艦船写真の写し方(応用編)
ここではちょっと変ったお話をしましょう。
応用編
- 三脚代わり
夜景においては、三脚は必須です。また、船内撮影においても、三脚があったほうが良い場合も多々あります。しかし、三脚を携行していなかったり、使用できない場合は多々あります。
こんな時は、手近な物を、三脚代わりにします。付近の台や柱、何でも、動かない物に、カメラを押さえつければ、ある程度の役には立ちます。
極端な話、地面に直置きなど、実は三脚よりも「地面に対しての振動」はありません。
- 網ごしの撮影
フェンス越しや、鉄線入りのガラス越しでしか写す場所がない場合。
なるべく明るいレンズで、絞りを開放にして写します。
被写界深度の関係で、手前のレンズ直前のものは、ぼけきってしまい、写りません。
応用例としては、レンズに汚れが付いても、開放側に設定すればわからなくなる反面、絞れば絞るほどレンズの汚れも写ってくるということです。
下の例では、共に鉄線入りガラスごしですが、右は網がわかる状態になっています。
左から、f2.8, f3.5, f11,
.
.
.
走行中の車両などからの場合、絞り開放でも、フェンスまでの距離があったりするために、効果が薄くなる。
.
.
ある程度絞っても、シャッター速度が低くなるほうが、手前のものは流れてくれる。
ただ、水平方向にある太いワイヤーなどはかわしようがない。
.
.
いずれにしても、1枚を狙っても柱をかわす技は無理なので、連写に頼ることになる。
反射に注意。
ワイヤに強い光が当たって、それがレンズに反射してしまうような場合、通常ならボケて見えないような場合でも、写り込んでしまう。
.
- 汚れた窓ごしの撮影
これも同様に、なるべく明るいレンズで、絞りを開放にして写します。
被写界深度の関係で、手前のレンズ直前のものは、ぼけきってしまい、写りません。
下の例では、共に飛沫のかかったガラスごしですが、右は飛沫がわかる状態になっています。
左から、f2.8, f8,
.
.
- 偏光の強い窓ごしの撮影
遮光性の強い偏光の入ったガラス越しの場合、青味がかって写ってしまう。
そのため、ガラス越しを避けたいところだが、その場所ならではのアングルも大切にしたい。
この場合、フィルターを使用して赤味を増すか、画像処理で赤味を加えるとよい。
左から、ガラス越(未処理)、ガラス越し(処理後)、ガラスなし。
.
.
デジカメの場合、WB:ホワイトバランスの補正でも対策できる。
左から、+3、0、-3.
.
.
.
デジカメの場合、ガラス越しで雲に対してプリセットを実施して対策できる。
左から、ガラス越し(オート)、ガラス越し(プリセット)、屋外(オート)
.
.
.
- 列車の車窓からの撮影
列車の車窓からの撮影は、窓越しで、しかも移動体からという条件の良くないものだが、その場所を通過する瞬間しか写せないポイントも多々ある。
当然、作品に値する写真には及びもしないが、姿かたちか押さえられるだけでも画期的であったりする。
さて、列車は、駅を出てから加速し、ほぼ等速で走行した後、駅手前で減速して停車する。
が、よく考えるとわかるのだが、山手線などの長い車輌では、先頭と後尾車輌では、速度が違うのである。
もちろん、同じ列車で速度が違えば千切れてしまうわけで、正確な表現ではない。
正しくは、「ある通過点において」という条件が付く。
すなわち、駅から出たすぐの先頭車両は、ホームで歩いても追いつく速度だが、最後尾の車輌がホームを離れる頃は、走っても追いつかない。
また、駅に到着する先頭車両は、まだ十分速度があり、ホームで走っても追いつかない速度だが、最後尾の車輌がホームに止まる頃は、歩く速さよりも遅い。
目的の撮影ポイントが、駅間の等速走行部分であれば別だが、駅に近い場所であれば、車輌を選ぶことにより、撮影条件が良くなるということである。
撮影時のカメラの設定は、出来るだけ高速シャッターを切ること。手ぶれもさることながら、列車も揺れている。
そしてガラス窓にレンズを近づけること。
窓を開けるとクリアになるが、夢中で首を出すと、危険であるから避けたほうが良い。
レンズにも長さがあるから、頭が車内にあっても、レンズが何かにぶつかる危険もある。
タイミングの問題は各自の経験しだいだが、電柱などが一定間隔で並んでいるから、その間を縫って写すことになる。
が、タイミングを計るだけで終わってしまう事も多々。
目で見て判断してシャッターを切るまでに時間がかかるわけだから、間が開いた瞬間をまつより、電柱などにかぶった瞬間を計ると、シャッターが切れる頃には、列車は移動し、電柱をかわしている。
ついでながら、車内での盗撮などと間違えられないように、カメラの扱いは気をつけよう。
.
