成15年 第一回定例会
 予算特別委員会締め括り総括質疑

2003年3月4日

馬場裕子

1.国際情勢について
2.今後の財政改革について
3.区市町村への事務移管について
4.食品安全について
5.男女平等施策について

1.国際情勢について

〇馬場委員 都議会民主党を代表して、締めくくり総括質疑を行います。よろしくお願いを申し上げます。
 先日、知事より、三月十日の東京都平和の日記念式典のご案内をいただきました。東京都は、平和国家日本の首都として、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、三月十日を東京都平和の日と定め、東京大空襲を初め戦災で亡くなられた方々を追悼するとともに、平和への願いを込めた東京都平和の日記念式典をとり行うとありました。
 ことしで五十八回目を迎える世界史上最大であった東京大空襲は、昭和二十年三月十日から五月二十五日の間に六回にわたりアメリカ軍の無差別爆撃を受け、三百十万人が家を焼かれ、十数万の死傷者など、被害総額は広島の十倍であったとされています。今でも身元の判明しない、遺族が引き取れない遺骨が十万体以上あります。
 国は、同じ戦争で殺されながら、空襲による死者は戦没者ではないとして、軍人、軍属の戦没者と民間人を明確に区別をし、空襲による死者には一切の補償がなく、救済措置もありません。学童疎開で助かったが、一家全滅のため、十歳前後の浮浪児がちまたにあふれ、悲惨な人生をたどったことを知らされました。中国からの引揚者のご苦労、残留孤児への支援のおくれなどなど、知事は学童疎開の世代ですから、こうした状況をよくご存じと思います。
 翻って、アメリカの九・一一同時多発テロ以降、世界情勢は一段と厳しい状況にあります。民間人が巻き添えにならない戦争はありません。国家間、また、民族間のテロも同様です。テロは力ずくでたたくしかないと主張する国々が、最もテロにおびえています。
 そこで、今、大きく世界を二分するこうした状況を迎えている世界情勢について、まず、知事に、四点についてお考えを伺います。
 アメリカ、イギリスなどが国連安全保障理事会に対して、イラクに対する武力行使の承認を求める決議案を提出し、緊張感が高まっているイラク情勢についてまず伺います。
 アメリカなどの決議案に対して、フランス、ドイツ、ロシアは、査察をさらに百二十日間継続して、武装解除を段階的に進めるとの覚書を共同で提示し、中国も賛同の意をあらわしているといいます。
 一方で、小泉首相は、日本はアメリカなどの決議案を支持すると明言していらっしゃいます。
 民主党は、国連安保理事決議一四四一に示された、イラクがこれまで採択された一連の国連決議に従わず、国際平和と安全保障に脅威を及ぼしているとの認識は共有しますが、多国籍軍やPKO等の活用を想定するフランス、ドイツ等の提案も踏まえ、装備や人員など査察体制を抜本的に強化し、国連査察を続行すべきとの立場です。
 知事は、イラク問題に対するアメリカの姿勢、日本政府の対応などについてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

〇石原知事 私は、政府の当事者でございませんから、政府の言動にとやかくいう立場にございませんけど、一国民として、都民として、それで都政があるから、都知事としましても、むしろ都知事という立場は都民の声をすべて代表する形だなと思いますから、一人の国民として思いますことは、実はきのうの産経新聞の私が担当しているコラムにも、コンパクトに書いたつもりでありますけれども、私は、どこにも、だれも戦争を望む者はいないと思います。ただ、ワールドワイドに広がる反戦運動がすべて正しいとも思いません。
 私は、ちょうどそのころ取材いたしましたけれど、八〇年代に欧米で中距離核ミサイルというものに反対の一種のウエーブ、反戦運動が起こりました。それは、結局、どういう結果を招いたかというと、ソビエトの指導者を非常に勇気づけまして、ソビエトはヨーロッパ向けの多数の中距離核ミサイルというものを配備、拡散しました。それにめげずに欧米の指導者たちが対抗したために、結果としては、すべて中型の核ミサイルを廃棄するゼロオプションが取りつけられたわけであります。
 また、かつてはヒトラーという台頭してきた、すさまじい、要するに軍事力に対して恐れたイギリスのチェンバレンが出かけていって、結局、ひざを屈して、平和を取りつけた。イギリスの国民は歓呼して迎えましたが、半年もたたないうちにヒトラーは電撃作戦を起こして、ポーランドへ侵攻した。第二次大戦が始まったわけであります。
 私は、このイラクのケースは、昨日の書き物にも書きましたが、相手がやはり既にクルド族をサリンを使った大量殺りく兵器で殺りくし、しかも湾岸戦争を勃発した当事者でもあり、しかもまた、アメリカが指摘しているように、これは明らかなことでありますけれども、何に使うかわからぬけど、要するに空のミサイル用の弾頭二万個を持ち、それから五百個のマスタードガス、これは猛毒であります、この弾頭を持ち、しかも七百トンの化学兵器の原料ですか、持っている。これを、要するに彼らが完全に廃棄したという証拠はどこにもないわけですから、それはアメリカなり当事者が非常に危機感を持つのは当然だと思います。
 ただ、私は、アメリカのああいう一方的な軍事的なプレゼンスというのは必ずしも好ましくないし、アメリカにとってもよくないと思います。
 ですから、私は、三カ月なり査察というものを延長する。ただ、その前提に、今この時点で戦争することを反対しているロシアもフランスも、あるいはドイツも、もしイラクがクロであるということがわかったならば、そして彼らが要するに武装解除しないならば、イギリスやアメリカと倣って、フランスもロシアもドイツも、つまり世界の安全というものを危惧する有力な国として、制裁に具体的に加わるべきであるということを申します。

