日韓高速船

99.7.4深夜 ある特番(山口放送制作)で「日韓高速船」の話題が合った。
第三セクターに対する自治体の経営責任がテーマだった。

下関市の第三セクターで開設されたものの、利用が伸び悩み、間もなく廃止となり、赤字の付けが税金で埋められ、市長への損害請求判決が下ったとか。

ことの次第は、地域活性化を目的として、 泉田市長時代に、下関市の第三セクターとして計画。各種契約が締結している。(関西汽船との傭船契約は91.3.29)
資本金4.88億円(下関市0.5億、山口県0.5億、商船三井系列0.5億、金融機関0.65億、地元企業2.4億)だった。
船舶は、関西汽船のジェット8を用船。内航用を外洋へ改造する費用(7億円)、用船料(年3.6億*4年)は毎日100万円に達する。
経営計画の基礎は、三菱総研で調査し、平均就航率は95%とされている。

91.4まもなく市長選が行われ、泉田市長は、就航を見ずに市役所を去る。
後を受けた亀田市長は、継続事業として引き継ぎ、91.7就航したが、経営は思わしくなかった。
就航率は76%程度、消席率は23%程度と、芳しくなかった。
毎月0.2億の利益を得る為に、経費が1億掛かり、 果たして、開設後、約1年半で92.12.1休業。やがて廃止となり、借金(傭船解約金4.65億、銀行借入3.8億)だけが残った。
ここで関西汽船との用船契約書が問題となった。「問題ある場合は、市が全面的に〜」という文面から、関西汽船は用船契約破棄の損失を下関市に求め、そう言えば本件係争中の記載が関西汽船の営業報告書にも書いてあったような気がする。
ここで、記載した泉田市長は「儀礼的記載で実行を伴わない」みたいな発言で逃げ回ったようだが、亀田市長は市の責任として、損失を税金より支払った。
この支払いの公共性云々で訴訟が起こり、98.6山口地裁から、亀田市長個人へ、8億前後の支払命令が判決された。
もちろん、亀田市長は控訴している。

やがて95.4次の市長選挙が行われ落選。 99.4再び、亀田市長は、この件に触れずに立候補したが、泉田市長後援の候補者ともども落選した。

まあ、裁判所が慎重に吟味しているわけで、外野の我々がとやかく言うものでもないのだが、
私が思うに、事の発端は、計画段階の甘さであり、むしろ全般の責任は泉田市長にある。
亀田市長は、経営の先行きから英断したわけで、さして非難を受ける要素も無いのではと思われる。
もちろん、公費の支出には、正当性があってしかるべきだが・・・。
契約の履行も、義務の一つではある。

さて、計画段階の甘さ。
三菱総研で調査した就航率は94.1%、これは佐渡汽船のジェットフォイルの数字からきていると思われる。(カタマラン型の場合は87.7%)
新潟-佐渡の離島航路と、対馬海峡の国債航路との、立地条件の差があるにしろ、74.5%程度の就航率は、ちと低すぎるような気がする。
消席率は23%程度は、一つにはこの就航率の当てにならないところからきているかも知れない。
が、既存の、関釜フェリーの利用率や、他の交通機関との利便性から見て、もともと、単一での営業ベースを見積もること自体、問題が無いとは言えない。船の利用は、他の交通機関との競合路線や、船ならではの利便(夜行のホテル代わり とか)が無ければ、既存の航路も苦戦を強いられており、衰退の一途をたどっていると言っても過言ではない。 その意味では、初年度から0.94億の黒字予測は、計画承認への粉飾の気配も濃い。
用船料100万円は、そのまま利用料金に案分されるわけで、これ自体きつい物がある。

果たして、このジェットフォイルは、佐渡汽船に引き取られ、他のジェットフォイルたちとともに、佐渡航路をかけている。


戻る TOPに戻る

新規作成日:1999年7月8日/最終更新日:1999年7月10日