北朝鮮のミサイル(弾道弾? 人工衛星??)とTMD
イージスシステムは、ソフトを改良すると、TMDに使えるようで、
昔から、弾道弾防衛システムとして、アメリカが提案していました。
聞きかじりなので、不正確ですが、
イージス艦の装置はそのままで、プログラムを追加改良すると
探知と、追跡、迎撃の制御がこなせるようです。
迎撃は、搭載ミサイルの改良(もっと高く飛ばせるように)版を使うようです。
発射を感知し、日本海上空の大気圏外で破壊。国土上空には無害というシステムです。
で、イージス艦を3隻、日本海に常時置いとくと、北朝鮮の弾道ミサイルは、無力のようです。
なので、「その飛行がイージス艦により確認」というのは、ガセではないと思います。
イージス艦3隻の常時配備=5隻前後の保有が必要で、これは、現在の海上自衛隊の防衛計画外の艦ですから、その護衛も含めて、10隻以上の艦隊を整備する必要があり、1個護衛隊群を割くのか、増備かが、問題です。
最大の問題は、迎撃の発動時の体制で、いかに有力な部隊整備をしていても、
いまの日本の体制ではいかんともし難いものがあります。
まあ、某国が、1ヶ月以上前に「宣戦布告」とか「攻撃開始」を発表し、日本の政治集団と世論が落ち着いた頃に発射してくれれば、十分迎撃できますが、現状では、発射後10分での着弾に対して、リアクションタイムはありません。
すなわち、TMDの最大の要点は、迎撃艦隊は「臨戦態勢」であることです。
だから、システムが感知したら、有無を言わさず、迎撃できる体制=法律、になっていないと、まったく効果がありません。
この間の場合は、米軍からの発射の通知を受けている頃に、既に日本海上空ですから、受けた担当官が、上司に報告したりしている間に、もう落ちています。
落ちる前に総理の耳に入ったくらいでは、間に合いません。どこのゴルフ場か探していると後の祭りです。
まあ、臨戦態勢というのも、物議をかましそうです。
間違って、旅客機を討つ場合も、0ではないでしょうし。
そして、北朝鮮の先のミサイルが実は人工衛星だという。
「んな馬鹿な事があるか、あいつらにそんなものが作れるか」というのが直感。
しかし、連中にも科学者はいるし、ロシアをはじめお金でいくらでも技術は導入できる。
「カネもないだろう」そう、しかし、北朝鮮には、アメリカ財務省同様に「ドルを印刷」出来る印刷機がある。
分析だが、実際のところ、分かり用がない。
発表されている情報と、国際情勢を勘案し、推測するしかない。
- 奴が人工衛星かどうかは、アメリカにしか調査手段がない。
- また、アメリカが事実を把握したとして、正直に発表するかどうかが問題。
例えば「人工衛星で危険はない」となった場合、日本の世論はTMDなんて金の掛かるもの、なくても平気という事になる。しからば、この際ミサイルだった事になれば、TMD必要論を醸し出す事が出来る。さすれば、安全保障もさる事ながら、アメリカの軍事産業の景気も好転してくる。
Mig25が函館に降りた後、いとも簡単にE2Cの導入が決まってしまった前例もある。
- ロシアの発表
「北朝鮮の人工衛星が回っている事を確認した」などと発表したらしいが・・・ほんまかいな。
人工衛星は既に数千も飛んでいて、そう簡単に、識別できるものではない。
初めから追跡していなければ、すぐにはわからないだろう。
もっとも、衰えたとは言えロシアの宇宙開発技術はアメリカに並ぶものがあり、給料を貰えなくても働き続ける忍耐強い国民性から、不可能ではないだろう。
また、ロシアの技術流出も多々あるので、その辺の情報も重要である。
ただ、エリツィンのパフォーマンスのガセネタも、よく氾濫はしている。