〇馬場委員 世界の安全、平和というのはいかに難しいかと私も思っております。そういう中で日本はどうするのか。知事にとっては、この東京の知事として、どんなふうにこれから対応なさるのかということもあると思います。どうぞ今の大変な状況の中でのご判断をきちんとなされるように心から願っております。
 次に、アメリカなどの決議案を支持する今の日本政府の対応の延長には、アメリカがイラクに武力を行使する際の後方支援の問題が出てくると考えられます。
 現在のテロ対策特別措置法は、アフガニスタンを想定したもので、イラク攻撃に対する後方支援には新たな立法が必要になると思います。また、いかに後方支援とはいえ、それは武力行使への協力であり、集団自衛権の行使につながるものです。
 知事は、日本国憲法については、何度か憲法破棄などの過激な発言が目立ちますが、その知事の目から見て、アメリカのイラク攻撃に対する日本の後方支援は現在の憲法に違反するとはお考えにならないでしょうか。(「国会でやれよ」と呼ぶ者あり)

〇石原知事 違反するとは思いません。どうして、違反するんだったら、ご意見を伺いたい、逆に。

〇馬場委員 国会でというお話ありましたが、ここも国の一部であります。できれば知事のまたの機会に、時間の限りのないときにお話しをさせていただきたいと存じます。
 次に、遠くて近い国であるイラクとともに、近くて遠い国となっている北朝鮮の動向もまた日本の安全保障に影響を及ぼしています。
 昨年十二月の寧辺の黒鉛実験炉再稼働の表明以来、国際原子力機関、IAEAの査察官国外退去、実験炉稼働に必要な燃料棒の移動、そして黒鉛実験炉の運転再開へと、いわゆる瀬戸際外交をエスカレートしてきております。
 北朝鮮に対して強硬な姿勢を示しているアメリカは、その一方で北朝鮮に対する新たな食料支援計画を先月二十五日に発表するなど、硬軟両様の対応を示しています。
 また、昨年十一月にアメリカの民間特使として訪朝したグレッグ元駐韓大使ら超党派の有力者が参加する朝鮮問題研究者グループは、同じ二十五日、日韓中ロの後押しに基づく米朝直接対話の即時再開や、米朝枠組み合意の再交渉などをブッシュ政権に提言する報告書を発表しております。
 民主党も、拉致事件及び大量破壊兵器問題などの解決なくして国交正常化はあり得ず、経済援助もないという立場で、北朝鮮に対して、国際社会の一員として地域の平和と安定に資するよう働きかけていくこととしております。日本政府は、今、拉致問題の解決を初めとして手詰まり状態にあります。
 知事は、この北朝鮮問題についてどのようにお考えか、伺います。

〇石原知事 果たして日本以外の、日本と同じような北朝鮮とのかかわりを持った国が、世界にあるんでしょうか。我々は、百人以上の同胞を拉致され、ほとんど殺害されたでしょう。しかも、一方的に数十トンの覚せい剤を持ち込まれて、日本じゅうに頒布されている。これは我々の若い子弟を健康的にも精神的にもむしばんで、いろんな異常な犯罪まで引き起こしています。
 仄聞しますと、馬場さんは拉致問題というのは存在しないということを最近までいわれていたそうでありますけれども、間違いなら、そういっていただきたいが、私は実は議員のころから、百人を超す拉致の被害者がいるということをいってきました。友人には、インターポールの友人もいまして、そんな人たちの状況をいろいろ考え合わせて、これは相当なものだなと思いましたが、こういう、既に審判を受けている、一方的な戦争を強いられて犠牲者を出している国と−−北朝鮮とは違うんです、本質的に。それはあなたも同じ日本人だったら理解していただきたい。
 アメリカが今、場つなぎに、つまり食料援助をする、しないといっているのは、これはアメリカはかなり高く北朝鮮の脅威というものを要するに評価している証拠でありまして、今度のイラク戦争にもアメリカは、在韓米軍の戦車その他を移す予定でありましたが、これは結局、軍部の最高幹部たちが合議して、非常に危険な措置であるということで、もとのままにとどめました。
 つまり、そのぐらいアメリカというのは−−これは北朝鮮と今、休戦状況でありましてね、戦争を継続中なんですよ。今休んでいるだけなんです。そういう認識を私たちはやっぱり持つべきでありますし、事実でありますから。そのアメリカが一時的に場つなぎで、二カ所で同じ戦争を構えるわけにいかないから、ある意味ではこうかつな外交で、場つなぎに食料のことをいい出した。
 私たちはやっぱりそういうアメリカの去就の裏の裏も勘案しながら、私たちのこの犠牲というものをこれ以上拡大しない、でき得れば、残されている拉致の被害者というのを迅速に取り戻すためにも、もうちょっと複雑に狡知な考え方で、北朝鮮等は扱うべきじゃないかと私は思います。

〇馬場委員 日本の六十年前と同じで、本当のこと、現実現状を知らされない国民というのは大変不幸だなという思いを私もしております。
 このイラクにしても北朝鮮にしても、アメリカと同様に敵対関係に入れば報復テロの可能性が出てきますし、その一方では、例えば北朝鮮に対する反感から朝鮮学校の生徒たちに切りかかるなどの不心得な者が出ることが、残念ながら我が国にも多々あります。在日イラク人に対しても同様のことが危惧されます。
 イラクや北朝鮮に対する国家間の対応とは別に、国民個人が卑劣な人権侵害を侵すことのないよう、知事からも積極的にアピールをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

〇石原知事 本国の日本に繰り返してきた非常に卑劣な残虐な行為について、在日の方々も非常に反省しショックを受けているようでありまして、同じ国籍を持つ北朝鮮の同胞等や罪のない人たちに迫害をするというのは、私は好ましくないと思います、絶対に。
 ただ、あえてそういうことをする日本人の心情も、私は、わずかでありますけど、理解しないわけにいかない。これは余りにも日本の政府が今まで、これだけの害悪を重ねてきた北朝鮮に、国家としての姿勢を示さなかった。それに対する国民の反発が、非常にゆがんだ形で、実際には責任のない、罪のない−−かなりの人たちは責任あるみたいですな、北朝鮮の在日の人たちの幹部のやっていることは。ただ、その子弟たちにも害が及ぶというのは、私は好ましくないと思います。

