一 人事委員会について
◯馬場委員
人事委員会、今回の給与、議員提出の条例に関しても大きく影響があるということで、大きく二点にわたって質問させていただきたいと思います。
まず、今もお話がありましたが、この人事委員会制度という中で、昨年の秋、現状、社会のこうした変化が激しい状況の中で、人事委員会の立場というのは大変重要なものである、働く者にとっても、また全体の中でも、この報告や勧告、人事委員会での全体を見通した意見というものが大きく重要視されなければいけないというふうに、そういう点から質問させていただきました。
今回、この中で一つ、今もご質問がありましたけれども、民間企業の給与実態調査というところをもう少し詳しく質問をさせていただきたいというふうに思います。
地方公務員法の中で、この人事委員会が出す職員の給与に関する報告と勧告、こうしたものの意味は大変大きいのですが、この企業規模百人以上で、かつ事業所規模五十人以上の事業所と、対象をされておりますが、このような規模の民間企業が選定をされた経緯並びに理由について、今ご質問がありましたけれども、私の方からももう一度、確認も含めてご答弁いただきたいと思います。
◯高橋人事委員会事務局長
いわゆる民間企業の従業員の給与の調査の対象事業所あるいは規模の関係でございますけれども、ただいま眞仁田委員長の方からご答弁申し上げましたように、昭和三十九年にこの方式について合意がなされまして、昭和四十年以降の民間調査の対象として、この規模で実施をされております。企業の規模が百人以上で事業所の規模が五十人以上ということで調査をさせていただいております。
この基準の設定に当たりましては、こうした基準にすることによりまして、一つは、行政の組織の規模の大きさという観点がございます。職層ですとか、職務の性格ですとか、そういうものを、役職、年齢、経験、学歴、こういったものと突合して比較をしますので、こういう組織の規模としての適合性と、職務の内容を含めてという観点が一つと、それから、この対象範囲によりまして民間の常勤の従業員の方の過半数以上をカバーできるという状況がございまして、こういう基準になったものというふうに考えております。
この調査の方式につきましては、先ほどのご答弁にありましたように、長い経緯を経ているわけですけれども、国の人事院と、それから、人事委員会を置きます都道府県、大都市を中心とした、こういった全国の自治体共通の方式としまして定着をしてきております。
現時点におきましては、調査対象事業所の従業員数、それから民間事業所における常勤の従業員数の過半数をカバーしているということ等を総合的に勘案しまして、民間給与の実態を適切に反映できているものではないかというふうに考えておるところでございます。
◯馬場委員
今のお答えで、全国共通の方式、人事院でやっているということも含め、それから、東京の中でも、二十三区は特別区人事委員会という組織を持っていらして、そこでもデータを集めたり、また、勧告をするにおいてその基礎資料としている。市部についてはこの人事委員会がないということで、市部については、東京なり全国共通、人事院との関連の中で、このデータが出てきている。つまり、大きく、人事委員会が勧告するためにはこの調査というのが大変重要な役割をしているとともに、東京だけでなく、全国的にも、このデータがある意味で使われているという状況にあると思います。
今、最後にお話しいただきましたように、この形で今までやってきて、民間給与の実態を十分反映したものと認識なさっているということでありましたけれども、それでは、先ほどの質問にもありましたけれども、昨年の勧告に際して、特別に、事業所規模十人以上五十人未満の事業所について調査をなさっていらっしゃいますね。このことは、勧告のところに、米印のような形で、こういう調査をしましたというふうに書かれていますけれども、それでは、このような調査を、あえて、どのような理由からなさったのか、それをお尋ねいたします。
◯高橋人事委員会事務局長
お話のいわゆる特別調査でございますが、これにつきましては、十三年の勧告に向けた調査の段階で、全く東京都独自の問題意識で行っております。
これは、従前から、人事委員会の勧告に対しまして、より信頼性の高いもの、民間との均衡をきちっと図るべきものというご指摘をいただいてきた経過がございます。また、私どもとしましても、いわゆる都内の中小企業の実態がどうなっているのか、こういったところについては、私どもなりの問題意識を持ってきちっと把握しなければいけないということで、八百社の事業所を対象に、サービス業、製造業を調査させていただきました。
こういった事業所の給与の改定の実施状況、それから給与制度の実情、こういったものを把握したわけでございますけれども、いわゆる東京都の人事委員会の勧告をするに際しての一つの参考資料として、きちっと把握をしていきたいということで調査をしたものでございます。
◯馬場委員
この調査を参考にしたいということでございますが、それでは、この調査した結果はどんなことになったのでしょうか。
◯高橋人事委員会事務局長
調査をしました事業所につきましては、先ほどお話ししましたように、事業所の規模が十人以上五十人未満の都内の事業所で、八百事業所を無作為に抽出いたしました。都内で構成の大きいサービス業と製造業を対象としてございます。
