株式全損への道(上場廃止〜企業精算)

尚、本情報の利用に関する責任は、当方では一切関知いたしません。


株価急落段階

証券取引所に上場している株式は、市場価格で売買されることから、その価格が資産価値を持っていている。
しかし、あくまで、理論的なものであって、現金のように、確実なものとは大きく異なる。

経営が危うくなってゆけば、当然株価も下がってくる。
この場合、株価に対する担保価値の掛目も少なくなるため、資産価値は急激に目減りする。


上場廃止への道

証券取引所には上場基準が定められており、致命的な場合は、上場廃止となってゆく。
この場合、まず、監理ポストにおかれ、投資家に対する注意喚起とされる。
監理ポストにある場合でも、基本的に通常通り売買される。
逆に、問題点が解決すれば、元に戻される。
この後、上場廃止が確定すると、整理ポストにおかれ、約一ヶ月の一定期間の後、上場廃止となる。
整理ポストにある場合でも、基本的に通常通り売買される。



上場廃止段階

上場廃止となれば、市場価格がつかなくなるため、資産価値の評価が困難になる。
それ以上に、流通性が著しく悪くなり、換金性が悪くなる。
ただ、企業そのものが残存している以上、企業の資産総額が、株主全体の株価資産となるから、この段階でゼロとはならない。


企業再生段階

企業側では、再生に取り組むから、減資などにより、株式の減少を行うことがある。
この場合、持ち株数は減少するが、その時点の企業資産そのものは変らないから、株主の株式価値は変らない。

或いは、他から資本投入なども行われ、この場合、企業体力は強化されるが、既存株主の占有比率は落ちることになる。
この場合、この後行き詰まった場合の残存分配が減少することを意味する。
また「100%減資と、第三者割り当て増資」と言うことになると、旧株の権利はここで消滅する。


経営破たん段階

企業経営が行きづまり、債務超過や経営破たんに至ったりすれば、会社を畳むことになる。
この場合、民事再生法などいくつかの道があるが。
まず、企業の負債の清算が行われる。
通常、資金繰りに行き詰まるから会社を畳むわけで、債権なども全額戻ることは難しい。
法的手続きの後、負債総額の何割かが戻ってくることになる。
この場合、低額の場合は全額、以降、割引率が大きくされる場合が多い。

株式の清算はこの後行われるから、資産が残っていない場合は、紙切れとなる。
現在の税制では、この株価欠損額は、株式譲渡益の損失として計上することが出来る。
また、こういった場合、経営責任などの問題も残存する。
経営に著しい問題があれば、特別背任などの法律に抵触し、責任が問われる。
また、粉飾決算などの違法性があれば、更に重大な責任が問われる。
こういった場合、関係者に対する損害請求が可能で、株主などが原告団を編成し、裁判となる。
裁判費用と時間もかかるが、一般に、差引きでの還元が期待できるから、最後まで、紙切れとはならない。
ただ、勝訴したとしても賠償原資の問題があり、企業資産のほか、個人資産を整理させたとしても、必ずしも十分あがなえるかどうかはわからない。


尚、これらが段階的に順番に発生するとは限らず、一気に進行することもありうる。


せめてもの対策

いずれにしても、突如紙切れになることはない。
が、手をこまねいて見ているうちに収拾がつかなくなることは避けたいものだ。
ただ、「何とか戻るかも」という期待もあるわけだが、心理的にも、「下げ止まってくれ」が「下げ止まるはずだ」と思いつつずるずるということはありうる。
結局は結果論になるのだが、すばやい判断も求められる。
仮にずるずる下落し、上場廃止がちらつく場合、せめて損失計上は取っておきたい。
すなわち、一旦売却し、損失確定をつける。
こうすれば、とりあえず簡単に損失計上が可能となる。
戻る期待を託すなら、こののち買い戻せばよい。
仮に1000円のものが、300円を割ってきたとき、300円で売れば-700が確定する。
買戻しにも手数料がかかるが、損失確定の効果は取れるだろう。
買戻しが400なら更に100円負担が増えるが、この後1000に戻るなら差引きの損失はこの100円であるが、大概は戻ったところで500だろう。
そして株価が100を割る頃には投機的な動きも絡んでくる。
それ以上に、1000株買っても10万円ということだ。
100万円が10万円は耐え難い損失だが、そのままほっといてもどうしようもない。


マネーゲーム

経営破たんの銘柄でさえ、買い進むケースがある。
これは、目先のリバウンドや、精算後の残存価値に期待するものである。

市場株価というのは売買数量の需給バランスの上に成り立っているから、急落してもいずれは値をつける。
値がつけば、若干の上下動があり、場合によってはリバウンドする。
リバウンドと言っても、急落前の株価には程遠いが、それでも、つけた安値の倍くらいは平気でつける事がある。
そのために、それを狙ったマネーゲームも活発となるが、いつまでも活況が続くわけもなく、やがては精算価値に収斂してゆく。

ほとんど紙切れ同様の値になってゆくと、精算価値が見直されてくる。
PBR1.0を割っていれば精算価値があるとされるが、あくまで期初の簿価であって、現時点の資産価値は恐らく残っていない。
ただ、未知数であるがゆえに、最終日に買う向きもある。
これは、株価がほとんどゼロに等しく、宝くじ同様の期待もあるだろう。
外資などがハゲタカのように買いあさる場合は、残存価値などに何らかの期待が高いこと示している場合もある。




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新規作成日:2006年1月20日/最終更新日:2008年8月18日