外貨建てMMF

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外貨建てMMF
日本国内では超低金利が続くが、諸外国の金利はある程度まっとうである。
そしてまた、為替の上下に伴う、為替差益も魅力的だ。

ここで外国の外貨建てMMFに魅力が出てくる。

クーポンレートは、2005.4.14頃では
USドル: 2.090%
ユーロ: 1.465%
ポンド: 4.155%
AUドル: 4.859%
NZドル: 5.975%
となっている。

国内MMFが、0.020%程度であるから、100倍程度だ。

さて、では実際どのようなメリットとリスクがあるのだろうか。

為替レート(TTS/TTB)は、2005.4.10頃では
USドル: 108.65円/107.65円
ユーロ: 139.9円/137.9円
ポンド: 205.45円/201.45円
AUドル: 84.4円/82.4円
NZドル: 78.75円/76.75円
となっている。(*1)

ここで、1000通貨単位で見てみよう。
買い付け価格は
USドル: 108.65円 x 1000 = 108650円
ユーロ: 139.9円 x 1000 = 139900円
ポンド: 205.45円 x 1000 = 205450円
AUドル: 84.4円 x 1000 = 84400円
NZドル: 78.75円 x 1000 = 78750円
となる。

1年間据え置いて、レートの変動が起きない場合は、受け取り利息は
USドル: 1000 x 2.090% x 0.8(税引き) = 16.72USドル
ユーロ: 1000 x 1.465% x 0.8(税引き) = 11.72ユーロ
ポンド: 1000 x 4.155% x 0.8(税引き) = 33.24ポンド
AUドル: 1000 x 4.859% x 0.8(税引き) = 38.872AUドル
NZドル: 1000 x 5.975% x 0.8(税引き) = 47.8NZドル
元利合計で
USドル: 1016.72USドル
ユーロ: 1011.72ユーロ
ポンド: 1033.24ポンド
AUドル: 1038.872AUドル
NZドル: 1047.8NZドル
となる。(*2)

売却時点で為替レートが同一であれば、
USドル: 1016.72 x 107.65 = 109449.908円
ユーロ: 1011.72 x 137.9 = 139516.188円
ポンド: 1033.24 x 201.45 = 208146.198円
AUドル: 1038.872 x 82.4 = 85603.0528円
NZドル: 1047.8 x 76.75 = 80418.65円
が受け取れる。(*1)

売却額 - 買い付け額で、実質下記の差益となる。
USドル: 109449.908円 - 108650円 = 799.908円
ユーロ: 139516.188円 - 139900円 = -383.812円
ポンド: 208146.198円 - 205450円 = 2696.198円
AUドル: 85603.0528円 - 84400円 = 1203.0528円
NZドル: 80418.65円 - 78750円 = 1668.65円
となる。

売却額 / 買い付け額で、実質下記の利回りとなる。
USドル: 109449.908円 / 108650円 = 1.0073622457432121491026231017027 = 0.73622457432121491026231017027%
ユーロ: 139516.188円 / 139900円 = 0.99725652609006433166547533952823 = -0.2743473909935668334524660472%
ポンド: 208146.198円 / 205450円 = 1.0131233779508396203455828668776= 1.31233779508396203455828668776%
AUドル: 85603.0528円 / 84400円 = 1.0142541800947867298578199052133 = 1.42541800947867298578199052133%
NZドル: 80418.65円 / 78750円 = 1.0211892063492063492063492063492 = 2.11892063492063492063492063492%
となる。

TTSとTTBの手数料差もあるから、単に往復させてしまうと、元本を割る場合も生じる。
売却額 / 買い付け額で、1.0を割って、マイナスとなっているのはこの差損の影響である。
もちろん、この差損段階で決済するのは得策ではない。
TTS/TTBの往復手数料は一度決済すれば済むのだから期間を長く運用すれば、それだけ利回りはよくなる。
ユーロ: 1000 x 1.465% x 0.8(税引き) = 11.72ユーロ
が2年であれば、23.44ユーロである。(*2)
売却時点で為替レートが同一であれば、
ユーロ: 1023.44 x 137.9 = 141132.376円
売却額 / 買い付け額で、実質
ユーロ: 141132.376円 / 139900円 = 1.0088089778413152251608291636883 = 0.88089778413152251608291636883%
なので、年0.44044889206576125804145818442%
の利回りとなる。

