ラ・オーグ海戦

1692年5月29日「ラ・オーグの海戦」

両軍の兵力
ラッセル率いるイングランド・オランダ同盟艦隊(110隻、うち戦艦50隻、兵員4万名)
ツールヴィル率いるフランス艦隊(64隻、うち戦艦44隻、兵員2万名)



戦闘経過

29日
ラ・オーグ岬の沖においてフランス艦隊司令官のツールヴィルが北東方向にイングランド・オランダ同盟艦隊を発見します。彼は部下が反対するのも聞かず、すぐに攻撃を決定しました。同盟艦隊はオランダ艦隊を先頭にして、中央と後部にはイングランド艦隊が配置されています。風上の有利な位置にあるフランス艦隊は、西から接近すると同盟艦隊と平行に並ぶ進路をとりました。フランス艦隊は兵力でずっと劣勢なので、敵艦隊に包囲されないように先頭隊の船の間隔を大きく開け、戦列を薄く長くして敵との交戦も避けることにします。ツールヴィルは、フランス艦隊の中央隊と後方隊に相対する同盟艦隊との接近戦を開始させました。平行して進む両艦隊の砲撃戦が数時間にわたって続き、兵力で劣るフランス艦隊は幾らかの損害を出したものの1隻の船も失っていません。それに対して同盟艦隊の方は優勢なはずの戦闘で2隻も失っていたのでした。
夕方になって濃い霧が発生すると戦闘は中止されます。夜中には火船を用いた戦闘が実施されますが、これは互いに成功しませんでした。この時、夜の闇の中でイングランド艦の数隻が、本隊に戻ろうとして錨泊中のフランス艦隊の列の間を通過するはめになり、発見されて攻撃を受け、かなりの損害を出してしまいます。

30日
フランス艦隊は退却を始め、イングランド艦隊はこれを追撃します。しかし潮の流れが強く、岩礁も多いため両艦隊とも思ったように行動できません。フランス艦隊は潮流のためバラバラになってしまい、約半数の船は無事にサン・マローに到着しますが、3隻がシェルブールに、12隻がラ・オーグ岬に避難しました。イングランド艦隊はこれらのフランス艦を狙って接近すると、それぞれに激しい焼き討ち攻撃を加えます。結局、避難していた15隻のフランス艦は全て焼き払われてしまいました。これら15隻の中にはフランス艦隊の旗艦も含まれており、イングランド軍の攻撃ではなく、フランス軍の乗組員自らの手によって焼かれた船もあります。
この海戦の敗北によって、フランス王ルイ14世のイングランド侵攻計画は完全に挫折したのでした。



戻る TOPに戻る

新規作成日:2002年2月11日/最終更新日:2002年2月11日