一 区部の下水道事業について
◯馬場委員 私は、大きく三点にわたり質問させていただきます。
まず、小美濃委員に続き、区部の下水道事業について質問をいたします。
高度経済成長期に見られた川や海などの著しい水質汚濁は、下水道の整備によって次第に解消され、今では神田川にアユが、また、私の近くの立会川にはボラが遡上するというような状況になっています。しかし最近では、特に夏の集中豪雨時に、汚水のまじった雨水が川などに直接放流されるなど、ここに来て、合流式下水道の欠点が目につくようになってきております。
そのようなことを考えますと、川や海などの水質を改善するためには、合流式下水道の改善は最重要課題だと私も考えております。下水道局ではこれまでも、貯留池の建設や、数ある吐け口にろ過スクリーンを設置するなど、合流式下水道の改善に向け努力してきていることはよくわかっております。今後も積極的に推進すべきであると思いますが、貯留池などをつくれば建設費がふえますし、ためた水の処理費もふえて、下水道事業への影響も大きくあるということと考えます。私は、そのようなところが大変気になっております。
そこで、合流式下水道の改善について何点かお伺いをいたします。
まず、下水道局では、降雨初期のときに汚れた下水をためる貯留池の建設を進めていらっしゃいますが、平成十四年度までの進捗状況について伺います。
また、最近建設された貯留池を例に、その貯留容量と事業費についてお伺いいたします。
◯二村下水道局長 平成十四年度末までの貯留池建設の進捗状況についてでございますが、処理場やポンプ所など十四カ所に設置いたしまして、その貯留容量は約四十万立方メートルでございます。進捗率は、全体計画に対し九%となっております。
また、貯留池の容量と事業費についてでございますが、間もなく完成予定の大田区の雑色ポンプ所の貯留池を例にとりますと、貯留容量が一万四千七百立方メートルで、建設に要します事業費は約十五億円でございます。
◯馬場委員 今の答弁でざっと計算しますと、四十万立米で進捗率九%ということなんですが、雑色ポンプ所で計算しますと、一立米十万円でしょうか。四十万立米掛ける十万円ということで、貯留容量四十万立米で九%ですから、将来、約四百五十万立米の予定だというふうに思います。そうすると、四千五百億円というような多額の、これからの施設費がかかる。と同時に、ためた貯留水、下水を処理していくということになりますので、これから大変多額の費用がかかるというふうに受け取りました。
こうした合流改善のほかに、即効性、つまり、建設費をかけ年数をかけてする構造部分と、ほかに即効性のある取り組みという意味で実施しているもの。それは、先ほども述べましたように、オイルボールやごみなどを下水道から川などに出さないために、雨水の吐け口に設置するろ過スクリーン等についても、十四年度の実施状況、事業費などがどうなっているのか、まずお伺いをいたします。
◯二村下水道局長 平成十四年度のろ過スクリーンなどの実施状況と事業費についてでございますが、神田川、目黒川などに合計三十七カ所設置いたしまして、それに要した費用は約五億円でございました。その効果につきましては、雨の強さ、降り方により違いがございますため一概には申し上げられませんけれども、当局が実施しましたろ過スクリーンの調査では、ごみなどの除去率は、平均で約八割程度となっております。
◯馬場委員 こうしたごみ等が海に放出をされれば、所管外になるということもあるので、ぜひ下水道局さんの処理の中でできる限りの対応をしていただきたいというふうに思っています。
一方で、雨が降ったときに雨水をためるという工事が進んでいます。下水道管の口径を含めて、大きなところに一次をためる、また、先ほどの貯留池をつくって、そこにためるというような施策が進んでいるんですが、先ほどの悪臭のお話もありましたように、近隣の放出をされる地域にとりましては、大変その悪臭と沈殿物による──私どもの立会川等ではスカムというふうに呼んで、その浮遊物体対策をお願いしているところですが、そうしたものがどうしても川の方に浮いてくる。家庭も近隣の商店街も、その対策について大変苦慮しているところですが、そうした中で、下水管の中の清掃というものがどうなっているのだろうかというような話が出てきております。この管渠の清掃ということについて、平成十四年度の実施状況とその費用についてお伺いをいたします。
◯二村下水道局長 下水道管渠につきましては、日常的な巡視、点検を行いますとともに、油の付着や土砂が堆積しやすい箇所を重点的に調査しまして、計画的に清掃をしているところでございます。
