駐在武官
駐在武官について整理をしてみました
公務のため、外国に駐在する陸・海・空軍武官
/Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) Shogakukan 1988.国語大辞典(新装版)小学館 1988.
海外にある大使館に駐在する現役軍人。
軍人ということもあり、赴任国の軍事パレードや航空ショー、軍事演習などを見て情報を収集したりもする。
資格は、書記官で、外交特権を有する。
NHKでは「軍人の外交官」と当たり障りのない言葉で説明しているが、実際「各国公認のスパイ」とも言われる。
必ずしも、諜報部員と言われるようなスパイではないが、軍事関連情報の収集は、その筆頭任務であろう。
日本では自衛官を30以上の国と地域、機関に、防衛駐在官として約50人を派遣している。
しかし、陸海空3人を揃って駐在させているのは、アメリカ、ロシア、中国程度である。
日本に駐在する、各国の武官も、ロシア大使館は、国防武官と、陸海空3人の駐在武官(目下、海は空が兼務)、陸海空3人の駐在武官補佐官を、置いているが、通常は「国防・陸・海武官」の肩書き1名など、それぞれの事情により、さまざまである。勿論、駐在武官を置いていない国も多い。
英語では、military attach と呼ばれている。
大使館付き陸(海)軍武官 military (naval) attach to an embassy
/Progressive Japanese-English Dictionary, Second edition Shogakukan 1993.プログレッシブ和英中辞典 第2版 小学館 1993.
山本五十六も、駐在武官として、渡米している。
駐在武官の階級は、一般に大佐である。
しかし、これは、国際的に決まっているものではなく、国によって、将官や、中佐の武官も多数存在する。
相手国との相互関係や、軍事に関する位置づけなどによる要素も多い。
公式行事での、相手の階級とのバランスなども重要な要素である。
また、陸海空どの軍から来るかも、相手国との相互関係や、軍事に関する位置づけなどによる部分が多い。
相手国とのどういった関わり方かにより、左右される。
例えば、在日イギリス武官の場合、陸空自衛隊との関係は地理的要素から皆無とも言え、必然的に海となろう。もちろん、海でも軍事的対日連携と言う見地の必要性は薄いのだが、極東地域に派遣するとすれば、在日米軍のある日本の意義も大きい。
逆に、情報収集を主題とするならば、陸海空それぞれの専門分野のものを派遣するほうが理に適っている。
駐在武官補佐官の階級は、一般に中佐だと思っていたが、単なる先入観だったようで、中佐の場合もあれば、兵曹クラスの場合も多い。
駐在武官事務所 (Defense Attache Office)
大使館の駐在武官事務所は、外交的に派遣された軍の組織である。駐在武官事務所の任務は、滞在国の軍隊の能力を監視及び報告することである。特にこれは、以下のことを含む。
(1)軍事及び軍事・政治情報資料の収集及び報告
(2)駐留軍の代表
(3)軍事事項に関する大使への助言
駐在武官事務所はまた、滞在国でのいくつかの連絡及び調整業務、軍事訪問者の接待も行う。外交的に派遣された軍事/防衛武官は、ある程度の現地語能力を有する。事務所にはまた、行政要員が存在し、一部は、外国籍である。駐在武官は、公然軍事情報資料の収集者である。駐在武官は、小規模な幕僚がその主要収集任務に取り組むことに完全に占められている。駐在武官事務所は、一般的及び特定の両技術情報資料を収集することが、任務付与されている。しかしながら、事務所は、生の技術情報資料とは対照的に、主として軍事防衛政策、戦略、及び作戦を監視する。駐在武官は、滞在国の新聞又は政府公刊物のような公開資料源、並びに滞在国の国防省及び軍人との頻繁な会合を通 して、この情報資料を収集する。