入出庫

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株券等を、証券会社へ預け入れることを「入庫」、出すことを「出庫」という。

証券会社での預かり手数料が当然だった時代には、売買の予定のない株券は、出庫して自宅で保管し、売りたいときに持ち込むということが普通であった。

昨今では、口座管理料も多様化し、一般に無料だったり、保振機構や特定口座による管理が広まり、証券会社に入れっぱなしにしておくことが普通になりつつある。

が、証券会社のサービスも多様化し、手数料や利便性から、証券会社を変更するという局面も発生する。

このとき、保振機構や特定口座による「振替」をするのがお手軽だが、証券会社によっては手数料を必要とする。

証券会社も仕事だから、振替という作業によって手数料をとること自体はいたし方ないのだが、一方で同じ事を無料でやってくれるところがあると、面白くない。

ここで、本券の出庫、入庫、という手段が出てくる。
一般に、手数料はかからない。
ただ、一部のネット証券では、出庫の扱いをしていないところもある。

ただ、特定口座の場合は、取得単価の証明という面倒な手続きが必要で、そのわずらわしさを考えれば、振替でやっちまったほうが早くもある。

取得単価の証明には、現在は、平成17年頃以前の名義書換日の証明か、取得時の計算書が必要となる。
名義書換日の証明は、本人名義の株券なら、券面記載の通りだが、保振の場合は他人名義(振替機構の名義)となっており、信託銀行から異動明細を取り寄せる必要がある。

ここで面白い事象が発生する。

特定口座の場合は、移動平均による平均単価で管理している。
例えば、1000円と2000円で各1株買っていれば、2株で平均単価1500円である。
これを2株のまま移動する場合はあまり問題はないのだが・・・。
このうち1株を売却後に、残りの1株を出庫により、入庫する場合だ。
特定口座の平均単価は、1500円である。
が、振替で処理する場合は、この平均単価が、そのまま振替られるのだが、出庫による入庫の場合は、証明資料によることになる。
このとき、買ったときの計算書が2枚ともあって、売買の流れを整理すれば、平均単価の1500円の算出は不可能ではないのだが、取り扱い規定外となっている。
複数の取引が絡むと、計算が面倒である点はうなずけるが・・・。
すなわち、1000円と2000円の各証明資料のいずれかを使用することになる。
ここで、厳密には先入れ先出しと言う事なら、あとで買ったほうを使用するべきなのだが、いずれにしても、本来の1500円という数字は再生しない。

異動明細は、複数枚の取得も可能である。
買ったときの計算書も、証明資料として確認後、戻ってくるだろう。

出庫と入庫や、他の証券会社間での振替について、複数回やってはいけないことにはなっていない。
平均単価の移動を目的としたものは禁じられているというが、平均単価によって期せずして法外な課税をされることもあるわけで、節税対策として、複数の証券会社に口座を持ったり、特定口座と一般口座を分けて使うことについての規制はない。

また、理由は言ったもの勝ちで、作為の証明も難しいだろう。
人を刺し殺しても「脅かすつもりで刺したが殺すつもりはなかった」などの言い訳がまかり通る時代である。

とすれば、同じ証明資料をもって、ぐるぐる回すこともありうれば、後に売買したものと混ぜて、わけのわからないことになりうることは、容易に想像がつく。

悪意を持って考えれば、いくらでも抜け道は出来てくることになるのだが・・・。
本来は、出庫時に、平均単価の証明資料を発行し、これを使用すべきなのだが・・・。
この手間を省く代償として、優遇措置として運用の幅を持たせているということなのだろうか。




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新規作成日:2007年2月20日/最終更新日:2007年2月20日