2000.8.12ロシア原潜沈没事故
2000.8.12 ロシア北洋艦隊の原子力潜水艦「クルスク」が、バレンツ海に沈没した。
ロシア北洋艦隊では、乗員の救出にあたっているが、悪天候などで難航している模様。
8/21先ほどの発表で、乗員の生存が無い事を発表した。
国に殉じた、海の戦士に合掌。ご冥福をお祈りします。
詳細はいずれ明らかになってくるが、相変わらずの一般報道におけるレベル不足を補う意味で、考察を交えたいと思う。
8/29事故原因調査委員会メンバー/インタファックス/サンケイ によると
クルクスが浮上中に、外国潜水艦と衝突したのが、一義的原因としたうえで。
「その衝撃で、クルクスが、新型の魚雷或いはミサイルを発射し、演習に参加した、他のロシア艦に被害が出た」とし、それなりに信憑性が有るとしている。
一義的原因は別にして、兵器の暴発と損害はどうだろうか。
・周辺洋上に、損害艦が別に1隻居るわけで、これを西側が全くキャッチしていないのは不自然。
・魚雷なら船底、巡航ミサイルなら上部構造に損害が出るわけで、これが特定できないのも不自然。ミサイルが、たまたま浮上中に船底にあたったとするのだろうか。
・洋上では、まず、この艦の損害が発生して大騒ぎになっているはずで、この時、触雷とか、他国の攻撃とか、騒ぎになって良さそうな物だ。或いは、味方の暴発を想定するなら、この段階から、発射艦の捜索が始まっていたはずである。
(8/24)ロシア大使館へ行き、クルスク号の弔問記帳をしてきました。
事故の一報から気にはなっていましたが、しばし遠慮していました。
で、今日献花記帳してきました。
勿論、一般からは私だけでしょうが、記帳簿には、多くの方(推定約200超)の追
悼のメッセージと署名が寄せられていました。
外交辞令もありましょうが、「クルスク号は、95年建造の最新鋭艦で、最高の乗組員たちでした」とのお話でした。
国家国民の為に殉じた海の戦士に合掌。
(8/22)8/22ロシア国防相の発表を整理すると
8/12の演習中、巡航ミサイル発射後の通信で「18:00に魚雷発射予定」との報告後、該当時刻に動作が無い事から、捜索が開始され、8/13 18:40沈没を発見した。
また、爆発は3回とされ、3度目は23:44(11:44の誤報か)とのこと。
更に、事故当時、潜水艦と思しき物体を付近に感知したが、後に存在は消えていたと言い、他国潜水艦との衝突を示唆している。
(8/22)8/22北洋艦隊司令官の発表を整理すると
クルスクは事故発生時に轟沈し、8/13の発見時点で、ほとんど生存の可能性が無い事を確認した上で、情報操作した事を認め謝罪している。
Forgive the children. Forgive your sons. And forgive me for not bringing back your boys/Admiral Vyacheslav Popov
子供たちを許してください。 あなた方の息子を許してください。 そして私があなたの子供たちを連れて帰らなかったことを許してください。/ポポフ海軍大将
潜水艦と言う、高度な軍事機密を扱い、国家国民の安全保障をになうと共に、乗員の生命を預かる司令官の、苦悩が伺える。
巷では、乗員の生命を軽んじたとの外野的非難の声を醸し出しているが、軍隊の本質は、国家国民の安全保障にあり、平時戦時を問わず、任務に殉ずる覚悟こそが、崇高なる戦士の努めであり、その結果に対しては、十分報いられなければならない。
そしてロシア海軍は、それに報いるであろう。
(8/21)8/19北洋艦隊参謀長の発表を整理すると
8/12 8:50最終通信。8/12 11:40事故発生。8/12 23:30捜索開始。8/13 05:00前、沈没発見。とある。
ここで、最終通信以後、事故発生までは、演習行動による交信途絶と見て問題はなかろう。
事故発生の原因そのものは不明だが、演習中の僚艦との衝突であれば、捜索開始に半日もかからないだろうし、また、沈没地点の特定に何時間も必要としないだろう。この間の時間差には疑問点があるものの、ほぼ、状況を伝えていると思われる。
これは、目視或いは音響等から、直ちに事故発生を想起させる物がない場合、潜航中の艦であるから、定時連絡までは、演習行動が続行され、通信応答が不自然に途絶えた時点で始めて、事故を想定するからである。
