平成14年 総務委員会

2002年3月18日

馬場裕子

一 首都移転問題について

一 首都移転問題について

◯馬場委員
 まず、首都移転問題についてお伺いいたします。
 首都移転反対活動の展開に一億五千万円の予算が計上されておりますが、この具体的な使用目的についてまずお伺いいたします。


◯野村首都調査担当部長
 首都移転反対活動を展開するための経費といたしまして、新聞広告の九千万円を初め、広報に要する費用として一億三千二百万円、今後の移転先候補地との比較考量など首都移転に関する調査に要する費用として一千八百万円を計上しているところでございます。



◯馬場委員
 新聞広告に九千万、その他広報で一億三千二百万、この十三年度は、ラッピングバス等、都民へ向けての広報活動もそれなりにあったかなというふうに私も思っておりますが、新しい予定でしょうか、新聞広告に九千万円という経費を予定していらっしゃるということですが、この九千万という金額、経費、費用対効果という意味では、金額からしても都民の理解が得られないような金額ではないかというふうに思いますが、この点について、もう少し経過も、新聞の広告、どういうふうにするということも含めて、具体的にお答えください。



◯野村首都調査担当部長
 まず、新聞による意見広告でございますけれども、今、先生のお話しの形態でございますけれども、時期は、まず第一点として、移転先候補地が一カ所に絞り込まれたときに間髪を入れず掲載するというふうに予定しておりまして、そういう意味では、時期的に非常に効果的な時期を選んでやりたいというふうに思っております。
 第二点目でございますけれども、掲載の範囲でございますが、これは、関東圏にとどまらず、全国を予定しておりまして、首都移転にこれまでほとんどかかわりのない地域におきましても、首都移転反対の運動を大きく掘り起こすということができるかと思っております。
 それから、三点目でございますけれども、都が明確に反対の意思を表示しないということになりますと、我々の試算では二十兆円を超す首都移転経費がむだ遣いされるということになりまして、日本の将来に大きな禍根を残すことになるだろうと考えております。
 こうしたことを考え合わせますと、全国的な新聞広告を出すということは、費用対効果という面からいいましても、大きな効果を持っているだろうというふうに考えております。



◯馬場委員
 九千万円、一億円に近いような出資ということになりますが、都民がこの費用を持たなければならない、税金で使わなければならないというのは、その効果の点でも、私なんか見ると、全国に、いってみれば砂漠に水をまいてしまうような、そんなような気がするんですね。
 この首都移転というのは、私も含めてなんですが、やはりおかしいということは都民は思っていると思いますし、このことについて、もう少し費用を使わない活動というのは都として検討できなかったかなという思いがどうしてもあるんですが、この辺の経過も含めて、税金を使わないPR活動ということについてどのようにご検討されたのか、伺います。



◯野村首都調査担当部長 今、経費のかからない移転運動ということでございますけれども、私どもは、これまでも、一都三県選出の国会議員の先生方を対象にいたしまして、首都移転反対への理解と協力を求める運動を強力に行ってまいりました。また、商工会議所とか町会など民間団体が自主的に行っております署名活動、それから集会などへの協力支援に取り組むなど、幅広く反対活動を展開してまいりました。
 ご案内のとおり、三カ所を一カ所に絞り込むという非常に緊迫した状況になっておりますので、今後は、こうした決定権を握る国会議員の先生方の動向がかぎを握ることになると考えておりますので、衆参両議院のすべての国会議員の先生方に働きかけ、さらにはまた、候補地を除きます他の道府県への行脚などを我々で行いまして、首都移転がいかに日本の将来を誤るものであるかということを強く訴えまして、首都移転反対運動を全国的なものとしていきたいというふうに考えております。



◯馬場委員
 皆さんが活動を知事も含めてされてきているということは、私たち都民は理解を深めているというふうに思うんですが、いかにもこれは東京が決めることではないということで、その点が何とも歯がゆいところなんですが、この新聞の意見広告、これほどの大きな──大きくなければ意見広告も意味がないかもしれませんが、こういう試みは、都としては初めてなんでしょうか。もしおわかりになれば。



◯野村首都調査担当部長
 都といたしましては、以前に、審議会の答申が出る前でございますけれども、一回、首都移転反対ということで五段の広告を出したことがございます。



