アメリカとイラク情勢

アメリカとイラク情勢は、最終決断の局面に来た。

悪の枢軸たるイラクは、もはや武力行使により潰さなければならないとするアメリカ。
査察により、平和裏に解決すべきとする、フランス、ロシア。
石油権益もからみ、各国、権謀術数を巡らせている。

湾岸戦争時は、侵略軍イラクの掃討という、国際世論があった。
が、今回は、そこまで差し迫った状況は存在しない。

現アメリカ大統領は、湾岸戦争当時のアメリカ大統領の子供である。
2世には、父親の影が付きまとう。
これを拭い去ろうとする努力も、並々ならぬものだ。
しかし、不必要に背伸びしても仕方あるまい。
アメリカは、国の威信をかけて軍を展開している。
しかし、これが、ブッシュ大統領のくだらないエゴであるなら、世界にとって冗談ではあるまい。
問題の2世は、極東にもひとりいる。やっていることは異なるが、問題要素は似たようなものだ。

アメリカ軍は、20万を展開し、いつでも戦闘開始できる準備は整っている。
しかし、国際世論は、戦争に否定的だ。
トルコは、米軍への基地提供を国会で議決したが、過半数の賛成を得ながら、規程により否決となった。
南北から挟み撃ちにするアメリカの思惑にひびが入る以上に、一方のイスラム国たるトルコの直接支援が取れなかったことは、中東という地域情勢から見て、大きなマイナスだ。
平和への危険は取り除きたいが、アメリカの独断でやっていいものでもない。
湾岸戦争の例もそうだが、イラク地域での戦闘展開想定としては、3/20頃までに開戦しないと、気象条件等の問題から、米軍の戦闘に不利となる。
かつてのイラン大使館占拠事件の救出失敗のように、強行しても成算が薄くなるわけだ。

さて、アメリカは拳骨を振り上げている状態だ。
振り上げた拳骨の収拾にもある意味困っている。
フランスやロシアは、アメリカの一国大国主義を牽制する為、アメリカの威信が失われることに好意的だ。
アメリカのメンツを保った和平よりも、自国が主導権を握る解決が、その後の国際イニシアチブの観点から有効だからだ。
といって、アメリカが拳骨を振り下ろしてしまったらどうなるだろうか。
国連安保理決議の存在が問題となろう。
アメリカは、前回議決により攻撃の権利があるとしているが、他国はこれを認めていない。
再度、国連安保理決議となり、アメリカの正当性が失われれば、アメリカのメンツが失われるか、アメリカが国連安保理決議を無視するかの選択に迫られる。

もし、この展開となれば、いずれにせよ、アメリカが実動力をもつ、国連安保理全体の威信も失われることとなろう。
されば、国連は、太平洋戦争前の国際連盟と同様の末路をたどってしまいかねない。


2003.3.21 果たしてアメリカは、国連決議ないまま、戦闘に踏み切った。
2003.3.22時点では、戦況はアメリカに有利に進んでいるようだ。
拠点目標の破壊、早期終結を目指している。
双方の宣伝戦も活発だ。
我々が見る情報は、あくまでアメリカ主導であり、必ずしも実情は伝えていまい。
また、世界中で、反戦運動も活発化している。
バクダッドでの市街戦は、まだ先の話だ。



イラク戦、今後の展望要素



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新規作成日:2003年3月4日/最終更新日:2003年3月29日