1127 東京 海上保安庁海洋情報部海図編纂取材、新橋La Locomotiva Fantasia
1127 東京 観測記 平成17年1月11日 火曜 晴れ 13:00〜16:20
今日は、築地の海上保安庁海洋情報部に、海図編纂の取材へ。昼前、東京駅で所用の後、バスで築地へ出て13:00前入場。航海情報課海図編集官の方に説明を伺う。
現在、日本国内の海図(紙海図)は614図、このほか、外国海域の海図91図を発行している。
現在では、海図の発行は、測量船などによって得られたデータを、サーバーに蓄積し、電子海図システムにより、コンピュータ上で編集し、プロッタで出力し、校正の上、光プロッタにより4色製版のネガを出力、庁舎内の印刷機により校正刷(仮印刷)し、色校の上、4色製版のネガを日本水路協会へ貸し出し、専門業者により印刷の上、日本水路協会が販売している。
また、小改正などは、水路通報によって行われ、場合によっては補正図なども作成添付される。
既に船舶で使用中の海図に対しては、この水路通報による情報を転記したり、補正図を貼付することにより、海図の情報を最新に維持することが行われる。
印刷済みで販売用ストックとなっている海図については、日本水路協会により、これら補正処理が行われ、販売時点において最新の情報が維持されるようになっている。
昨今のIT化の波は航海システムにも波及し、海図についても、電子海図が発行されるに至っている。
ENC Electronic Navigational Chart 航海用電子海図、と呼ばれ、電子海図表示システム(ECDIC Electronic Chart Display and Information System)によって利用できる。
ENCは、平成7年3月2日に世界で先駆けて発行され、現在、15枚のCD-ROMが発行されている。
電子海図は、サーバーに蓄積されている海図用データを、共通で使用し、電子海図システムにより、コンピュータ上で編集し、海図表示装置などにより確認し、校正の上、CD-Rで出力し、これをマスターデータとして日本水路協会へ貸し出し、専門業者によりCD-ROMを製造の上、日本水路協会が販売している。
電子海図用の小改正などは、電子水路通報CD-ROMによって行われる。既に船舶で使用中の電子海図に対しては、この電子水路通報CD-ROMによる更新により、電子海図の情報を最新に維持することが行われる。
電子海図システムのソフトウエアは、汎用CADソフトを改良(一部特注)したものである。
海図、及び電子海図の編集は、約30名の職員により行われており、年間約600枚の海図の新刊、改版、補刷が行われている。
1枚の海図は、早いものでは約2,3週間で作成されるが、従来の手作業によるものでは、数ヶ月を要していた。電子編集の形が開始されたのは平成7年頃で、平成18年を目途に、全海図の電子編集化が完了される予定である。
従来の方式では、測量船などによって得られたデータにより、手作業で原図を描き、トレースによってポジを作成し、数値を記入(貼付)し、写真製版により4色製版のネガを出力、庁舎内の印刷機により印刷し、日本水路協会が販売していた。
その後、庁舎内における販売用の印刷業務は、日本水路協会へ移管され、更に、現在のような体制へと移っている。
測量データも、半世紀前頃までは、手用測鉛による手作業での水深測量が行われていたが、現在では、マルチビームによる音響測量により、航行する測量船で、一気にある程度の幅を持つ面の測量が可能となるとともに、位置(緯度経度)、水深の数値データを、そのまま電子データとして集積することが可能となっている。
そして、これら測量データは、調査報告として現場(本庁測量船や管区水路部)より提出され、最新海図発行の際のデータとして利用される。
尚、海図に記載されている水深の数値は、実際に収集された膨大なデータの中から、必要かつ十分となる数値を取捨選択の上、海図に記載される。
海図は、従来、日本測地系で発行されていたが、GPSが普及した今日、世界測地系のものが発行されるようになった。これは、日本測地系で使用されているBessel1841とよばれる方式の地球の半径、扁平率と、GPSで使用されているWGS84とよばれる方式の地球の半径、扁平率が不一致のため、日本近海においては約400-500mの誤差が生じ、GPSでの位置情報を日本測地系の海図上で使用してしまうと、正確な位置を誤ってしまい、場合によっては座礁などの海難の恐れが出たためである。
潮候推算機は、電子計算機の導入された昭和48年版から昭和56年版までは並行運用されていた。
ついでに、新橋停車場で行われている、La Locomotiva Fantasiaのイルミネーションへ。
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新規作成日:2005年1月11日/最終更新日:2005年1月20日