この調査結果の内容でございますが、これは、十三年の勧告及び報告の中にも記載させてもらっておりますけれども、ベースアップを行った事業所の割合は、いわゆる本調査の民間給与実態調査の対象事業所等と比べまして低いという状況が判明しております。それから、ベースアップを中止した事業所とベースダウンを行った事業所を合わせた割合は半数を超えていたという状況も判明してございます。それから、特別給の支給割合につきましては、いわゆる本調査の対象事業所と比べて低いという状況も出てございます。それから、入社する際の初任給につきましては、ほぼ同水準という結果が判明しております。総じて申し上げますと、本調査の結果と比較しまして厳しい状況ということが判明しております。
また一方で、役職の段階が非常に少ないといいますか、いわゆる係員の方、担当の方から役職までの、そういった職層が少ないということ、それから、採用に関係しまして、中途ですとか、あるいは縁故の採用が多いという状況がございます。また、賃金表のない事業所があるということなどから、直ちに公務員比較の対象とするのには制約があるということもまた一方で認められたところでございます。
また、この個人給与の調査結果の中では、申し上げましたように中途採用が多いということなどから、比較をするに当たりまして、役職、それから同年齢、こういった従業員の給与水準にかなりばらつきがあると。都の職員の年齢、役職、学歴等に比較いたしまして、なかなか正確な比較が、この調査の限りでは困難であったということが判明しております。
こうしたことから、小規模の事業所の調査結果は、昨年の勧告におきまして、公務員比較に直接的には反映できておりませんけれども、民間企業における厳しい現状をきちっと認識するという観点で貴重なデータとなっているものというふうに認識をしております。
◯馬場委員
調査の結果、今まで対象にしている部分よりも水準は低いことはわかって、それを参考にしたいけれども、比較するデータとしてはとても使えないというふうに今答弁いただいたと思うんですが、これ、一度だけの調査で判断をなさるのかということも含めて、またさらに、方法も含めて、十四年度も調査をなさるのか、今後どうするのかということについてお伺いいたします。
◯高橋人事委員会事務局長
小規模事業所の調査結果につきましては先ほどご答弁申し上げたとおりでございますが、十四年度行うかどうか、これは、現在のところ、いろいろな角度から、さらに継続してもう一年やるかどうか、人事院の調査につきましてもいろいろ調査の見直しの動きも若干出ていることがございますので、そういったこと等を勘案しながら事務局でよく検討しまして、また人事委員会の方にお諮りさせてもらいたいというふうに考えております。
◯馬場委員
先ほど、この調査は都独自の問題点から調査をしたというふうにご答弁がありましたけれども、私が聞いておりますところでは、国の人事院でもかつてこの小規模企業の調査をなさって、ただし、二年でやめられたというふうに伺っています。国も問題意識は持っているということなんでしょうか。国、人事院がどういうことを考えて、こういう調査をなさり、その結論といいましょうか、このことについて、現在、人事院としてどういうふうに見解を持たれているのか伺います。
◯高橋人事委員会事務局長
人事院におきましては、現在と比較をしますとどうかという、またご議論があろうかと思いますけれども、当時、例年にない厳しい雇用情勢あるいは春闘情勢ということにかんがみまして、平成十一年、十二年でございましたけれども、この時点で、企業規模につきましては三十人以上百人未満、この民間事業所から無作為に抽出をした事業所につきまして、給与の改定状況、雇用情勢の実態等を特別に調査をしたという経過はご指摘のとおりでございます。
この調査の結果につきましては、人事院の方で分析をしたわけでございますけれども、先ほど東京都の特別調査でご紹介申し上げましたような、そういう状況が同様に認められたという報告を人事院の方でされております。
今後、国において同様な小規模の事業所の調査を行うかどうか、これは現在のところ特に聞いておりません。
◯馬場委員
この民間の実態調査というのは、公務員の皆さんのお給料を決める勧告をするに当たって、最初に申し述べましたように、大変大きな指標になるというふうに思っております。
今、何点かの質問の中で、その対象を広げて、小規模の企業も入れていくということについては、二つ考え方があるというふうに思っていますが、まず、これを入れて考えるべきなのかどうか。公務員の皆さんのお給料を決めるのに、全体としてやるべきだというふうに考えていらっしゃるのかどうか。それから、一方では、この方法ができるか、できないか。つまり、東京でも昨年調査した結果、比較が難しいという結論に達したというふうに聞いておりますが、この方法を、例えばほかの調査の方法をとるとか、人事院等ほかの動向を見ながら、ほかの方法を考えながら対象にしていくのかどうか。そこのところは大きく問題だというふうに思うんですね。
なぜかというと、参考にするということは、ただ、民間の小規模がこのくらいの給与ベースなんだということを、単なる参考意見、つまり、議会や任命権者の知事等に対しての参考のための資料づくりのために提出するということで、人事委員会さんとしてはいいのかどうか。そのことも、きちんとこの民間の給与の中に含めて考えていくべきだというふうに考えていらっしゃるのかどうか。その点も含めて、基本的な考え方についてお伺いさせていただきます。
