都議会レポート 平成12(2000)年12月

平成12年度 総括号


 新世紀にふさわしい公正で安心できる都政の実現を!
 20世紀最後の年、東京都政では、銀行への外形標準課税の導入や福祉施策の見直し、ディーゼル車の規制など、さまざまな出来事がありました。私たちの所属する都議会民主党は、わずか13名(定数127)の会派ですが、都民が主役の立場から、積極的に政策提言をしてきました。
 6か月後には都議会議員選挙が控えています。引き続き、皆さまからのご指導・ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

見直しに反対!障害福祉

 2月議会では、シルバーパスをはじめとする福祉の見直し条例が提案されました。私たちは、特に、在宅サービスなどの施策が不十分な中で、障害者施策を見直しが厳しすぎるとして、重度障害者手当と医療費助成の見直し条例に反対しました。
 また、12月には、福祉改革推進プランが示され、今後、3か年で、80か所の障害者施設を緊急的に整備することやグループホーム・生活寮の重点的な整備が盛り込むことができました。
 引き続き、福祉の充実に取り組んでいきます。

地方分権一括法が施行!

 12年4月に、地方分権一括法が施行され、自治体を国の出先機関とする機関委任事務が廃止され、自治体の自治権が明確になりました。しかし、自治体の自治権を保障する財源は国に縛られたままです。私たちは、これまでも権限と税財源は表裏一体のものであるとして、国に税財源の移譲を求めてきましたが、11月末の東京都税制調査会は、地方税財政制度の抜本改革を求める答申をまとめました。私たちは、この答申を地方税財政改革の具体化を求める武器の一つとして、今年も改革実現に全力を挙げます。

民主党の言うとおり!情報公開都庁へ

 私たちは、この間、警視庁の情報公開を強く求めてきましたが、6月議会で、ようやく情報公開条例が改正され、警視庁も情報公開の対象となりました。また、私学や社会福祉法人の財務内容などの情報公開も進んでいます。
 一方で、都庁の情報化は、都道府県のなかで最下位といわれるほど遅れており、その改善に向けた取り組みも進めています。申請用紙をインターネットを通じて入手できるようになったのもその一例です。
 私たちは、引き続き情報公開を積極的に推進していきます。

女性施策推進でも得点!

 12年4月から男女平等参画基本条例が施行されました。私たちはこれまでにも家庭内暴力やセクハラ、痴漢犯罪などを問題視し、取り組んできました。石原知事の就任以来、女性施策に逆風が吹いていますが、社会的性差が依然存在しているなかで、女性施策に後退のないよう、これまで以上に都の施策を監視していきます。
 また、現在、都の女性財団の存続問題が取りざたされていますが、私たちは、都民・関係者の意見を尊重し、慎重に検討するよう、強く要望しています。

押しつけの「心の革命」はダメ

 石原知事は、子供のしつけや道徳教育を重視した「心の東京革命」を推進しようとしています。子供が基本的な社会マナーを守るように教育することは必要です。しかし、あまりにも一方的価値観で押し付けることは問題であるという意見もあります。私たちは代表質問など折にふれ知事の具体的手法についてただし、極端な精神主義に走らないよう警告するとともに、子どもを取り巻く社会の環境(有害情報や擬似暴力のゲーム、性の商品化など)にも目を向けるべきだと主張してきました。

景気回復に腕まくり!

 景気回復は何よりの願いです。また、中小企業対策や都民の雇用を確保していくことも重要な課題です。
 東京都は、13年度予算への要求で、東京都の空き庁舎を利用した企業の創業支援を拡大することや地域中小企業IT化推進(IT大学開講)を掲げています。また、廃止する予定であった臨海部有明の技術専門校も存続し、都民の職業訓練の推進を図るとしています。
 今後とも私たちは、景気回復に取り組み、雇用の確保に努めます。

民主党がやればできる東京の医療改革!

 石原知事が進めている「365日・24時間」医療は、私たちも、積極的に支持しています。
 私たちは、さらに「患者中心の医療」を進める立場から、医療に関する患者や家族のさまざまな苦情や要望を受け止める「患者の声」相談窓口の設置を求め、実現することになりました。また、第三者機関による病院機能評価を進めるとともに、インフォームド・コンセントやカルテの開示なども実現しました。
 これからも「患者の権利章典」を制定するなど、東京の医療改革に取り組んでいきます。

都政の下に人権は平等!

 11月には「東京都人権施策推進指針」がまとまりました。これは、私たち民主党が2年以上も前から早期策定を求めていたものです。
 人権に関する問題は、女性・子ども・高齢者・障害者等々多岐に及び、個々の取組と同時に従来の人権施策の手法や体制の枠組みを超えた、人権問題を解決するための総合的な取組が不可欠となってきています。私たちは、今後も都民,NPO、企業、とりわけ差別や人権侵害を受けた当事者との連携を深め、人権問題の解決に全力を挙げていきます。

環境政策の民主党 環境確保へ

 12月議会では、公害防止条例が約30年ぶりに全面改正され、環境確保条例として成立しました。新条例は現代的環境問題に対応しようとするものであり、対応の遅い国にあわせることなく、危機意識をもって環境問題に対応しようとする東京都の姿勢を強く表すものと評価しています。
 ただし、行政からの規制のみでは問題は解決されません。私たちは、都民・事業者が環境改善に向けて、スムーズに協力できるように、それらの意見を十分に聞いた上で、財政的、技術的に十分な支援策を講じるべきであると主張しています。

市街地の緑化でヒートアイランド現象対策を!

 12月議会では、自然保護条例が全面改正されました。市街地の緑化や里山保全、野生動植物の保護などが打ち出されています。私たちは、再三、都心部の温度が異常に上昇するヒートアイランド現象対策として、建物の屋上緑化の推進やビオトープ(鳥や野生生物が生息できる空間)のネットワーク造りを提言してきましたが、一歩前進した形となりました。これからは、地元住民や環境NPOなどとの連携により、うるおいのある市街地の形成に向け、さらに努力していきます。

三宅は人ごとではない!

 三宅島全島避難から4か月が経過しました。三宅島の皆さんはとうとう冬越えを余儀なくされています。東京都は、三宅島の皆さんの生活を支えるため、ボランティアの皆さんとも連携して、就労の確保や生活支援に努めています。また、新島村、神津島村の復旧工事、大島、八丈島への観光誘致など、伊豆諸島の一日も早い生活再建に向けて、適時補正予算を組みながら対応しています。
 私たちは、今後も三宅島避難島民の生活支援対策を充実するとともに、伊豆諸島の災害復旧対策に万全を尽くしていきます。

気品ある都政を!

 都議会議員が中小企業向けの融資制度に係る出資法違反事件で逮捕・起訴されました。私たちも、東京地検特捜部の捜査には全面的に協力し、真相が全面的に解明されることを求めてきました。現職議員が逮捕・起訴されたことは、都議会への都民の信頼を損なう極めて遺憾な事態です。
私たちは、12月の都議会で 「政治倫理の確立に関する決議」をまとめ、都民の信頼を回復するために都議会議員の政治倫理の一層の確立に努めることを改めて表明しました。

 

 


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