〇馬場委員 ありがとうございます。
 そのとおりで、やはり直接罪のない者に害を加えるということは、犯罪だというふうに思いますので、ぜひ東京でそういうことの起こらないように、知事としてもできる限り人権の問題として都民に、機会があればアピールをしていただけますようお願いを申し上げ、次の質問に移ります。

2.今後の財政改革について

〇馬場委員 今後の財政改革についてお伺いをいたします。
 道半ばである財政再建を達成するためには、新たなプランの策定が必要であると考えます。財務局が昨年発表した都財政の収支見通しでも、都税収入の低迷により、今後も巨額の財源不足が避けられない見通しでありましたが、この試算は、十五年度に行われる税制改正、いわゆる先行減税により、さらに厳しくなるのではないかと思われます。
 そうした状況を踏まえ、今後の財政運営に当たっては都の歳出規模を身の丈に合ったものにするとの考えが示されました。その考え方には賛成いたしますが、都は、これまでの財政再建推進プランにおいても相当徹底した見直しを行ってきており、歳出を身の丈に合わせるというのは、いうはやすく行うはかたしという取り組みになると思います。私たち自身も相当の覚悟が要るということになります。特に、もうシーリングによって広く薄く切るという手法には多くを期待できません。本当の意味での構造改革に踏み込むことが必要でありましょう。
 それでは、具体的にどのような点が課題で、それに対してどう取り組んでいくのか、まずお伺いをいたします。
 まず、最初の質問です。
 都財政の構造は、性質別で見ると、補助費等の割合が高いことが特徴となっております。
 そこでまず、この五年間の予算における補助費等の総額の推移、及び十五年度の主な項目と予算額を示してください。

〇田原財務局長 性質別経費のうちの補助費等のお話であります。
 補助費等は、区市町村や他団体への補助金などの経費でありますが、この五年間における予算額は、十一年度が七千五百八十八億円、十二年度が七千六百七十二億円、十三年度が七千六百六十六億円、十四年度七千五百九十三億円、十五年度七千四百八十一億円、こういうふうになっております。この間、七千億円台の半ばで推移をしておりまして、十一年度と十五年度を比べますと一・四%の減、こういうことにとどまっております。
 また、十五年度予算における補助費等の主な項目と予算額につきましては、私立学校への助成が一千二百五十億円、介護保険給付費負担金等が六百十二億円、国制度の老人医療費助成が五百三十三億円、認可保育所への補助四百二十一億円、都民住宅の供給助成二百億円、市町村調整交付金が百八十億円などとなっております。

〇馬場委員 東京都の補助費等は、十五年度予算で七千五百億円と投資的経費を上回る規模となっており、給与関係費と並んで、高どまりする経常経費に当たります。これからの財政再建に当たって、補助費等のこうした状況をどう考えていらっしゃるでしょうか。

〇田原財務局長 補助費等につきましては、これまでも見直しを続けてきましたけれども、直ちに削減を進めることは困難な施策が多くあります。ご指摘のとおり、依然として高どまりという状況にあろうかと思います。
 しかし、財政再建をさらに進めていくためには、歳出水準を身の丈に合ったものとしていくことが不可欠でありまして、そのためには、都の歳出の約一三%を占めておりますこの補助費等につきまして、どれだけ見直すことができるかが重要な課題であろうと思っております。
 したがいまして、今後は、補助費等のうち、介護保険給付費負担金など義務的な経費の伸びが予測される中で、それ以外の経費については、区市町村、民間との役割分担を初め、補助の目的や効果を根本から検証いたしまして、徹底した施策の見直し、再構築に取り組み、その抑制を図っていくことが必要であると考えております。

〇馬場委員 では、個別にお伺いをいたします。
 まず、私学助成ですが、これは重要な施策です。単に金額が多いというだけで、単純に削減することはできません。しかし、十五年度で一千二百億円に近い大きな額の予算が組まれていることも事実です。
 私学助成は何が課題として考えられ、その課題に対して今後どう対処していくのか、所管局の見解を伺います。

〇三宅生活文化局長 東京都におきましては、他県と比較しても公教育に私学が占める割合は非常に大きく、例えば高等学校では、五六%が私立学校の生徒でございます。また、私学の特色ある教育が求められてもおりまして、保護者の負担軽減にも資する私学助成の意義は大きいと思われます。
 私学助成の予算につきましては、効率的、効果的運用を図っておりまして、平成十一年度と十五年度を比較すると約百三十五億円、約一〇%の減となっております。
 今後の課題といたしましては、生徒数の減少、長期にわたる景気の低迷、都財政を取り巻く環境など社会状況が変化する中で、都民ニーズを的確にとらえた多様な教育の提供を促すための施策が必要になってきていると考えております。私学の存在意義を踏まえた、より望ましい助成制度としていく所存でございます。

〇馬場委員 次に、区市町村補助ですが、一つ一つの補助金はそれぞれ役割を異にしており、既に区市町村財政に組み込まれて重要な役割を果たしております。そうした補助金の全体像をきちんと理解しなければならないと、まず指摘をしておきます。
 その上でなお、区市町村補助は、区市町村財政のみならず都財政においても大きなウエートを占めています。
 そこで伺いますが、例えば、区市町村決算総額に対する都道府県単独の支出金が占めるウエートは、東京都の区市町村では四・六%、全国市町村では二%となっています。他団体と比ベて、都支出金のウエートが高いですが、その理由をどうお考えでしょうか。

