平成13年 総務委員会

2001年11月6日

馬場裕子

一 明るい選挙推進運動について
二 人事制度について
三 監査委員監査について

一 明るい選挙推進運動について

◯馬場委員
 私も、このことしの二つの大きな選挙を、六月から七月にかけて実際に候補者として、また政党の一員として選挙に携わってまいりました。今また、ちょうど今週は葛飾区で行われているという、そういう選挙の状況なんですが、投票率がやはりどうも全体的に下がってきているのではないかなという感じを受けています。このことは大きく、候補者である私たち、私といった方がいいでしょうか、にも問題点があるというふうに思います。また、政治がそのときにどんなふうに大きく問題点を抱えているかというようなこともあると思いますが、やはり大きくは選挙そのものが、それぞれの都民の皆さんに、どういうふうに考えて取り組んでおられるか、そういう大きく都民へ向けての選挙活動ということが問われなければいけないというふうに思っています。
 きょうの質問は、そういう中で前から気になっていたんですが、いわゆる明るい選挙推進運動というのが昭和三十年ぐらいから行われていまして、今現在でも、明るい選挙推進運動ということで、地域の方々が携わっていらっしゃるんですが、この事務所が東京都の選挙管理委員会の中に置かれているということで、きょうは、この明るい選挙推進運動について何点か質問させていただきたいと思っています。
 まず、この運動の概要、そして組織、仕組みなどについてお答えいただけますか。

◯橋本次長
 明るい選挙推進運動でございますけれども、これは、選挙が公明かつ適正に行われ、国民の意思を政治に正しく反映させる選挙を進めるための運動でございます。昭和二十七年の衆議院議員選挙での選挙違反を契機に、同年、公明選挙運動というのが始まりまして、昭和四十九年から明るい選挙推進運動と改称されて現在に至っているものでございます。
 この運動は、都や区市町村に置かれております民間団体である明るい選挙推進協議会、あるいは国の財団法人であります明るい選挙推進協会というのが中心になりまして、都及び区市町村の選挙管理委員会でありますとか、国の総務省などと連携いたしまして、それからまた青年団体あるいは生涯学習団体とも協力いたしまして推進する体制がとられているところでございます。
 また、明るい選挙推進運動の実際の具体的な活動を担っておりますのが、各地域の明るい選挙推進委員でございます。この推進委員は、都と区市町村の明るい選挙推進協議会が合同で委嘱しておりまして、都内に約四千四百名の方がいらっしゃいます。

◯馬場委員
 四千四百名、地域でも活動している方がいらっしゃいますので、そうかなというふうに思いました。この国の財団法人明るい選挙推進協会、そして都と区の団体、これは、それぞれのレベルでどのように分担、また連携をしてこの活動をなされているのか、伺います。

◯橋本次長
 財団法人の明るい選挙推進協会といいますのは、明るい選挙推進運動を行っている全国団体でございまして、全国に共通する選挙啓発のリーフレットの発行ですとか、都や区市町村の明るい選挙推進協議会への情報提供など、全国レベルの活動を行っているところでございます。
 都や区市町村につきましては、両者の明るい選挙推進協議会が委嘱いたしました明るい選挙推進委員が、民間団体としての特性を生かしながら、各地域に密着した啓発活動を行っているところでございます。

◯馬場委員
 地域の皆さんが民間団体としてその特性を生かしというふうに、今ご答弁がありました。この明るい選挙推進委員というのは、それではどんな活動を主にしていらっしゃるのか、伺います。

◯橋本次長
 明るい選挙推進委員の活動でございますけれども、中心となっておりますのは話し合い活動ということでございます。これは、推進委員の方がその地域の人たちと、日常生活の中の例えば環境問題でありますとか福祉の問題など、身の回りの話題について話し合う際に、あわせて、これらの問題と密接な結びつきのある政治と選挙に関心を深めてもらって、有権者の意識の向上につなげていこうという活動でございます。

◯馬場委員
 話し合い活動というご答弁があったんですが、地域で見ていると、余りこの辺は見えてきませんで、選挙の折、またいろいろなイベントのときの、投票、明るい選挙の呼びかけというようなことはよく目にします。政治と選挙に関心を深め、有権者の意識の向上につなげていこうとするというご答弁がありましたけれども、早くいえば啓発というような運動になると思いますが、それでは、この明るい選挙推進委員がなさっているこうした啓発の活動と、東京都の選挙管理委員会が行っている啓発活動、この関係はどんなようになっているんでしょうか。

