防衛庁情報公開制度の個人情報リスト

防衛庁に対して情報公開を求めた人たちの、個人情報をリストにまとめていた問題で、防衛庁の柳沢協二官房長は28日「このリストは海上幕僚監部情報公開室の担当者が作成していた」ことを明らかにした。
142人分の公開請求者の所属や生年月日のほか、職業などの個人情報も記されているという。
担当者は、庁内の上司等にこのリストを手渡している。

防衛庁は今後、関係者の処分とともに請求者全員に対し、書面などで謝罪するという。

防衛庁によると、リストを作成したのは、当時、海幕の情報公開室所属だった3等海佐(48)らしい。

この3佐は、情報公開法が施行された昨年4月から今年3月までの間に、公開を求めた請求者全員142人分の会社名や所属グループ名、役職、さらに一部の生年月日などをリストにまとめた。

これらの情報は、請求者が窓口に来た際のやりとりや、庁内のほかの部署の担当者からの聞き取り、インターネットなどで情報を得たという。

「行政機関の保有する電算処理に係る個人情報保護法」では、業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、また不当な目的に使用してはならないと規定しており、同法に抵触する可能性があるようだ。
防衛庁は「業務の遂行上必要との認識を超えている」としている。



なんでまた、こんな問題が沸いたのか、不思議でならないのだが。
本来、情報公開は、請求以前に、オープンであってしかるべきものである。
ただ、通常広報すべき範囲を超える部分まで、一般広報対応していると、労力や資源がいくらあっても足りない。
そこで、特定の要求に対して、情報公開法で定義されたのである。
情報公開法では、請求者の身元や思想信条で情報開示の可否を決める事はない。
従って、その部分の調査は不要である。
相手によって開示しずらい情報であったなら、その時点で却下されて終るはずである。
見た後で問題だったとしたら、その情報開示自体が機密漏洩でもある。

誰が情報公開を求めていているのか。これに対する問い合わせが、部内で多いからこそ、このようなリストを作成していたのではなかろうか。
部内での作成指示があったかどうかは分からない。
しかし、そのような情報の必要性が多かったからこそ、この様な面倒な資料を作成していたのではなかろうか。


さて、6月3日になって、内局、陸幕、空幕でも、同様の事態が発覚した。
中でも空幕の場合、海幕の件が問題になった時点で掌握していたという。
事実関係を明らかにしない体質だけは、真っ先に何とかしなければなるまい。

さて、そもそも情報公開において、個人情報以前に、申請者の特定が必要なのかの議論もある。
一般に、問い合わせをして、どこの誰かを確認する。
この時、「内閣総理大臣」などという大きな嘘ならすぐにバレルが、訳の分からない組織名なら、適当にごまかされる。
相手によって公開可否があると言うのも釈然としない部分でも有る。
その意味では、一般に公開すべき情報であれば、申請者を特定しない申請というのが、本来ではなかろうか。
なまじ記名にするからこういう問題も生じる。



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新規作成日:2002年5月28日/最終更新日:2002年6月3日