平成十四年度の実施状況でございますが、清掃延長は約百八十キロメートルで、費用は約十一億円を要したところでございます。
◯馬場委員 設備も大変ですが、清掃と維持管理も含めて大変多額のものになっているというふうに思います。このように合流式下水管の改善には、再構築という方法や雨水対策と同様に、施設の整備や維持管理に多額のお金がかかる。このことが、どんどん大きく税等の負担にもなってくるという状況にあると思います。雨水に係る費用は公費、汚水に係る費用は私費という原則に基づいて費用負担していると聞いておりますが、料金にしろ税金にしろ、いずれにしても都民の負担が増加するということになるわけですから、コスト削減の努力が不可欠であると考えます。
そこで、合流式下水道の改善に伴う費用を増加させないために行っているコスト縮減の取り組みについてお伺いをいたします。
◯二村下水道局長 合流式下水道の改善にかかわるコスト縮減については、早期に改善効果が得られるように、既存施設の有効活用を図ったり、あるいは、吐け口からごみなどの流出を防止するため、当局が開発しました、動力を要しない簡易で安価な装置を導入しております。さらに、消毒施設の改良によりまして、薬品使用量の削減も図ったところでございます。
今後とも、計画、工事、維持管理の各段階ごとにきめ細かな取り組みを行いまして、さらなるコスト縮減に努めてまいります。
◯馬場委員 今後とも、費用対効果に十分留意をして効果的な事業を進めていくとともに、コスト削減にも知恵と工夫を働かせて取り組んでいただくようお願いをしておきます。
しかし、こうした対策をどんなに頑張っても、その努力を上回る雨水や汚水が下水道に入ってきたのでは、対応し切れないはずです。
そこで私は、まず、下水道に雨を入れないということが最も重要な対策だと考えています。下水道が都市の排水を受けざるを得ないという使命を負っているのは十分承知していますが、手をこまねいているだけではなく、都民一人一人が積極的に雨水をためたり浸透させたりといった取り組みを推進する必要があると私も考えております。
そこで、こうした雨水の貯留や浸透に対する下水道局の考え方をお伺いします。
◯二村下水道局長 雨水の貯留や浸透は、降った雨が下水道に流入する量を減らすことから、雨水吐け口やポンプ所からの放流回数や量が削減できまして、合流式下水道の改善に効果があるものでございます。このため、雨水の貯留、浸透に係る助成制度を持つ区などと連携いたしまして、設置促進を進めているところでございます。
今後とも、合流式下水道の改善を効果的に進めていくために、当局が整備する貯留浸透施設の建設に加え、地元区などと連携するとともに、都民などに協力を求めるなど、積極的に取り組んでまいります。
◯馬場委員 雨水の浸透は、合流式下水道の改善にとどまらず、浸水対策や地下水涵養などの効果もあわせ持っていると思います。まず、下水道の入り口対策として、きれいな雨水は下水管に入れないというようなことの対策があれば、処理に対しての負荷が少なくなるというふうに考えております。そういう意味で、まず、入り口で雨水を下水に入れないという主体的な取り組みを、今後も強く要望しておきます。
次に、これまで合流式下水道の改善について伺ってまいりましたが、合流式下水道から雨天時に放流される下水の水質悪化の一因として、各家庭の台所から流されるごみや油による下水管の汚れがあると考えております。広報で、対策として、油やひどい汚れは家庭で処理をして流してください、また最近では、お米をとがないで炊ける無洗米、そうした無洗米の普及というのも負荷によいのではないかという話も出ていますし、また、道路の清掃をすればするほど、道路の汚れを下水に入れないということにもなる、そんなような対策が、先ほどの質問も含めて、あるというふうに思います。
その中で一つ気になることが、最近、私のところでもあったのですが、台所のごみを手軽に処分できる、よいディスポーザーがありますといううたい文句で訪問販売がありました。しかし、このディスポーザーというのは、細かく生ごみを砕いて下水に流すというものでございますので、雨天時にごみが流れ出す、また、下水の処理についても負荷が大きい、影響が大きいのではないかというふうに考えています。
そこで、下水道局では、どのような考えでディスポーザーの使用に対応しているのか、お伺いをいたします。