事故発生時刻は、音響記録からの推定と思われるが、艦内爆発の場合、潜望鏡深度での事故であるから、魚雷などの火薬類の炸裂であれば、僚艦から水柱などの目視も想定されるが、艦隊の位置関係などが不明ではあり、直ちに水中爆発を想定する物ではなかったのであろう。これは、最初の衝撃が、浸水を開始させるに十分でありながら、水上に水柱をあげるほどの規模でなかった事を想像させている。
全艦内に、浸水しているようで、沈没時点で、艦の前半分が直ちに冠水し、艦の後部も破口等から浸水し、全艦浸水したものと想像する。これは、(艦壁を叩くなどの)救難信号により、当初の生存が伝えられている事による推定。浸水は、ハッチ閉塞の不十分、隔壁強度不足、衝撃による隔壁損壊など、色々想定され、艦の損傷状態の詳細発表がまたれる。
8/19の整理
状況は、かなり深刻のようだ。
情報が錯綜し、ロシア海軍自体の混乱ぶりも伺える。
我々への情報も、原情報がロシア語と言う言葉の壁も手伝っている。
また、海中の映像など直接的な情報が無いのも、突っ込んだ判断ができない要員となっている。
今一度整理すると。
ロシア北洋艦隊の演習中、原子力潜水艦「クルスク」は、潜望鏡深度(水深約20m)において、何らかの事故が発生し、まもなく沈没した。
潜望鏡深度については、潜望鏡が出たままと言うのが裏付けている。
何らかの事故に付いては、爆発、接触、など色々情報が公式見解を含めて錯綜している。
2回の衝撃音と言う事は確かなようで、接触時+着底時の二回の音か、最初の爆発+誘爆なのか、確定できない。
ある図によると、水上艦艇の艦首が、潜水艦のセイル左舷前方に乗り上げたような損壊状況が描かれている。
いずれにせよ、艦首部とされる破損個所は、むしろ艦橋に近い部分のようで、耐圧隔壁をも損壊し、多量の浸水を伴って、約100mの海底へ、沈降、着底したものと思われる。
原子炉は、衝突の衝撃、または、傾斜により、緊急停止したと思われる。
戦闘艦艇である以上、自動停止の機能は十分に備わっていると推測される。
メルトダウンは、炉心空焚きによって発生する物で、仮に原子炉損壊の場合でも、炉心に海水が入れば、核暴走は起らない。ただし、この炉心損壊のばあい放射能漏れの問題はある。
衝突から浸水、沈没着底迄の時間が、約2分間と短い事から、艦内では、組織的なリアクションを計るまでも無く沈没したと思われる。
損壊場所が、発射管室から発令所あたりのようで、艦の前半部分の乗員は、沈没時点で絶望的と思われる。また、艦の機能は、艦長の指揮を待たずに、発令所の浸水により直ちに失われたものと思われる。
従って、バラスト排水などの浮上の努力や、バッテリーや、予備動力による対策などを講じる時間すらなく、機能停止し、すなわち、大破轟沈したものと考えられる。
艦の後半部分の乗員は、沈没時点で配置に就いていた機関要員と思われ、当初生存を示す音響反応が見られたようだが、8/16を最期に途絶えており、安否が気遣われる。
最後部の脱出ハッチも、損傷により開かないと言われ、その場合、相当な威力の衝撃が艦全体に及んだ事を意味している。一つは艦内爆発の衝撃、今一つは着底時の衝撃など。
明日未明より、西側チームが参加するので、多少現場の状況も伝わってくるものと思われる。
8.18迄の情報を総合すると、
ロシア北洋艦隊の演習中、原子力潜水艦「クルスク」は、潜望鏡深度(水深約20m)において、何物かと衝突、まもなく沈没した。
おそらく、演習中の僚艦と、接触したものと思われ、艦首部とされる破損個所は、むしろ艦橋に近い部分のようで、耐圧隔壁をも損壊し、多量の浸水を伴って、約100mの海底へ、沈降、接触したものと思われる。
原子炉は、衝突の衝撃、または、傾斜により、緊急停止したと思われる。
衝突から浸水、沈没着底迄の時間が、約2分間と短い事から、艦内では、組織的なリアクションを計るまでも無く沈没したと思われ、艦の前半部分の乗員は、沈没時点で絶望的と思われる。艦の後半部分の乗員は、当初生存を示す音響反応が見られたが、8/16を最期に途絶えており、安否が気遣われる。
当初の予想よりも、接触による艦の損壊は激しい様で、艦内ハッチの閉鎖状況にも寄るが、かなりの浸水が予想される。
艦の着底状況は、かなりの傾斜を伴っているようで、海流の速さも相俟って、DSRV等の接舷は困難を極めている模様。
ロシア政府の救援対応が鈍いと報じられているが、一般に、軍事機密は、兵員よりも優先し、それが軍と言う物である。兵士の尊い犠牲の元に、国家国民の安全保障がなされるのである。球団やファン倶楽部とは次元が異なる。
