一 都政運営について
〇馬場委員 平成12年度東京都予算案は、大盤振る舞いの国の予算とは対照的に、歳入歳出の両面にわたる徹底した見直しを行い、財政構造改革に取り組んでいるが、歳出は構造的に増加する要因を抱えており、バブル崩壊後に大量発行した都債の償還も待ったなしでやってくる。今回の銀行業に対する外形標準課税の導入によって、平成13年度に1,100億円の増収が見込まれるが、これをもってしても財源不足を解消することはできない。そこで、改めて知事の財政構造改革に取り組む決意を伺うとともに、知事のリーダーシップで庁内をどう引き締めていくのか、伺う。
●石原知事 国と東京都の決定的な違いは、東京は、国みたいにお札をどんどん刷って借金を重ねていくだけでは済まないわけで、そういうことで、思い切った緊縮予算を組まざるを得ない。12年度予算では、財政再建に向けてその第一歩を踏み出せたと思っているが、今後も構造的にマイナス要因がかさんでいって、今後も巨額な財源不足が見込まれる。今後とも、危機意識やコスト意識の徹底を図ることによって、つめに火をともすつもりで職員一人一人の改革の意欲を引き出して、財政再建に向けて全力を挙げて取り組んでいきたい。
〇馬場委員 予算案では、財源不足3,242億円について臨時的方策を講じているが、ここで用いられた土地開発基金の廃止は二度と使えない対策であり、また、給与費の削減も13年度までということになっている。こうしたことを考えれば、今後の各年度における財源対策の必要額を可能な限り少なくするためにも、財政構造改革をできるだけ前倒しして実施する必要があると考えるが、見解を伺う。
●木内財務局長 12年度予算においては、減債基金の一部計上見送り等3,200億円にものぼる財源対策を実施せざるを得なかったが、こうした対策にも限りがあり、13年度以降の対応の余地は少ないと言わざるを得ない。こうした状況の中、都財政の再建を確実に成し遂げるためには、今後の各年度における財源不足額の圧縮に努める必要があり、そのためにも財政構造改革への取組を可能な限り前倒しして実施しなければならないと考えている。
二 情報化社会について
〇馬場委員 いわゆるIT革命、情報通信革命は、私たちの生活のあり方、社会のあり方、経済のあり方を根本から変えるような強い衝撃力を持ったものである。今では、通常の商品取引も、決済も、株の売買もインターネット上でできるようになってきており、携帯電話でメールも送れ、ホームページを見ることもできる。福祉、医療や教育の分野にもどんどんIT革命が浸透してくることになると思う。しかし、その一方で、いわゆるデジタルデバイド、ITを駆使できる人とそうでない人との間に、所得においても、社会生活においても大きな格差を生み出すことが危惧されている。この格差に着目し、格差が広がらないように手だてを講じるのは行政の責任だと思うが、いかがか。
●柿沼政策報道室長 情報弱者に対する情報リテラシーの涵養は、行政のみにとどまらず、NPO、企業等民間を含めて、積極的に取り組まなければならない課題であると認識している。このため、東京都では、東京都情報化ビジョン研究会で、デジタルデバイド対策を含めて、東京における総合的な情報化施策の検討を進めている。今後、年内に取りまとめ予定の東京構想2000の中で、IT革命の進行を視野に入れた情報化施策について、その方向性や具体的取り組みを明らかにしていきたい。
〇馬場委員 そうしたデジタルデバイドを生み出さないためにも、教育におけるIT革命にどう取り組むのかが大事だと考える。例えば、小中高校等において、児童生徒の一人一人がインターネットにアクセスでき、しかも、学校と家庭がリンクされている環境が整備され、児童生徒の一人一人の習熟度に応じた教育プログラムを提供できるようになれば、教育の世界にも革命的な変化を起こすことになる。インターネット利用環境整備について積極的なアメリカでは、小中学校のインターネット接続率は約9割あり、日本の全国平均は35.6%と聞いている。実際に都内の公立学校のインターネット接続率はどのようになっているのか、また、通信回線は確保されているのか、伺う。
●中島教育長 都内公立学校のほぼ全校にパソコンは設置されているが、インターネットと接続している割合は、平成11年3月末現在、小学校は、1,396校中147校、10.5%。中学校は、662校中67校、10.1%。また、平成12年3月現在、都立高校は214校全校で接続しており、生徒の進路指導用に活用している。都立盲・聾・養護学校は、58校中13校、22.4%である。なお、電話回線数は、小学校は1校当たり平均3回線、中学校は平均5.2回線である。都立学校は、インターネット専用にISDN回線を有している。
