日本の兵器輸出問題

現在、我が国には、武器輸出を極めて制限している。
これは、我が国が、国際軍事バランスを崩す要員とならない為とされている。

が、この規定がなければ、飛ぶように売れるのだろうか。

自衛隊の装備は、基幹装備については、国産化を進めている。
国産化は、設計から製造までを独自に行うものから、ライセンス生産によるものまで、さまざまである。
これは、技術を「国産」しておく為に、重要なポイントでもある。
しかし、武器輸出制限とあいまって、価格に非常に悪い影響を持っている。
例えば、89式装甲戦闘車などは、アメリカの主力戦車M1エイブラムスの3両分の価格らしい。ましてや、ロシアの兵器から比べれば、べらぼうな価格であろう。
これは、需要が国内に限られることから、設計コストがそのまま、少数の製品に賦課されてしまう為でも有る。
その意味で、もし、海外で多数の需要が見込まれれば、単価が下がることは言うまでもない。

が、我が国の兵器は、他国で戦力となり得るのであろうか。
兵器と言うのは、実戦で始めて性能が実証されると言っても過言ではない。
鳴り物入りの兵器が、実戦では無用の長物であったと言う話は、枚挙に暇がない。
もちろん、設計から製造、配備、訓練、やがて実戦と言う、長い年月の間には、科学技術の進歩や、用兵思想の変化によることも大きいだろう。
が、それと共に、想定する作戦自体が、国によって異なると言うこともある。

我が国は、国土が狭く、多くの山岳地域をかかえ、温暖多湿な気候である。
世界中の気候風土にはそれぞれ特性がある。
日本の戦車は、砂漠の中での行動は視野に入っていない。
もちろん、このような事情は、我が国に特化したものではなく、ロシアの輸出潜水艦も、赤道海域での使用には問題があったとされる。
ここで、輸出仕様を考慮するかどうかは、販売戦略の問題でもある。

しかし、いかんせん、我が国の兵器には、実績がない。
平和であることは、実にありがたいことなのだが、実戦経験のない兵器と言うのは、戦闘での真価を計り用がないのである。

その中で、例外的なものは、艦艇であろう。
艦艇は、兵器である以前に、船舶である。
明治維新以降、造船ニッポンの実績は、世界中に轟いている。
太平洋戦争で破れたとは言え、日本の艦艇は、よく闘った。
21世紀の今日、アメリカと5分の戦闘を挑む愚かな発想は、ほとんど存在しないであろうが、世界地図の北アメリカ大陸の半分を占めるアメリカと、対等の戦争を挑んだのは、後にも先にも、アジアの片隅の日本だけである。
その戦いを、対等に進めたのは、日本海軍艦艇に他ならない。
その優秀な末裔の艦艇は、まさに輸出産業向けであろう。
もちろん、現段階では、禁止の一言であり、小型の警察税関用ですら、軍事転用されない条件が付きまとっている。



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新規作成日:2002年12月21日/最終更新日:2002年12月21日