平成15年 財政委員会

2003年2月17日

馬場裕子

一 果実活用型基金について

一 果実活用型基金について

◯馬場委員
 私は、果実活用型基金についてお伺いをいたします。
 最終補正予算で、財政調整基金の取り崩し抑制に加えて、積み立てとして百六十九億円が計上されております。この積み立ては、果実活用型基金のうち、男女平等推進基金、国際平和文化交流基金を廃止して行うものであり、ここで果実活用型基金の取り扱いについて、まず総括的な意味から、設置した考え方、目的はどんなものだったのかというところからお伺いをいたします。



◯松澤主計部長
 果実活用型基金につきましては、特定の目的のため、一定額の資金を基金にあらかじめ積み立てまして、その運用から生じる利子によって所要の事業を進めようとするものでございます。
 地域福祉振興基金など、今回五つの果実活用型基金でございますが、いずれも昭和六十二年度から平成三年度にかけての、都財政がある程度豊かな時代といいますか、いわゆるバブル期に設置したものでございます。当時、金利が年利六から八%程度であった情勢のもとに、それが続くことを想定しながら、毎年得られるかなりの金額の利子をもって、それぞれの基金の設置目的に沿った事業を実施していくことというふうにしたものでございます。



◯馬場委員
 この基金、特定の目的のため、そしてその目的に沿った事業を実施していくためにつくられたということで、都財政が潤沢で、預金利息が高い時期に次々、一千四百億ほど積み立てられております。今、答弁いただくと、よい時代もこれで終わりなのかななんていう思いをしているところでございますが、それでは、つくられたこの果実活用型基金について、その役割を終えたということは、私なりにも感じるものはありますが、どういうことというふうに認識なさっているのか、もう一度お伺いいたします。



◯松澤主計部長
 ただいま申し上げました果実活用型基金につきましては、近年の超低金利のもとで、基金の運用利子が大幅に低下してきております。具体的に申し上げますと、五つの基金の合計となる利子額でございますが、四年度では百七億円ほど生み出されたのに対しまして、十四年度の当初予算では九億円まで低下しており、十年前と比較して十分の一以下の水準となっている、こういう状況でございます。
 このように、現在では基金の運用利子をもって事業を行うという仕組み自体が効果を発揮できない状況にあることから、果実活用型基金としての役割を終えている、このように判断したものでございます。



◯馬場委員
 利子が激減したというのは、今、数値を伺っても本当に物すごい、予想を上回るものだというふうに私も思います。
 しかし、この基金は、最初の質問にもありましたように、基金の設置目的があって、それに沿った事業を実施していくということでできております。今の、運用利子で事業を行うという役割は果たせなくなったことはよくわかりました。しかし、もう一つ、利子を生み出す元本があるというふうに思うんですが、この元本の使い方ということについて伺わせていただきます。
 私どもは、元本も含めてこの基金は目的があるというふうに思っておりますので、この元本を設置目的に合わせて取り崩すというのが本来ではないのかと思っております。今回、地域福祉振興基金など三基金はそういう形で残され、男女平等推進基金、そして国際平和文化交流基金の二基金は廃止ということでご提案されています。この果実活用型基金の取り扱いにつきまして、我が会派の田中幹事長も代表質問で問うておりますが、もう一度この委員会で改めて理由をお聞かせください。



◯松澤主計部長
 果実活用型基金の役割が終わった現在、それぞれの基金が有する多額の元本を、今先生がおっしゃいましたように、まず、それぞれの設置目的に沿った事業に直接充当することが考えられることは、ご指摘のとおりでございます。
 このため、地域福祉振興基金、中小企業振興基金、環境保全基金の三基金につきましては、条例の定めに従いまして、十五年度予算案では、それぞれの設置目的に沿った事業に元本を直接充当することとしたところでございます。
 しかし、男女平等推進基金、それから国際平和文化交流基金の二基金につきましては、多額の元本を直接充当する事業がないことから、今回廃止をしまして、財政調整基金に統合することとしたものでございます。