駐在武官は、獲得した情報資料を分析しないが、本国に直接情報資料を報告する。全ての情報資料は、秘密指定される。駐在武官事務所の幕僚によれば、彼らは、言語の違い及び文化的遠慮のため、滞在国における技術情報資料の収集において、困難を経験している。彼らは、滞在国の情報資料の大部分が英語で出版されているため、言語は、情報資料を獲得するのに克服できない障壁ではないが、言語能力が、情報資料への個人のアクセスを増加させる。加えて、滞在国文化のため、幕僚は、滞在国人が情報資料を提供する前に、その滞在国人接触者に知られて、受け入れられ、ある程度の信頼を確立しなければならない。
在外公館は、外国と外交を行う上で重要な拠点で、大使館、総領事館、領事館、政府代表部などがある。
大使館は、基本的に各国の首都におかれ、その国を代表するもので、相手国政府との交渉や連絡、その国の政治・経済などの情報の収集・分析、自国を正しく理解してもらうための広報文化活動などを行っている。また、在外自国民の生命・財産を保護することも重要な任務である。
在外公館に「警備官」として派遣されている自衛官。
世界30カ国に計32人の陸海空自衛官(1尉クラス)が、この任に当たっている。
以前は、外務省への退職出向の形で「警備官」として派遣されていて、これらの自衛官は在外公館の警備が主な任務とされていた。そして、形式的には自衛隊を退職するという手続きをとっていたことから、自衛官の制服を着用することなく、また、階級呼称も認められていなかった。
最近、外務省の省令の改正を行なわれ、退職出向ではなく、自衛官の身分を併任する形での在外公館への赴任に切り替えられたようだ。これによって、「警備官」として赴任する自衛官は制服の着用と階級呼称が認められることとなり、また、任務も公式に拡大して、防衛駐在官(1佐クラス)のサポート、また、防衛駐在官のいない発展途上国での事実上での防衛駐在官的な役割を果たせることとなる。
尚、諜報部員や、俗に言うスパイは、必ずしも軍人ではない。アメリカのCIAなど、国家機関ではあるが、文民組織である。当然、関連情報など、軍人の関わりも少なくはないが、俗論に流される混同は、無知による愚か以外の何物でもない。
⇒海自三佐、ロシア海軍武官への情報漏洩事件
尚、2002.7時点で、面識のある、武官関係者は以下の通りである。
アメリカ大使館 空軍武官、
アメリカ大使館 陸軍武官、
アメリカ大使館 陸軍武官補佐官、
イギリス大使館 駐在武官、
イスラエル大使館 国防武官、
イスラエル大使館 国防武官、
イタリア大使館 国防・陸・海・空軍武官、
イランイスラム共和国大使館 国防武官、
インド大使館 防衛駐在武官、
ヴェトナム大使館 国防武官、
ウクライナ大使館 国防(陸・海・空三軍)武官、
オーストラリア大使館 国防・陸・海・空軍武官、
オーストラリア大使館 副武官、
カナダ大使館 海軍武官、
スイス大使館 国防武官、
タイ王国大使館 防衛武官、
ドイツ連邦共和国大使館 国防武官・補佐官、
ドイツ連邦共和国大使館 防衛駐在官、
トルコ大使館 駐在武官、
ニュージーランド大使館 空軍武官、
フィリピン大使館 国防担当官、
ブラジル大使館 海軍武官、
フランス大使館 防衛装備武官、
ポーランド共和国大使館 国防・海・空軍武官、
ミヤンマー大使館 軍事・海空軍武官、
メキシコ大使館 海軍武官、
ルーマニア大使館 国防・陸・海・空軍武官、
ロシア大使館 国防武官・主席補佐官、
ロシア大使館 海軍武官・補佐官、(帰国)
ロシア大使館 国防・陸・空軍副武官、
ロシア大使館 空軍武官、(帰国)
ロシア大使館 空・海軍武官、
ロシア大使館 海軍武官、(帰国)
韓国大使館 海軍武官、
中国大使館 国防武官兼海軍・空軍武官、
中国大使館 陸軍武官、
中国大使館 陸軍副武官、
新規作成日:2001年1月12日/最終更新日:2002年7月9日