- 北朝鮮の発表があいまい
もし、人工衛星なら、科学技術をもっと誇らしげに発表するはず。
もっとも、打ち上げただけで、ろくに使えないシロモノなら、恥ずかしくて発表できないかも。
ただ、人工衛星の場合、打ち上げエネルギーの関係から、通常赤道方向へ打ち上げようとするから、今回は、方向が一致しない。
更に、人工衛星の場合、結果分析が重要だから、連続の(少なくとも数ヶ月以内の)発射の可能性が出る事はない。
当初は「ミサイル実験などの国防政策は、自国の問題なので、その実験について文句をたれるな」とまで言っていたことは、人工衛星を想定していない。
- 北朝鮮の行動
一つ疑問なのは、落下地点に、北朝鮮の船舶が来ていないらしい事。
戦略ミサイルの場合、ある程度の落下状況を確認しないと、遠くに飛ばせただけで、風船爆弾みたいな状態で、さほどの効果は期待できない。当然、ピケット艦船を多数配備して観測する。そして、こいつらの動きを西側艦船が観測する、というのが通例であるが、今のところ、北朝鮮の観測船舶の動きはあまり報じられていない。
もっとも、あさっての方向へ飛んでいって、待っている海域に落ちてこなければ、話は別。
- 北朝鮮に必要なものは?
人工衛星と、弾道ミサイルとどちらが必要だろうか。
人工衛星の場合、はっきり言って、現在の北朝鮮の生活水準からして、それほど必要なレベルではないのでは?
衛星放送にしても、通信衛星にしても、それ以前の生活水準でしょう。テレビなんか「金正日」の顔が映っていれば十分だし。
偵察衛星なんて偵察すべき物はないでしょう。歩いて、或いは潜水艦で忍び込めば良いのだから。
しかし、弾道ミサイルの場合、日本全土を射程に収めている実績は、脅迫の場合非常に有効である。
そして、この射程内には、極東米軍が含まれ、北朝鮮とつながりのある黒い国家群との切り札として、非常に重要である。
以上から、私はやはり弾道ミサイル実験だと思いますが、いかがでしょうか。
そして、今度は日本の対応。
先ずは偵察衛星だと言う。それも野党の発案。しかも専用の「偵察衛星」はまずいから、密入国監視や海洋観測など色々に使うと言う。防衛庁、海上保安庁、気象庁、科学技術庁・・・相乗りの、船頭多くして船山に登る衛星。
しかし、偵察衛星にも色々種類があって、こんな相乗り衛星で役に立つとは思われない。
しかも、偵察衛星は、気象衛星や通信衛星のように1個打ち上げると、何年も使いつづけられるものではなく、状況に応じて何個も打ち上げたり回収したり、位置を変えたりと機動的な運用をするもので、内容を知らずに「単語」を言ってみただけの、ちゃちな話のようだ。
相乗りでもなんでも、偵察行動自体が、相当軍事的プレゼンスを意味するので、ホントにその覚悟があるのだろうか。
発案者は「問題が起きたら謝れば済む」と思っている人だが、いきなり「反撃」として弾道ミサイルを打ち込んできたらどうするんだろう。落下してくる弾道弾に頭を下げても、止まってはくれない。危機管理をまったく想定していない、思い付きの政治は国を滅ぼす。
私は、むしろ、発見後の体制を早期に決める必要を訴える。
米ソのホットラインは、その距離が、弾道弾の到達までに30分かかるから、首脳が電話でお話していられるが、北朝鮮なんか、近いから、呼び出ししている内に当たってしまう。
発見=迎撃 の体制を覚悟しない限り、国土の被害は免れない。
被害が出てから抗議をするのは、国民の安全を放棄している。
また、アメリカが、この偵察衛星に反対しているのは、アメリカがこういった技術の独占・優位を保ちたいだけで、日本に一人歩きして欲しくない事情がある。
新規作成日:1998年9月8日/最終更新日:1998年9月8日