美術鑑賞

最近見た美術展などの印象や感想です。東京は世界各地の博物館や美術館の展覧会が一年中開催されており、
大変恵まれています。
  

 目黒雅叙園
金澤翔子展(2014.12.26)
1985年生まれのダウン症の天才書道家の作品展が目黒雅叙園の百段階段で開催されている。無心に書かれた天性の書は、書道の大家をして書家を辞めたくなると言わしめた。また民芸評論家の尾久彰三は、棟方志功の書を前にしたときと同じ感動を味わったという。まさに空の境地で書かれた書は感動あるのみ。特に屏風サイズのものはその迫力に思わず圧倒され、昭和の竜宮城といわれる百段階段(都有形文化財)の装飾負けてはいない。にちなみにNHK大河の平清盛の題字を揮毫している。
 
 Bunkamuaザ・ミュージアム
夢見るフランス絵画(2014.12.14)
久しぶりに内容の濃い絵画展に出会いました。気にはなっていましたが、最終日に訪れた甲斐がありました。まず驚いたのは、最初の解説に永井荷風の名前があったこと。荷風が作品の中で印象派の作品を紹介しているらしい。最近荷風の作品を読んでいるが、まだ見たこともなかった。展示は最初から最後まで見たことのない作品71点の競演です。それも19世紀後半のフランス絵画の巨匠のオールスターです。セザンヌ、ルノアール、モネ、ヴラマンク、ユトリロ、シャガール、キスリングそして日本の藤田嗣治。これらの作品を匿名の日本人の一人の蒐集家が所有しているというのにもう一度びっくり。その中でも特にルノアールとヴラマンク、キスリングの作品は印象に残りました。フランスに憧れを持つ日本人が選んだ作品だけにとても共感をもてました。印象派からエコールドパリ、フォービズムへの流れがわかり易く展示されていました。
 
 江戸東京たてもの園
ジブリの立体建造物展(2014.11.28)
スタジオジブリのアニメーション作品の背景画、絵コンテ、立体模型などが多数され大勢の人で賑わっていた。初期作品の風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、となりのトトロ、魔女の宅急便、千と千尋の神隠し、ハウルの動く城などが懐かしい。特に千と千尋の湯やの立体模型は実に精密で迫力十分。この建物のモデルとなった本物の風呂屋が展示されているここにふさわしい。これだけの作品が一同に見られるのは、三鷹の森ジブリ美術館以外ではない。今日は昔の建物を見にきたが、この作品展を見ることが出来、実にハピーでした。今回ここに来て初めて知ったが、もっと広告すへきだ。
 
 パナソニック汐留ミュージアム
キリコ(2014.11.08)
20世紀を代表するイタリアの画家の油彩を中心に水彩、素描、彫刻作品約100点を展示。形而上(物事の裏側にある目に見えないもの)絵画の変遷と回帰する。ピカソやダリ、シュルレアリストおきな影響を与えた独創的で神秘的な作品群。謎めいた憂愁が漂い、神秘的で詩的な雰囲気があり、解説をみてやっと理解できた。
 
 国立新美術館
チューリヒ美術館展(2014.10.31)
印象派からシュールシアリスムまで傑作74点が展示。モネ、シャガール、ピカソ、ムンク、ダリなどの代表作がそろっている。会場は一人の芸術家を特集した巨匠の部屋と芸術運動を特集した時代の部屋に構成されている。特に人気があったのが、ゴッホのサントマリーの白い小屋、シャガールの婚礼の光、モネの国家議事堂、日没など色彩が鮮やかだ。モネの睡蓮の池、夕暮れは大作ではじめて見る作品。全体的に厳選された作品であるが量的にいささか物足り感じがした。
 
 横浜高島屋
竹久夢二展(2014.10.24)
大正ロマンを代表する夢二の生誕130年を記念する展覧会。雑誌の表紙や広告まで幅広い作品が時系列別に展示され、大正ロマンの世界を堪能できた。
特に夢二とロートレックを対比させる新たな試みがおもしろい。両者とも広告を手がけているのが興味深い。最後に夢二の作品に描かれた着物のが実際にあでやかに再現されている。会場は中年女性が多く、熱心に鑑賞していた。
 
 足立美術館(2014.9.21)
安来出身の実業家 足立全康が1970年に創立。日本一の横山大観コレクションが有名で、特に蒔絵技法を駆使した紅葉が絢爛豪華。大観のほか、竹内栖風、川合玉堂、上村松園など日本画の挙証の作品が並んでいるそのほか北大路魯山人、河井寛次朗の陶芸作品も展示されている。。また、庭園はアメリカの日本庭園専門雑誌で11年連続して日本一に選ばれている。庭園は6つに分かれていて、大観の絵を題材にしており、広さは5万坪と広大。常に同じ風景とするため、植木は成長すると植え替えられているというのだからすごい。
 
