イージス護衛艦日本海集中配備の意味

北朝鮮情勢に伴い、海上自衛隊のイージス護衛艦を3隻を日本海に集中配備する方針になったようだ。
3隻とは、定期整備中の1隻を除く、海上自衛隊の保有するイージス護衛艦の可動艦全てである。
現在、インド洋に展開中のイージス護衛艦も、別の艦を送るということで交代し、日本海に集めると言う。

ちまたでは、イージス護衛艦のインド洋派遣時に「日本海の防備が甘くなるから反対」とし、今回の方針を受けて、「やはり日本海の守りが優先だった」という声もある。

が、実際はどうなんだろう。

まず第一に、現在のイージスシステムは、探知能力は有っても、迎撃能力がないから、発射確認に終るだけである。
そしてまた、現行法上、簡単に実動もできないので、迎撃行動自体もできず、実際「高性能監視艦」でしかない。
アメリカが現在極東海域においている、オブザベーションアイランドと同等ということだ。
この艦にも、コブラレーダーと呼ばれる、フェーズドアレイレーダーが装備されており、極東海域でのミサイル発射実験に際して、情報収集に当たっている。
我が国のH2発射に際しても出動し、正否の確認をしている。

従って、直接防衛としては、現時点では全く意味がないといっても過言ではない。

本来の意味としては。
1.防空力の高いイージス艦を集中させることで、北朝鮮に対するメッセージとする。
2.イージス艦の探知能力の格好の実証実験を行える。
ということであろう。

艦艇と言うのは、状況に応じて、多種多様な行動を行うことができる。
船団護衛も有れば、洋上監視もある。
が、もし、イージス護衛艦3隻を常時日本海にはりつけて、防空サイトとする必要が有るのであれば、海上自衛隊の編制、運用体形自体を、大きく見直す必要があるということだ。

現在、アメリカでは、海のイージスシステム、陸のパトリオットに対して、弾道弾防御能力の研究が進められている。
我が国でも導入の方向となろう。

それまでは、実質的には、試験の域を出ていないのである。



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新規作成日:2003年3月18日/最終更新日:2003年3月18日