イギリスが救援を申し入れ、実動に移したようだが、前進待機をしていなかった等、本来の救難よりも、国家的示威と、情報収集が狙いのようで、残念でならない。
現場の状況。
(8/15)水深百数十メートルの海底に着底している模様だが、本艦の性能は、安全深度500メートルはあるので、特に問題はないと思われる。ただ、艦首の破損の状況等により、艦の耐圧性能に支障が出ている可能性はある。
−−上記推定は、単純に潜航した場合の、耐圧隔壁強度上の事であり、衝撃による損壊は論外である。
(8/16)インディ級救難潜水艦と、搭載されている2基のDSRVにより、救助が試みられているが、難航している模様。要因は、海中の悪状況が伝えられているが、艦の傾斜以上に、甲板上の状態が破損により難しい状態になっている事も考えられる。
(8/15)悪天候とされているが、洋上の天候はどうでも良かろう。
旧式なレスキューチェンバー方式ならはなはだ困難だが、DSRVによる場合、海中の海流に問題がなければ、特に影響はないはずで、むしろ、着底している潜水艦の傾斜が一定限度を超えていて、DSRVの設置が困難な可能性は大きい。あるいは、海底の視界が悪いのだろうか。
(8/16)洋上の悪天候に加えて、海流も早く、視界も悪いと言う状況が伝えられている。
(8/20)西側の部隊が展開し、後部ハッチの映像が公開された。原形を知らないので単なる推測だが、外板が既に外れているように見える。また、ハッチの亀裂も指摘されており、艦全体に相当な衝撃が加わった可能性がある。
(8/22)船体は左舷に60度傾いて着底している模様
(8/15)事故原因に付いては、衝突説や、艦内爆発説があるが、艦首の魚雷発射管施設付近に破損があるらしい。
(8/15)短絡的に「魚雷の爆発」と言う事は、考えづらい。魚雷が艦内で爆発すれば、誘爆しないまでも、轟沈に近い状況は必至。圧搾空気その他の圧力による物は考えられる。
−−8/15時点では、艦内生存がクローズアップされていたのでこの推定をしたが、まさに轟沈であった。
(8/16)第二次大戦中の機雷と言う説が、有望視されている。
(8/19)モスクワの専門家筋の情報では、米潜水艦との衝突、米潜水艦からの攻撃とする見解が出されている。
北洋艦隊参謀本部筋の情報では、ロス級潜水艦との衝突が示唆されいてる。
また、別のロシア誌では、「ロシア潜水艦からの警告の雷撃と、米潜水艦の反撃」と言う情報が含まれており、疑問点が多い。
北洋艦隊司令官のロシア国営テレビへの見解としては、艦内爆発とされ、情報が錯綜している。
(8/22)魚雷攻撃説について、対戦魚雷の場合は、スクリューや動力の音源に対して命中する。被害個所から見て、通常魚雷が使用されたとすべきだが、潜水艦同士の戦闘で、通常魚雷の命中は、きわめて異例である。
(8/23)艦首損壊の実映像が、早く見たいところだが、現場状況図によれば、艦首右舷からセイルに掛けて、損傷しているようである。
この図から見る限りは、水上艦艇との接触が有力ではある。艦首の損傷は、魚雷爆発によるものとも言えるが、セイルに達する亀裂は、爆発によるものとは断定しがたい。あるいは、建造時の強度不足による応力集中などによる亀裂の線も無くはないが。
(8/23)ロシアに開けられなかったハッチがノルウェーに開けられた 点の補足
ロシア海軍が試みていた時点では、救難艇接続後、排水した上でハッチを開けようとしており、亀裂などからの漏水もあって、ハッチを開けるに至っていない。
ノルウェーの場合、既に艦内浸水している前提で、海中でのハッチ開放であり、水圧差などの影響を受けていない。
従って、ロシアの救難能力が、著しく低いなど、短絡的には論ぜられない。
(8/15)極北の海底で暖房が使えない 点の補足
極北の海底で暖房が使えないと、確かに寒いが、例え極北でも、海中温度が零下にはなるまい。北極海の海底から凍ってしまう事はありえない。限りなく0度に近く寒くはあるのだが、(民族的偏見ではなく)ロシア人は寒さに強い。正月の東京で、Tシャツ1枚程度で日向ぼっこをするくらいであるから、それほど支障があるとは考えられない。
(8/16)日本のマスコミは「洋上でさえ10度と言う低温」を強調しているが、(民族的偏見ではなく)ロシア人にとっては、暖かいほうである。
(8/15)蓄電池を搭載せず?
