2004 護衛艦の建造上のトラブルと安易な世論

2004.6末、護衛艦おおなみのマストに亀裂が発見され、建造所で修理されるという事があった。
建造所は三菱重工長崎造船所であった。
三菱重工長崎造船所といえば、建造中の豪華客船ダイヤモンドプリンセスの火災等、事故が相次いで問題が指摘されている。
また、三菱といえば、三菱自動車による欠陥隠蔽も問題だ。

が、今回のマストの亀裂について、この程度の些少な情報による報道と、安易な解釈は何とかしたいものだ。
世間では「また三菱の欠陥」と思うだろう。
メーカーも、より神経を傾注するべきではある。
が、事の真意も見極めなければ意味が無い。

「ほうっておけばやがて事故にもつながる」といっても、翌日にもげる恐れがあるわけでもない。半年先か、あるいは解体の日まで持つかもしれない。
護衛艦のマストといえば、戦闘による損傷にもある程度耐える必要がある。
短絡的に鬼の首を取ったように言っても意味は無いのだ。



そして今度は護衛艦「たかなみ」に浸水という。
2004.6.6に護衛艦「たかなみ」に浸水がありミサイル発射装置や弾薬庫の部分に天井まで達する浸水があったというもの。
多くのものが「また三菱か」と思ったようだ。
事実関係の精査能力なんてまるで持ち合わせていない。
「ミサイル発射装置や弾薬庫の部分に天井まで達する浸水」とあるのだが、詳細は不明だ。
「ミサイル発射装置」や「弾薬庫」は、艦首にあるものと推定されるが、そのものの内部に浸水があったのか、その外側なのかも大きなポイントだ。
そのものの内部であれば、船体の亀裂によって浸水した物ではない。
この区画は、船体の外板とは隔てられているからだ。
もしこの区画内部であれば、それは注排水装置などによる注水であろう。
それが、人為的なものか、事故か、機器の不良かの問題はある。

また、「天井まで達する浸水」とあり、「ミサイル発射装置」や「弾薬庫」の天井面であれば、それは上甲板の高さであり、船体が、艦首甲板を洗うまでに浸水傾斜しない限り、単なる浸水では起こりえない。
ここまでの浸水は、外から見ていれば、沈没に近い状態である。

ちなみに護衛艦「たかなみ」は、住友重機工業横須賀造船所で起工進水され、住友重機工業浦賀艦船工場で艤装工事が行われた艦で、三菱には関わりは無い。


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新規作成日:2004年7月11日/最終更新日:2004年7月11日