〇田原財務局長 十二年度区市町村決算で見ますと、都道府県単独の支出金が区市町村全体の歳入に占める割合は、ご指摘のとおり、全国の市町村が二%であるのに対しまして、東京都の区域では、特別区が二・八%、市町村八・四%、合わせて四・六%と、高い水準になっております。
 この理由といたしましては、福祉を初めとして国の基準を上回る施策や乳幼児医療費助成など都独自の施策を実施するため、区市町村に多額の補助を行っております。それからもう一つは、市町村調整交付金など財政補完のための支出額が大きいことなどが挙げられます。

〇馬場委員 補助につきましては、縦割りを排し効率化するという視点も必要です。例えばですが、市町村土木補助は、都市計画局と建設局の双方に制度があります。これを統合することはできないのでしょうか。

〇小峰建設局長 市町村土木補助は、市町村が行う道路・公園・河川・下水道等の整備に対し、一部国費を導入しながら、都が補助するものでございます。
 補助に当たりましては、都市計画決定されている事業は、まちづくりを誘導する視点から都市計画局が、その他の土木事業は、地域環境を改善する視点から建設局が、それぞれの局の特性を生かし、適切に対応してまいりました。
 これまでも、補助の重点化や補助率の見直しなどを進めてまいりましたが、今後とも、市町村の意向なども踏まえるとともに、効率的な執行に努めてまいります。

〇馬場委員 幾つかの事例にすぎませんが、今以上の財政構造改革を進めようとすれば、今述べた課題なども、現実の課題となってまいります。
 さきの総括質疑では、和田副委員長が群馬県の予算編成の例を挙げましたが、根本に立ち返って、アメリカやヨーロッバ諸国のように歳出全体に縛りをかける仕組み、日本でも橋本内閣の財政構造改革法の例がありますが、都も、そうした仕組みについて真剣に検討すべきなのではないでしょうか。
 歳出の削減は、総論には賛成でも、各論になればなるほど賛成する人がいなくなる。私たちも、場合によっては賛成しかねる場合もありますし、耐えなければならないこともあると思います。
 しかし、都財攻は、このまま放置すれば、これまでの成果さえ無に帰しかねない状況を招来しかねないのもまた現実です。
 私たちも真剣に対処しなければなりませんが、今後の財政再建の取り組みについて、知事の考えを伺います。

〇石原知事 今までもさんざん同じことを聞かれ、さんざん同じことを答えてまいりましたが、いずれにしろ、国全体の経済動向は非常に見通しが悪い。そしてまた税収も減るばかりであります。
 こういう厳しい状況の中では、いずれにしろやるべきことは、内部努力をこれ以上重ねることによって、前よりもやはり厳しく重い財政再建プランを樹立することが必要だと思います。

3.区市町村への事務移管について

〇馬場委員 次に、区市町村への事務移管についてお伺いをいたします。
 和田副委員長の総括質疑では、区市町村への事務移管について総論を伺いました。ここでは各論について伺います。
 まず、地方分権一括法により、都道府県が国有財産として管理していた里道や水路などの法定外公共物は、平成十七年までに市町村財産として譲与されることになっていますが、現在の東京都における進捗状況はどうでしょうか。

〇田原財務局長 里道や水路など、いわゆる赤道、青路というふうにいっておりますが、などの国有財産を速やかに区市町村へ譲与するため、都は国が定めた期限を一年前倒しをいたしまして、平成十五年度中に終了するような実施計画を定めました。で、その実現に努めているところであります。
 現在、法定外公共物などの国有財産の譲与は、順調に進んでおりまして、今年度末におよそ七二%が達成をできる見通しであります。で、計画どおり完了できると考えております。

〇馬場委員 十五年度中に終了、一年前倒しでということでございます。大変ありがたいのですが、譲与といっても、登記簿上譲与されるだけで、実際は不法占拠や境界未確定などがたくさんあると思われます。都市再生のためのさまざまな開発を行う中では、このような土地も含めて、限られた土地を有効に活用していかなければなりません。
 都内の地籍調査の進捗状況はどうなっていますでしょうか。

〇勝田都市計画局長 地籍調査は、区市町村が主体となって行うものでございまして、現在、六町村が完了、十九区市町村が実施中でございます。
 しかし、調査に当たりましては、一筆ごとに関係権利者の立ち会いを必要とするなど、手続が煩雑なため、都内の現在の進捗率は、約一八%となっております。

〇馬場委員 都市部で一八%と困難である。先ほどと違いまして進捗率が低いようですが、国とも連携して、例えば外注化をするとか、都市部への単価を上乗せするとか、もっと力を入れて行うベきではないかというふうに考えます。足元の土地の権利関係がおぼつかなくては都市再開発はできないのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

〇勝田都市計画局長 都といたしましても、土地の境界や権利関係を明確にさせる地籍調査は、都市再開発などを促進する上で重要な事業であると認識しております。
 そこで、今年度、都市再生緊急整備地域において、全域の概況調査に着手をいたします。来年度は、国庫補助の増額を要望した結果、今年度より対象となる区市町村の拡大が図られるようになりました。
 今後とも、国や区市町村と協議を行いまして、着実に地籍調査を進めてまいります。

〇馬場委員 ありがとうございました。
 これは、国が二分の一、都が四分の一、区市町村四分の一ということで、自治体の負担も大きいということがあります。国庫補助の増額をさらに要望をお願いを申し上げます。
 次に、河川の管理についてお伺いいたします。
 東京都は特別区に、事務処埋特例条例で、区部一級、二級河川の維持修繕、維持管理などの河川管理を行わせていますが、全国でも一級、二級河川の管理を基礎的自治体に行わせている例は余りないようです。円滑に実施できているのでしょうか。