 江戸東京博物館
発掘された日本列島2014(2014.8.27)
発掘された日本列島展20周年記念。学生による展示品の説明や体験コーナーでは土器の破片の模様を紙に写し取ることが出来、小学3年生の孫にもわかりやすい。国宝の土偶や重要文化財などをオールスター勢ぞろいといったところ。このほか有名な遺跡の発掘調査成果などを紹介。新発見速報として旧石器時代から近世までの注目遺跡の発掘成果を展示している。このあと日本全国の都市を巡回予定。江戸東京博物館は通常、考古資料の展示がないが今後は考古資料の展示もしてほしい。
 
 Bunkamuraザ・ミュージアム
ディフィ展(2014.7.25)
20世紀フランスを代表する芸術家で色彩の魔術師といわれたディフィの回顧展。特に音楽の画家といわれ、バッハ、モーツアルト、ドビッシーの音楽をモチーフにした作品では絵筆が奏でる色彩のメロディーが感じられた。特に赤、青、黄色の原色の使い方がすばらしい。会場は四部構成で、画家としての成長と芸術家としての才能の開花がとたもよく理解できた。夏休み中の孫と鑑賞したが色彩の魔術師といわれるだけあり、孫も色彩の美しさに驚いていた。夏休みの良い思い出になってほしい。孫と二人で久しぶりにポストカードを何枚か買ってきました。
 
 世田谷美術館
ボストン美術館展(2014.7.12)
モネの傑作 ラ・ジャポネーズ修復後、世界初公開の作品が色鮮やかによみがえった。作品の大きさと日本風の額が印象的なモネの日本趣味を代表する作品。日本の浮世絵に刺激された西洋の作家達(マネ、ドガ、ロートレック、ルノワール、ゴーギャン、モネ、ゴッホ)の作品と影響を与えた浮世絵が同時展示されていてとてもわかりやすい。世田谷美術館は砧公園の中の緑に囲まれた落ち着いた雰囲気がとても良かった。
 
 山種美術館
クールな男とおしゃれな女(204.7.12)
江戸の絵画や浮世絵から近代、現代の日本画や洋画に描かれたファッションとスタィリッシュな男女の着こなしを紹介。小林古径、前田青邨らが描く男性と伊東深水、上村荘園らが描く女性の美とファッションが見事に表現されている。特に凛とした信長像と東洋と西洋の対比を表現している支倉常長と西洋犬が描かれた屏風絵がすばらしい。
 
 山種美術館
富士と桜と春の花(2014.5.03)
富士山世界文化遺産登録記念として富士山や桜を題材にした展覧会。司馬江漢、横山大観、片岡球子、千住博や日曜美術館で紹介された奥村土牛の吉野、醍醐などが展示されている。日本人の心のよりどころと美意識のルーツといえる富士山と桜、そして牡丹をはじめとする春の花の作品を展示。
 
 東京国立博物館
栄西と建仁寺(2014.4.20)
建仁寺を開山した栄西(ようさい)800年忌を記念して開かれている。先日京都のお寺を訪れたが、宝物は殆どこの展覧会にきているらしい。お目当てはなんといっても国宝の俵屋宗達作風神雷神図屏風で、現物は迫力はさすがです。本館では尾形光琳作の風神雷神図屏風も同時公開されています。そのほか海北友松の雲龍図、長谷川等伯や伊藤若冲、曽我蕭白の作品も展示されその迫力に圧倒されました。
 
 三菱一号館美術館
ザ・ビューティフル(2014.4.6)
19世紀後半の英国美術とデザインの粋、唯美主義運動の日本初の作品展。
芸術のための芸術を合言葉に芸術はただ美しくあるべきだという主張です。
ムーア、ロセッティ、モリス、ホイッスラーなど当時としては革新的な理念を持った作家たち。今回は絵画のみではなく、イスやテーブルなどの調度品や壁紙,陶磁器など140点がみられます。官能的な女性が実に美しく表現されている。ビクトリア朝の前衛芸術家たちが追い求めた新しい美の全貌が見られます。
 
