外来語の表記

日本にはカタカナという便利な文字がある。
そして外来語は一般に、カタカナによって表記される。

しかし、もともと言語形態、発音形態が異なるわけで、その表記が問題になる。

「アメリカ」は、当初「メリケン」と呼ばれていた。
アメリカンという発音がそのように聞こえたからである。
その後、アルファベット表記の対応で、「アメリカ」が定着し、今日に至っている。

「ジュリオ・チェザーレ」Giulio Cesare.という人物をご存知だろうか。
ほとんどの人は初耳だろう。
では「ジュリアス・シーザー」Julius Caesar.はどうであろうか。
こちらは有名なローマ皇帝である。
が、実は同一人物なのだ。
前者はイタリア語としての読みであり、後者は英語としての読みである。
そしてまた「ユリウス・カエサル」という読み方も存在する。

現代ではわが国は国際=英米を中心として動いており、英語の影響が大きい。
しかし、各国の言葉は、必ずしも英語とも一致していない。
外来語は、必ずしも英米のみではないのだ。

昨今、外来語の見直しが始まっている。
安易なカタカナ表記をやめて、漢字にしようというものだ。
例えばコンピュータなら電子計算機だ。
バリアフリーは障害除去だという。
もちろん、定着していない漢字言葉には違和感も多い。
また、人物、地名などの固有名詞には、漢字表記は当てはまらない。

ここで問題がある。
既に定着した外来語を、変更すべきかということだ。
先の例の「ジュリアス・シーザー」を、「ジュリオ・チェザーレ」とすべきかどうか。
まず、知名度が違う。
また、アイウエオ順に並べた場合の序列が変ってしまうし、検索する場合の入力文字も異なるのである。

「アジア」と「エイシア」は同じアルファベット表記(Asia)でもある。

知名度の高い単語や既に定着したものは問題がないのだが、新たに出てきた名称は困ってしまう。
アルファベットを見て訳す。発音記号を見る。
どれが正しいのであろうか。

私の結論は、アルファベット表記だ。
ある意味逃避策でもあるが、安易に決定することによって、誤った表記を拡散するよりはましである。
そして理解するサイドとしては、カタカナになっていて読みやすいということに満足せず、原文がどうなっているかを心がけるべきではなかろうか。



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新規作成日:2004年1月28日/最終更新日:2004年1月28日