◯橋本次長
 明るい選挙推進委員の方の活動は、選挙時における啓発活動と、日常における啓発活動というのがございまして、日常における啓発活動は、先ほど申し上げました話し合い活動などを通じて関心を高めていく、有権者意識の向上につなげていこうという活動でございます。これにつきましては、東京都との関係ということですと、東京都と連携して、例えばそういった話し合い強調月間を設定してやっていくといったような関係がございます。
 それから、選挙時における啓発活動でございますが、都選管が行っている選挙時の啓発活動は、新聞、ラジオそれからポスター、懸垂幕の掲示などによる選挙の周知でありますとか、都民参加型啓発としてのキャッチコピー、川柳などの募集でありますとか、それから、都議選のときに行いましたけれども、都民ウオーク大会の実施でありますとか、街頭における啓発グッズの配布などの実施をしたところでございます。これらの街頭啓発活動あるいは選挙時啓発活動において、明るい選挙推進委員の協力を得ながら、一緒に街頭啓発を行うといったようなことで、両者密接に連携をして活動しているところでございます。

◯馬場委員
 平常時の活動と、選挙のときの活動というふうに二つ大きく分かれると思います。この明るい選挙推進協議会及び推進委員は、民間の皆さん、民間団体だというふうに何度もおっしゃられているんですが、その活動において、選挙ということで、私どもには、やはりこの推進活動をする上で心しておかなければいけないことがたくさんあるということも含めて、耳にするんです。
 それでは、この明るい選挙推進委員の活動をするに当たって、こういうことはいけないというふうな、そういう制約等はあるのでしょうか。

◯橋本次長
 明るい選挙推進委員の役割でございますけれども、これは、国民一人一人が有権者としての自覚をしっかりと身につけ、選挙の意義を理解し、自分の意思を正しく表明するよう働きかけることでございます。
 したがいまして、推進委員として活動するときは公正かつ不偏不党であるということが求められまして、こうした推進委員の性格上、行動には一定の制約がございます。
 このため、推進協議会におきましては、推進委員の委嘱をする場合、このような制約があること、また、こうした制約が自分にとって不都合が生じたような場合には、いつでも推進委員を辞退できるというようなことを十分理解していただいた上で──区市の推進協議会に、そういうことを理解してもらってくださいよということでお願いをしているところでございます。

◯馬場委員
 民間団体と制約という大きな、難しいというか、問題があるんですが、実際にこう拝見していると、その活動に一生懸命になればなるほど、お互いに制約をしてしまうという傾向が見られるのではないかなというふうに思っています。それも、選挙時、選挙の最中ということだけでなく、平常時も含めて、政治活動ということについて、何というんでしょうか、近づいてはいけないというような感じに受け取られている。それが、だれかが、一般的な──私たちも、もちろん議員ですから、さまざまな集会、イベント等開きますが、そういうところへの参加ということも含めて、個人のそういうところに参加するということが、お互いに指摘される。そんなようなことも含めて、この明るい選挙推進委員という肩書が、個人の活動にとってとても判断しづらい部分と、それから、とても重い感じに受けとめられる、そんなような状況も生じているのではないかなというふうに思っています。
 清く明るく正しい選挙という、標語もいつも出ていますが、本来だれもが、自分の生活の部分をきちんと選挙という形の中で、何というんでしょうか、投票活動また政治活動という形でできるという権利でもあるわけですから、民間の団体であるこの明るい選挙推進委員の皆さんが、この辺の判断がとても難しい状況にあるというところは、何らか、私たちにも、その制約をわかりやすいものにしていかないと、政治に対して、選挙は行ってくださいという運動はしていくけれども、盛り上がりに欠ける。なぜ選挙に行くのかということも含めての盛り上がり、肝心なところの、推進委員さんの今目的としているところが伝わらないのではないかなというふうに思っていますが、この辺の、選挙に、政治に対する推進委員さん、この体制というんでしょうか、このことについてどういうふうにお考えでしょうか。

◯橋本次長
 本来、有権者の方ご本人がどういう政治活動をするかということにつきましては、憲法上参政権が保障されているわけですから、当然に自由でありまして、それについては問題はないわけでございます。ただし、明るい選挙推進委員として活動する場合につきましては、先ほど申し上げました運動の趣旨からいいまして、その行動によっては、特定候補の選挙運動をしているという誤解を受けるような問題が出てくるおそれもございますので、明るい選挙推進運動の先ほど申し上げました趣旨からいって、そのあたりの十分な配慮が必要ではないか、こういうふうに考えております。