〇小峰建設局長 都は、神田川、石神井川など区部の中小河川について、都区制度が始まりました昭和十八年から、東京都区長委任条項に基づき、河川の占用許可や維持補修等を区長に委任してまいりました。
 一方、河川の改修工事や、不法占用に対する監督処分及び代執行などは、都が直接行ってまいりました。
 地方分権一括法の施行に伴い、区長委任条項が廃止されたため、平成十二年に制定されました特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例によりまして、従前と同様に区が占用許可等の処理を行っております。
 これまでも都と区は、それぞれの役割分担に基づき、円滑な河川管理に努めているところでございます。

〇馬場委員 できているということですが、管理が東京都と特別区にまたがっている場合、責任があいまいになるのではないでしょうか、いかがですか。

〇小峰建設局長 区が行います維持修繕や占用許可などの河川管理につきましては、先ほどの特例条例の中で、その権限と責任の範囲を明確にしております。
 今後とも、実施に当たりましては、都と区が連携を図り、適切な河川管理に努めてまいります。

〇馬場委員 それでは、二次分権計画でも、河川管理の運用の見直しを行うとされていますが、具体的にどのように取り組んでいらっしゃるのか、伺います。

〇小峰建設局長 第二次東京都地方分権推進計画では、都が直接管理を行っている一級河川についても、一部を新たに区が管理するものとしております。
 区が特例条例に基づき河川を管理していくためには、護岸や管理用通路などの整備が完了していることが必要となります。
 河川の整備には時間を要しますことから、この間の運用として、例えば新中川では、約二ヘクタールの河川敷を区が自主的に管理できる包括占用を首都圏で初めて許可するなど、都としても新たな取り組みを進めております。

〇馬場委員 河川敷は都で包括的許可という新しい取り組みをしていただけるそうですが、河川はまだ国の占用許可が必要ということがあります。これからも、国との分権もぜひ進めていってほしいというふうに思います。
 次に、保健所の移管についてお伺いをいたします。
 平成十二年の厚生省告示、地域保健対策の推進に関する基本的な指針では、人口三十万人以上の市は、保健所政令市への移行を検討することとしています。
 八王子、町田市への保健所移管の見通しはいかがでしょうか。

〇長尾健康局長 保健所政令市制度は、住民に身近な市が保健所を設置することにより、福祉施策と十分に連携のとれた総合的な保健施策や、地域の実情に即しました食品衛生、環境衛生等の施策を、市が主体的に展開していけるという点で、大変意義深い制度でございます。
 これまで、八王子市、町田市に対しまして、政令市移行に向けた検討の場の設置を働きかけてまいりました。引き続き、鋭意対応してまいりたいと考えております。

〇馬場委員 都は、再編の計画もおありと思います。地元市町村と充実した検討をお願いをしておきます。
 次に、建築基準法四条等に基づき建築主事を置く特定行政庁についてですが、小平市等への特定行政庁移管への対応と移管の見通し、協議状況はどうなっていますでしょうか。

〇勝田都市計画局長 建築基準行政は、都市計画行政と相まって、まちづくりの根幹をなすものでありますので、住民に最も身近な自治体が、みずからのまちづくりの一環として行うことが望ましいと考えております。
 こうした観点から、現在、小平市、西東京市等に対して、移管に向けた要請を行っておりますが、市の対応は、その必要性を理解しているものの、財政状況の悪化や人材不足などを課題としておりまして、協議は調っておりません。
 都といたしましては、引き続き、移管に向けて積極的に働きかけを行ってまいります。

〇馬場委員 まちづくりにつきましては、地域でも関心が高まってきております。ぜひ対応方、よろしくお願いを申し上げます。
 その上、今、答弁いただきましたように、余り進んでいないような状況にありますが、どのような庁内体制で取り組んでいるんでしょうか。

〇赤星総務局長 事務移譲につきましては、関係局が区市町村と実質的な協議を行いまして、それを踏まえまして総務局が調整を行っております。今後とも事務移譲に努めてまいります。

〇馬場委員 特定行政庁の移管については、初期投資について、経過措置としての財源措置を行うこととありますが、どのような内容か、十分といえるのか、お伺いをいたします。

〇勝田都市計画局長 建築基準行政の移管に伴います急激な財政負担の緩和を図るため、都といたしましては、建築基準行政事務市移管要綱に基づきまして、移管後の五年間について財政支援を行うこととしております。
 また、担当職員は専門的、技術的知識を必要といたしますので、市職員に対しまして研修を実施するとともに、都職員の派遣も行っております。

〇馬場委員 幾ら東京都が事務を移管するといっても、受ける側の区市町村が受けてくれなければ、分権も名前倒れとなります。総務省も、政令指定都市だけでなく、特例市、中核市、政令市などさまざまなメニューを用意し、合併特例法もつくっていますが、東京都内では余り動きがありません。このままでは、知事の言葉ではありませんが、百年河清を待つがごとくとなります。
 さきの総括質疑でも和田副委員長が伺いましたが、区市町村への事務移管、合併促進について、例えば、構造改革特区等を活用できないか。
 また、都は、公会計に複式簿記の導入を考えていらっしゃいますが、区市町村への働きかけも含めて進めるとか、これは私の考えですが、知事として従来の手法を超えた取り組みが求められているのではないかというふうに思います。
 知事、この点についてどういうお考えか、見解を伺います。

〇石原知事 再三お答えしておりますが、とにかく明治開化以来、百年を超す中央集権、官僚統制国家で来たわけでありまして、これを、ようやく歴史的な必然、蓋然で、解体といいましょうか、地方分権ということを志しているわけでありますけれども、いずれにしろ、仕事を分けてもらっても、行政にはお金がかかるわけでありまして、税源、財源の分与なしに仕事に対する責任だけを分与されても、分けられる方は非常に困るわけであります。
 既に首都圏ということのアイデンティティーを持って、一種の広域行政を七都県市では幾つか始めておりますけれども、これがすなわち合併につながるものでもありませんが。
 一方、先般も西東京市が誕生いたしましたけれども、今後も引き続き行財政権限の移譲を国に働きかけるとともに、市町村の合併も都としては支援していくつもりであります。