◯二村下水道局長 ディスポーザーの使用への対応でございますが、現在の下水道施設はディスポーザーの使用を考慮した施設となっていないことから、ディスポーザーを使用いたしますと、雨天時に雨水吐け口から生ごみが流出したり、処理水質が悪化するなど、公共用水域の水質汚濁を引き起こすことが懸念されます。
このため、社団法人日本下水道協会の基準などに適合した下水道施設への影響が少ない処理槽つきディスポーザーについては、使用を認めております。一方、処理槽のついていないディスポーザーなどについては、使用の自粛をお願いしているところでございます。
このようなことから、建築確認申請を行う区などに指導を要請しますとともに、建築関係団体などにも適正使用の要請を行っているところでございます。
◯馬場委員 ただいまの答弁では、一定の評価を得たものについては使用を認めているということがわかりました。しかし、都は使用を認めていないタイプのディスポーザーが販売されております。
そこで、そのようなディスポーザーをどこで販売しているのか、また、その販売会社への指導は行っているのか、そこを確認させていただきたいと思います。
◯二村下水道局長 使用自粛の対象としております製品は、主に訪問販売や紹介販売により行われております。販売会社への指導といたしましては、社団法人日本訪問販売協会などに対して、文書により販売の自粛を要請しております。
また、お客様に対しても、リーフレットや局ホームページなどによりまして、日ごろから、使用自粛について周知徹底に努めているところでございます。
◯馬場委員 都が使用を認めていないタイプのディスポーザーについては自粛を要請しているというご答弁でしたが、自粛というのは自粛でしかありません。逆に自粛ということで、どこでどんな訪問販売が行われているのか、また、どのくらい売れているのか、利用されているのかどうかというようなことを把握できないという状況にあるのではないかなと、私は思われてなりません。私の自宅へも訪問販売員の方がいらしたわけですが、そうしたところで、もう都の許可を得ているというような、将来、じきに得られる、それだけ高性能のものだというふうな販売方式で来られるということで、そこのところの対応というのが大変重要ではないかというふうに思っております。だれがどこで使っているのかということがわからない。そういう自粛という形では、防ぎようがないのではないでしょうか。
その意味では、水質汚濁法という国の法律では、家庭排水はこうした規制の対象外ということですが、東京都の下水道局の負荷をできるだけ少なくする、そういうことから考えますと、きちんとこうしたものは基準に、都が使用を認めていない基準外のディスポーザーについては使用してはいけませんという条例等での規制というものをすべきだというふうに考えますが、ご見解を伺います。
◯二村下水道局長 東京都下水道条例では、お客様が排水設備の新設、改築等を行う場合の届け出を義務づけておりまして、ディスポーザーについても、その段階で審査、指導しております。その際、私どもが使用を認めております処理槽つきディスポーザーの導入実績が着実に伸びていることも把握しております。
また、基準に合致する機器の開発も進んでいることから、現状では、条例による規制を検討する段階ではないのではないかというふうに考えております。
今後とも、あらゆる機会をとらえまして、処理槽のついていないディスポーザーにつきましては、お客様には使用しないよう、また、販売店や関係団体などに対しては、販売を行わないよう理解と協力を求めていきたいと思っております。
◯馬場委員 このディスポーザーも、今ご答弁ありましたように、ごみを下水に流さないということでは、処理槽をつけたきちんとしたこうしたディスポーザーの設備というのは、逆に下水道局さんからすると、大変よいものであるというふうに思います。しかし一方で、各家庭につけられるもの、つまり下水管に流されてもわからないこうしたものについては、できるだけ都としても防ぐ方法を考えるべきだと。つまり、処理費用については税金で対応しなければならないということを考えると、ぜひこのことについても、今後検討をいただけるよう要望をしておきます。
次に、今、入り口から中の処理について伺ったんですが、今度は、最後に処理をした水、再生水ですね、その再生水の利用について伺います。下水道局が限られた水資源を有効活用するという視点で、西新宿地区や有明地区などで行っている再生水利用事業について伺います。
