都議会レポート 平成13(2001)年12月

平成13年度第四回定例会号


 二十一世紀を拓く!
知恵と工夫で活力ある都政の実現
 来年度予算編成の前哨戦ともいうべき、平成13年第四回定例会が、12月4日から12月19日までの16日間の日程で開催されました。
 2001年は、21世紀のスタートの年として景気の回復が期待されていましたが、先行き不透明な小泉内閣の構造改革、ニューヨークで起きた同時多発テロなどにより、逆に景気後退に陥るといった大変厳しい社会・経済環境となっています。このようななかで開催された定例会でしたが、私たち都議会民主党は、あくまでも、都民生活の質的向上を図る立場から、積極的提言を行ってきました。
職員給与の削減問題は、中長期的視点から、
知事提案を了承


 職員給与は、平成12年、13年の二年間に限り4%の削減する特例措置が取られていました。
 今回、この特例措置が終了するのに伴い、石原知事からは管理職について引き続き4%を削減する提案がなされました。
 これに対して、一般職員も削減対象にすべきだとの意見もありましたが、私たちは、今回の労使合意で、都財政の状況いかんによっては再度、給与削減について協議するとの条件に加えて、今後、給料表の見直しを含めた人事給与制度の抜本的見直しについて協議するとの条件がついていることなどを勘案し、中長期的視点から、知事提案を了承しました。
 私たちは、今後とも東京都に対し、厳しい内部努力と構造改革の推進、そして、都民サービスの質的向上を強力に求めていきます。


課税自主権を尊重
ホテル税は付帯決議を付け賛成


 今議会に提案されたホテル税は、都内のホテル・旅館から1泊の宿泊費1万円から1万5千円の場合100円、1万5千円以上の場合200円を宿泊客から支払ってもらうという内容で、観光振興のための財源確保を目的とした税金です。
 観光振興は、将来の東京経済の活性化に不可欠の要件であり、また、地方分権を主張する都議会民主党としては、課税自主権を尊重する立場から、知事提案を承認しました。
 但し、導入時の混乱を回避するための付帯決議を付しての賛成としました。


観光振興で千客万来の東京を
地域住民を観光ボランティアに


 東京を訪れる外国人旅行者を5年で倍増の600万人にするという目標を掲げた「東京都観光産業振興プラン」の実効を上げることは生半可なことではできません。
 そこで、私たちは、そのための大プロジェクトを組むこと、シティーセールスやコンベンション誘致のための前線基地を設けること、また、来年のワールドカップに絡め、地域的事情や歴史、文化に精通した商店主等地域住民に観光ボランティアとして、直接に参加してもらうことなどを提言、前向きな答弁を引き出しました。


関連産業の育成ゆがめる
超低価入札問題にメス!


 東京都の文書総合管理システムに関わる入札が、750円という異常な超安値で落札され、公正取引委員会から独占禁止法に違反する恐れがあると警告されました。
 私たちは、制度的な改善を不十分なままに過ごしてきたことが最大の問題だと指摘し、公正な市場競争の形成と関連産業の健全育成に向けて、その改善を求めました。
 東京都は、国に対して法令改正を働きかけるだけでなく、その間、総合評価方式を積極的に活用して制度改善に取り組むことを明言しました。


急がれる雇用対策の拡充
ミスマッチの解消に新制度を


 10月の全国の完全失業率が過去最悪の5.4%を記録しました。
 私たちは、資源・エネルギーが乏しい日本が世界で生き残っていくためには、日本の持っているものづくりの技術・技能を伝承していくことが必要と考えています。
 その立場から、大田技術専門校で行っている高度熟練技能の継承事業を他の専門校でも実施するなど、ものづくりの継承について具体案を提言しました。
 また、中高年対策として、企業の欲している能力と個人のもっている能力とのミスマッチの解消につながる制度の構築を求め、東京都の積極的な取り組みを約束させました。


障害福祉も地域中心に
東京都は地域ケアの中核に


 平成15年度には、障害者の福祉サービスが、行政が措置する制度から利用者が選択する制度に移行することになりますが、障害者の地域での自立と暮らしを支援していく体制を早急に構築していく必要があります。
 そのためにも体験型生活寮モデル事業や現行の生活寮への支援体制の充実を強く主張し、東京都も、私たちの主張に沿って、事業を展開していくと明言しました。
 また、精神障害者地域支援センターを今後3年間で33か所整備するなど、精神障害者施策の充実についても取り組んでいます。


『風の道』の確保を
ヒートアイランド対策で提言


 年々、深刻化するヒートアイランド現象への対策として、今議会では、道路、公園、校庭等のコンクリート部分を土に戻すことや都市開発の制度によって作られた公開空地を保水性舗装などで整えることなど、具体案を提示しました。
 なかでも、海風や川沿いの風を活かす「風の道」を確保することはヒートアイランド対策としても有効であると主張したのに対し、東京都も、積極的な取り組みを約束しました。


急務の森林再生
環境の視点からの取り組みを


 私たちは、東京都の自然を守り、育てることが、東京のバランスある発展を促すだけでなく、地球環境を守る立場からも重要であると主張しています。
 特に今議会では、急傾斜の森林に自然倒壊の恐れがあると強い危惧が抱かれている多摩の森林の荒廃を止め、再生に力を注ぐべきことを提言しました。
 私たちの主張に、石原知事は「森林再生に環境の視点から全力を挙げて取り組む」との方針を明らかにしました。


本当に必要?
600人規模の大留置場


 石原知事は、原宿の日本社会事業大学跡地に600人を超える収容能力をもった留置場を建設する構想を提案しています。
 しかし、現実に即して考えれば留置場の一極集中は、捜査効率を落とすばかりか、交通量の多い原宿周辺に護送車が集まり大渋滞を起こしかねません。護送車を集中させなければ「えん罪の温床」として国内外から厳しい批判のある「代用監獄」にすることになります。
 本当に必要ですか!大留置場。私たちは、地域の皆さんと共に反対運動を続けます。

 

 


戻る