〇馬場委員 ありがとうございました。
 話が身近なところに行きますが、私のそばの立会川にボラの大群がたくさん押し寄せてきました。また、先日、東京水産大学の中村助教授さんの呼びかけで、水産大学のある高浜運河にイルカを泳がせようなんというような、そんなシンポジウムも開かれたりしています。
 いろいろな点で地域の住民が、これから行政とともにさまざまな活動をしていく上で、こうした行政改革、そして、国から都、都から区へという権限移譲というものが大変重要になってくると思いますので、ぜひ知事の力で、国から都へということをお願いをしておきます。

4.食品安全について

〇馬場委員 続きまして、食品安全について伺います。
 先日の予算特別委員会の代表質問で、和田副委員長から、東京都の食品安全条例について、現在の検討状況や、全国でも初めてとなる条例案策定に当たっての課題等、お伺いをいたしました。そして、現在、各局で詰めの作業を行っています。できるだけ早期の制定に向けて検討を進めているとのお答えをいただきました。
 また、法の規定だけでは対処できない課題もあり、大消費地としての東京の実情や、都民の要望に応じた独自の対策を講じることが必要でありますとの心強いお答えもいただきました。
 そこで、法の規定だけでは対処できない課題とはちょっと違いますが、国におくれがある場合の東京都の対応について伺いたいと思います。
 食品の安全性評価につきましては、国の評価はなかなか進んでいません。怠慢であるといってよいと思います。例えば、いわゆる天然添加物の安全性評価の問題があります。食品添加物には、化学的に合成してつくる合成添加物と、植物の種子や樹皮、樹液から抽出してつくる天然添加物があります。
 この天然添加物については、使用量の急増、これまで食経験がない新たな原料を使ったり、新たな製法による天然添加物の出現により、安全性への不安が高まった結果、検討が行われました。一九九六年に、当時の厚生省の研究班により、百三十九品目が早急に安全性の評価が必要であるとされ、厚生省も安全性の検証を進めるとの方針を明らかにしています。
 しかし、昨年六月の段階で確認済みは、百三十九品目の安全性が確認されていない天然添加物のうち、わずかに十四品目にすぎません。百品目を超える添加物が安全性の評価をされずに都民の口に入っていることになります。今般の法律改正で事態は少し改善されるでしょうが、まだ道遠しであるといえます。
 安全性の評価が行われていない天然添加物について、どのような見解をお持ちでしょうか。

〇長尾健康局長 天然添加物につきましては、従来、原則として自由に使用されることが認められてまいりましたが、平成七年の食品衛生法改正の際に見直しが行われ、それまで使用されてきた天然添加物のうち四百八十九品目が使用を認められることになりました。そのうち国際的に使用されているもの、安全性のデータが得られたもの等三百五十品目につきましては安全であるとされましたが、ご指摘の百三十九品目につきましては、安全評価のデータが十分得られていなかったものでございます。このため、早期に確認が必要とされたところでございます。
 これらの確認が必要とされた天然添加物は、ベニバナ色素やシソ抽出物など、我が国の長い食生活の中で使用されてきたものがほとんどでありまして、都としても問題があるとは考えにくいところですが、国が現在進めている安全性の評価作業を早期に行うよう求めております。

〇馬場委員 今まで食経験のない素材からつくったものを口にすることが長期的に影響がないかどうか、検証が必要であると考えます。今、一例として天然添加物の安全性評価について、国はみずから安全性の検証を進めるとしながら、五年以上たっても、わずかに百三十九品目中十四品目しか確認できていないということを申し上げました。
 食品衛生法は、地方自治体が独自にリスク評価を行うことを禁止していません。さらに、国に基準がないものについて、独自に自治体が基準をつくり、規制することも禁じていません。国の評価の立ちおくれがあるとき、都は、都民の健康を守る立場から、特に問題がありそうなものについては、独自にリスク評価を行い、何らかの行政的な対応をとるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

〇長尾健康局長 都は、これまでも、国において規格や基準が設定されていない食品等につきまして、先行的な調査研究を行ってきております。その結果、健康影響が懸念されるなど対応が必要と判断したものにつきましては、業界団体を指導するとともに、国に基準の設定を強く求めてまいりました。
 これまで都が提案して国の基準となったものといたしましては、食品中に残留するカビ毒などがございます。
 今後とも、食品の安全に関する情報を広く収集、分析、評価し、その結果を具体的な施策に反映させてまいります。

〇馬場委員 安全性の確認には、添加物の場合で少なくとも二千万円程度かかるのではないかといわれています。高いといえば高いですが、国に対応のおくれがあり、都民の健康に危険が認められる場合には、高いといっている場合ではありません。また、都は、全国でもトップレベル、世界的にも評価の高い研究機関を持っています。いざというときには、東京都独自でリスク評価を行うこともあるということを、現在検討中の食品安全条例に規定すべきと考えますので、あえて申し添えておきます。

5.男女平等施策について

〇馬場委員 続きまして、男女平等施策についてお伺いをいたします。
 まず、財団法人東京女性財団と男女平等推進基金の果たした役割と実績についてお伺いをいたします。
 財団は、一九九八年の一月に五周年ということで、実は、こういう冊子、もう一冊あるんですが、つくっております。その中には、設立までの経過と、携わった多くの方々の思いがつづられております。
 まず、一九八八年からの沿革が書かれているんですが、その中の一九九一年四月、百億の基金を積んで、この男女平等推進基金条例ができました。翌年の一九九二年七月、三億の出捐金で公設民営の形で財団が設立をされ、一九九五年十一月、ウィメンズプラザが開館されました。
 今回、廃止決定がされましたが、この財団の解散については、意見の相違がいろいろありました。この五周年の記念誌の後、残念ながら、その後の活動も含めてまとめるという作業がいまだできておりません。
 その点から、ここで改めてお尋ねをさせていただきたいと思います。財団及び基金は、設置時には必要性を認めて都は設置をしたものというふうに思っております。この間の東京都における男女平等の進展に果たした役割、実績を、まずどのように評価なさっているのか、伺います。