◯馬場委員
 最後に要望というか、今の質疑の中で出てきた問題点を何点か指摘させていただいて、今後の検討課題にしていただきたいというふうに思っています。
 本来、今の答弁にあるように、個人の政治活動は規制をされるものではありません。また、民間の団体として、本来の自主的な活動というのがされているんだろうか。民間団体とおっしゃられながら、選挙管理委員会事務局の中に事務所を置き、その事務局を選挙管理委員会事務局が務めていらっしゃるのではないかと思います。そういう中で、さらに、民間団体とされる東京都明るい選挙推進協議会と区市町村の協議会で、その委員さんを委嘱するという形での今までの進め方ということ、このことももう少し検討される。つまり、民間団体として政治活動に、この明るい選挙に携わっていくのか、それとも、きちんと東京都なり公的な選挙の手伝いを、明るい選挙を執行するに当たってそのルールを守るという意味での民間団体としてやっていくのか、その辺の、この明るい選挙推進委員の役割というのをもう少し整理すべきではないかなというふうに私は思っています。選挙の方法をきちんと守る、ルールを守るという意味での活動をもう少し明確にしていくということ、そして、政治への参加等は逆に緩和をしていく、政治活動についての参加は積極的にしていく、そんなようなことができないのかなというふうに思っています。
 私も、「明るい選挙推進ノート」というのをいただきましたが、この一番最初のこの規約のところにもありますが、昭和四十九年でしょうか、五月に第五次改正がなされてから二十七年、もうこのままの形で来ています。政治の形が随分変わってきたというふうに思うんですが、この明るい選挙推進協議会、この形ももう少し今の時代に合わせたものに変えていく、そういう時期にあるのではないかというふうに思っています。
 また、この規約を読ませていただきますと、委員の組織なんですが、一番初めにある学識経験者、ここは分かります。その二番目にあります東京都教育委員会委員長の職にある者という規定、それから、三番目にあります東京都選挙管理委員会委員及び事務局長の職にある者、これはもう完全に、東京都の選挙管理委員会の委員さん全員と事務局長さん、そしてさらに東京都教育委員会の委員長。今現在では清水委員長が、この明るい選挙推進協議会の会長も務められている。全部で十二名いる委員さんの中で六名は、教育委員会委員長と選挙管理委員及び事務局長、民間の方は残りの六名というような状況にあります。これで本当に民間の団体、また各地の区市等の連携も含めて、民間のその活力を生かすような協議会になっているのかなと、そういう気がいたします。
 また、もう一点。では、国の財団、この動きと今までの動きが、改正の動きも連動してきているように思うんですが、やはり都みずからの協議会の活動として、この目的をきちんと実行される、そうした協議会にもう一度見直しをしていただきたい、このことを要望して、私の質問を終わります。

二 人事制度について

◯馬場委員
 本年も、職員の給与に関する報告と勧告が先日、十月の四日に出されました。都の職員のみでなく、都における最大の職場というような、そうした意味からも大きく関心が持たれている、今、そんな時期にあります。そこで、今、社会経済状況が大変急激に変化をしている、民間、公務員を問わずに、構造改革、構造変革が求められている、こうした時代の転換期にあればこそ、長期的な展望のもとに綿密な制度改革というものが必要であると、私は考えています。
 人事委員会が毎年出している職員の給与に関する報告と勧告の中で、人事制度に関する報告を行っていらっしゃいます。十三年の勧告を見ても、今後の人事制度のあり方と題して、能力業績主義の推進などの提案がされていることが見てとれます。こうした提言はどのような立場から行っていらっしゃるのか、現実の都の人事制度改革に具体的にどのように生かされているのか、まず伺います。

◯砂岡任用公平部長
 人事制度等に関します報告についてでございますけれども、これは、人事委員会の専門的な機能を生かしまして、人事、給与制度を社会一般の情勢に適応させる視点から行っている調査研究の成果というものを、給与勧告とあわせて報告をしているというものでございます。その内容が直ちに任命権者を縛るといったものではございませんけれども、任命権者として十分その趣旨をご理解いただき、尊重していただいていると認識しているところでございます。
 具体的には、最近の例で申し上げますと再任用制度の導入、これは昨年度でございました。業績評価、自己申告制度の充実、これは例年やっておりますが、こうしたものにつきまして、人事委員会が行った報告の趣旨を十分に踏まえていただきまして、任命権者が制度の構築を行い、職員団体との協議などの手続を経て制度化がなされているといったものでございます。

