フローティングレストラン「スカンジナビア」の去就
フローティングレストラン「スカンジナビア」
元北欧の豪華ヨット「ステラポラリス」で、静岡県沼津市に係留、フローティングホテル「スカンジナビア」として営業を開始した。
その後、ホテルを閉鎖し、フローティングレストランとして営業を続けていたが、2005.3.31をもって営業終了した。
ホテルを閉鎖した段階から経営は厳しさを増していたが、西武グループ、プリンスホテルの系列ということで持ちこたえていた。
が、西武グループの持ち株問題の発覚を気に、一挙に結末を迎えた。
営業終了が発表された段階で、保存運動の機運が高まった。
が、それは、当時のフローティングレストラン「スカンジナビア」の保存状況を非難し、清算後、新たに活用しようとするものだった。
やがて船体は海外資本が引き取ることとなり、保存運動は終了した。
歴史的文化財の保存を訴えるのはよいことだ。
しかし、仮にも他者の資産に対して、必要以上に文句をつける姿勢はどんなものだろうか。
「フローティングレストラン「スカンジナビア」は、営利優先でろくに手入れもしないから船はぼろぼろだ」と言う。
確かに何十年も浮かんだままではそれなりに朽ち果ててゆくのは当然だ。
が、その内装などは、北欧で施された優雅さを十分残していると私は思った。
金も労力も出さず、文句ばかり言うのはいただけない。
そもそも、それなりの営利企業が営業困難とするものを、単に保存の名目で保存できるはずがない。
沼津市などに、膨大な資金的余裕があればまだいいが、昨今の資金困窮の折、そんな予算は存在しない。
思うに、フローティングレストラン「スカンジナビア」営業段階で、保存運動を含め、知恵と資金を結集して協力し、営業を続けるようにすべきだったのではないだろうか。
保存を働きかけてみるのはよい。
しかし、それは単なるパフォーマンスではおかしい。
保存運動派には「売却を検討されている相手の中には陸に上げ船体下部をカットしようとしている心無い発想を提案した輩がいるとか。」と語気を荒立てるのだが、スクラップになるよりは、遥かに良いだろう。
売り手がないなら買うとまで名乗り出たようだが、それこそ行き当たりばったりで行く末が恐ろしい。
そしてまた、そのような経緯もあれば、現オーナーから相手にもされなくなるのも致し方ない。
結果、保存が出来なくなったとすれば、保存運動の本末転倒である。
果たして、結果は、沼津から消えることになった。
なにやぶしの保存運動は、自己満足に過ぎず、なんら成果を残さなかったということだ。
対して、フローティングレストラン「スカンジナビア」は、長年にわたり、世界的文化財を保存活用したという事だ。
その後、南洋の企業が買収し、船舶として運航させる発表があったが、立ち消えとなり、しばらく係留されていたのだが、北欧の企業が買い取って、レストランシップとして再生することなり、2006.3.31譲渡調印の後、曳航されて沼津を去った。
が、2006.9.2 和歌山県沖において、浸水によって沈没した。
台風シーズンのさなか、老朽化した船体をそのまま曳航する手法が、果たして何を意味するのかという疑念も残る末路となってしまった。
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新規作成日:2005年8月23日/最終更新日:2006年9月4日