東京は、多くの水源を他県に依存している点からすると、再生水事業を今まで以上に積極的に利用拡大を図る必要があります。一つの考えとして、先ほど質問した、貯留池にためた水を有効に再利用できれば、リサイクル率もふえますし、合わせて合流式下水道の改善にも効果があるはずです。しかし、たとえ貯留した水の上澄み水を再利用するにしても、水質の問題があり、その処理コストを低減していく課題が残っております。
一方、下水処理場では、毎日大量に下水を処理しているものの、その多くは再利用せずに、そのまま川や海に放流しています。下水処理水は都市の貴重な水資源でもあることから、再利用をもっと進めるべきであると考えます。そこで、下水再生水の利用に関して何点か質問をします。
まず、平成十四年度における下水再生水の利用状況についてお伺いをいたします。
◯二村下水道局長 下水再生水の利用状況でございますが、現在、西新宿・中野坂上、汐留地区など五地区に、ビルの水洗トイレ用水や散水などの雑用水として、日量約七千立方メートルを供給しております。また、清流復活用水として、渋谷川・古川などに日量約八万五千立方メートルを供給しております。
そのほかに、当局の処理場やポンプ所などにおきましても、設備の冷却水や洗浄水などの用途に利用しているところでございます。
◯馬場委員 新宿等の水洗トイレ用水等で日量七千立米と、川等へ放流をしているわけですが、この処理は、全体の処理水の一〇%、一割程度ではないかなというふうに思っています。これからの利用についてということでは、さらにふやしていただきたいんですが、その前に、この再生水の利用に当たって、水質基準というのが設定されていると思いますが、その水質基準等について、どんな状況にあるでしょうか。
◯二村下水道局長 下水再生水の水質基準についてでございますが、現在当局では、国の指針を参考に、関係五局で構成します東京都雑用水利用協議会で定めた基準をもとに、局でつくりました下水処理水の利用に係る要綱を制定しております。この要綱に基づき、トイレ用水や清流復活用水などの用途別に、大腸菌群数や残留塩素などの水質基準値を定めているところでございます。
再生水の供給に当りましては、これらの水質を満足するよう適切に管理しております。
◯馬場委員 高度処理すれば費用がかかるということも含めて、再生水を、どの程度のものをどこに利用していけば費用対効果があるかというようなことが、今後の課題になるというふうに思います。今、大型再開発事業ということで、そうした地域で再生水が利用されているというふうに伺いました。さらに、これから地域で水資源を大事にするためにも、再生水の利用を促進するということが大きく期待をされているというふうに思います。
それでは、今後の利用拡大に向けて、どのような取り組みを行っていらっしゃるつもりか、お伺いをいたします。
◯二村下水道局長 下水再生水の今後の利用拡大についてでございますが、平成十四年度に再生水を供給する対象建築物を、延べ床面積三万平方メートル以上から一万平方メートル以上に対象を拡大したところでございます。再生水の供給地区につきましても、現在の五地区に加えまして、新たに八潮・東品川地区への拡大を予定しております。
また、お客様のニーズを的確に把握するため、供給先である事業者の方々にアンケート調査などを行いまして、下水再生水の水質向上を図るなど、お客様満足度の向上に努めております。
さらに、新たな利用用途としては、ヒートアイランド対策として整備した保水性舗装への散水用水に活用するための調査研究を現在進めております。
今後とも、下水再生水を都市の中の貴重な水資源として活用されるよう、利用拡大に向けたさまざまな取り組みを積極的に行ってまいります。
◯馬場委員 要望ですが、先ほどの入り口論でお話ししましたように、下水に入れば処理をしなければならないという状況ですので、まず、雨水ときれいなものは入れない、そして処理をしたものについては、水質等にもよりますが、できるだけ多面的な利用を、高度処理のものはそれなりの使い方をというふうな、そうしたことが他の局と共同をして今後進められる、このことを願ってやみません。
これで、下水道局の質問を終わります。
二 病院会計について
◯馬場委員 次に、病院経営本部についてお伺いをいたします。
十月二十日の分科会、また、本日も質疑がされましたが、行政的医療について行政が負担すべき経費として、一般会計からの繰り入れの負担と補助の区分の明確化等の質疑がありました。保険の有無を問わずに患者さんを受け入れるなど、不採算部分の決算処理等の問題が、やはり今後、都立病院というところでは大きな課題になってくると思います。