〇馬場委員 都内の公立学校のインターネット導入がおくれている理由は何なのか、今後どのようにしていくつもりなのか、伺う。
●中島教育長 インターネット導入の遅れの理由としては様々な事が考えられるが、電話回線の数が少ない事の他に、通信料金等が高い事があげられる。また、児童・生徒の個人情報の保護や有害情報への対策の問題、指導教員の不足などが導入遅れの要因であると考える。都教育委員会は今後とも関係機関に対して、通信料金の割引制度の導入を要望するとともに、緊急地域雇用特別基金を活用した教員の研修を行う。なお、都立高校については、学習指導にインターネットを活用することとし、12年度に試行で実施する予定である。
〇馬場委員 今の遅れている理由として、電話回線の数が少ない、また、通信費が高いことなどが挙げられた。それで、対策というふうにお尋ねしたのだが、通信料が高い、だったら、通信料金の割引を要望すればいいと。それではとても足りないのではないかと思う。どこがどんなふうに東京都全体の学校の通信料をどのぐらい割り引いてくれるのかという話も、多分これから交渉するということだと思うが、とてもそういう対策では間に合っていかないのではないかと思う。私は、主な理由は、文部省の定めるインターネット接続のための財政措置基準が、1校当たり月額1万1千円という大変低い予算措置しかできていない、そのためではないかと考えている。自治省は、1月末に、平成12年度の地方財政対策の説明会議というのを開いて、教育情報化計画のために1,820億円の地方交付税措置をとるという記事を読んだ。地方交付税措置ということになると、東京都は不交付団体ということで、十分にこれを活用することはできないのではないかと思う。であれば、待っていても出ないものについては、きちんと都独自で対応を考えなければならないのではないか。東京都にいるがために、不交付団体ということで、東京の子どもが情報教育を十分に受けられないということでは、私たち議会も、そして都政でも、いいわけはできないのではないかと考える。13年度に銀行課税の収入見込み、1,100億円入るということになっている。これを流用ということではないが、税収の見込みもできたということもあるので、ぜひ学校への、それもできれば私学も含めての東京都の学校対策、教育対策にこのインターネットを導入するようにお願いする。
もう一点、先生の不足ということも含めて、対策ということで、緊急地域雇用特別基金という話があったが、これも13年までということで、都としてはきちんと使える教員の対策をしていかなければならないと思う。また、もう一つ、おくれている理由に、個人情報の保護や有害情報への対策というのがあった。それぞれこれは各区市町村が対策をとるということになると思うが、おくれている区市町村へ、この保護条例の見直しを早急にし、また、教育の中で有害情報の対策も含めて対応していく、この点が早急に必要だと考える。知事も含めて、ぜひ学校への対策を考えていただきたいと思うが、所見を伺う。
●中島教育長 新学習指導要領に基づいて、平成14年度から新たな教育課程が行われる。そこで、総合的な学習の時間というのが新設された。この時間を活用した情報教育というのは、これから非常に重要だろうと思う。今ご指摘のあったいろいろな点、例えば接続料の問題、あるいは実際の教員の研修の問題等、国も、これに合わせてさまざまな制度の活用を検討して対策をとっている。交付税という話があったが、基本的には交付税で財源措置がされる。したがって、区市町村レベルでは、この点で財源措置が一応できているわけで、また、研修についても、雇用対策基金で研修を図っていくということで、さまざまな施策を活用して、情報教育の充実は教育委員会としても積極的にこれから取り組んでいく重要な課題だと思っている。
〇馬場委員 次に、都庁における情報通信技術の活用について伺う。例えば、港湾局では、港湾EDIシステムによって、インターネットを活用した申請・届け出手続を実施しているほか、主税局では、納税・課税証明申請書などの各種申請様式を一部先行的に電子化し、ホームページからのダウンロードを可能にしている。しかし、東京都が受ける申請事務は、警視庁、消防庁を除いても2,056種類にも上る。これらの印刷に係る経費も相当な額になる。それらの1割でもホームページからダウンロードされるようになれば、インターネットを活用して申請・届け出手続ができるようになれば、東京都にとっても経費が節減でき、都民にとっても相当利便性が向上すると思うが、いかがか。