〇三宅生活文化局長 東京女性財団は、研究、研修、情報提供、相談等の事業を実施し、男女平等の社会的風土づくりに一定の成果を上げたものと考えておりますが、今日における男女平等参画の新たな段階に対応し、都として、より個別、具体的な課題に取り組んでいく必要があったことと、また、自立した組織としての存続が困難であったことなどから、廃止に至りました。
 また、男女平等推進基金は、その運用益金を東京ウィメンズプラザにおける普及啓発、相談などの事業に充当し、男女平等施策推進の財源として活用ができました。しかし、近年の低金利のもとで、その果実活用型基金としての役割を終えたことから、廃止することといたしました。

〇馬場委員 今、私は、財団及び基金の役割と実績についてお伺いしたのであって、廃止の経緯をお伺いしたわけではありません。なぜすぐ廃止が出てくるのかという思いで、今伺っておりました。
 まず、きちんとこの成果を認めて、都がみずからつくった財団であり基金であるということですから、まずこの成果を認めていただきたいという思いがあります。それは、私どもの先人の労苦をむだにしない、私たちがこれを引き継いでいくということも含めて、こういう思いで、次からの質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
 財団は残念ながら廃止となりますが、今後、男女平等参画に向けて継続をした取り組みをしていく、施策の後退はないというような明快な答弁を、既に代表質問、委員会等で繰り返しいただいております。
 そこで、今後の男女平等施策の推進について、課題、提案を含め、何点か伺います。
 まず、男女平等推進施策については、各局それぞれで事業を持っており、数多くある課題、事業の中で、進捗ははかばかしくありません。例えば、予算編成一つとってみましても、各局ごとの考え方で行われているために、男女平等関連の予算という視点でトータルに施策を検討し、重点的に進める課題を決めるなど、取り組みが必要というふうに考えております。
 男女平等参画について、庁内一体となった取り組みがなされているのでしょうか。

〇三宅生活文化局長 男女平等参画基本条例に基づきまして行動計画を策定しております。都と都民、事業者が連携協力して、男女平等参画に向けた取り組みの推進を図っております。
 行動計画に掲げる都の施策につきましては、関係局との連携のもとに総合的に推進していくことが必要でございます。このため、男女平等参画推進会議を設置して、施策の推進にかかわる諸課題について情報交換を行っております。今後も、この会議を積極的に活用するなどして関係局相互の連携を強化し、全庁的に重要課題の解決に向けて取り組んでまいります。

〇馬場委員 行動計画に基づいて取り組んでいくということを確認をさせていただきます。
 次に、財団の果たしてきた役割として重要なものの一つに研究活動があります。残念ながら財団の廃止でなくなってしまったわけですが、男女平等参画の実現に向け、例えば、性と生殖に関する健康と権利について、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツというふうにいっておりますが、先日の質問でも、公明党さんの質問で、女性専用外来の話がありました。大塚病院開設ということでございますが、櫻井病院経営本部長の答弁では、母子医療の一環として整備するというふうなご答弁をいただきました。
 私どもは、この性と生殖に関する健康という観点から、全体の女性学というような形での取り組み、研究を進めていただきたいというような、そういうことを希望しております。
 また、女性の自立に向けた女性と財産のあり方の課題もございます。これも財団の中で冊子が出されておりますが、女性が自立をするということの大きな影響を持つ、財産というものの扱いが、まだ日本ではきちんとした制度になっていないというふうに私たちは思っております。
 知事のおっしゃった、女性が高齢になっての自立、社会の中で自立をしていくためには、それまでの財産形成ということがきちんとされなければならないというふうに思っております。
 こうしたいろいろ課題があるわけですが、都の政策立案の前提として、こうした課題についてさまざまな調査研究が必要であるというふうに考えております。今後、この点はどういうふうになさるんでしょうか。

〇三宅生活文化局長 都におきまして、これまで男女平等参画に関する意識や実態の調査、雇用の分野における男女平等参画状況や、家庭等における暴力に関する調査などを実施してまいりました。これらの調査は、施策の立案、推進の基礎資料として活用されてきました。
 今後も、配偶者暴力の防止や、雇用の分野における参画推進など、成果が行政施策に反映される具体的なテーマにつきまして、課題の解決のために必要に応じて調査研究を実施してまいります。

〇馬場委員 ありがとうございました。
 男女問題、知事は理解をなかなかされないようですが、知事は左ききでいらっしゃるようにお見受けします。左ききであるということは生まれつきであると思われますが、私たち男女も、生まれついて女性に生まれてきた。知事が、この右ききの社会の中で、左ききということであるというそのことについては、例えば、左手でできるものをするとか、そういうことの、要するに、私たち、ポジティブアクションといっておりますが、社会がそういう仕組みになれば、同じようにやっていける。つまり、左手も右手も、別のものであるけれども、一緒にやっていく、同じような形で両立はできるというふうな、そんなふうに考えております。
 次に、東京都は、今年度の男女平等参画の重点課題の第一に、ポジティブ・アクション・プログラムの作成、普及啓発など、雇用分野における参画の促進を掲げていらっしゃいます。雇用における共同参画は、男女平等参画基本条例十三条においても、「知事は、男女平等参画の促進に必要と認める場合、事業者に対し、雇用の分野における男女の参画状況について報告を求めることができる。」と規定されて、東京都はこの条例に基づき、毎年、男女雇用平等参画状況の調査報告書をまとめています。
 そこで、まず、これまでの調査の取り組み状況と、十五年度予算案における調査内容について伺います。