そこで私は、まず、十四年度病院会計決算のうち医業未収金についてお伺いをいたします。
昨年の公営企業決算特別委員会において、特に個人未収金についての具体的な回収対策をお伺いいたしました。そこで、今回は、十四年度末時点における各発生年度別個人未収金の回収率についてお伺いをいたします。
◯碇山病院経営本部長 平成十四年度末での発生年度別個人未収金の回収率でございます。平成十三年度に発生いたしました個人未収金回収率は七二・三%で、同じく平成十二年度分は八〇・一%、平成十一年度分でございますが八三・一%、平成十年度分につきましては八五・七%となってございます。
◯馬場委員 今の数字、古いほどパーセントが高いわけですが、これは十四年度の未収金をそれぞれの五年前にさかのぼって、昨年発生したものについては、一年間の間に七二・三%回収ができた。十二年度、つまり二年前は、二年間で回収を図り、そのものについては八〇・一%。つまり平成十年度に発生した個人未収金は、五年間かけて八五・七%まで回収ができたというふうに理解してよろしいんですね。理解させていただきますが、それでは、逆に回収できなかったものは、支払い継続中のものを除き、最終的には五年間経過すると不納欠損処理ということになってしまうわけです。今の答弁からこれを換算しますと、逆算しますと、十四年度末では一四・三%が不納欠損金になったというふうに理解をします。
そこでお伺いしますが、過去五年間の今度は不納欠損額の状況についてお伺いします。
◯碇山病院経営本部長 年度末の未収金の考え方は、先ほど副委員長がおっしゃったとおりでございます。五年間で消滅時効にかかりますので、発生年度に基づきまして、当該年度翌年度から鋭意回収に努めておるわけですが、五年目で不納欠損ということになるわけでございます。
お尋ねの不納欠損の処分額の状況でございますが、平成十年度の不納欠損処分額というふうにご理解いただきたいと思います。三千五百万余円でございます。平成十一年度、同じく六千三百万余円、平成十二年度七千二百万余円、平成十三年度六千七百万余円、平成十四年度一億余円。ちょっと上がっておりますが、これは平成九年度に診療報酬の改定がありまして、自己負担額が一割から二割に上がってございます。そういうことで、患者側の払う医療費そのものの総額が上がったこと等によりまして、それが五年目の十四年度でなだれ込んできたというような内容でございます。
◯馬場委員 二割になったということですが、金額的には、処理をしなければならない金額は、十四年度で一億円を超えてきているという状況ですね。
それでは、この不納欠損額はどのような理由で不納欠損金になっているのか、お伺いをいたします。
◯碇山病院経営本部長 不納欠損処分となります理由でございます。回収努力は鋭意やっておりますが、最終的に、一つは、例えば患者の居所不明となったもの、または、経済的事情に基づきまして支払い不能となったもの、さらには、相続放棄等による支払い拒否となったものなどが主な理由かと思います。
◯馬場委員 わかりました。
病院経営については、公営企業会計である以上、経営改善努力を当然行うべきものと私も思います。しかし一方、回収が見込めないものに対する病院への補助として、幾つかの公的制度があるというふうに思います。例えば保険を持っている方の場合、高額医療費の委任払い制度の活用があります。また、保険を持っていない方の場合は、生活保護制度、医療扶助制度があります。さらに、国籍を問わず、入管法上の適法、不法の区別なく適用される行旅病人及行旅死亡人取扱法があり、この制度に基づき、支払い困難な外国人の方等の医療費を区市町村から都立病院が受け取っていると聞いております。
ところで、都には医療機関に対する外国人未払い医療費補てん事業があります。行政的医療を担う都立病院では、この補てん制度を適用されていないと聞きますが、それはなぜでしょうか。
◯碇山病院経営本部長 お尋ねの都の制度でございますが、外国人未払い医療費補てん事業でございます。これは、都内の医療機関が診察いたしました外国人の未払い医療費について、その一部を補てんするという制度でございます。この制度は、本来、国の施策で行うべきものであるため、国の機関であります国立病院を適用外としているものでございます。
また、この事業でございますが、都としての事業実施を行っているため、都立病院は、この補てん制度は適用されていないという状況でございます。