●横山総務局長 都民サービスの向上を図るためには、情報技術を活用した業務改善を進めることが重要であると考えている。申請様式等をホームページ上で都民に提供することについては、お話のように、主税局など一部の局において既に実施していて、現在、全庁的な導入に向けての検討を行っているところである。また、インターネットによる申請手続については、申請者本人の確認や到達時期の確定など多くの課題があるが、これも導入に向けて引き続き検討していく。
〇馬場委員 都庁では年間億単位の紙が使われているが、例えば、会議の案内一つとっても相当の数になると思う。一人に一台のパソコンが設置され、メールで連絡するならば、それらの紙は不要になる。情報化事業は、その効果を最大限に生かしていくためには、業務プロセスそのものを抜本的に見直すとともに、都庁の組織体制のスリム化、フラット化を図る必要がある。こうした都庁の高度情報化を推進するためには、きめ細かで強力な推進体制が不可欠だと考えるが、いかがか。
●横山総務局長 都庁の情報化は、パソコンやインターネットの整備にとどまるものではなくて、お話のように、事務手順の見直し、あるいは組織や制度の見直しなどの行政改革にかかわる課題としてとらえる必要があると考える。そこで、当面、情報化の推進については、総務局が中心となって行っていくが、全庁的な推進体制についても必要なので、具体的に検討していく。
三 障害者対策について
〇馬場委員 だれもが、ともに安心して暮らせるまちづくりが自治体としての責務であると、私は考える。平成10年7月に、雇用の促進等に関する法律が一部改正され、民間企業に義務づけられていた法定雇用率も、1.6%から
1.8%に改定された。しかし、昨年6月1日現在の障害者の雇用率を見ても、民間企業においては、一昨年より0.02ポイント上昇したものの、改定前の法定雇用率を下回る1.3%となっている。東京都の障害者雇用率は、全国平均の1.49%と比べても低い水準であり、職業安定行政が国に一元化された後においても、都しての積極的な取り組みが望まれる。障害者雇用について、労働経済局は、具体的にどのように取り組んでいくのか伺う。
●大関労働経済局長 今回の職業安定行政の国一元化に伴い、これまで都において行ってきた障害者の雇用対策は基本的には国の東京労働局が実施する事になる。しかし、障害者雇用の重要性に鑑み、国と連携して普及啓発に努めるとともに、重度障害者の雇用の場を創出することを目的に設置される重度障害者多数雇用事業所の育成指導や、障害者雇用支援センターの運営補助を行うなど、障害者の雇用促進について、東京都として可能な限りの支援をしていきたいと考えている。
〇馬場委員 重度障害者モデル企業も、平成10年度までに5社目を設立する予定であったと伺っているが、これも頓挫しているようだし、全国に比べて低い障害者雇用率である民間企業への取り組みが、東京都の普及啓発だけでは不十分だと思う。ぜひとも積極的な取り組みを要望する。
さて、民間企業はもとより、東京都など公的機関みずからが障害者を雇用していくことも重要だと考える。そこで、東京都のすべての監理団体のうち、法定雇用率が適用される団体はいくつあり、そのうち、法定雇用率を達成していない団体はいくつあるのか、また、東京都とのかかわりが特に大きい特別監理団体で、障害者を全く雇用していない団体はいくつあるのか、伺う。
●横山総務局長 平成11年6月現在、監理団体の障害者法定雇用率が適用される団体は30団体であり、その内、法定雇用率1.8%未満の団体は18団体である。特別監理団体の内、障害者を雇用していない団体は3団体である。
〇馬場委員 ちょっと残念な数字であると思う。監理団体それぞれ今は大変な時期にあると思うが、その立場をぜひ考慮され、きちんと法定数を守るような対策をお願いする。東京都の監理団体がこのような状況では、民間企業にも強力な指導はできないと思う。障害者雇用がゼロである団体を初め、法定雇用率に達していない監理団体に対して、法令遵守の周知を徹底するなど、東京都としても積極的に取り組むべきと考えるが、いかがか。
●横山総務局長 いわゆるノーマライゼーションの理念を実現するためには、障害者の社会的な自立に向けた基盤づくりとして、障害者が職業を通じて社会参加を進めていくことは重要であると考えている。今後とも、監理団体に対して法定雇用率以上の障害者雇用を図るよう、所管局を通じて指導していく。
