抑止力 の考察
分かりきったお話ですが・・・
一般論として抑止力とは、相手の行動を抑止するものといえます。
そして、主として、攻撃的対抗手段により、差し違えの覚悟をさせるものです。
相互確証破壊の法側による戦略核抑止力などは、その代表です。
が、ここで、その力は十分発揮できる事が必要です。
でなければ、張り子の虎と同じです。
「寄らば切るぞ」という侍の脅しは、
太刀まわりの威力が十分で、かつ、実行できる必要が有ります。
迫力と言う点では、竹光であっても、効果は発揮しますが、
ホントニよってきた時、抜けなければ、笑い者にされてしまいます。
「動くと撃つぞ」、しかし、相手が動いた時に、もし、撃てなければ、
抑止効果が無いばかりか、その力そのものが否定されます。
核抑止力は、相手の核戦力には十分な抑止力を持っていますが、
−少なくとも、一昨年までは− [新規作成日:1999年1月14日当時]
地域紛争には全く無力なのは、この為です。
また、この抑止力は、いや、戦争一般にそうかもしれませんが、
成算、あるいは、軍事行動の効果の評定により、効果の度合いがかわります。
60年ほど前、アメリカ太平洋艦隊の基地がハワイに移った時、
アメリカは抑止効果を狙ったものですが、
日本は、その抑止効果ゆえに、粉砕さえすれば打開できるという対応に出たわけで
す。
そして、粉砕できてしまった−と理解する状況に見えた−事が、悲劇でしたが。
現在、北朝鮮や、イラクの指導部を、狂人的とか言っていますが、
−私も一部思っていますが−、60年前の日本の指導部の発想も、
アメリカの視点から見れば似たような程度・水準です。
が、我々は、当時の内閣を、無謀とは思っても、狂人とは思いません。
が、やはり、危機管理の甘い発想というのは、
アメリカのような危機管理が出来ている国よりも、
遥かに「これしか道が無い」と言う出方をする場合が有ります。
この時、抑止効果は、基本的に相手への打撃により、代償を払わせるものですから、
その代償を支払う覚悟がされた時、意味を失います。
しかし、迎撃ミサイルなどは、これとは異なる側面を持っています。
単に、味方の被害を軽減するわけですから。
そして、相手の攻撃をかわしきった時、
すなわち、相手の攻撃手段が失われた時、
以後の攻撃が無くなるという、抑止効果も生まれます。
相手の意図をくじく事も大切ですが、外交努力を含む対抗手段と言うものは
多くあっても、邪魔になるものでは有りません。
相互確証破壊の法側による国際平和/戦略核抑止力
戦略核は、地上発射のICBM、戦略爆撃機、戦略ミサイル潜水艦の3本柱で構成されており、先制第一撃は、主に敵国にある地上発射のICBM基地を目標とされ、戦略ミサイル潜水艦は、報復攻撃用とされている。これは、主として、プラットホームの隠密性と、命中精度に起因するものであるが、最近はSLBMの精度向上により区別が薄くなってきている。初期の戦略ミサイル潜水艦は、搭載する弾道弾の射程が短かったため、相手国付近の海域に配備せざるを得なかったが、最新のトライデントミサイルは、ICBM並みの長射程を有する為、本国近海の比較的安全な海域での待機が可能となっている。また、命中精度の向上により、先制第一撃への使用も可能である。
戦略核戦争の先制第一撃とは、主として相手の戦略核兵器の破壊であり、地下のミサイルサイロの破壊には、核兵器と言えども相当な至近距離への命中が必要である。これに対して、残存した戦略核兵器により、相手国の都市を脅かすことにより、双方、絶えがたい打撃をこうむる恐れから、相互確証破壊の法則による平和が保たれ、核戦争は起きていない。したがって、先制第一撃で、相手国の戦略核兵器を完全に駆逐できる場合、征服戦争が生起しうる。また、実際第一撃を受けた場合、報復攻撃をした後、更に自国都市への反撃による被害拡大を恐れることから実際の反撃に踏み切れず、報復攻撃自体の効用を危ぶむ声も上がっている。
核の傘
この表現もそろそろ見直したほうが良いのかも知れない。
アメリカの核によってわが国が守られる意味は総体として良いのだが。
実際、他国の核攻撃があった場合、この傘は別段守ってはくれない。
核の傘は報復はしてくれるでしょうが、見方の損害は抑止のみであり、防御はできない。
この場合、飛んでくるのがミサイルなら、BMDの方が実際に守ってくれる。
核と言う物は、他国の生命財産を人質にとっているわけだ。
ただ、誘拐や篭城と違い、人質がかの国にいるのではなく、自国にいるままと言うのが脅威の認識を薄めているわけでもある。
新規作成日:1999年1月14日/最終更新日:2005年3月6日