石油備蓄

石油備蓄は、オイルショックを契機に始められました。
当初は、当時余剰となっていた大型タンカーを、繋留し備蓄していましたが、現在では専用施設により行われています。

国内の石油備蓄は、石油公団が実施する国家石油備蓄と民間石油企業等により実施される民間石油備蓄に大きく分けられます。

(国家石油備蓄事業)
石油公団が実施する国家石油備蓄は、1978年度から3,000万Kl体制を目標に開始されました。国家備蓄基地が完成するまでは、大型タンカーによる備蓄や民間石油企業等が所有するタンクを借上げての備蓄が行われてきました。
国家石油備蓄基地における備蓄は、1983年、むつ小川原石油備蓄基地の一部完成を受けて開始されました。その後、国家石油備蓄基地は1996年までに順次完成し、タンカーによる備蓄は終了、民間タンク借上げによる備蓄も減少しました。
なお、国家石油備蓄基地の建設・操業については、国家石油備蓄会社が基地運営を行っています。これらの備蓄会社は、第3セクター方式により設立され、民間企業の貯蔵施設の建設および原油の取扱いに関するノウハウを活用することにより、安全かつ効率的に備蓄事業が推進されています。
国家石油備蓄基地には、立地地点の特色に合わせ、地上タンク方式、地中タンク方式、洋上タンク方式、地下岩盤タンク方式という多様な備蓄方式が採用されています。また安全対策も三重四重に施し万全を期しています。
1989年度からは、国家石油備蓄の当面の目標として1990年代半ばまでに5,000万Kl体制を達成することが掲げられ、1998年2月にこの目標を達成し、現在に至っています。

(民間石油備蓄事業)
民間石油企業等による石油備蓄は、1972年度から60日備蓄増強計画として本格的にスタートしました。その後、石油備蓄法が1975年12月に制定され、石油備蓄が義務付けられる中、1975年度からは90日備蓄計画が推進されてきました。
1989年度からは、国家備蓄の積み増しの状況を踏まえ、民間備蓄義務量を段階的に70日分まで軽減する方向に施策が転換されました。その結果、民間の石油備蓄義務量は毎年4日分ずつ軽減され、1993年度以降の備蓄義務量は目標水準である70日分となっています。
民間石油企業等が石油備蓄を行う際には巨額の建設資金及び維持経費が必要であり、これが大きな負担となることはいうまでもありません。そのため、石油公団では、民間石油企業等に対し備蓄石油購入資金について低利の融資を行っています。
また、備蓄コストの低減を目標として、複数の石油企業が共同でまとまった規模の備蓄基地を建設・運営するための共同備蓄会社を設立する場合には、石油公団は出資を行うとともに、施設の建設資金について低利融資を行っています。現在、共同石油備蓄会社は新潟石油共同備蓄(株)と北海道石油共同備蓄(株)の2社が設立されており、前者は、1978(昭和53)年1月より、後者は1982(昭和57)年7月よりそれぞれ操業を開始しています。


(国家石油備蓄基地)
地上地中タンク方式: 北海道共同備蓄、苫小牧東部、むつ小川、秋田、新潟共同備蓄、福井、志布志
洋上タンク方式: 白島、上五島
地下岩盤タンク方式: 久慈、菊間、串木野

(上五島国家石油備蓄基地)
上五島プロジェクトは、浮遊式海洋構造物(洋上タンク方式)による世界で最初の洋上石油備蓄システムをとっています。
この備蓄システムは、埋立地と防波堤によって平穏な泊地を確保し、ここに貯蔵船を並列に配置して、各貯蔵船を防波堤で囲むものです。
当プロジェクトは、1981(昭和56)年12月に立地決定され、1982(昭和57)年2月に基地建設の推進母体となる上五島石油備蓄(株)(中核会社:日石三菱(株)、日本郵船(株))が設立されました。
1988(昭和63)年9月末洋上タンク5隻の据付等施設が完成し、2002(平成14)年9月末に約343万klの原油が保管されています。
1988年9月末全面完成、1989年1月オイルイン終了
備蓄施設容量 約440万kl(約88万kl×5隻)
貯蔵船 88万kl x 5隻、長さ390m x 巾97m x 深さ27.6m

(白島国家石油備蓄基地)
白島プロジェクトは、上五島プロジェクトと同様、浮遊式海洋構造物(洋上タンク方式)による洋上石油備蓄システムをとっています。
1981(昭和56)年4月に立地決定され、建設には同年6月に設立された白島石油備蓄(株)(中核会社:コスモ石油(株)、(株)商船三井)があたっています。
1996(平成8)年8月洋上タンク8隻の据付等施設が全面完成し、2002(平成14)年9月末に約475万klの原油が保管されています。
1996年8月全面完成、1997年10月オイルイン終了
備蓄施設容量 約560万kl(約70万kl×8隻)

(洋上タンク方式)
当初行われていた、大型タンカーを繋留する方式を、恒久施設化したもので、大型タンカーに匹敵する、大型タンクを造船所にて建造し、繋留基地を建設、ここへ繋留している。
備蓄タンク繋留施設と共に、荷役設備も備えられている。


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新規作成日:2003年1月22日/最終更新日:2003年1月22日