〇馬場委員 次に、東京都自らの障害者雇用について伺う。行政に課せられている法定雇用率は2.1%と、民間に比べて高く設定されているが、東京都においては、法律を上回る雇用目標を掲げて雇用促進に取り組んでいることは評価する。そこで、東京都の障害者雇用率は何%なのか、また、主な任命権者別で見た場合、内訳はどのようになっているのか、伺う。
●横山総務局長 平成11年6月現在の東京都の障害者雇用率は、全体で2.28%でございます。その内訳は、知事部局が3.14%、交通局3.79%、水道局3.38%、下水道局6.16%、教育委員会1.3%となっている。
〇馬場委員 公営企業に多くて教育委員会が少ないということ、これは仕事の内容によっていたし方ないのかもしれないが、特に教育庁の雇用率が低いということは、大変残念であると思う。教育現場において子どもたちが障害を持つ教員に接することで、障害に対する理解をさらに深めるということも期待できるし、そのためにも障害者の雇用を促進していくことが望まれる。教員の採用には制約も多いと思うが、教育庁はこの間、どのような努力をしてきたのか、伺う。
●中島教育長 都教育委員会は、これまで、教員採用選考において、障害の種類及び程度に応じて受験者への配慮を行い、受験機会の確保を図ってきた。具体的には、例えば、視覚障害のある受験者に対しては、点字タイプライターまたは点字板の使用、筆記試験時間の延長などを行い、また、聴覚障害のある受験者に対しては、試験合図の配慮、手話通訳などを行ってきた。
〇馬場委員 確かに、採用方法に一定の改善があったことは評価するものである。しかし、平成8年5月の総務庁の行政監察でも、学校法人の中には、7.58%と法定雇用率を大幅に上回って障害者を雇用しているものや、障害者を教員として新たに採用したことにより、3.5%になった事例なども紹介されている。より前向きな取り組みが望まれる。障害者雇用が進んでいる他の学校法人の例を参考にしながら、学校の施設設備を整備したり、採用方法を改善するなどして、障害者雇用についての具体的な改善計画を策定することを求めるが、見解を伺う。
●中島教育長 教員は、免許を必要とする職種であり、必ずしも障害者の受験が多いとは言えない現状にあるが、今後とも、受験機会を確保する方法を検討するとともに、職場環境の充実改善を進め、障害者の採用に努力する。
〇馬場委員 働き方の多様化や小規模企業の増加、規制緩和やリストラなどによる転職など、雇用情勢が大変厳しい今日のような状況だからこそ、公的機関としての東京都が、障害者の雇用を積極的に進めるべきと考える。また、公的機関のみならず、民間企業においても、働きたい、就職したいと思っている都民が雇用されるよう、東京都としても、労働行政に積極的に取り組んでいくことが望まれる。障害者を含め、都民の雇用促進に対して、都職員の雇用主でもある知事の基本的な考え方を伺う。
●石原知事 先般、東京都の文化栄誉章なるものを差し上げた。その中の一人に、乙武さんというすばらしい受章者がおられて、感動した。何とも明るくて自信に満ちて。やはり乙武さんの周囲も、またそれなりの特殊な環境というか、理解のある方々に囲まれてきたんだと思うけれども、できれば、あれだけ重症の障害を持った方が、あれぐらい生き生きと自信を持って生きていただきたいなという気がつくづくする。そういう経験も踏まえて、障害者、高齢者がそれぞれの地域において生き生きと元気に働く、活躍できる、そういう状況をつくることが、まさに福祉の原点だと痛感している。都としては、国や区市町村との連携のもとに、都の実情に即した就業対策を推進して、都民福祉の向上に努めていきたいと思う。
四 環境問題について
〇馬場委員 次に、環境問題について伺う。21世紀に向けて環境への負荷の少ない社会経済システムの創出が急務となっている。そこでまず、清掃事業の区移管に伴い、広域行政に特化する都の廃棄物行政の柱の一つである産業廃棄物について、近年の産業廃棄物処理に対する住民の不信感の高まりを背景に、処理施設の確保はますます難しくなり、同時に産業廃棄物の不法投棄は後を絶たず、深刻な社会問題となっている。産業廃棄物の不適正処理を未然に防止し、住民の信頼を回復していくためには、廃棄物を排出する事業者と処理する業者がきちんと責任を果たすことが、当然のことながら重要と考える。しかしながら、現状では、必ずしもその責任が果たされているとはいえない。産業廃棄物の適正処理の確認をするために、いわゆるマニフェスト制度が法定化されているが、マニフェストを交付しない事業者に罰則がないことや、架空のマニフェストが売買されていることがある。そこで、形骸化しているマニフェスト制度に対して、排出事業者に最終処分まで確認することを義務づけるなどの廃棄物処理法改正案が今、国会に提出されているが、この改正によって、どのような問題が解決し、どのような効果が期待されるのか、伺う。