〇有手産業労働局長 都では、平成十二年度より、お話しの条例に基づきまして、毎年、各業種の事業主を対象に調査してまいりました。その主な内容でございますが、十二年度は、雇用の分野における男女平等と参画状況、昨年度は、企業におけるセクシュアルハラスメント防止とポジティブアクションの取り組みでありました。本年度は、企業における均等法、育児・介護休業法への対応等の雇用管理の実情について調査いたしまして、現在、結果を取りまとめ中でございます。
 来年度は、企業における育児・介護休業制度や、看護休暇、短時間勤務制度など、仕事と家庭の両立支援の実態を従業員も含めて調査する予定でございます。

〇馬場委員 このような調査は、有効利用されなければ意味がないというふうに思います。私どもにとって、こうした調査は大変貴重なものがあります。調査の結果を施策の中に東京都としてはどのように生かしていくのか、お伺いをいたします。

〇有手産業労働局長 昨年度は、都内三千事業所を対象に実施した調査によりますと、男女雇用機会均等法により、職場におけるセクシュアルハラスメント防止についての配慮が事業主に義務づけられたにもかかわらず、何も取り組んでいない事業所が約四割に達しております。また、職場での事実上の男女格差をなくすための積極的取り組みであるポジティブアクションについては、小規模なほど、取り組んでいる事業所が少なくなっている現状にございました。
 こうした調査結果を受けまして、本年度、セクシュアルハラスメント防止ハンドブックを作成したほか、事業所がポジティブアクションに取り組む際のマニュアルとなるポジティブアクション実践プログラムを作成いたしました。

〇馬場委員 ありがとうございます。
 この実践プログラムには、ポジティブアクション、両立支援の取り組みに対する各種支援制度というものが紹介されています。それら支援制度を使っている企業は極めて少ないのではないかと思います。
 例えば、国の育児・介護費用助成金とあります。これは都がポジティブアクションの中で−−持ってきてないんですが、財政的に国の助成金を利用するようにという形で紹介をしております。国の制度としては、21世紀職業財団というところで扱っているわけですが、ここを紹介しております。
 十三年度で、ここの利用率を伺いました。残念なんですが、全国でわずか六百九件しか実績がなく、その中で東京がどのくらい使っているかということをお尋ねしましたところ、その一割にも達していない数字でございました。
 私は、こうした制度の利用促進を図ることも含め、今後このプログラムの普及、促進のためにどのような施策を実施していくおつもりか、伺います。

〇有手産業労働局長 国の支援制度のより一層の利用促進を図るために、都は、ポジティブアクション実践プログラムにおいて、具体的な取り組み策とあわせて、各種支援制度の内容や所管窓口なども紹介しておるところでございます。
 今後、労政事務所におけるポジティブアクション実践セミナーや、ポジティブアクションリーダー育成研修などにおきまして、このプログラムをテキストとして活用するほか、労働相談や職場改善訪問等のさまざまな機会を通じて、各企業に対し普及に努めてまいります。
 また、東京商工会議所等の使用者団体に対しましても、本プログラムを活用して各企業の指導、啓発に当たるように働きかけていきたいと考えております。

〇馬場委員 さまざまな支援施策の中で、育児・介護休業制度やパートタイム、パートの人への支援制度とか、必要なところがたくさんあります。この支援プログラム、大変わかりやすいものだというふうに思いますが、肝心の財政的支援については国に頼っているという状況でございます。その点で、東京都がさらに実態をつかみ、東京都としての支援がされることを心から願っているものでございます。
 さらに、こうした施策を進める上で、私ども、いつもいっておりますが、政策検討過程での女性の参画というものが大変必要ではないかと思っております。きょう見渡しても、大変女性の数が少ないというふうに思っております。この点もぜひ都のこれからの尽力を期待しております。
 最後になりましたが、先日の予算委員会の質疑で、浜渦副知事の答弁の中に私の名前が出たようでございます。当日は聞き取れずに、後日、速記録で読ませていただきました。女性財団の廃止についてでございました。
 私は、財団の役割は終わっていない、東京都の男女共同参画の推進のために財団がすべき仕事はまだまだたくさんあるというふうに考え、最後まで反対をいたしましたので、解散に向けて開かれた会議の異例さについて簡単に述べさせていただきたいと思います。
 十二年の十一月に監理団体改革実施計画で廃止が提案をされました。その後、知事答弁で、財団みずからが存続を含めて結論をということがございました。その後、財団では、財団のあり方を考える会を設置し、寄附行為の改正案を出しましたが、これが否決をされました。
 そして、十四年の三月、ちょうど昨年になりますが、私ども委員、評議員、理事会とも任期切れとなりましたが、その後、継続の提案はなされず、実は十四年の十月三十一日に第一回の評議員会の提案がありました。そこで、次期理事の選任の件ということでございました。ここで、新理事は、実に一人再任で九人新任ということでありました。この評議員会については、賛成七、反対六ということで決議がされました。そして、十一月一日に新理事が就任、十一月七日には、新理事会で新しい評議員の決定がありました。この評議員も同じように、私ども都議会五名を除く新人、ほかの議員は全部新役員となりました。
 そして、評議員会、十一月中に理事会が行われ、十一月十八日に評議員会、解散、そして二十五日に解散決議が行われました。私ども、この解散決議の経緯については、大変不当、異例のものというふうにいわせていただきたいというふうに思います。
 こうしたことを踏まえて、今後のさまざまな理事会や評議員会、いろんなところで行われると思いますが、それの、私どもの意思がきちんと反映される形でできないといけないというふうに思います。東京都がそういう意味で先例を、あしき先例を残されないよう心から願って、質問を終わらせていただきます。
 長時間ありがとうございました。