◯眞仁田人事委員会委員長
調査対象の企業規模につきましては、長年の経緯を経て、全国一律の調査基準として定着してきているところでございまして、公務の職務内容、組織状況及び人材確保上の必要性などから見ても妥当なものと私どもは考えております。
本委員会としては、社会環境の変化を踏まえ、人事院と協議しながら、幅広い検討を今後行っていきたいと、このように考えております。
◯馬場委員
参考にしていきたいのであれば調査を続けなければならないと私は思いますし、そうでないのであれば、費用やさまざまな点でもう必要ないと。今の委員長のお言葉のように、現状では今までの調査の方法でいいということであれば、もう今後する必要はないというふうに考えていいのかどうか。
その点も含めて、それからまた、働き方が多様化している中で、民間との比較をどんな方法でしていくのかとか、これからたくさん、人事委員会として問題点はあるというふうに思いますので、きょうお答えいただくというのは難しいことなのかもしれませんが、その辺を考えながら、人事委員会としての基本的な考え方というのをぜひこれからも積極的にご検討いただきたいというふうにお願いをして、次の質問に移ります。
次の質問なんですが、先日、三月の八日の日に、教育委員会で、都立学校の管理運営に関する規則というのが改正をされました。主幹職という新しい、管理職と一般職の間のようだというふうに聞いているんですが、その設置が決まったということで聞いております。
今後具体的な検討が進む中で、人事委員会として、このことについて対応していくという運びになると思いますが、私は、これもそうですが、二十年ぶりの大きなこうした制度の改正ということが行われる中で、全体の、人事委員会として、こうした新しい制度に対してどのようなかかわりを持っていらしたのか。この決定はもうされてしまったわけですが、人事委員会として、この教育委員会の決定を受けて今後どのように検討なさるのか伺います。
◯砂岡任用公平部長
ただいまの先生のお話にもございましたけれども、教育長の諮問機関でございます主任制度に関する検討委員会、この検討結果を踏まえまして、教育委員会におきまして、東京都立学校の管理運営に関する規則、これに主幹の規定が設けられたところでございます。
主幹制度の導入、これは来年の四月一日とされております。したがいまして、今後、制度の詳細、あるいは人材育成など、残された課題について整理をしていくことになろうかと思っております。
人事委員会といたしましては、教育委員会におけます今後の検討状況を踏まえまして、具体的な職責を見きわめた上で、主幹にふさわしい適切な給与処遇の検討を進めてまいりたいと考えております。
◯馬場委員
ありがとうございます。
教育委員会が教育委員会としてこうした新しい制度を決めていくということは、それなりに当たり前のことなんですが、そこで、人事委員会さんとして、東京都全体の人事、職務、また全体のバランス等も含めて、第三者の立場として置かれているこの人事委員会として、決められた後、要するに給料表をつくる職務だけというのは、私からすると、この人事委員会の役割からすると不十分ではないかなというふうに思われてなりません。
教育委員会さんでこうした制度をつくりたいということ、それぞれの委員会が独立しながら、人事委員会ともう少し、この決定の前に、お互いにその立場から意見の交換をし、その上でこの決定をするというふうな手順が行われてくれば、人事委員会の職責も含めて明確になってくるのではないかと思いますし、その役割も、大きく全体の都政に対して貢献できるのではないかというふうに思っております。
そういう意味で、この問題について人事委員会として、任用、給与制度全般に関する専門的な人事機関、第三者機関としての役割をきちんと果たしていくべきだというふうに考えますが、この点についていかがでしょうか。
◯砂岡任用公平部長
一般の行政職につきましては、人事委員会といたしまして、任用、給与制度全般にわたりまして関与していくということでございますけれども、教員の任用制度につきましては、これは教育委員会が所管しておりまして、人事委員会として直接に関与する権限というものはございません。ただし、給与制度そのものにつきましては、知事部局と同様、地方公務員法が適用されますので、当委員会の関与が及ぶということでございます。そうしたことから、任用制度と給与制度というのは相互に関連する制度であるということもございまして、これまでも教育委員会との情報交換に努めてきております。
今後も、教育委員会と連携しながら、主幹の職責にふさわしい処遇のあり方について検討を進めて、人事委員会としての役割をきっちりと果たしていきたいと考えております。
◯馬場委員
教育委員会だけではなく、知事部局についてもですが、人事委員会としての一つの見識を持って、常に、新しい制度へ変わるときの諮問、また勧告等をすべきであるというふうに私は思っておりますので、きょうは委員長お見えいただきましたけれども、ぜひこの点について、これからさらに人事委員会として積極的な役割を果たしていただけますように最後にお願いをして、質問を終わります。
ありがとうございました。
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