平成15年 財政委員会

2003年10月2日

馬場裕子

一 新銀行設立準備の現状について
 

一 新銀行設立準備の現状について

◯馬場委員 今回の新銀行につきまして、前回の委員会から今回ということになったんですが、具体的なご説明というのは、内容についての説明は出てこないという中で、唯一いただきましたアンケート調査等について触れながら、また、ただいまありました各委員からの質問も含めて、ちょっと確認をしながらご質問させていただきたいというふうに思っております。
 まず、大塚出納長さんにお尋ねしたいんですが、今までの質疑を聞いていて、私、目隠しをして象にさわっているような状態かなというふうに思って聞いておりました。つまり、さわりながら少しずつ形をつくっていって、全体の形はまだまだ見えない。象使いと申し上げていいのかどうかわかりませんが、大塚出納長さんにはきちんと見えているのかもしれないのですが、私どもにはまだ隠されている中で、確認や質疑をしながら探っているという状況ですので、その点お許しをいただいて、もう一度原点に戻ってお尋ねしたいんですが、まずこのアンケート等、預金者向け、中小企業向け、またeモニター向けと大きく三つあるんですが、それの説明が少しずつ微妙に違うなというふうに読ませていただきました。
 中小企業向けのアンケートの最初の項目には、都が主体となった新銀行の創設を検討していますというふうに書かれています。預金者向けのもののクエスチョン9の前段には、東京都の新銀行構想についてお聞きしますとなって、あなたは、東京都が平成十六年度中に新しい銀行を創設することについてご存知でしたかという質問になっています。それからeモニター向けのものは、これはその中間でしょうか、銀行を創設することとし、その銀行がどうあるべきかとか、参考にしたいというふうな質疑なんですが、先ほどの藤田委員さんのご質問、手順のところにもかかわってくるかもしれませんが、まず私どもがこの新銀行が設立されるのだ、もう決まっているのだというふうに──預金者等はこの表現だと受け取られるというふうに思うんですが、この辺、この手続といいますか、まず銀行が決まっているのか、構想なのか、銀行はもうつくるということに決まっているのか、決まっていてその中を検討しているのか、その点についてお答えください。



◯大塚出納長 当然のことながら、都議会でご同意をいただいて、必要な手続を踏まえた上で新銀行を設立するということがオーソライズされることになりました。これはもう私がお答えするまでもなく、そういうことであります。
 ただ、執行機関としては、その一つずつのアンケートに都議会の同意はまだですがということはうたっておりませんけれども、執行機関の意思としてはこの銀行をつくりたいということは、これはもう紛れもない、そういうことでありまして、それを前提にアンケートをさせていただいたということであります。



◯馬場委員 今のお答えですと、つくりたいという段階であると。議会の同意というのは、具体的には出資をするという予算なり提案なりを認めるということなんでしょうか。中身がどういうものであるかということまで、私どもは検討できるのでしょうか。



◯大塚出納長 都議会に対しては、仕組みの上では予算案なり、あるいは条例案なり、そういうものをご提案をさせていただいて、それをもとにご判断をいただき、ご承認をいただくということになるわけでありますけれども、今ここでいろいろご議論いただいておりますけれども、私どもで、知事の記者会見でこういうふうな構想があるということを発表したわけでありまして、それを前提に、提案前に予備的な審査といいますか、そういうことを含めていろいろご議論をいただいているんだというふうに思っています。
 当然、出資をするということは、ご提案を申し上げる案の中身はそういうことであっても、もちろんそれにとどまらず、この新銀行、先ほど来お話がありますような、つくる必要性があるのかどうかという、その根源までさかのぼったご議論を当然いただくことになると思います。その上で、この出資をご承認いただく、そういうふうになるだろうと思っています。



◯馬場委員 大変難しい状況で、これからどういう展開になるのかなという思いもあるのですが、この辺を、先ほどの委員さんも質疑がありましたように、このアンケートを読んで、特に預金者の、今の銀行を創設することにという質問で、賛成多数ですが、それは当然だと思うんですね。その次の新銀行の特徴というところは、すばらしい条件が書いてあるわけですね。安全で有利なという、つまり外資系を含めて資金運用力にすぐれた金融機関であり、安全であり、有利な金融商品。それをさらに、どれを選びますかというようなすばらしいものなんですが、もちろん皆さんが選ばれたのは、安全というところでございました。
 これはひっくり返せば、東京都が銀行をつくるという暗示ですね。これ以外の安全ということの保証は今現在ないわけですから、東京都の銀行ということで、この安全というのが特徴になっているというか、保証されているようなものではないのかなというふうに読み取りました。
 このことを、これから都がここに書かれているように保証できるのかどうかということが問題なんだというふうに思いますが、今の手順と、それから東京が今までの質疑の中でどういう銀行であればいいのかとここでいろいろ尋ねているわけです。この尋ねられていること、都民や中小企業者からの要望をどこまで酌み取られてどういうことになるのかということは、まだ出てきていないわけです。
 そこで、どういうふうに今後していくかということの問題があると思うんですが、続けて出資の話も出ておりましたので、まず今何度もおっしゃられている、一千億円を東京都が出資するという方向、それから先ほどのお答えにありました、将来戻すかもしれないというようなこと、それからこれから共同で出資するメンバーがどんなメンバーなのかというようなこと、そういうことも含めて現在出納長さんの方で発表できることをもう一度確認したいんですが、どこまでをきちんと現在の段階でこれは基本として押さえているというところを、もう一度確認のためにお知らせください。