◯馬場委員
 広告、効果がなければ、これだけの費用を使ってするということ、費用対効果の問題が出てきてしまうわけですので、今の一回の結果がどうなったのか、それから、ほかに方法がないかということも含めて、さらに検討をぜひ、お話がありましたように、一カ所に決まらないうちにとにかく対応する、できるだけのことをするということが大事なことだと思うんですが、私はやはり広告の方法で、こういう費用をかけて広告をするということ、これがなぜ起こったのかなということを、実は質問をさせていただくに当たって考えました。
 できれば本部長にお答えいただきたいんですが、国の政策等について、それぞれ、東京も含めて各自治体で問題があるときに、どういうふうにその自治体が自分のところの意見を──まず国に今まででしたらいっていく。国がそれでも聞き入れないようだというようなときに、今回は、東京がみずから一億円近いお金を使って全国の国民にじかに訴えるという方法だというふうに思うんですが、こういうことは、今回の首都の問題は、ある意味では自治体間の、それぞれ、来てほしいというような自治体もあり、自治体間の競争の中で、東京が、一点に絞られたときにどういう意見広告を出すかということも大きな問題なんですが、そういう国政の決定のある問題に対して、自治体がお金を使って全国に意見広告を出すというようなことが、あえていってしまえば、東京のようにお金があるところはできるかもしれませんが、そうでないところは、じゃどういう方法がとれるんだろうかということも含めて、フェアなのかどうなのかなというのが一つ私は感じました。
 それから、まだたくさん、例えば今度東京が政策等決定をする場合、各自治体、東京の中の区や市とか、それから、都以外のほかの県で、例えば東京のダムの建設のような問題等あったときに、そういう政策的な問題にそれぞれ反対の意見というものをどういう形でいっていったらいいのか、どういう形でまとめて、当事者同士の話し合いでなく、ほかのところへ広告をするということがどういうことなのか、自治体としてそれを行うということが、これからどういうことを意味するのか、自治体がそれぞれの、これから自分たちのことを考えていく場合に、自分たちの意見を申し述べるということは本当に必要だなというふうには思ったんですが、その方法として、こういう一般の新聞を使っての意見広告という形でしかできないんだろうかというのをすごく疑問に感じました。
 そういう意味で、今度のことが、単に簡単に新聞の意見広告ということでされるということを、ぜひ慎重に扱うべきではないかなというふうに今回考えたんですが、その辺、首都移転だけの問題ではないという意味で、知事本部として、こうした広報的な東京都としての意見を、どんなふうに自治体や国へ向かっていっていったらいいのかというようなことも含めてご検討なさった経過があれば、それから、本部長としてこのことにご意見があれば、ぜひ聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。



◯田原知事本部長
 今回の首都機能移転につきましては、極めて異例な状況だと思います。といいますのは、ご承知のとおりでありますけれども、高度成長あり、一極集中の議論があり、その中で土地問題等々の解決をするにはどうすればいいかの一つの手段として国会でこういうような決議がされ、それから話がずっと進んできている、こういうふうに理解をしておりますけれども、この場合には、異常な事態なりに対応しなければいけないと思いますし、特に、今つくられている委員会が、二十五名の委員のうちに移転候補地出身議員が八割強を占める、こういうような状況で議論がされているわけでありますので、それに対応するためにはどうするかということで、我々としては、世論を喚起をする、それから、国会議員も含めて働きかけをする。こういうような状況にありまして、新聞というのは一つの大きな効果のあるものだと思っておりますし、これは使わなければ使わないで一番いいんですけれども、その事態が、候補地が一つに絞られた場合に、一番効果的なときをとらえてやっていかなければいけないと思っております。
 一般的にといいましょうか、自治体としてというお話になりますと、例えば、国の制度に対して東京都としてどういう態度を示していくかということにつきましては、毎年、国への提案要求等々の制度がありますし、そういうことでねばり強く働きかける、あるいは力を込めて働きかけるということになろうかと思いますし、いろいろな手段も考えられると思いますけれども、自治体としてある一つのやり方があるというのではなくて、そのときそのときに応じた対応をできる限り効果的に、しかも、税金を余り使わない有効な方法を考えていくべきだというふうには考えております。