 (大田区立郷土博物館)
特別展 川瀬巴水 生誕130年記念(2014.2.12)
大正、昭和に活躍した大田区馬込在住浮世絵木版画家の150点を越える作品展。日曜美術館でも紹介されているが、実物を見るのはたぶん初めてだと思う。これまで大正、昭和の木版画は海外では評価が高いが、国内では江戸期のものと比べ評価が低かったが、再評価のきっかけを作った作家といっても過言ではない。特に各地の風景を詩情あふれる作品にまとめた。また、巴水ブルーといわれる青の美しい表現には心奪われた。これほどの展覧会がこんな近くでかつ無料であることに驚きを隠せなかった。今回は後期作品展で前期、中期を見逃したのは残念だ。
 
 (森アーツセンターギャラリー)
ラファエル前派展(2014.2.1)
英国ヴィクトリア朝絵画の殿堂テート美術館の至宝の72点の展覧会。19世紀中ほどに伝統的な画壇に反旗を翻したミレイ、ハント、ロセッティなど英国の美術界をゆるがした絵画の数々。イギリス美術の最高峰といわれるミレイの「オフィーリア」や楽しみにしていたロセッティの「プロセルビナ」が特に印象に残った。実際のモデルの写真も展示されていて比較して見るのも面白かった。特にロセッティの官能的な女性美とありのまま、精緻な表現ににあらためて感動した。
 
 (山種美術館)
Kawaii日本美術(2014.2.1)
六本木の森アーツセンターから広尾まで徒歩で移動。山種美術館は昨年に続き移転後二度目の訪問になった。
かわいい表現がみられるこども、動物、虫などの作品を一同に会した展覧会。伊藤若冲、竹内栖鳳、上村松園から熊谷守一まで中世から現代までの絵画展。「Kawaii」を日本美術を通して紐解いている。
 
 (そごう美術館)
薮内佐斗司展(2014.1.12)
奈良のキャラクターせんとくんの作者で彫刻家、東京芸大教授である薮内佐斗司の作品展。愛らしい童子や生物などの木造やブロンズ作品で日本古来の生命観や仏教的世界観がよく表現されている。
心休まる作品が多く、以前新橋のギャラリーで見た時欲しくなったことがあった。身近にあればいいな。
作者は、以前NHK Eテレの趣味悠々の講師で仏像の見方をわかり易く解説していた。
 
 (サントリー美術館)
天上の舞 飛天の美(2014.1.3)
宇治平等院鳳凰堂平成修理完成記念で国宝の飛天が特別公開されている。平等院には神戸にいた頃行ったことがあったが、飛天をこれほど近くで見られなったので、細工の繊細さと立体感にはとても感動した。特に雲に乗って浮遊する姿は美しく、出来ればもう一度現地に行って修理の終わった平等院で見てみたい。
 
 (そごう美術館)
再興98回院展(2014.12.28)
岡倉天心が創立した日本美術院の作品展。横山大観、下村観山、速水御舟、小倉遊亀、平山郁夫など近代、現代日本絵画史を代表する画家を輩出しました。同人作家をはじめ、公募による現代日本画が展示。伝統的な日本画に新しい試みもみられる。
 
  ( 五島美術館)
光悦展(2013.11.24)
江戸時代の本阿弥光悦の書画、茶碗、工芸品など展覧会。会場は日曜美術館で紹介されたせいか大変混雑。国宝や重文など国内の美術館や博物館から集められた逸品がずらり。光悦の作品がこれだけ見られるのもめずらしい。特に茶碗は人気があり、女性の鑑賞者が熱心に鑑賞していた。帰りに庭園にまわり、春に館長に薦められていたもみじの紅葉を楽しんだ。
 
 (五島美術館)
五島慶太の収集品をメインとした美術館。
新装開館記念名品展
時代の美、鎌倉、室町編、源氏物語絵巻が注目
確か徳川美術館とここの源氏物語が特に有名です。
今年は開館記念で特別展が4回あります。
今月は桃山、江戸編に行く予定です。
 
近代の日本画展
橋本雅邦、横山大観、川合玉堂など明治から昭和にかけての日本を代表する画家の作品約40展を展示。特に館長さんお勧めの大観の富士の大幅2品の展示はめずらしく、迫力があった。また、庭には桜やつつじなど季節の楽しむ工夫がなされている。

(国立西洋美術館) 

手の痕跡 
国立西洋美術館が所蔵するロダンとブルーデルの彫刻作品展
考える人や地獄門などの有名な作品などロダンの作品が充実している。帰りにひさしぶりに常設展もみたが、ルノアールやモネには相変わらず感動した。また、新規購入作品も展示されている。

 (東京都美術館)

