平成13年 総務委員会

2001年10月16日

馬場裕子

一 文書総合管理システムにかかわる入札について
二 電波障害について

三 職員の旧姓使用について

一 文書総合管理システムにかかわる入札について

◯馬場委員 私は三点お伺いさせていただきたいと思います。
 まず初めに、今、矢部委員の方からも電子都庁の推進ということでいろいろ質疑がありました。木谷室長初め大変ご尽力いただいていると私も思っておりますし、このことについてはぜひ積極的に進めていただきたいと思っております。
 私はちょっとそこから外れるのですが、残念なことといっていいでしょうか、先ごろ、総務局さんが所管をする文書総合管理システムにかかわる入札で、非常に低い価格での落札があったというお話を伺いました。この件は、先日の財政委員会で民主の林委員から質問いたしましたが、きょうは所管の総務委員会ということでございますので、私からも少しその辺、確認をする意味で聞かせていただきたいと思います。
 まず、この入札がどのようなものだったのか、システムの内容、入札の経過など、概略をご説明ください。

◯木谷IT推進室長 お尋ねの文書総合管理システムでございますけれども、年間百万件に上る起案など文書事務の効率化を図るために整備する、電子都庁の基幹システムの一つであります。平成十三年度と十四年度の二カ年の開発を予定しておりまして、十三年度予算額八千五百万円で、全体の基本設計及び二つのサブシステムの開発を行うことになっております。
 このシステムの入札については、七月の二十四日にWTOによる特定調達案件の入札公告を出しました。九者の希望があり、そのうち、指名業者選定委員会によって選定された七者で九月十九日に入札を行いました。結果、日立製作所が七百五十円で落札をしたものです。

◯馬場委員 この入札の予定価格が、今お答えがありましたように八千五百万円ほどと伺っています。それが結果的には、普通では考えられない七百五十円という価格で落札された。このときの最高入札価格が一億三千万ほどというふうに伺っているんですが、すさまじい入札価格の幅があります。このような、特に七百五十円の入札というような価格で契約できるということは、私も含めて都民には、どうしてこういうことが起きるのかと。いろいろなところで以前にも事例はありましたけれど、今回、IT化を進めている都庁の大事な入札の中でこのようなことが起きたということを、まずどのように認識していらっしゃるのか、お伺いします。

◯木谷IT推進室長 この件に関しまして、既に十月十二日の金曜日に経済産業大臣の談話が発表されております。公正競争阻害のおそれ、ソフトウエアの価値をみずから否定、質の高い電子政府への障害というような観点から、遺憾の意が表明されております。
 現在の法に基づく入札制度上、今回のような結果が出ることはやむを得ない部分がありますが、所管する私どもとしても政府と同様の危惧を持っており、発注者側として今後対策を講ずる必要があると認識しています。
 また、本契約の締結に当たっては、確実な履行を担保するために、誠実に業務内容を履行する旨を内容とする誓約書を、財務局が日立製作所から徴しております。

◯馬場委員 このことを私が推察するには、七百五十円で入札をしても、採算というかそれで事業ができるということが裏にあるという、このことは私の推測ですが、企業側に、都庁と契約するということがある種のステータスになる、今後ほかとの契約をする場合に有利になる、そんなような思惑があったのではないでしょうか。あえていえば都庁ブランドというようなものが欲しかった、その費用としてこの差額があるというふうに思われるんです。
 今のお話で、私も、今後の事業を進めていく上で、この七百五十円という価格できちんとその事業が担保されるのかということを心配しておりましたけれど、今の室長のお返事で、きちんと誓約書を取られたということ、それから、それなりのメーカーさんであるということで、今回のことは何とかクリアできたというふうに思いますが、今お返事いただいたように、この低価格の入札という問題、ルール違反といえるかどうかというのもありますが、電子都庁をこれから進めていく上で、まだ十四年度ももう一年残っているというお話もありました。今後、このことについて具体的にどのような対策を立てていくおつもりか伺います。

◯木谷IT推進室長 今後の問題でございますけれども、先ほど政府の動きをご紹介いたしましたが、今回のような安値入札を防止するために、経済産業省では政府として対策を講じていく、検討しているというふうに聞いております。
 実は、東京都でも既に、先般行われた財務局の電子調達システムの入札におきまして、総合評価の加算方式という、これは今回政府が進めている内容でありますけれども、これを導入いたしまして、改善に向けた取り組みを進めております。
 今後、国の動向を踏まえながら、財務局とも協議をし、大規模なシステムについては、技術力に比重を置いた総合評価方式や、初年度費用だけではなくて運用経費等も含めたライフサイクルコストを考慮するなど、新たな情報システム開発発注方式の導入を検討していきます。

