来た。すぐにそれが、お返しだとわかった。 渡され放しは彼女の性分に合わないと知っていたからだ。 しかし、こおいう返礼付きとは。 沢木はうっすらと笑み、彼女の顔を思い出しながら、 「君は、素晴らしい人間だよ」 とささやくように言った。 余談であるが、10個はあるであろう飴はたった一日で彼が全て食べてしまったという。 |