◯馬場委員
 給与に関する勧告がやはり大きく取り上げられていますが、私は、今質問させていただいたように、今後の人事制度のあり方というのが報告とともに毎年出されている、この人事制度についてのところが大変大きくこれからは問われてくるのではないかなと思っています。
 そういう意味で、今、再任用制度の導入等の制度化がされ、また、任命権者としてのお立場からこのことを尊重していただいているというふうにお答えがありましたけれども、例えば、先般、東京都の教育庁は、学校現場をめぐる新たな課題に的確に対応していくため、学校の組織、機能の向上を目的として、従来の主任にかわる新たな監督指導職の設置に向けた検討を始めているということがあります。こうした新しい制度の導入は、国やほかの自治体にはない都独自の取り組みとして注目されております。今後、具体的な検討が進むというふうに思われますが、こうした中で、人事委員会として、こうした新しい制度の導入に向けてどのようにかかわっていくのかというところを教えていただきたいと思います。

◯砂岡任用公平部長
 お話にもございましたけれども、教員の新たな職の設置につきまして、教育長の諮問機関として検討委員会が設けられまして、検討しているということでございまして、先般、中間の報告があったということでございます。
 教員の任用制度につきましては、教育委員会が所管しておりまして、人事委員会として直接的な権限というものはございませんけれども、給与制度につきましては、知事部局の職員と同様、人事委員会が給与勧告の権限がございます。こうしたことから、当委員会といたしましては、今後、職責に応じた適切な処遇のあり方の観点、これを十分検討していく必要があると考えております。現時点におきましては、教育委員会における検討状況を注目してまいりたいと考えております。

◯馬場委員
 先ほども述べましたように、新しい改革が行われていく中で新しい制度をつくっていく、そういう中で人事委員会が、社会的な意味も含めての提言をしていく、かかわっていく、そういうことが本来大きく取り上げられてこなければいけないのではないかなというふうに私は思っています。今例に出しました主任にかわる新たな制度、このことについても、これから東京都教育庁が進められていくと思いますが、その中で、人事委員会として適切な提言、その組み立ても含めて、この制度改正に対して、都民の利益につながるものなのかどうなのか、また、出されてきたものが適正なのかどうか、教職員がその制度を受け入れてやっていくということについて、ぜひ人事委員会としての意見を的確に出され、さらにそれを情報公開、その過程を報告いただきたいというふうに思っています。
 この事業概要を見せていただいて、労働基本権がないということで、さまざまなこれにかわるいわゆるセーフティーネットといっていいでしょうか、公務員制度の大きな変動期にあって、公平審査制度というのが一層重要になると考えます。この点についてどのように考えていらっしゃるのか、伺います。

◯須々木審査担当部長
 公平審査制度でございますけれども、ご案内のとおり、現在、勤務条件に関する措置の要求の制度、それから、不利益処分についての不服申し立ての制度がございます。
 まず、勤務条件に関する措置要求制度でございますけれども、労働基本権の制約の代償措置ということで設けられておりまして、給与、勤務時間、執務環境、そういった勤務条件の措置に関して、いつでも人事委員会に申し入れることができるということでございます。
 人事委員会創立後五十年たちますけれども、今までに措置要求者は約三万二千人ありました。人事委員会には、措置要求事案につきまして、関係当事者の交渉の勧奨あるいはあっせんというのを行う権限もございます。勤務条件の維持改善を求めるという意味でのよりどころといたしましての意義は大変大きいというふうに考えてございます。
 それからもう一つ、不利益処分についての不服申し立て制度でございますけれども、職員の身分を保障するということで設けられておりまして、分限、懲戒、その他不利益の処分につきまして、処分を知った日の翌日から六十日以内であれば人事委員会に申し出ることができるという制度でございます。
 いわゆる裁判の関係につきましては、こういった人事委員会の裁決が出るか、あるいは、人事委員会に不服申し立てをしまして三ヵ月を経過しても人事委員会の裁決が出ない場合に限って訴訟ができる、こういった制度でございますけれども、やはり、人事委員会創立以来、不服を申し立てた数、約八千二百名ほどあります。この制度は、行政内部におきましての身分上の救済を求めるという意味では、最後のよりどころといたしましての意義は大変大きいものと思っております。
 先ほどちょっとお話がございましたけれども、今後、公務員制度をめぐる環境がいろいろ変化してまいるというお話がございましたけれども、措置要求制度とともに一層重要になってくるというふうに認識してございます。