◯馬場委員 お答えいただきましたように、これは東京だけの問題ではありません。そういう意味で国がきちんと対応を図ることは必要だというふうに思っていますが、もう都は乗りかかった船で、即、次も待っているというような状況だと思います。そういう中で、国の動向を見ていて、今後大丈夫なのかなという思いがどうしてもあるんです。
 もう一度確認させていただきたいんですが、今後の入札等を含めて、本当に都としてきちんとできるのかどうかというところをお返事をいただきたいと思います。

◯木谷IT推進室長 既にIT推進室の中でも、それから、先ほど申し上げましたように財務局の電子調達システムの中でも、IT推進室も一緒に検討しながら、どうやったら都民から不信感を持たれないような入札ができるのかということを検討を始めております。
 そして、その方向においては、単に価格だけではなくて、技術力に比重を置いた総合評価方式、これにもいろいろありますけれども、それから、初年度だけではなくて全体のコストを勘案した、考慮した発注方式というようなことを含めた、新しいシステム開発の発注方式の導入を検討していきます。

◯馬場委員 推進に向けて忙しいところで、こうした入札に向けてさらに対応しなければならないということで、大変だと思いますが、こういう経済の状況の中で、ますます競争は激しくなるでしょうし、そういう意味では、都の方向、対応というのも、逆に国の方が参考にするような状況も出てくるのではないかと思うほどですので、ぜひその点は、IT化と同時に、この辺の入札システムも含めて、順調にいくように、木谷室長初め局長によろしくお願いを申し上げて、この質問は終わります。

二 電波障害について

◯馬場委員 次に、私は、十数年前から実は地域の電波障害、高層ビル等の電波障害問題に取り組んでまいりました。しかし、この電波の問題は国の所管ということで、都でもなかなかこの対応、どこでどうということが大変難しいということで、ずっと宿題のように抱えてきているんです。
 今回、総務局の事務事業概要の中で、都が原因者として持っている都庁舎を初め、ほかのところもあるんですが、総務局としては、この大きな都庁舎のテレビ電波障害対策について、この大きな都の中でのこれからの電波障害対策のリーダーシップをとれるような、そんな障害対策をとっていただきたいという思いも含めて、電波障害について質問をさせていただきます。
 都庁舎、平成三年に移転し、ここができたということでございますが、十年を経て、今現在どのような状況、課題をお持ちであるのか、まず伺います。

◯木谷IT推進室長 本庁舎の建設によりテレビ電波障害が発生した中野区、杉並区、練馬区、それから埼玉県新座市の一部地域について、テレビ電波障害対策を実施しています。具体的には、電波受信施設を五カ所設けて、ケーブルによって電波障害箇所に送信しています。
 また、練馬区下石神井に東京都テレビ共同受信センターを設置し、設備の故障、事故及び住民からの相談等に迅速に対応できるよう体制をとっております。
 それから、中野区につきましては、区の意向を踏まえて、地域CATVの利用による電波障害対策を実施することとし、平成十三年四月一日から中野区へ事業を移管いたしました。
 今後の課題ですけれども、設備が老朽化していきまして、それによるメンテナンス費用の増大等があります。これが課題だと思っております。

◯馬場委員 お答えいただきましたように、これは都庁舎だけでなくほかの地域でも、早くこの障害対策をしたところは、メンテナンス、老朽化に問題が起きて、それなりの地域の問題というふうになっているんですが、東京都、大都市として全体でこの対策が立てられてこなかった。今お話がありましたように、中野のケーブルへの参加、出資、これは七億円ぐらい出資をして、中野区は今回、都庁の電波障害対策から区のCATVへとお移りになったと伺っていますけれど、残っているところも含めて、都としても予算も含めて相当かかってくるというふうに思います。
 この中野の例もありますが、都庁IT推進の中で、全体の都の模範例となるようなといったらいいのでしょうか、原因者として都の責任だけを、国の制度の原因者負担という中だけでやるのではない、都の施策というものを私は期待しているのですが、今後その辺はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

◯木谷IT推進室長 中野の例、先ほど申し上げまして、理事もそのことをご指摘されていますが、ご指摘のように、近年、都市型CATVの普及が進んでおりまして、特にブロードバンドの一つの重要な手段としてCATVが再び着目をされております。
 今後については、中野区のようにCATVを利用した対応が、コストやサービスの向上の観点からも望ましいと考えております。今後、中野だけではなくて、練馬区等他の地域においても、関係自治体と住民の意向を聞きながら、インターネット機能を含めた都市型CATVへの転換を進めていきたいと考えております。