●安樂清掃局長 現在の法律のもとでは、処理業者が廃棄物を最終処分まで適正に処理したかどうかを確認する義務が排出事業者には課されていない。このために、排出事業者は、適法に契約さえしていれば、極めて安い料金で処理業者に仕事を委託し、そのために処理業者が不法投棄を行った場合でも、責任を問われることはない。今回予定されている法改正では、排出事業者に最終処分までの確認義務を負わせることとなっている。この義務を怠った場合には、不法投棄を行った処理業者だけでなく、排出事業者にも原状回復の義務が生じる。この結果、排出事業者は、適正な料金と良質な処理業者の選定に注意を向けるようになり、不適正処理の防止に大きな効果があると考える。
〇馬場委員 廃棄物の処理を委託するには、処理料金や委託の範囲等を明記した委託契約を書面で作成することが法で定められている。処理料金は、処理業者の内部努力もあり、その高低がそのまま不適正処理の判断には直結しないとは思うが、著しく低廉な処理料金により不適正処理を誘発することは、未然に防いでいく必要があると考える。そのためには、処理業者の許可情報とともに、処理料金の水準や適正相場などの情報が欠かせないと思うが、そこで、これらの情報提供について、現状と、今後どのように取り組んでいくのか、伺う。
●安樂清掃局長 排出事業者が処理業者を選択するためには、処理業者に関する情報が必要である。このため、国は現在、処理業者の実績や環境対策などの情報をインターネットで公開するシステムを整備中である。広域的に活動する産業廃棄物処理業者については、全国的な情報システムが望ましいため、東京都は、処理業者に関する情報を提供するなど、国のシステム整備に現在協力している。このシステムの完成後は、排出事業者に広く周知し、利用の促進を図っていく予定である。また、どのくらいの処理料金が適正なのかは、経営努力や業者間の競争関係などもあり、一概に決めることは困難であるが、近く処理料金の実態がどうなっているかを調査する予定で、これを排出事業者が処理業者を選ぶ際の参考に供したいと考えている。
〇馬場委員 一番の問題は、違法を承知で処理する、いわゆるアウトローの業者の存在であると考える。規制の強化を盛り込んだ法改正が行われても、違法を承知で行う処理業者が後を絶たないのでは何にもならない。そこで、違法な業者の撲滅に一層の努力が必要と考えるが、今後どのように取り組んでいくのか、伺う。
また、これは東京だけで努力しても、効果が薄いのではないかと思う。違法投棄される現場が多くは他の府県であることにかんがみ、他県との連携が重要であると考えるが、どのように対処するのか、あわせて伺う。
●安樂清掃局長 今回予定されている法改正により、野焼きに対する罰則が新設され、また、不法投棄に対する量刑が3年以下の懲役から5年以下の懲役へと引き上げられるなど、違法行為に対する罰則が強化される。違法を承知で行うアウトロー業者に対しては、改正後の法を駆使して、速やかにかつ厳正に対応し、その撲滅に努める。
また、ご指摘のとおり、産業廃棄物は都道府県を越えて広域的に移動しており、各都道府県もこれに対応した指導体制が必要である。昨年、産業廃棄物の不適正処理に広域的に対応するため、七都県市の連絡体制を整備した。今後とも広域的な連携を強め、不法投棄などに苦しむ住民の願いにこたえていきたいと思う。
〇馬場委員 先般ありましたフィリピンから返されたニッソーの件や、豊島や所沢に代表される公害対策など、最終的には国や自治体が後始末をしなければならない。行政が後追いにならないために、積極的な取り組みを期待している。
ところで、産業廃棄物の問題のほかにも、ダイオキシン類、地球温暖化、大気汚染などなど深刻な問題を我々は抱えている。大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会システムのもとで、確実に環境破壊が進んでいるという事実を突きつけられているわけである。こうした中で、次の世代に良好な環境を引き継いでいくためには、あらゆる事業活動において、環境に対する負荷を低減する取り組みを徹底していく必要がある。昨年4月に施行された地球温暖化対策推進法により、地方公共団体に対し、その事務事業に関して、環境負荷を抑制する計画の策定が義務づけられた。大規模な事業体である都みずからが率先して実行することが、波及効果を含め、極めて有効であると考える。まず、都が、都民、事業者に範を示すことにより、環境負荷の低減の取り組みを一層促進すべきと考えるが、見解を伺う。