◯馬場委員 都立病院改革を着実に推進していくためには、自律的な病院経営を確立するとともに、経営責任の明確化を図る必要があります。現在、都の外国人未払い医療費補てん事業の対象事業ではないということですが、そもそもこの補てん事業につきましても、本来、国が行う施策であり、国に対し制度の確立を要求していく必要があります。しかし、都が同じお財布だからということで出してこないということ、このことは、独立会計をしている上で、つまり、先ほど述べた補助金が出ない分が不納欠損額に含まれてきてしまうということになるというふうに思います。
都は、厳しい財政状況ではありますが、病院経営の改善を進めるというためにも、都の補てん事業について、公営企業会計である都立病院も対象にすべきと私は考えますが、本部長のご意見はいかがでしょうか。
◯碇山病院経営本部長 都が実施しております外国人の未払い医療費補てん事業につきましては、ただいま申し上げましたとおり、本来、国が行う施策でございます。東京都といたしましても、制度の確立につきまして、毎年、国へ制度要望しているところでございます。
今後とも、国の制度の確立に向けまして、関係局に働きかけてまいりたいと私の方では考えてございます。
なお、お話のように、自律経営の確保という観点から、この未収金対策に鋭意取り組むということは当然のことでございまして、私どもといたしましても、外国人の未収金の問題は非常に困ってございます。したがいまして、この外国人の未収金対策のいろいろな問題につきましては、引き続き総合的に検討してまいりたい、かように考えてございます。
◯馬場委員 初めに、行政的医療を担う都立病院ということでお話をさせていただきました。人権上の問題からも、病気の方はどなたでも、保険のあるなし、補助のあるなしにかかわらず、都立病院としては、病気を治すという使命があるというふうに思います。
しかしながら一方で、病院が独立会計をしていくという上で、このことが内々で処理をされる、きちんとした事業であるべきものが不納欠損の中で処理をされるということは、私とすると、決して正当な会計の処理ではないというふうに思っておりますので、ぜひ今後、このことの改善について病院側も鋭意努力をされたいというふうに要望して、病院会計の質問を終わります。
三 都営バスの環境対策について
続きまして、都営バスの環境対策についてお尋ねをいたします。
昭和四十年代前半にピークとなった工場等を原因とする東京都の大気汚染は、その後のさまざまな施策により、大幅に改善されてきました。しかし、粒子状物質、窒素酸化物、その主な発生源であるディーゼル車の対策がおくれていることから、環境基準が達成されていない状況が続いています。特に粒子状物質については、東京都では本年十月一日から、環境確保条例に基づくディーゼル車規制が開始され、ディーゼル車の排気ガス問題について、都民の関心は今まで以上に高まっております。
交通局は都営であり、また、国内大手のバス事業者として多くのディーゼル車を保有していることから、これまで、さまざまな環境対策を他に先駆けて進めてこられたと思いますが、現在までの環境対策状況とこれからの取り組みについて、幾つか確認も含め、お伺いをいたします。
まず、これまで交通局では、都営バスについてどのような環境対策を進めてこられたのでしょうか、低公害車等の導入状況について伺います。
◯松尾交通局長 都営バスの環境対策への取り組みといたしまして、平成三年度から十年度までハイブリッドバスを導入し、現在、百二十三両を保有しております。また、平成六年度には、我が国で初めてCNGバスの導入を開始し、現在、百四十六両となっております。
さらに、平成十三年度からは、酸化触媒装置を装着した新車四百八十一両を導入するとともに、既存車両につきましては、DPF等の装置を装着いたしました。これによりまして、すべての都営バスが環境対策を講じた車両となっております。
また、長時間の信号待ちなどの際に自動的にエンジンを停止させるアイドリングストップ装置を装着し、環境負荷低減にも努めております。
◯馬場委員 本年十月から開始された環境確保条例に基づくディーゼル車規制では、粒子状物質減少装置、いわゆるDPF等の装置が義務づけられるとともに、一定規模以上の事業者に、超低公害車に換算して五%以上の低公害車の導入が義務づけられております。
そこでお伺いしますが、交通局では、都営バスがこの条例をクリアするために、どのように取り組んでいらっしゃいましたでしょうか。