原子力動力の場合、ディーゼル潜水艦のような主電源としての蓄電池は必要ないが、全く搭載していないのだろうか。出港の度に乗せるような物品ではないから、搭載していないとすれば、今回の航海からではなく、建造時から載せていない事になる。艦内照明や、機器の動作の為に、電源は不可欠で、意味不明である。
(8/15)尚、本艦には、ディーゼル発電機を搭載しており、本来は、所要の燃料と酸素は搭載してあれば、発電が可能であるが。
また、この定数が搭載されていれば、酸素を乗員の為に使用する事も可能である。
(8/16)ただ、その装備位置の関係で、使用不能の状態である事が懸念される
(8/15)事故発生後、原子炉の稼動を停止させているようだが、事故により動作不能となったのか、自動的な停止や、意図して停止させたのか、不明。
(8/15)本艦には、脱出カプセルが搭載されているが、未だ使用されていない様で、乗員が艦尾へ逃げているとされる事から、艦の前半/発令所辺りまでが浸水して、使用不能となっている事も考えられる。
この場合、艦の機械的な制御が殆どできず、残存区画での待機になっている事が想像される。
(8/19)艦の損壊状況から、艦の主要機能は、一気に失われた模様
(8/16)日本のマスコミにより「水と食料の不足が懸念されている」ようだが、帰港まじかの状態でなければ、食料は所要数は搭載しており、まして、この状況下でそんなに飲み食いするとは思われない。必要以上に食べると、酸素消費も増大する。水に関しては、精水装置の関係もあるが、もともとは無補給で長期間の行動が前提の潜水艦であり、わずか2,3日で不足が影響するとは思われない。
(8/17)「機雷などに接触したとした場合、ロシア潜水艦の前方警戒能力は甚だ低い」と言う報道があったが、潜水艦は作戦行動中は、滅多にアクティブソナーは利用する物ではなく、単に、パッシブソナーにより、耳を凝らして状況をうかがうので、前方警戒など無いと言っても過言ではなく、冷戦時代、米ソ潜水艦同士の衝突事故も、多数発生している。
(8/20)情報錯綜に付いて
クルスクの事故に関する発表二転三転していますが、まあ、日本の政府や警察でさえ、あぁですから、重大事故に関するリアクションは似たような物かも。
実際、現場(実艦)を見た人は、まだ何人も居ませんし。
ただ、あえて弁護すれば、原発表が、当然ロシア語。
これを、ロシア報道を経由し、あるいは英訳、他国誌を経由して、日本の報道陣が入手して、通信してきています。その間の情報劣化は否めないと思います。
米艦が聞いたと言う音も、爆発音か、衝突音かくらいは、聞き違いはないでしょう。ただ、アメリカも、探知性能露見の問題が有るので、隠蔽も有ります。
そもそも、shock waveとか言っていたら、どう訳すのでしょうか。
衝撃音と言えば正確ですが、記者の思い込みで、爆発音にも、衝突音にもされてしまいます。
因みに、ロシアの潜水艦の事故数が、著しく多い様に聞こえますが、総保有量のパーセンテージでは、それほどではありませんし、アメリカでも、配管が逆になっていて浮上できなかったと言う間抜けな事故もありますから、単にロシア艦がボロイと言うのは、情報不足と偏見です。例えば、ロシアの事故比で海上自衛隊の潜水艦を計算しても、まだ1隻にあたるかどうかです。(海上自衛隊の潜水艦の錬度は私もこの比ではないと思ってますが)
(8/23)雑論
不沈艦もいずれは沈む。
戦艦大和も武蔵もビスマルクも、不沈空母の信濃も、みな沈没した。
