2007.9 バルチック海運指数 (不定期船運賃指数)の、海運界への影響度

尚、本情報の利用に関する責任は、当方では一切関知いたしません。


バルチック海運指数 (不定期船運賃指数)とは、ロンドン海運集会所 Baltic Exchange が算出している、1985年4月1日の数値を1000として表した不定期船運賃指数。
ばら積み貨物船の運賃を対象としている。
ばら積み船とは、石炭、鉄鉱石、穀物、などを運ぶ船である。
新興国の急激な経済発展とともに、こういった物資の運送需要が高まり、船舶需要が高まって運賃価格が高騰している。
船舶の建造には数ヶ月以上を要し、おいそれと増勢できないから、この逼迫した状況はしばらくつつくと思われる。

指数そのものは、直近で8400を超えており、単純に、1985.4.1の8.4倍ということである。
ただ、船の建造費、運航費(燃料、人件費)等も変動しており、利益の増分を算出するのは難しい。
短期で見た場合、1ヶ月前と、現時点において、経費分が余り変動がないと見れば、7000が8400に2割高騰しているが、利益が2割増えたのではなく、増えた2割は丸々利益ということになる。
仮に、経費分が5000程度とすれば、利益は2000から3400に増加するわけで、1.7倍の利益となる。

次に、海運会社の船舶構成を考えなければならない。
大手三社は幅広いサービス体制を持っており、定期船(コンテナ船)、不定期船(油タンカー、ガスキャリアー、ばら積み船、自動車船)、などがあり、会社によって構成比が変る。
日本郵船は不定期は約1/3、商船三井は約1/2、川崎汽船は約1/3が不定期船である。
第一中央汽船、乾汽船、明治海運、飯野海運、などは、不定期船、それもばら積み船の比重が高い。
また、長期契約が多いため、スポット的に運賃が高騰しても、直ちに利益に反映する要素は少ない。
短期契約のフリー船は1,2割程度といわれる。
その意味では、影響度は、かなり低くなってゆく。
もっとも、ここの増加分は、丸々利益の増加要素なので、おおきな利益押し上げ要素でもある。
しかし、不定期船の運賃指数が高止まりすれば、長期的には安定した好況を意味する。

逆に、関西汽船、東海汽船、佐渡汽船などは、海運株といっても、内航、それもフェリー、客船であって、外航ばら積み船の運賃には無縁であり、株価はつれて動いているに過ぎないので注意が必要となる。




戻る TOPに戻る

新規作成日:2007年9月14日/最終更新日:2007年9月14日