◯馬場委員 この電波障害、ある意味では山を越したといえるのかもしれませんが、しかし、いまだに、大きな再開発を含めて、ビルを建てるときの大きな費用の一部になっているのが、この電波障害対策だというふうに思っています。
 こうした費用を今まで積算すれば膨大な額になるのではないか、計算できないぐらいではないかと思っているんですが、それをもっと早く何らかの手を打っていれば、今ごろ東京はもう電波障害の心配のない都市になっていたのだと、私は残念でなりません。
 そういう意味では、東京が率先して、全体の電波、通信も含めての効率化も含めて、都民へのサービス、いろんな点でリーダーシップをとっていただいて、この電波障害対策、画期的な提案も含めてぜひお願いをしたいと思います。

三 職員の旧姓使用について

◯馬場委員 最後、三問目に、これはいったら失礼でしょうか、アメリカのニューヨークの同時多発テロの影響をある意味で受けてというふうに私は今思っているんですけれども、国の方で実は選択制夫婦別姓、この民法改正がことしはできるのではないかというふうに私たちは思っていたのですが、急を要する法案がたくさん入ってきたということで、実はこの夫婦別姓の問題も先送りにならざるを得ないような状況だというふうに聞いております。
 そういう中で質問をさせていただきたいのは、だからこそといったらいいのでしょうか、この庁舎内で職員の皆さんの旧姓使用について、きょうは最後にお伺いさせていただきます。
 実は私も二年半前、十一年の二月の予算特別委員会のときにも聞かせていただきました。そのときのお答えは、引き続き調査をするということだったのですが、その後、東京都の男女平等参画基本条例の制定、その前文にもきちんと、男女平等参画社会の実現を目指すというふうに入っておりますし、その後の行動計画等を含めて、男女平等参画へ向けてのさまざまな取り組みが順調に進んできているというふうに思っています。そういう中で、十一年の二月に質問させていただき、引き続き調査をするというお答えをいただいたままで二年半がたちました。
 一方で国の方は、この七月に国家公務員の旧姓使用を公式に認める方針を決めたと聞いております。国が決めたその内容というのはどんなものでしょうか、まずお伺いいたします。

◯山内人事部長 本年七月十一日に行われました各省庁人事担当課長会議におきまして、国の行政機関での職員の旧姓使用に係る取り決め方針の申し合わせが行われました。
 これによりますと、職員が婚姻等により戸籍の姓を改めた後も引き続き婚姻等の前の戸籍上の姓を文書等に使用することを、本年十月一日から認めることとしております。
 その範囲でございますが、基本的には職場での呼称、それから座席表、職員録、電話番号表、原稿執筆、人事異動通知書、出勤簿、休暇簿の八項目とされております。

◯馬場委員 国で八項目を十月一日から認めることとなった。
 それでは、東京以外の自治体で、この旧姓使用の状況はどのようになっているでしょうか。以前に比べてふえているというふうに思いますが、いかがでしょうか。

◯山内人事部長 他団体における職員の旧姓使用の状況でございますが、現在、他県においては、四十七都道府県のうち十七県、それから政令指定都市では四市、東京都内では、二十三区中十五区、それから都下の九市において実施されております。
 また、以前との比較でございますが、平成十一年当時においては、他県について三県でございました。そういう意味で、旧姓使用を実施している団体は、その当時と比べて増加しているといえると思います。