メトロポリタン美術館展

アメリカニューヨークにある世界最大級の美術館から
古代メソポタミア、エジプトやギリシャ彫刻からアメリカの絵画までと幅が広いが多い。近代ではモネやピカソなどの作品もあるがゴッホの糸杉が注目。これまでアメリカの画家の作品をこれほど見たことがない。
 エルグレコ展 

 スペイン三大画家の一人エルグレコ
 肖像画、宗教画を中心に国内史上最大級の作品展。
 特に祭壇画の無原罪のお宿りがすばらしい。
 高さ3.5メートルはさすがに迫力があります。
 大原美術館のエルグレコは有名だが、世界各国から名  品を一同に会している。
(静嘉堂文庫美術館)

曜変・油滴天目茶道具名品展

文庫創設120周年、美術館開館20周年記念
世界に三点しかない奇跡の茶碗、国宝曜変天目茶碗や大名物茶入付藻、松本茄子をはじめとする茶道具名品がずらり。さすが三菱財閥の岩崎家親子二代が収集した東洋美術の至宝です。美術館は世田谷岡本の静かな岡の上にあり、敷地内には岩崎弥之助、小弥太の霊廟(コンドル設計)があります。
木下杢太郎画集

先日伊東で見た木下杢太郎の画集4冊を入手しました。仏像編、紀行編、昆虫編、装丁編の立派な画集です。近々百花譜も入手する予定です。
 新百花譜百選

前述した木下杢太郎の大型植物写生画集を入手
2001年に岩波書店より発行されてもので、その精緻な
タッチはすばらしく、額装にしたいくらい
 
 (出光美術館)

源氏絵と伊勢絵
土佐光吉没後400年記念展。源氏物語に影響を与えたといわれる伊勢物語。この密接な関係を絵画にもみられます。今回は土佐派のほか、狩野派や酒井抱一の作品を展示されていて、お互いの新鮮な魅力が見られます。
日本の絵画、中国、日本の陶器など東洋美術がメイン。
 
 (国立新美術館)

貴婦人と一角獣展

フランスの至宝といわれている六面の巨大なタペストリー。テーマは触感、味覚、嗅覚、聴覚、視覚の五感を越えた美しさ。500年前の作品とは思えない、色彩豊かな作品に感動。
 
 (損保ジャパン東郷青児美術館)

ルドン展

19世紀のフランス象徴主義の画家
幻想的な作風の変遷をわかりやすく説明している。
色彩の時代、黒の時代、夢の時代に分けて展示されている。
 
 (横浜美術館)
プーシキン美術館展
17世紀の古典主義から20世紀のキュビズムまでのフランス絵画300年の至宝の名画66点の展覧会。
今回は、特に日本人に人気のある印象派のルノワールやモネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなどの名品が一堂に会している。ロシアの収集家達の情熱が伝わってくる。入り口はそれほどの人ではなかったが、いざ展示室に入るとやはり人ひとです。それでもルノワールのジャンヌ・サマリーの肖像はじっくり見ることができ、とても満足しました。特に印象派以降の作品は、保存状態も良く、修復もない非常に状態の良い作品で、色彩の鮮やかさに驚きました。
 
 (東京国立博物館)
特別展京都 洛中洛外図と障壁画の美
国宝、重要文化財の上杉本や舟木本など傑作の洛中洛外図の展覧会。特に岩佐又兵衛が描いたものはその精緻な筆には大変驚いた。これほど細かく京都の町や人々を描いたものはないだろう。会場では大型スクリーンで画面をクローズアップし、驚異の描写力を実感。また、御所、竜安寺、二条城の障壁画は400年前の空間が再現されている。特に二条城の黒書院(大政奉還を相談した)69面は、京都ではコピーが展示され、原画は見られない貴重なものまさに京都でも見ることができない京都でした。
 
 (東京都美術館)
ターナー展(2013.11.16)
イギリス最高の画家のテート美術館所蔵作品の展覧会
特に風景表現を追及したスケッチ、水彩画、油彩はすばらしく、まさに夏目漱石が英国留学時に魅了されたのが理解できた。今まで油彩は見たことがあったが、スケッチや水彩画も色の使い方が今までのターナーの絵の見方を変えさせられた。
 
 (そごう美術館)
知られざるミュシャ展
現代でも人気があるチェコ出身の画家。1894年に女優サラ・ベルナール主演のジスモンダのポスターで有名となった。私の好きな画家の一人。今回はチマルコレクションを中心に、油彩、水彩、素描、リトグラフ、装飾パネル、挿絵など160点を展示しているが、初期の作品から晩年の作品まで系統ごとに鑑賞できる。
 

Ryouji My Favorite