さて国内の一年定期のレートは0.030%である。
仮に、100000円を一年定期で運用すれば、
100000円 x 0.030% x 0.8 = 24円しか利息がつかない。ただ同然である。
レート換算すれば、0.024%である。
これに比べれば、極めて高レートが取れている。

さて、ここで問題なのは、為替レートである。
同一なら想定どおりだし、
円安外貨高となれば、日本円換算での額面割れは生じないばかりでなく為替差益の恩恵が受けられる。
が、円高外貨安となれば為替差損が生じ、日本円換算での戻りは減ってゆく。

また、為替レートは日々変動しており、これを換算した段階では、評価額は毎日上下もする。
考え方の問題だが、仮に評価損が発生していても、中途決算上の物であり、決済しなければ実損は生じないのである。
当初買い付けた外貨建てMMF自体も、金融商品であるから、金利もつき続ける。
更に、新しい外貨建て債権に、ここから買い付けることも可能なのである。
この場合、他の通貨に乗り換える場合は往復の手数料(外貨TTB/他の通貨TTS)が発生するのだが、同一通貨建てであれば、丸々額面が有効になる。

逆に、いつでも売却可能であるから、為替レートが高騰した段階で売却すれば、為替差益の恩恵を受けることが出来る。

また、外国口座管理手数料も証券会社によっては不要なため、外国債券や、銀行の外貨預金などのように余分な経費がかかることもない。

ただ、銀行の外貨預金から比べると、かなり魅力的であるが、外貨預金と、外貨建てMMFとはリスクが異なっている。
外貨預金は、預金保険の対象ではないのだが、銀行が扱う「預金」であるから、銀行本体が破綻しない限り、銀行により元本を保証される。
これに対して、外貨建てMMFは、過去の実績は別にして、投資であるから元本を保証している性質のものではない。

尚、言うまでもないことだが、債権の案件ごとに、取引条件は細かく異なり、また、税制(*3)などの扱いも異なる。
ここの試算も、細かい条件は簡略化している。
公示されている数値に嘘はなくとも、実際の手取りで比較すれば大差ない場合も少なくない。
また、為替変動や国際情勢により、先のことはわからない。
リスクを含んでいることを前提に考える必要がある。

特に、外貨建てMMFの運用に期限が設けられた場合、その時点で清算する必要が生ずるため、為替差損が否応無しに確定してしまうリスクも潜在する。
実際、ファンド自体が残高の減少等によって解散(償還)となると、有無を言わさず決済となってしまう。
この場合は、他の外貨建て運用を行うか、外貨のまま受け取って回復を待つ道も残っている。


クーポンレート


(*1)
買い付け時の為替レートはTTSであり、売却時点での為替レートTTBで、手数料を含んでいるため、双方には差を持っている。
従って、この差分を超えるメリットがないと、そもそも往復で目減りする。
また、この値も、通貨種類や、取扱会社によってもさまざまである。

(*2)
レートは毎週変動し、かつ毎月利払いが発生し、複利運用となるため、若干差異が生じてゆく。
あくまで市場金利に連動する性質のものであり、2006前後のフェーズにおいては、軒並み上昇傾向であるが、これが保証されているものではない。

(*3)
2006.8時点において、分配金は20%の源泉分離課税、為替差益は非課税となっている。
また、為替差損となった場合でも、総合課税による確定申告での損益通算はできない。

円相場/対米ドル(1988-2004)
Pict_0039.

各国政策金利の推移(2000-2006/1)
Pict_0412.

InfoCode: O3



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新規作成日:2005年4月14日/最終更新日:2007年3月23日