◯馬場委員
 本当に最後のよりどころという、大変大きな意味があるなというふうに改めて思いました。
 しかし、この事業概要の中の報告をいただいている結果を見てみますと、ほとんどが棄却とか却下とかという形で出てきております。結果としてこういうことであればいたし方ないというふうに思いますが、最後のよりどころとしての認識を持っていらっしゃるということで、ぜひこの公平審査制度というのが十分に生かされることを願ってやみません。
 最後に、今お話がありましたように、政府でも公務員制度改革が大きく進められています。地方自治体である東京都は、東京都としてふさわしい独自の改革を進めていくべきであり、またその際、中立、公正な立場からの人事委員会の役割は、今後も引き続き大変重要であると考えております。この確かな制度改革を進めていくに当たっての人事委員会の取り組みと決意を伺わせてください。

◯砂岡任用公平部長
 現在、社会が大きく変革をしていくという中にありまして、都職員の人事、給与というものを社会一般の情勢に適応させ、都民の信頼と納得を得られる仕組みを構築するためには、中立、公正な第三者機関、専門機関として、そうした立場から人事行政の適正化を図っていくということはますます重要であると考えております。
 具体的な制度改革に当たりましては、任命権者と連携しつつ、実現に向け積極的な努力をしてまいりたいと考えております。

◯馬場委員
 ありがとうございます。公務員の皆さんの立場からすると、頼りになる人事委員会であってほしいという思いではないでしょうか。
 また、さきに述べましたけれども、人事委員会の勧告の基準というのが、民間のそれぞれの事業所との比較ということ、大きくそこに基準を置いていらっしゃる。そこで公務員の給与が確定をし、またそのことが、民間の中小を含めてのある意味で給与の基準になっていく。そんな繰り返しで今まで参りました。これが、ある意味では大きな時代の働き方の多様化とか、価値観のさまざまな変化の中で、また、事業の実効性等、さまざまな要求の中で、この都の中でも、能力主義、また、評価をする、行政評価も含めて、人事考課等も含めての評価ということが大きく出てきました。そういう意味では、この人事委員会が公平であるということを守っていく、職員の公平性を守っていくという意味から、また、初めに述べましたように、この都という職場が大きく地域に影響するというところからも含めて、人事委員会の役目は大変大きいものがあるというふうに改めて思っております。今後も、この勧告と同時に出されている人事制度のあり方等について、具体的に、そしてさらに積極的に取り組まれ、そして、知事また知事部局も含めて、それぞれの関係所管、任命権者の皆さんにきちんとこのことが尊重され、きちんとした制度化がされるということを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

三 監査委員監査について

◯馬場委員
 昨年のこの委員会で、我が会派の藤川委員が、十二年の七月に出されました、都における監査委員監査のあり方検討委員会報告に関しまして質問をしております。その質問に対しまして、監査手法の充実あるいは監査の専門性の向上、さらにわかりやすい監査情報の都民への提供など、監査機能の充実強化のための提言は、いずれも積極的に取り組んでいく必要があるとのご答弁をいただいております。平成十三年度において、この観点から具体的にどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、まず伺います。

◯細渕次長
 監査委員監査のあり方検討報告の提言に係ります平成十三年度の取り組み状況についてでございますが、まず、監査手法の充実策といたしまして、従来主として、会計経理が予算や法令等に従って適正に処理されているかといった合規性の観点から実施してまいりました財務監査につきまして、事業の有効性、効率性の視点を加えた定例監査として実施をしております。また、新たに事業評価手法による行政監査を導入することといたしまして、現在、低公害車の普及促進事業など十の事業について監査を実施しております。
 次に、情報提供手段の充実策といたしましては、昨年十一月に監査事務局のホームページを立ち上げまして、その充実改良に努めているところでございます。