●齋藤環境保全局長 環境配慮を優先した事業活動を広げていくために、都の率先行動が重要なことは、ご指摘のとおり。都は、この観点から、平成9年5月、都庁エコ・アップ計画を策定し、庁有車への指定低公害車の導入や廃棄物の減量などに自ら取り組んできた。来年度には、温室効果ガスの排出抑制措置や、都と取引のある契約業者への環境配慮の要請などの内容を盛り込んだ新たな率先行動計画を策定し、環境負荷の低減に向けた取り組みを一層強化していく。
〇馬場委員 環境負荷の低減には、行政がみずから積極的な姿勢を示すことが重要と思う。都は、この4月から環境局を新設することとしているが、この組織改編は、単に清掃事業の区移管に伴うものであるというものではなく、都の環境行政に対する新たな姿勢を象徴するものであるべきと考える。そこで、今回の組織改編によって環境行政がどう変わり、どのような効果が期待されるのか、見解と決意を伺う。
●石原知事 今回、新たに環境局を設置することによって、廃棄物対策を環境施策の一環として明確に位置づけ、生産、流通、消費、廃棄の各段階において環境への配慮を徹底し、総合的な環境政策を展開していきたいと思っている。自動車公害対策、廃棄物及び有害化学物質対策については、執行体制の強化などによって、国の中で東京都が先導的な取り組みを推進していきたいと思う。現在そして将来の都民の健康を守るために、東京から、少し大げさかもしれないが、環境革命を展開して、国や産業界を動かしていきたいと思っている。
五 男女平等参画施策について
〇馬場委員 男女平等参画施策について伺う。まず、東京都が全国に先駆けて基本条例を制定することは、全国への力強いメッセージの発信となっており、他の自治体へ与える影響も大きく、大変注目をされている。条例案では、都は、総合的な男女平等参画施策を策定し、実施する責務を有するとしているが、具体的に都が進めていく施策の内容については、情報の収集分析や年次報告など、限定的にしか示されていない。条例を実効性あるものにするには、具体的な施策が強力に推進されなくてはならないと考える。男女施策はさまざまな分野にわたり、多くの部局に関係するものである。そのため、関係部局間の連携、総合調整が重要と考えるが、都は条例制定後、どのように推進体制を確立していくのか。また、条例の具体化ともいうべき行動計画は、いつまでに、どのような内容で策定されるのか、あわせて伺う。
●今沢生活文化局長 男女平等参画促進のための施策については、雇用、福祉など幅広い分野にわたっている。そのため、都民からのさまざまな相談への対応も含めて、関係局による連携、協力のための体制を整え、総合的に実施していく必要があると考えている。また、行動計画については、男女平等参画審議会などの意見も伺いながら、平成13年度を目途に策定する予定である。この計画は、都の施策はもとより、都民及び事業者の取り組みをも盛り込み、雇用の場における参画の促進や権利侵害の禁止など、条例の趣旨、目的が十分活かされる内容としていく。
六 モーダルシフトの推進と東京港の振興について
〇馬場委員 最後に、モーダルシフトの件で伺う。今日の国内貨物輸送を見ると、モータリゼーションの進展とともに、トラックを初めとした自動車輸送が主役の地位を占めている。しかし、これからは、船舶等、環境負荷が少ない輸送機関にもっとシフトしていかなければならないのではないかと考えている。知事は、ディーゼル車対策等、積極的に環境問題に取り組まれている。東京都の全能力を発揮して、自動車輸送のみでない、新しい環境負荷の少ない施策について、将来的にもぜひ導入に向けて検討をしていただきたいと思うが、いかがか。
●浪越港湾局長 モーダルシフトに対する取り組みについて、今日の国内の海上輸送についていえば、船舶の大型化とか高速化、さらにはローロー船などを用いたコンテナ化などの輸送革新が進んでいる。輸送手段も、今までのようなトラックから、今後、環境負荷の少ない大量輸送機関、鉄道や船舶への転換が必要になってくると思う。そういうことで、東京港においても、モーダルシフトの受け皿として積極的に機能していくためにも、輸送革新に対応したユニットロードターミナルや、港と首都圏各地を結ぶ道路網の整備などをより一層進めていきたいと考えている。
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