不沈艦と言うのは、いくつかの条件下における、不沈であり、戦艦大和なども、砲戦距離など条件が設定されていて、かような航空攻撃は、その条件外であった。
巡洋戦艦は「戦艦とは交戦してはならない」と言う条件がついているが、あえて交戦した場合、敢え無く撃沈された艦は多々ある。
この条件を、あらゆる攻撃から耐えうるようにしてしまうと、鉄の塊となってしまい、船として浮かばないものになってしまう。
潜水艦の場合は、条件が難しい。
潜水、すなわち潜っている時点で、すでに沈んでいると言う人さえいる。
ただ、潜水艦の場合は、潜水であり、制御されたものである。
船というのは、見た目「鉄の塊」だが、ホントニ塊なら、浮かばない。
すなわち鉄の箱であるから、浮いている。
潜水艦は、潜りたいので、艦内(バラストタンク)に注水し、船の重さを増して、沈める事により、潜行する。
浮上したいときには、艦内(バラストタンク)から排水し、船の重さを軽くして、浮かび上がる。
これが、制御された状態である。
が、機械が壊れたり、操作を誤って、注排水が制御できなくなると、浮上できず、沈没となる。
衝撃による亀裂などにより、浸水すると、致命的だ。排水が間に合わないと、沈没に至る。
もちろん、色々な対策も講じられているが、艦内での兵器の爆発などは、ほとんど対策は不可能である。
なにせ魚雷などは、艦外への命中で、耐圧隔壁に損傷を与え、撃沈することも目的にしているシロモノで、これが艦内の耐圧隔壁内で爆発すれば、致命的である。
クルスクの場合、なぜ、不沈艦と呼ばれていたのか。
これは、安全潜行深度も深く、艦が大きく予備浮力も大きいことからであった。
また、船体の形状が、耐圧隔壁の両舷に、巡航ミサイルのサイロを持っているので、船体舷側の損傷に対して、耐圧隔壁の残存性が高いとされていた。
従って、想定条件外の損傷に対しては、不沈艦ではないのである。例えば、衝突や爆発などは、論外である。
かつて「なだしお事故」の時には、理解されなかったが、潜水艦と言うのは、もともと沈みやすい性質の艦なのである。
KURSK (K-141) 5-94進水 20-1-95就役
14,700 tons (水上)/24,000 tons (水中) 32 kts (水中)
155.0m x 18.2m x 9.2m
電力: 7,200 kw.(2 x 3,200-kw タービン発電機, 1 x 800-kw ディーゼル発電機)
行動日数120日
乗員: 士官48,兵員59
参考資料:Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World 1998-99 [CD-ROM]
クルスクの艦名は、ロシアの工業都市クルスクに由来しており、第2次世界大戦中の東部戦線最大の戦車戦の地クルスクそのものである。
一部クルクスと表記されているものも見られるのだが(実は私も、この事故の初報まで、そう思っていたのだが)単なる間違いである。
西側の表記は、セントルイスなど、S(ス)で終わるものが多いが、ロシアでは、ミンスクなど、K(ク)で終わるものが多い。
クルスク号乗員名簿
ドキュメント「原潜爆沈」小学館
故あって、1冊読む機会を得た。
「80%の真実と20%の推測」との事なのだが、ドキュメントと謳う事と相俟って、非常に問題が大きい。あたかも艦内にいて、乗員を描写する事を軸にするなど、単なる物語に過ぎず、タイトルからして、かなり問題が有る。
せいぜい「5%の事実調査と95%の推測」が正しかろう。
新規作成日:2000年8月15日/最終更新日:2001年3月57日