◯松尾交通局長 まず、DPF等の装着についてですが、平成十一年度以前に購入した車両を対象といたしまして、平成十四年度までに装着を完了しております。これにより、すべての車両が条例をクリアいたしております。
次に、環境確保条例で定められている東京都指定低公害車の導入率は、平成十五年十月末日現在で約一四%となっております。
◯馬場委員 すべての車両が条例をクリアしたということでございます。今後とも、積極的に低公害車等の導入を進めていただきたいと思います。しかし、環境確保のために費用をかけて取りつけたDPF装置ですが、これらの装置の性能を十分に発揮させ、黒鉛等を排出させないよう、日常の管理を適切に行うことが必要であると思います。
そこで、お伺いをいたします。都営バスでは、DPF等の機能を維持させるために、どのような点検整備を行っていらっしゃるのでしょうか。
◯松尾交通局長 DPF装置の機能を維持していくためには、ご指摘のとおり、点検整備を適切に実施していくことが重要と考えております。点検整備につきましては、装置に取りつけられましたフィルターの清掃作業を適時実施しております。
また、定期点検整備時等に機器による測定を実施しているほか、職員が街頭において、目視により排出ガスの状況を随時確認しております。
◯馬場委員 今後とも、適切な維持管理に努めていただくよう要望いたします。
次に、ディーゼル車にかわる新しい技術についてお伺いをいたします。
先日まで開催されていた東京モーターショーでは、次世代の低公害車として燃料電池車が注目を集めているとの話題が新聞やテレビで紹介されておりました。交通局では、本年八月下旬から燃料電池バスの営業試験運行を開始したと伺っております。この燃料電池バスの導入の経緯と、運行開始から現在までの運行状況はどのようになっていらっしゃるでしょうか。
◯松尾交通局長 燃料電池バスの導入につきましては、交通局と環境局が連携いたしまして、民間事業者から車両の提供を受け、燃料電池バスパイロット事業として実施しているものでございまして、八月二十八日から都営バスの営業路線において試験運行をしております。
現在、深川自動車営業所所管の二系統で順調に運行しておりますが、このたびの試験運行で、燃料電池バスの実用化に向けた走行データが得られるよう、運行を継続していくとともに、PRにも努めてまいりたいと考えております。
◯馬場委員 燃料電池車は開発途上の技術であり、また、導入から日も浅いことから、評価は長い目で見る必要があるとは思いますが、このような将来に向けた新技術の開発に交通局が積極的に貢献されることは、公営企業として大いに必要なことであるというふうに思います。そして、これらの試験結果が、燃料電池車が実用化される一歩として活用され、一日でも早く、自動車から排気ガスの出ない社会が到来することを期待しております。
そこで最後に、都営バスの今後の環境対策について、交通局ではどのように取り組んでいらっしゃるおつもりなのか、伺います。
◯松尾交通局長 交通局では、従来から環境対策を事業運営上の重要な柱の一つとして位置づけ、低公害車や低硫黄軽油の導入など、さまざまな施策に先進的に取り組んでまいりました。今後、自動車NOx・PM法や環境確保条例で排気ガス規制値が強化される予定でございますけれども、これら関係法令等に対応することはもとより、ユーザーの立場から新たな技術開発に積極的に協力するなど、一層の環境対策に取り組んでまいります。
◯馬場委員 ありがとうございました。
先日、リニューアルをされた品川火力発電所の竣工式というのに出席することができました。さまざまなこうした施設が、本来業務とともに環境負荷に配慮をする、そうした姿勢で企業それぞれが臨まれている。そうした中で、先ほど質問させていただいた下水道局、また、交通局もともに、都民の安全と安心な生活を守るという意味でも、今後とも、ぜひ積極的な環境対策をとっていただきたい。
しかしながら、バス事業は厳しい経営環境にあり、お客様も減少傾向にあります。そうした状況の中で、今後とも、公営企業として環境対策をとられるということは大変なことだというふうには思っておりますが、都民の皆さんに理解を得、そして、税金がきちんと使われていることを情報公開しながら、環境、そして本来の業務の公共的使命ということを果たしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
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