◯津島理事 この銀行の構想を五月二十三日に知事が発表いたしました。それから、二定でこの銀行の基本的な青写真について、いろいろご質疑をいただきました。そして、その中でいろいろご要望があったわけでございますけれども、都議会、都民の意向というものを十分反映してものをつくれという強いご指示がございまして、そういった意向を受けまして、都政モニターなり預金者あるいは中小企業の状況調査、こういうものをやってきた。
 この三つの調査は少し目的が違っておりまして、都政モニターというのは、この東京都の青写真、これの基本的な部分について、都民の感想、意向を、ざっくりとしたものを伺っておくということでございます。一方、中小企業、預金者の意向調査、これは私どもが本当にこの銀行を経営的に成り立つようなモデルをつくるための、本当に資料として使うものでございまして、このそれぞれの、例えば預金者であれば資産別、それから年齢別、男女別、職業別、こういったもののすべて属性を書いていただいて意向調査しておりますので、これからの具体的なモデルの貴重な資料になるということで、そういう意味では目的は随分違っております。
 こういったものを現在フルに活用いたしまして、東京都は関係するさまざまな専門的な機関、あるいは地域の金融機関、そういったそれぞれの得意とする分野の方々とともに、現在基本的なスキームをつくり上げております。そして、このスキームを年内に都議会にお示しして、十分その内容をご理解いただいて、その上で出資をお願いする。したがって、今ちょうどその基本的なスキームをお示しできる最後の内容を検討している、こういう状況でございます。



◯馬場委員 一千億の出資ということは、単純に子どもを除いて大人で考えて一人一万円ですね。家族で五万円。こうしたものも含めてアンケート等の構想の中では、つまり、こういうすばらしいものができるというアンケートの項目はたくさんあっても、その負担、都にとって、都民にとっての一方で負担するものという情報の提供がないのではないか、少ないのではないのかなというふうに受け取りました。
 先ほどの質疑にもありましたように、都がこういう財政難のときにこれだけの出資をして銀行をつくるということがどういうことなのか、それぞれの都民や企業にとってどういう負担があるのか、また将来にわたってそれが──東京がつくるといっていらっしゃいますが、知事の説明、出納長の説明等は、つまり株式会社ですので、全部費用も東京都持ちでつくって差し上げて、できたものは株式会社なので、というような前回の委員会でのご答弁もありました。
 そういうことのきちんと開示がないまま、いい銀行ができる、みんな便利になりますよ、預金は安心ですからどんどんしてください、利便性も含めてどんどんいってください、利息は安くやってくださいというのがある。そういう中をどうまとめて、要するにいいところだけではないはずなんですが、そこのところの開示というのをいつごろ、どういう形でなさるのか。
 それから、今後の、でき上がってからの銀行の将来構想のようなもの、そういうものも、東京の銀行というふうに都民の皆さんは受け取っていらっしゃいますので、その辺のきちんとした、一般の株式会社であるということ、それからもしそうでないのであれば、永久に都が関与する、つまり増資をしても、一般公開、株の公開があるのかどうかわかりませんが、そういう形で今後運営されて経営されていく中で、東京都の関与をいつまで東京都の銀行としてしていく覚悟なのかというようなことも含めて、将来にわたって責任を持つという意味でこれを受け取っていますが、それでいいのかどうかということも含めてお答えください。



◯津島理事 現在、その基本的なスキームについて、精力的にチームで検討しているというふうにお話しさせていただきましたけれども、先生お話のように、まさにこれからそのスキームの中身を具体的にお示しして、それとセットでその出資の是非をご審議いただく。これはアンケートで済むという話でございませんで、まさに都議会の先生方にご提示してご審議していただくというのがまず第一であるというふうに考えております。



◯馬場委員 ありがとうございます。その点も含めて今後の課題ということになると思いますが、ぜひいいことだけではない部分も含めて、きちんとお願いをしたい。なぜならば、私どもも含めて将来にわたって皆さんが責任をとるという立場にはないわけですから、今だれも責任をとるという人がいないままでこのお話をしているという状況だと私は思っております。責任をとれる状況にないということも懸念をしておりますので、お願いをいたします。
 最後に一点なんですが、やはり先ほども出ました信金、信組さん、業界の方ともお話をしておりますと、十店舗二百人、この形等も含めて、どういうふうに理解をしたらいいのかというのがわからないというようなお話が出てまいりました。
 経費を少なく、つまり利益を上げるために規模を考えているという考え方と、それからこういう規模でやるんだという、構想の結果としてこの規模なんだということでは、意味が違ってくるというふうに思うんですが、こういうところで、先ほどは十店舗二百人体制というのは変わらないというようなお話でしたが、今後そういう意味では銀行の商品やサービスを考えていく中で、この形ももう決まったものとして考えてよろしいでしょうか。



◯大塚出納長 何か先生、粗利益と、それから選択と集中という話をしたお話と、それからこの話とが、こういうふうに次元の違う話なんですけれども、セットになってのご質問だというふうに思いますが、当初の二百人というのは、あのときに本当に基本的なスキームの中で、大骨をベースに積算をした十店舗二百人体制という数字をとりあえず出しました。これは仮置きであります。いろんなスキーム、今最終的に整理をしております。
 それで、これを設立する設立目的があるわけでありますけれども、その目的を達成するための条件として、いろんな組織の要素、それからモデルの要素、あるわけでありますけれども、それぞれについての最適解、個々のパーツの最適解、それを積み上げていくことになると思います。それで、第一段階での最適解、恐らくそれが発展していけば、今度はその段階での最適解というのがあるというふうに申し上げておきます。
 カウントの仕方というのは、ネットでカウントするか、それからグロスでカウントするか、いろいろあるわけでありますけれども、基本的なスキームを出す際にきちっとお示しをしてご審議をいただきたいというふうに思っています。