◯馬場委員
 問題はそこの辺だというふうに私も思っているんですが、有効活用するということと、目的に向けて使用するということ。最後にお答えいただきましたように、しかしのところなんですね、この部分で、多額の元本を直接充当する事業がないという、これは生活文化局さんで担当ということ、そちらで同時に提案されておりますので、今、質疑等されていると思いますので、そこに触れるつもりはないんですが、有効活用というところでは、今、財務局さんの方でのお考えということだと思います。
 そこで、有効活用という意味で、将来の財政運営に配慮してこういう二基金を廃止ということになったわけですが、もう一方の考え方からしますと、男女平等推進基金などの二基金は、そのまま基金として残しておいて使えるのではないか。なぜ財政調整基金という別の名前のものに移しかえなければならないのか。つまり、お金そのものが動くわけでも何でもないというふうに思いますので、この辺の移しかえの理由についてお尋ねします。



◯松澤主計部長
 若干繰り返しになって恐縮ですが、果実活用型基金などのいわゆる特定目的基金は、基金としての性格から、条例に定めた設置目的のためでなくては取り崩すことができないものとなっているわけでございます。したがいまして、男女平等推進基金、国際平和文化交流基金をそのまま残したとしても、ただいま申し上げましたとおり、充当事業そのものがないことから、その元本を他の使途に有効利用することは困難なわけでございます。これに対して財政調整基金は、使途に全然制約がなく、財源として直ちに活用が可能であることから、厳しい財政状況の中で将来の財政運営に備えるため、今回、二基金を廃止しまして積み立てることとしたものでございます。
 家計に例えていいますと、使い道の決まっている例えば財形貯蓄みたいなものを、金利の低下などにより役割が終わったので、何にでも使える普通預金に移しかえたものである、このようにご理解いただければというふうに思っております。



◯馬場委員
 私の方も繰り返しになって申しわけありませんが、今回の男女平等推進基金、平和基金等含めて充当事業がないこと、また、どう使うかということについては、当委員会ではないということも含めてなんですが、あえて今回廃止ということが出ておりますので、取り崩しや廃止をするとすると、これまで基金の利子で行ってきた事業は本当に影響がないのか、それから、例えば男女平等推進基金の廃止で施策等が後退しないのかという、その部分が納得できないというか、どうしてもその思いが残ります。これまでの果実活用型基金で行ってきた事業の継続がきちんと担保されるのかどうか、お答えいただければありがたいと思います。



◯松澤主計部長
 今回、五つの果実活用型基金について、元本の取り崩しや基金の廃止を行いましても、これまで基金の運用利子で実施してきた事業まで同時に廃止されるということではございません。東京ウィメンズプラザの運営や地域福祉振興事業、あるいは中小企業創業支援など、これまで実施してきた五つの基金のそれぞれの事業につきましては、引き続き一般財源、税を充当しまして、効率的、効果的に実施していく考えでございます。
 ちなみに、今お話がございました、男女平等推進基金の運用利子で実施してきました東京ウィメンズプラザの運営事業につきましては、平成十五年度予算案におきましても、前年度とほぼ同規模の予算を計上しているところでございます。



◯馬場委員
 最後にお答えいただきました、十五年度予算において、前年度とほぼ同規模の予算でいいかどうかも含めてなんですが、私どもは、これだけの基金があることを目標に男女平等施策、これから財政難の折ですが、いろいろなところに使ってやっていけるのではないかというふうに思っておりました。そういう意味では、ここで特に補正という形で十四年度で、看板のかけかえといわせていただいてよろしいでしょうか、自由に使える、有効活用ができる基金にという都側の考え方について、納得しかねるところがあるんです。都側としても、財政調整基金をたくさん積み増しをしておきたい、私どもの真木理事からもそういう提案もあったと思いますが、あえて銀行課税への対応というふうにいわせていただいていいかどうかわかりませんが、そうした有効に使える基金をたくさんつくりたいという思いはわかりますが、目的が終了したとは思えない時点でこういう基金を廃止するということについては、都民の皆さんに、東京都は男女平等施策について決して軽んじてないということを強く説明する必要があるというふうに思っております。そういう意味で、今回は補正の問題ですが、さらに十五年の予算編成に向けても引き続きこの問題を問うていきたいと思っております。
 局としては、今お願いをしました都民への周知というところも含めて、ぜひ対応の方よろしくお願いを申し上げて、質問を終わります。