◯馬場委員 二年半前に三県であったものが、今お話しのようにかなりふえてきている、そして国も実施している、そういう状況にあります。
 同じ十一年の三月、所管の総務委員会で民主の和田委員からも、この同じ旧姓使用について質疑をさせていただきました。そのときに、部長は、この旧姓使用は時代の流れというご認識を述べられているのです。それから二年半が過ぎ、今お答えいただきましたように、国やほかの地域ではある意味では順調に流れているといえると思うのですが、都はこの二年半、そういう意味では流れが見えてきておりません。
 この発端というか、資料として、私も質問させていただいたときに、平成十年に男女平等に関する都職員の意識調査というのを生活文化局さんで行った、その結果、旧姓使用は賛成であるということが出ている。数字で申し上げれば、女性の賛成者九一・六%、男性七六・九%、全体では八一%。で、男性の管理職も含めて職場での賛成、これも八割を超えている。特に二十歳、三十歳代は九四%という高い状況にあるという都の職員の調査結果がありました。
 それから、今回質問させていただくということで調べていただきまして、私の方から述べさせていただきますが、知事部局等で、二十歳それから三十歳代、この両者で約二万一千三百名、それから四十歳から六十歳代までで三万。全部の職員で今は五万一千人いらっしゃるわけですが、そのうちの二十から三十代が約二万人いらっしゃる。特に二十歳代では、男性三千六百三十二人に比べて女性の職員は五千三百六十六人いらっしゃる。いわゆる結婚適齢期の二十歳から三十歳代で二万人いらっしゃるという、この数字がまずあります。
 それから、この約十年間に結婚等で姓を変えられた人も調べていただきました。平成三年から十三年の十月までの全部の合計で、十年半になりますが、男性百九十九名、女性四千七十七名、トータル四千二百七十六名の方が姓を変えていらっしゃいます。このうち、平成三年から十二年で男性百八十二名、女性三千六百七十名。十三年度、つまりことしの四月から十月の十二日、先週までのこの半年間であっても、男性十七名、女性四百七名という方が姓を変えていらっしゃいます。
 特に、前回質問をさせていただいた十一年から現在までの二年半の間に、男性五十名、女性は一千百名の方が姓を変えられている。つまり、私どもの質問に都が検討をしているとお答えいただいた間にも、これだけの方が姓を変えられている。こういう状況があるということを私は申し述べたいと思います。
 国でも、二十代、三十代の方が、通称、旧姓も含めて夫婦別姓の賛成派が大変ふえている。そういう状況の中で、東京がいまだに検討をしているという状況、これは都として何か問題があるのでしょうか。問題があるのであれば、具体的に教えてください。

◯山内人事部長 旧姓使用を認める場合の問題点についてでございますが、例えば給与事務について申し上げますと、納税事務が住民基本台帳に登録されている氏名で行われているため、所得税や住民税の源泉徴収の関係から、戸籍名でないと事務処理に支障が出てしまうことがございます。さらに、銀行口座の氏名も、運転免許証、住民票の写し等により本人確認が行われているため、給与振り込み事務についても戸籍名で行う必要がございます。また、契約書、それから立入許可証、証明書といった法的効果を発する行為に関するものについても、戸籍名でないと問題が生ずるおそれがあるというふうに考えております。

◯馬場委員 今、できないことの問題点をとお尋ねしたので、たくさんお答えいただいたんだと思いますが、これら、確かに法を改正しなければできないことはありますけれども、本日の質問の最初にお聞きしましたように、国や各自治体では実施をしている。それは、できないことはおいて、できるところからやろうと。さきに申し述べました旧姓使用についての希望が職員の中に多くあるという、このことも含めて、できるところから進めないといけないと思っています。例えば名札とか職員録のように問題がないと思われるところで始めていく、こういう姿勢が必要だというふうに思います。
 国が七月に旧姓使用の方針を決めて、十月から実施している。自治体での実績もふえている。それから、何度も申し述べますが、職員の意識調査でも旧姓使用を望んでいる。このことを踏まえて、とにかく一刻も早く都でも旧姓使用を認めるべきだというふうに強く申し述べさせていただきますが、この点いかがでしょうか。

◯山内人事部長 国が十月一日から実施していること、また他団体も平成十一年当時と比べてかなりふえてきている、そういった動向がございます。また、先生おっしゃられました都職員の意識などについても、かなり要望が強いといったこと、私どもは、その点について十分承知しております。
 いずれにいたしましても、こうした点も踏まえつつ、現在進めている調査検討を一層精力的に行いまして、早い段階で結論を出せるように引き続き努力していきたい、こういうふうに考えております。

◯馬場委員 今、十分承知しているというお答えをいただきました。承知をしているのであれば、このことが少なくとも二年半の間こういう状況であったということの問題の認識について、私もあえてお尋ねしませんが、とにかく今年度いっぱいにはこの調査の結論を出す。旧姓使用の方向で検討していただいているわけですから、少なくとも今年度いっぱいには結論を出され、四月から旧姓使用が認められるということを、今のお答えの中から私は受け取らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。お答えいただけるとありがたいのですが、ぜひそういう方向で検討いただけるということを希望いたします。

◯山内人事部長 国や他団体の動向、また都の職員の意識などについても十分私どもも承知しております。こうしたことを踏まえつつ、早い段階で結論を出せるように引き続き努力したいというふうに考えます。