◯馬場委員
 監査委員監査のこの制度は、都の行財政の公平性を都民に訴えていくという意味でとても重要な制度であるというふうに理解をしていますし、また、実際に監査を行っていく上でいろいろ難しいこともおありとは思いますが、この監査ということが都政の事業の執行上に大切なことだということを、都民も含め私たちももう一度認識を新たにしなければいけないというふうに思っています。
 ところで、先日、都の平成十四年度の予算要求概要が発表され、その要求金額は、十二兆五千億もの巨額なものとなっています。このような大きな予算を執行している都の事務事業から見ますと、監査委員監査の報告書に書かれている内容は、細かいものというふうに見られます。こうした印象を受けますが、この検討委員会報告の提言を具体化していくことで、それではどのように変わろうとしていらっしゃるのか、お伺いいたします。

◯細渕次長
 監査報告書の指摘が細かいが、今後これをどう変えようとしているのかということでございますが、従来、財務監査等において、合規性の観点から会計帳票等を綿密に実地調査、実地監査しまして、多くの指摘を行ってきたことなどから、そのようなご指摘をいただいていることは十分承知しております。こういった点も踏まえまして、平成十三年度からは、定例監査において、合規性に加え、事業が所期の目的を達成しているか、あるいは投資した経費に見合ったものとなっているかなどの視点からも監査を行っております。また、事業評価手法による行政監査につきましては、対象となる事業を、有効性、効率性の観点からの検証を行い、事業個々の達成度等を評価していこうと考えております。
 このように、監査の実施方法等を工夫することによりまして、事業を執行している部局に対するチェック機能を高めていきたいと考えております。

◯馬場委員
 今お答えいただきましたように、その監査というものが、合規性──一般の人、合規性というふうに言葉でいってもなかなかわからないと思うんです。私も初めて聞いたときには、合規性、何だろうというふうに思ったんですが、いわゆる会計帳簿が規則、規定に合っているかどうかという観点から、合っていればいいでしょうというふうな、そういう監査が続いてきたということが大きくあるのではないかなと思っています。
 そのことが昨今問われて、また、昨年のこのあり方検討委員会の報告にも述べられていますように、これからは、そういう税金が規定どおり使われているかということより、正しい使い方、意味があるという正しい、つまり有効性を持っているかということが問われる、そういう監査、そこに主眼を置く監査方法をとるべきだ、そのことが結果的に都民にとっても有効である、税金の有効な使われ方ということになっていっているのではないかと思います。
 そういう意味では、今までの監査はどちらかというと内部、つまり、関係者にとって正しい処理がされていました、また、細かくても、違法であったものについては直していきなさいというようなことで、どちらかというと内向きの監査ではなかったかというふうに思っています。
 しかし、今お話しさせていただいたように、これからの都政のそれぞれの事業についての提言も含めて、正しい使われ方という観点で見ていく監査になっていくということになると、都民に対して情報を提供するということの意味も大きく変わってくるというふうに思っています。
 そういう意味で、一問目で、ホームページ等についての公表、都民等に対する情報提供を充実するということでお答えいただきましたけれども、今、事務局がおつくりになっている監査報告書をホームページに載せているという状況だと思いますが、結果、今は、文字、その報告書がそのまま画面に出てくるというような画面作成になっています。読んでも余りおもしろいものではないのかなと。特に、合規性の場合はそういうふうになるのかと思いますが、さらに、専門的な言葉等もたくさん出てきてわかりにくいということがあると思います。そうした都民に対する情報提供の方法について、今後工夫をして、都民が理解しやすいようなものにしていく。そういう報告書でありホームページにならなければいけないというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。

◯細渕次長
 監査報告書ホームページの内容を都民が理解しやすいようにできないかとのご指摘でございますが、報告書の内容がわかりにくく読みにくいものとなっているという点につきましては、報告書への記載に当たり、事実関係や関係法令等を正確に表示することに努めてきた結果であるというふうに考えております。このため、現在は、報告書の内容を要約した、わかりやすい概要を付すなどの改善に努めております。また、ホームページにつきましても、視覚的な要素を取り入れるなど、都民にわかりやすいものとなるよう、改善に努めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、情報提供機能は、都民の負託を受けた行財政運営の適正性を検証する監査委員監査の基本的な機能であると認識をいたしております。ただいま申し上げましたことを含めまして、一層の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

◯馬場委員
 申し述べましたように、この東京も事業も変わってくる、また推進体制も検討されている、そういう中で、この監査ということももちろん変わっていかなければなりませんし、その大きな原動力にならなければならないというふうに思っています。
 そういう意味で、新しい改革を進める監査委員、そしてその事務局としてのさらなるご努力をお願いして、要望させていただいて、質問を終わります。
 ありがとうございました。