.
.
- ノーファインダー撮影
人ごみで混雑している場合など、直接ファインダーを確認して構図を決められない場合、ノーファインダー撮影という手がある。
カメラを高く持ち上げて、カンで被写体へ向けて写すのである。
いかに正確に被写体へレンズを指向出来るかにかかってくるが、最近はデジカメだと、写したその場で確認できるから、やり直しも簡単だ。
が、一回一回確認とやり直しをするより、一度に数枚写すほうが確実だ。
先ずは、一枚、そして角度を上下に変えて何枚か。
一回一回確認しても、再びカメラを持ち上げたときに、さっきと同じポイントを復元できることは難しいから、さっきの構図に対する微修正などもっと難しい。
また、画角は、多少広めにしておいたほうが、フレームアウトする確率が少ない。
あと、片手の場合、水平もきちんと取れるようにしたい。
.
.
- 多重露出
フイルムカメラの場合、シャッターを押した後、フイルムを巻き取らず、同一コマに重ねて写しこむもの。
デジタルカメラの場合、同様に、カメラ内で同一コマに重ねて記録する。
いずれの場合でも、カメラに多重露出の機能がなければ単一コマで別々に写されてしまう。
デジタル写真の場合、画像ソフトで画像合成することによっても生成できる。
以下は2回の場合の例で、ゲイン補正無く多重露出を重ねると、色が飛んでゆく。
.
.
左は自動ゲイン補正有り、右は自動ゲイン補正なし。
.
.
個別の撮影
- 水平とトリミング
水平をきっちり合わせていると気持ちがよいのだが、なかなか上手く行かず傾いて写ってしまうことがある。
ここで、画像処理によるトリミングで調整が出来る。
下図(左)のように、必要な部分が青枠部分としてきっちり写せれば問題はないが、下図(中)緑枠のように傾いて写っていると、必要な部分が切り落とされてしまうことになる。
ここで、上下左右に余裕を持って、下図(右)赤枠のように写しておけば、傾きを直してトリミングしても、きっちりした絵が作れることになる。
.
.
.
- 虫眼鏡の応用
虫眼鏡をレンズの先端につけると、拡大撮影ができる。
精度は落ちるものの、そこそこの接写ができる。
原理的には、クローズアップレンズと同じである。
.
.
- |
ノーマル |
虫眼鏡付 |
通常レンズ |
.
(約240mm) |
.
(約135mm) |
マクロレンズ |
.
(約113mm) |
.
(約90mm) |
( )内は、レンズ前面から被写体までの距離
- 針金製のハンガーを加工した簡易ディフューザー
針金製のハンガーを加工して、コンビに袋をつける。
.
.
使用状況
.
.
ストロボ不発光
.
内蔵ストロボ発光
.
.
内蔵ストロボ発光(使用)
.
.
外付けストロボ発光
.
外付けストロボ発光(使用)
.
.
- ビニール袋を加工した簡易着色光ストロボ
左から、ディフューザー、オレンジ、グリーン、ブルーのビニール袋を加工したものをストロボにかぶせたもの。
.
.
.
.
ストロボなし/あり/あり(オレンジ着色)
.
.
.
ストロボあり(オレンジ着色)/あり(グリーン着色)
.
.
ストロボあり/あり(オレンジ着色)
.
.
これが、オレンジ、グリーン、ブルーのビニール袋を加工したもの。
材質によって、透過光が強すぎると、色がつきにくい。この場合、何枚か重ねる。
.
新規作成日:2004年2月22日/最終更新日:2010年2月22日